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2020/10/11
【言論・表現・文化弾圧略年史】(戦前、戦中)
▼1923年(大正12年)
 9/1 関東大震災
 11/10 国民精神作興に関する詔書

▼1924年(大正13年)

▼1925年(大正14年)
 1  朝日・村山長挙、緒方竹虎襲撃される
 3/1 ラジオ放送開始
 4/13 陸軍現役将校学校配属令 →軍事教練
 4/22 治安維持法公布
 5/5 普通選挙法公布

▼1926年(大正15年、昭和元年)
 1/15 京都学連事件
 4/9 治安警察法公布
 11/11 女子青年団組織化訓令 
 12/25 大正天皇死去

▼1927年(昭和2年)
 3/14 片岡蔵相「渡辺銀行破綻」発言(金融恐慌へ)
 4/1 徴兵令廃止、兵役法公布

▼1928年(昭和3年)
 2/20  第1回普通選挙
 3/15 「3・15事件」
 4/17 東京帝大、新人会解散命令
 4/18 河上肇依願免官 23 大森義太郎 24 向坂逸郎、佐々弘雄
 6/29 治安維持法に改正緊急勅令
 7/3 特高警察が発足
 8  パリ不戦条約調印

▼1929年(昭和4年)
 3/5 山本宣治、殺される
 4/16 「4・16事件」共産党一斉検挙
 10/24 暗黒の木曜日、世界恐慌

▼1930年(昭和5年)
 4/22 ロンドン軍縮条約調印(幣原外相、犬養、鳩山が統帥権干犯論)
 10/27 霧社事件
 11/14 浜口首相暗殺される
 12/15 新聞、通信15社「言論圧迫抗議共同宣言」

▼1931年(昭和6年)
 3  橋本欣五郎、大川周明のクーデター計画発覚、10 錦旗革命事件
 9/18 柳条湖事件
 10/24 国際連盟、満州撤兵勧告

▼1932年(昭和7年)
 1/8 桜田門事件
 1/18 第1次上海事件
 2/9 血盟団事件(井上準之助前蔵相暗殺)
 2/22 「肉弾三勇士」(3 朝日「歌」公募・選考発表)
 3/1 「満州国」建国宣言
 3/18 大坂で国防婦人会発足
 5/15 「5・15事件」
 10/6 大森ギャング事件
 11/12 尾崎陞判事、共産党シンパとして検挙
 12/19 全国132新聞、通信社が「満州国擁護共同宣言」

▼1933年(昭和8年)
 1/30 ヒトラー、独首相に
 2~4 長野県、教員赤化事件138人検挙
 2/24 国連総会でリットン調査団報告承認、日本代表退場
 2/22 小林多喜二虐殺
 3/27 国連脱退
 5/26 滝川事件
 8/11 桐生悠々「関東防空大演習を嗤う」
 12/23 皇太子明仁誕生

▼1934年(昭和9年)
 5/2 出版法改正
 6/6 簔田胸喜、末弘嚴太郞を告発
 10/1 「国防の本義とその強化の提唱」(陸軍パンフレット)

▼1935年(昭和10年)
 2/18 菊池武夫、美濃部達吉の「天皇機関説」を攻撃(9/18貴族院議員辞職)
 4/6 真崎教育総監、全陸軍に「天皇機関説は国体に反する」と通達
 8/3 政府、「国体明徴声明」
 12/8 第2次大本教事件(出口王仁三郎ら30人逮捕)

▼1936年(昭和11年)
 1/1 同盟通信社発足
 2/26 「2・26事件」
 6/30 落語から「愛国演芸同盟」(カーキ色制服や戦闘帽着用)
 7/10 「コムアカデミー事件」(平野義太郎、山田盛太郎、小林良正ら検挙)
 7/17 スペイン内戦
 8/1 ベルリン五輪(孫基禎、前畑がんばれ)
 11/25 日独防共協定
 12/12 中国、西安事件(張学良ら、蒋介石を監禁)

▼1937年(昭和12年)
 1/21 衆院で浜田国松の演説を寺内陸相が非難(腹切り問答)
 5/31 文部省「国体の本義」配布
 7/7 盧溝橋事件(支那事変、北支事変、日中戦争本格化)
 8/13 第2次上海事件
 8/24 政府「国民精神総動員実施要項」(10/12 国民精神総動員中央連盟)
 9/25 情報部「愛国行進歌」歌詞募集
 12/1 矢内原忠雄教授辞職(中央公論9月号「国家の理想」全面削除)
 12/12 南京事件

▼1938年(昭和13年)
 2/1 大内兵衛、有沢広巳ら24人検挙(第二次人民戦線事件)
 2/18 石川達三「生きてゐる兵隊」
 2/24 斎藤隆夫、牧野良三、衆院で国家総動員法を批判
 3/3 佐藤賢了、「黙れ!」発言
 4/1 国家総動員法
    大阪朝日「支那事変聖戦博覧会」
 7/30 産業報国連盟創立
 9  従軍作家、詩曲部隊、戦地へ (久米正雄、丹羽文雄、岸田国士、林芙美子、
    菊池寛、佐藤春夫、吉屋信子、西条八十、古関裕而)
 10/5 河合栄治郎「ファシズム批判」など発禁   

▼1939年(昭和14年)
 1/28 平賀粛学、河合栄治郎、土方成美両教授休職へ
 3/28 国民精神総動員委員会(委員長荒木貞夫文相)設置(国民精神総動員連盟も)
 5/11 ノモンハン事件
 5/22 「青少年学徒に賜はりたる勅語直後」
 6/7 満蒙開拓青少年義勇軍壮行会
 7/8 国民徴用令
 8/23 独ソ不可侵条約
 9/1 ドイツ、ポーランド侵攻
 9/1 初の「興亜奉公日」
 12/12 軍機保護法施行規則改正
 12/26 朝鮮人に創氏改名

▼1940年(昭和15年)
 2/2 斎藤隆夫「反軍演説」(3/7除名) 
 2/10 津田左右吉「古事記及び日本書紀の研究」発禁
 3  芸名を改名 16人、ディックミネ→三根光一、藤原鎌足→藤原鶏太
 8  都内食堂で米食禁止 「ぜいたくは敵だ」立て看板1500本
 8/19 新協・新築地両劇団、80人検挙、23解散 
 9/27 日独伊3国同盟調印
 10  たばこ改名 ゴールデンバット→金鵄、チェリー→桜
 10/12 大政翼賛会発足
 10/30 東京のダンスホール閉鎖
 11/1 国民服令
 11/10 紀元2600年祝賀式典
 11/23 大日本産業報国会結成
 12/6 情報局発足
 12/19 日本出版文化協会設立 (用紙配給割り当て案作成) 

▼1941年(昭和16年)
 1/6 ルーズベルトの「4つの自由」演説。(言論・表現、信仰、欠乏からの自由、恐    怖からの自由)
 1/8 「戦陣訓」 「捕虜となるよりは自ら死を選ぶ」
 1/16 大日本青少年団結成
 2/26 情報局、総合雑誌に執筆禁止者名簿 (矢内原忠雄、馬場恒吾、田中耕太郎、    清沢列、横田喜三郎ら)
 3/7 国防保安法公布
 4/1 小学校を国民学校に改称。「国民科」など5教科編成、軍事教練も。ドレミファはハニホヘトイロハに。
 4/13 日ソ中立条約調印
 8  警視庁、婦人雑誌50数誌を16誌に統合。
 8/14 ルーズベルト、チャーチル、大西洋憲章
 10/15 ゾルゲ事件、尾崎秀実検挙
 12/1 御前会議で開戦を決定
 12/8 真珠湾攻撃
 12/10 東京の新聞、通信8社主催「米英撃滅国民大会」

▼1942年(昭和17年)
 2/2 大日本婦人会発足
 2/21 日本少国民文化協会発足
 3/6 九軍神の発表
 4/18 東京、名古屋、神戸など初空襲
 5/20 翼賛政治会発足
 5/26 日本文学報国会創立
 6/5 ミッドウエー海戦
 7/24 情報局、新聞社を一県一紙に
 12/31 ガダルカナル島撤退決定

▼1943年(昭和18年)
 1/1 朝日、中野正剛「戦時宰相論」
 1/13 情報局、レコードを含む米、英の音楽1000種の演奏を禁止
 2/23 陸軍省「撃ちてし止まん」のポスター5万枚
 3/7 大日本言論報国会創立
 3  野球用語「よし」「ひけ」背番号廃止 
 5/26 横浜事件の発端、泊事件
 6/25 学徒勤労動員
 8  上野動物園で猛獣毒殺 象3頭、ライオン3頭、虎1頭、ヒョウ4頭
 9/8 イタリア、無条件降伏
 9/23 未婚女子による勤労挺身隊を動員
 10/21 出陣学徒壮行会 7万人
 11/1 国民兵役45歳までに
 11   兵役拒否のキリスト教徒、明石順三、懲役10年判決
 11/22 カイロ宣言
 12/10 学童の縁故疎開、促進

▼1944年(昭和19年)
 1/29 「中央公論」「改造」編集者など検挙(横浜事件)
 2/21 東条首相兼陸相、参謀総長も兼務
 2/23 毎日新聞「竹槍では間に合わぬ」。のち、執筆の記者を召集
 6/15 米軍、サイパン上陸
 7/10 情報局、改造、中央公論、廃業を指示
 7/22 小磯国昭内閣成立
 8/1 政府、「一億国民総武装」を決定、竹槍訓練など本格化
 8/4 政府学童集団疎開
 8/22 「対馬丸」事件
 8   鹿島・花岡鉱山に中国人986人強制連行
 10/18 兵役法施行規則改正、17歳以上を兵役に
 10/25 北九州大空襲
 10/25 神風特攻隊
 11/24 東京初空襲
 12/7 東南海地震

▼1945年(昭和20年)
 1/18 戦争指導会議「今後とるべき戦争指導大綱」(本土決戦即応体制強化)
 2/4 ヤルタ会談
 2/16 米、硫黄島上陸作戦、3/17占領
 3/6 国民勤労動員令公布。
 3/10 東京大空襲 死者8万4000人、150万人罹災
 4/1 米軍、沖縄上陸
 4/12 ルーズベルト死去、トルーマン大統領就任
 4/25 サンフランシスコで連合国会議、6/26国連憲章調印
 4/30 ヒトラー自殺
 5/7 ドイツ、無条件降伏
 6/8 御前会議、本土決戦方針を採択
 6/23 沖縄戦、日本軍全滅
 7/16 米、ニューメキシコの原爆実験成功
 7/17 ポツダム会談開始、7/26 ポツダム宣言
 8/6 広島に原爆投下
 8/9 長崎に原爆
 8/10 御前会議、条件付きポツダム宣言受諾決定
 8/14 御前会議、ポツダム宣言受諾決定
 8/15 終戦詔書
 8/17 東久邇稔彦内閣
 8/28 日本占領開始
 9/2 ミズーリ艦上で降伏文書調印
 9/10 GHQ「言論及び新聞の自由に関する覚書」
 9/15 文部省「新日本建設の教育方針」国体護持、平和国家建設、科学的思考力養成
 9/22 米政府「降伏後における米国の初期対日方針」
 9/27 天皇、マッカーサー訪問
 10/4 GHQ、日本政府に「民権自由に関する指令」政治犯釈放、思想警察全廃
 10/9 幣原喜重郎内閣
 10/11 マッカーサー、民主化5大改革指令
     婦人解放、労組結成奨励、教育自由主義化、秘密審問司法制度廃止、経済民主化
 11/20 ニュルンベルグ裁判開始
 12/9 農地改革覚書
 12/6 GHQ、近衛文麿、木戸幸一ら逮捕指令、近衛自殺
 12/26 憲法研究会が「憲法草案」

▼1946年(昭和21年)
 1/1 天皇人間宣言
 1/24 幣原、マッカーサー会談 「非武装憲法で合意」
 2/13 GHQ、憲法草案を日本政府に提示
 3/5 チャーチル「鉄のカーテン」演説
 3/6 政府、憲法改正草案を発表
 4/10 第22回総選挙
 5/3 東京裁判開始
 5/19 食糧メーデー
 5/22 第1次吉田内閣
2020/09/21
立憲野党の政策に対する市民連合の要望書
いのちと人間の尊厳を守る「選択肢」の提示を

       立憲野党の政策に対する市民連合の要望書
             2020年9月19日

はじめに

 私たち、安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民連合は、2015年の安保法制反対運動以来、憲法に基づく政治を求めてきた。しかし、法と道理をわきまえない安倍晋三政権およびその継続を公称する菅義偉政権の下で新型コロナウイルスの蔓延を迎える状況となった。人間の尊厳を顧みず、為政者の自己正当化のために情報を隠蔽してきた安倍・菅政権の対策が的外れであることは、必然の帰結である。我々は今までの運動の延長線上で、法と道理に基づいて人間の生命と尊厳を守る政治を確立するために運動を深化させなければならない。そして自民党政権に代わり、新しい社会構想を携えた野党による政権交代を求めていきたい。
 政治の最大の使命は、いのちと暮らしの選別を許さないことにある。新型コロナウイルスの危機のさなか、医療、介護、福祉など「この人たちがいないと社会は回らない」エッセンシャルワーカーたちが注目を浴びた。と同時に、このエッセンシャルワーカーたちが、この30年間の「小さな政府」や「柔軟化」を旗印とする雇用破壊によって、過酷な労働を強いられてきたことも明らかになった。彼ら・彼女らの過酷な状況は、一部の企業に富を集中する一方で働く人々に貧困と格差を押し付けてきたこれまでの経済システムの象徴である。個々の人間の尊厳、およびジェンダー平等はじめ互いの平等という基本的価値観の上に立ち、このシステムを転換し、社会を支える人々の尊厳を守ること、さらにすべての働く人々が人間らしい生活を保障されることを、新しい社会像の根幹に据えなければならない。
 次期総選挙は、自民党政権の失政を追及する機会であると同時に、いのちと暮らしを軸に据えた新しい社会像についての国民的な合意、いわば新たな社会契約を結ぶ機会となる。野党各党には、この歴史的な転換を進めるべく、以下の政策について我々と合意し、国民に対して選択肢を提示し、その実現のために尽力するよう要望する。

Ⅰ 憲法に基づく政治と主権者に奉仕する政府の確立

1.立憲主義の再構築

 公正で多様性にもとづく新しい社会の建設にむけ、立憲主義を再構築する。安倍政権が進めた安保法制、特定秘密保護法、共謀罪などの、違憲の疑いの濃い法律を廃止する。自民党が進めようとしてきた憲法「改定」とりわけ第9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くす。日本国憲法の理念を社会のすみずみにいきわたらせ、公正で多様な社会を求める市民、企業、団体との連携をすすめ、安倍政権で失われた民主主義の回復に取り組んでいく。

2.民主主義の再生

 主権者が、自分たちの生きる公共の場をどのように作り出すか自由闊達に議論し、決めていくという民主主義を取り戻す。そのために、国会の行政監視機能の強化、選挙制度の見直し、市民参加の制度の拡充、学校教育における自由な主権者教育を実現する。また、地方自治体の自由、自立を確保するために、中央省庁による無用な制度いじり、自治体の創意工夫を妨げる統制、操作、誘導を排し、一般財源を拡充する。

3.透明性のある公正な政府の確立

安倍政権下ですすんだ官邸主導体制の下で、権力の濫用、行政の歪みが深刻化している。政府与党による税金の濫用や虚偽、隠蔽により生じた市民の政府への不信の高まりが、効果的な新型コロナウイルス対策を妨げている。透明性のある公平な行政の理念のもと、科学的知見と事実に基づく合理的な政策決定を確立し、政策への信頼を取り戻すことが求められている。内閣人事局の改廃を含め、官僚人事のあり方を徹底的に再検討する。一般公務員の労働環境を改善し、意欲と誇りをもって市民に奉仕できる体制を確立する。国民の知る権利と報道の自由を保障するために、メディア法制のあり方も見直し、政府に対する監視機能を強化する。

Ⅱ 生命、生活を尊重する社会経済システムの構築

4.利益追求・効率至上主義(新自由主義)の経済からの転換

 新型コロナウイルスの危機は、医療、教育などの公共サービスを金もうけの道具にしてきた従来の改革の失敗を明らかにした。医療・公衆衛生体制、労働法制、教育政策等への市場原理の導入により、社会的な危機が市民の生活の危機に直結する事態が生じている。信頼できる有能・有効な政府を求める世論の要求は高まっている。利益・効率至上主義を脱却し、国民の暮らしと安全を守る新しい政治を目指していく。

5.自己責任社会から責任ある政府のもとで支えあう社会への転換

 小さな政府路線と裏腹の自己責任の呪縛を解き、責任ある政府のもとで支えあう社会をめざす。新しい社会をつくりあげるために、財政と社会保障制度の再分配機能を強化する。消費税負担の軽減を含めた、所得、資産、法人、消費の各分野における総合的な税制の公平化を実現し、社会保険料負担と合わせた低所得層への負担軽減、富裕層と大企業に対する負担の強化を図る。貧困対策においては、現金・現物の給付の強化と負担の軽減を組み合わせた実効的対策を展開し、格差のない社会をめざす。

6.いのちを最優先する政策の実現

 新型コロナウイルスとそれに伴う経済危機による格差の拡大を阻止するための政策が求められている。医療・公衆衛生体制に国がしっかりと責任をもち、だれでも平等に検査・診療が受けられる体制づくりをめざす。感染対策に伴う社会経済活動の規制が必要な場合には、労働者、企業への補償に最優先の予算措置を講じ、公平性、透明性、迅速性を徹底する。

7.週40時間働けば人間らしい生活ができる社会の実現

 先進国の中で唯一日本だけが実質賃金が低下している現状を是正するために、中小企業対策を充実させながら、最低賃金「1500円」をめざす。世帯単位ではなく個人を前提に税制、社会保障制度、雇用法制の全面的な見直しを図り、働きたい人が自由に働ける社会を実現する。そのために、配偶者控除、第3号被保険者などを見直す。また、これからの家族を形成しようとする若い人々が安心して生活できるように公営住宅を拡充する。

8.子ども・教育予算の大胆な充実

 出産・子育て費用の公費負担を抜本的に拡充する。保育の充実を図り、待機児童をなくし、安心して働ける社会を実現する。教育予算を拡充し、ゆとりある小中高等学校の学級定員を実現する。教員や保育士が安心して働けるよう、待遇改善をすすめる。教育を受ける機会の平等を保障するために、大学、高専、専門学校に対する給付型奨学金を創設するとともに、大学、研究機関における常勤の雇用を増やす。学問の自由の理念の下、研究の自立性を尊重するとともに、政策形成に学問的成果を的確に反映させる。

Ⅲ 地球的課題を解決する新たな社会経済システムの創造

9.ジェンダー平等に基づく誰もが尊重される社会の実現

 雇用、賃金、就学における性差別を撤廃し、選択的夫婦別姓を実現し、すべての人が社会、経済活動に生き生きと参加する当然の権利を保障する。政治の世界では、民主主義を徹底するために議員間男女同数化(パリテ)を実現する。人種的、民族的差別撤廃措置を推進する。LGBTsに対する差別解消施策を推進する。これらの政策を通して、日本社会、経済の閉塞をもたらしていた政治、経済における男性優位の画一主義を打破する。

10.分散ネットワーク型の産業構造と多様な地域社会の創造

 エネルギー政策の転換を高等教育への投資と結びつけ、多様な産業の創造を支援する。地域における保育、教育、医療サービスの拡充により地域社会の持続可能性を発展させる。災害対策、感染対策、避難施設の整備に国が責任をもつ体制を確立する。中小企業やソーシャルビジネスの振興、公共交通の確保、人口減少でも安心して暮らせる地域づくりを後押しする政策を展開する。

11.原発のない社会と自然エネルギーによるグリーンリカバリー

 地球環境の危機を直視し、温暖化対策の先頭に立ち、脱炭素化を推進する。2050年までに再生可能エネルギー100%を実現する。福島第一原発事故の検証、実効性のある避難計画の策定をすすめる。地元合意なき原発再稼働は一切認めない。再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発のない分散型経済システムをつくりあげる。

12. 持続可能な農林水産業の支援

 農林水産業については、単純な市場原理に任せるのではなく、社会共通資本を守るという観点から、農家戸別補償の復活、林業に対する環境税による支援、水産資源の公的管理と保護を進め、地域における雇用を守り、食を中核とした新たな産業の育成を図る。また、カロリーベースの食料自給率について50%をめどに引き上げる。

Ⅳ 世界の中で生きる平和国家日本の道を再確認する

13. 平和国家として国際協調体制を積極的に推進し、実効性ある国際秩序の構築をめざす。

 平和憲法の理念に照らし、「国民のいのちと暮らしを守る」、「人間の安全保障」の観点にもとづく平和国家を創造し、WHOをはじめとする国際機関との連携を重視し、医療・公衆衛生、地球環境、平和構築にかかる国際的なルールづくりに貢献していく。核兵器のない世界を実現するため、「核兵器禁止条約」を直ちに批准する。国際社会の現実に基づき、「敵基地攻撃能力」等の単なる軍備の増強に依存することのない、包括的で多角的な外交・安全保障政策を構築する。自衛隊の災害対策活動への国民的な期待の高まりをうけ、防衛予算、防衛装備のあり方に大胆な転換を図る。

14. 沖縄県民の尊厳の尊重

 沖縄県名護市辺野古における新基地建設を直ちに中止し、環境の回復を行う。普天間基地の早期返還を実現し、撤去を進める。日米地位協定を改定し、沖縄県民の尊厳と人権を守る。さらに従来の振興体制を見直して沖縄県の自治の強化をめざす。

15. 東アジアの共生、平和、非核化

 東アジアにおける予防外交や信頼醸成措置を含む協調的安全保障政策を進め、非核化に向け尽力する。東アジア共生の鍵となる日韓関係を修復し、医療、環境、エネルギーなどの課題に共同で対処する。中国とは、日中平和友好条約の精神に基づき、東アジアの平和の維持のために地道な対話を続ける。日朝平壌宣言に基づき北朝鮮との国交正常化、拉致問題解決、核・ミサイル開発阻止向けた多国間対話を再開する。

                                      以 上
2020/09/14
「桜を見る会」にみる安倍政権の「私物化」政治
資料:「桜を見る会を追及する法律家の会」の活動
 「桜を見る会を追及する法律家の会」という組織がある。2020年5月、660人を超す法律家が「桜を見る会」の問題について告発した。処分が決まらない間に、安倍辞任―新政権発足ということになったが、問題の本質は変わらず、刑事責任は残ったままだ。
 「法律家の会」は、安倍後継の自民党3候補に、公開質問状を出したが回答はなかった。
「法律家の会」の見解とともに、告発状の要旨、告発の際の声明、公開質問状を掲載する。
  1. 「桜を見る会・前夜祭」刑事告発にあたっての声明 2020/5/21 (ワード)
  2. 桜を見る会 告発状(要旨) (ワード)
  3. 菅義偉殿 : 自民党総裁選挙各候補者への「桜を見る会」に関する公開質問状 2020/9/8 (ワード)
  4. 自民党総裁選各候補者への「桜を見る会」公開質問の結果について 2020/9/12 (ワード)
  5. 東京地方検察庁 検事正 曽木徹也 殿 :「桜」告発状【最終確定版】 (PDF) 他サイトへリンク

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2020/07/04
自民党改憲案4項目をまとめる 2018年3月25日 自民党党大会
<丸山重威>
 「結党以来、現行憲法の自主的改正を目指し」ているとする自民党は、2005年「新憲法草案」を発表したのに続いて、2012年4月27日、「日本国憲法改正草案」を発表した。天皇を「元首」とし、「国防軍」を創設するというものでした。(「自民党憲法改正草案」 自民党ホームページ参照
 しかし、強い反対の声で事態が動かない状況と、安倍首相の提起を受けて、自民党は論議の末、2018年3月の党大会で、反対の声を押し切って、まず4項目について改憲を実現しようと、4項目の「改正案」をまとめました。

▼自民党改憲案4項目

【9条改正】
第9条の2
(第1項)前条の規定は、我が国の平和と独立を守り、国及び国民の安全を保つために必要な自衛の措置をとることを妨げず、そのための実力組織として、法律の定めるところにより、内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする自衛隊を保持する。
(第2項)自衛隊の行動は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
 (※第9条全体を維持した上で、その次に追加)

【緊急事態条項】
第73条の2
(第1項)大地震その他の異常かつ大規模な災害により、国会による法律の制定を待ついとまがないと認める特別の事情があるときは、内閣は、法律で定めるところにより、国民の生命、身体及び財産を保護するため、政令を制定することができる。
(第2項)内閣は、前項の政令を制定したときは、法律で定めるところにより、速やかに国会の承認を求めなければならない。
 (※内閣の事務を定める第73条の次に追加)

第64条の2
 大地震その他の異常かつ大規模な災害により、衆議院議員の総選挙又は参議院議員の通常選挙の適正な実施が困難であると認めるときは、国会は、法律で定めるところにより、各議院の出席議員の3分の2以上の多数で、その任期の特例を定めることができる。
  (※国会の章の末尾に特例規定として追加)

【参院選「合区」解消】
第47条
 両議院の議員の選挙について、選挙区を設けるときは、人口を基本とし、行政区画、地域的な一体性、地勢等を総合的に勘案して、選挙区及び各選挙区において選挙すべき議員の数を定めるものとする。参議院議員の全部又は一部の選挙について、広域の地方公共団体のそれぞれの区域を選挙区とする場合には、改選ごとに各選挙区において少なくとも1人を選挙すべきものとすることができる。
 前項に定めるもののほか、選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

第92条
 地方公共団体は、基礎的な地方公共団体及びこれを包括する広域の地方公共団体とすることを基本とし、その種類並びに組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める。

【教育の充実】
第26条
 (第1、2項は現行のまま)
(第3項)国は、教育が国民一人一人の人格の完成を目指し、その幸福の追求に欠くことのできないものであり、かつ、国の未来を切り拓く上で極めて重要な役割を担うものであることに鑑み、各個人の経済的理由にかかわらず教育を受ける機会を確保することを含め、教育環境の整備に努めなければならない。

第89条
 公金その他の公の財産は、宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、又は公の監督が及ばない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、これを支出し、又はその利用に供してはならない。
2020/07/04
安倍晋三 2017年5月3日憲法記念日に改憲を提起
<丸山重威>
 安倍首相は、2017年5月3日、「日本会議」が主導する「美しい日本の憲法をつくる国民の会」などが開いた改憲集会「第19回公開憲法フォーラム」にビデオメッセージを寄せ、「憲法に自衛隊を書き込むように」と次のように述べました。
 憲法に決められている「憲法擁護義務」に逆行するこの言行に対して大きな闘いが始まりました。
以下、当日会場にて話された内容です。


▼安倍晋三自由民主党総裁メッセージ     2017年5月3日
 ご来場の皆様、こんにちは。「自由民主党」総裁の安倍晋三です。
 憲法施行70年の節目の年に、「第19回公開憲法フォーラム」が盛大に開催されましたことに、まずもって、お慶(よろこ)びを申し上げます。憲法改正の早期実現に向けて、それぞれのお立場で、精力的に活動されている皆様に、心から敬意を表します。
 憲法改正は、自由民主党の立党以来の党是です。自民党結党者の悲願であり、歴代の総裁が受け継いでまいりました。私が総理・総裁であった10年前、施行60年の年に国民投票法が成立し、改正に向けての一歩を踏み出すことができましたが、憲法はたった一字も変わることなく、施行70年の節目を迎えるに至りました。

 憲法を改正するか否かは、最終的には、国民投票によって、国民が決めるものですが、その発議は国会にしかできません。私たち国会議員は、その大きな責任をかみしめるべきであると思います。
 次なる70年に向かって日本がどういう国を目指すのか。今を生きる私たちは、少子高齢化、人口減少、経済再生、安全保障環境の悪化など、我が国が直面する困難な課題に対し、真正面から立ち向かい、未来への責任を果たさなければなりません。
 憲法は、国の未来、理想の姿を語るものです。私たち国会議員は、この国の未来像について、憲法改正の発議案を国民に提示するための、「具体的な議論」を始めなければならない、その時期に来ていると思います。
 我が党、自由民主党は、未来に、国民に責任を持つ政党として、憲法審査会における、「具体的な議論」をリードし、その歴史的使命を果たしてまいりたい、と思います。

 例えば、憲法9条です。今日、災害救助を含め、命懸けで、24時間、365日、領土、領海、領空、日本人の命を守り抜く、その任務を果たしている自衛隊の姿に対して、国民の信頼は9割を超えています。しかし、多くの憲法学者や政党の中には、自衛隊を違憲とする議論が、今なお存在しています。「自衛隊は、違憲かもしれないけれども、何かあれば、命を張って守ってくれ」というのは、あまりにも無責任です。
 私は、少なくとも、私たちの世代の内に、自衛隊の存在を憲法上にしっかりと位置づけ、「自衛隊が違憲かもしれない」などの議論が生まれる余地をなくすべきである、と考えます。
 もちろん、9条の平和主義の理念については、未来に向けて、しっかりと、堅持していかなければなりません。そこで、「9条1項、2項を残しつつ、自衛隊を明文で書き込む」という考え方、これは、国民的な議論に値するのだろう、と思います。
 教育の問題。子どもたちこそ、我が国の未来であり、憲法において、国の未来の姿を議論する際、教育は極めて重要なテーマだと思います。誰もが生きがいを持って、その能力を存分に発揮できる「一億総活躍社会」を実現する上で、教育が果たすべき役割は極めて大きい。
 世代を超えた貧困の連鎖を断ち切り、経済状況にかかわらず、子どもたちが、それぞれの夢に向かって頑張ることができる、そうした日本でありたいと思っています。
 70年前、現行憲法の下で制度化された、小中学校9年間の義務教育制度、普通教育の無償化は、まさに、戦後の発展の大きな原動力となりました。
 70年の時を経て、社会も経済も大きく変化した現在、子どもたちがそれぞれの夢を追いかけるためには、高等教育についても、全ての国民に真に開かれたものとしなければならないと思います。これは、個人の問題にとどまりません。人材を育てることは、社会、経済の発展に、確実につながっていくものであります。
 これらの議論の他にも、この国の未来を見据えて議論していくべき課題は多々あるでしょう。
 私は、かねがね、半世紀ぶりに、夏季のオリンピック、パラリンピックが開催される2020年を、未来を見据えながら日本が新しく生まれ変わる大きなきっかけにすべきだと申し上げてきました。かつて、1964年の東京五輪を目指して、日本は、大きく生まれ変わりました。その際に得た自信が、その後、先進国へと急成長を遂げる原動力となりました。
 2020年もまた、日本人共通の大きな目標となっています。新しく生まれ変わった日本が、しっかりと動き出す年、2020年を、新しい憲法が施行される年にしたい、と強く願っています。私は、こうした形で国の未来を切り拓(ひら)いていきたいと考えています。

 本日は、自由民主党総裁として、憲法改正に向けた基本的な考え方を述べました。これを契機に、国民的な議論が深まっていくことを切に願います。自由民主党としても、その歴史的使命を、しっかりと果たしていく決意であることを改めて申し上げます。
 最後になりましたが、国民的な議論と理解を深めていくためには、皆様方、「民間憲法臨調」、「美しい日本の憲法をつくる国民の会」のこうした取組みが不可欠であり、大変心強く感じております。
 憲法改正に向けて、ともに頑張りましょう。

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