/ 

2023/01/16
沖縄を戦場にさせるな
日米の「反撃能力強化」に反発
103-s-1.jpg
トークに参加した大木晴子さん(左端)、山城博治さん(左から2人目)、吉岡忍さん(右端)ら
 訪米した岸田文雄首相が、バイデン米大統領と会談した際、昨年12月に改定した国家安全保障戦略に明記した反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有など防衛力の抜本的強化や防衛費増額の方針を説明し、「日米同盟の抑止力・対処力の強化」に向けて協議を深める方針で合意したことに対し、沖縄の人々が反発を強めている。 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表の山城博治さんは1月15日、東京・渋谷の「LOFT9(ロフトナイン)」であった「戦争をとめる!やらせない」と題するトークイベントで、「沖縄に新しい脅威が来ている」 と発言。「日本政府はアメリカと一緒に戦おうというが、その現場は沖縄だ」と言葉に力を込めた。
 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は、「沖縄を再び戦場にさせるな」とジャーナリストや映画監督、平和活動家らが呼びかけ人となり、2022年1月に結成された。山城さんによると「日米のプロパガンダによる中国脅威論は沖縄にも広がり、辺野古の米軍基地移設問題とは違ってなかなか(反対運動に)火がつかなかった」という。だが、昨年末、日本政府は外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を閣議決定し、安保戦略に相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記したことで事情は変わった。敵基地攻撃能力について石垣市議会は「容認できない」と意見書を可決。玉城デニー知事も、防衛省が、陸上自衛隊与那国駐屯地(与那国町)に新しいミサイル部隊を配備する方針を示したことに「厳しく臨む」と批判した。
 トークは、ベトナム戦争時、東京でさかんだった反戦運動「フォークゲリラ」を追うドキュメンタリー映画「1969新宿西口地下広場」の上映にちなみ、運動に関わった大木晴子さんら有志が企画した。大木さんや山城さんとともに登壇したノンフィクション作家の吉岡忍さんは、「岸田さんはアメリカに行って日米同盟の強化を強調したが、これは日本が米国の戦争に巻き込まれるのではなく、戦争を一緒にやっていくということだ」と指摘した。
◇    ◇    ◇
 5月には広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれるが、日米の軍事力強化が、他国にどう映るのか。日本は逆の道を進んでいるとしか思えない。沖縄に新たに吹き始めた「反戦の風」を全国に広げなければいけない。
2023/01/09
解散で信を問え

▼大変な問題をどんどん決めていこうという動き

 新年を前後して政治・社会についての芸能人・著名人の勇気ある発言が相次いだ。吉永小百合さんは元日の東京新聞で「戦後を生き戦後へつなぐ」の見出しで語り、作家・半藤一利の「ずっと戦後であってほしい」という言葉を引いている。そのうえで岸田政権の「敵基地攻撃能力」「防衛費増強」を例に挙げ、「大変な問題を、みんなで考えるなんじゃなく、どんどん決めていこうとした動き」に警鐘を鳴らしている。

 タモリ氏は暮れの「徹子の部屋」に出演。「来年はどんな年になりそう?」という問いに、短く「新しい戦前」と返した。この言葉は2015年、安倍内閣の「集団的自衛権」「日米で他国攻撃も」という安保法制強行時あたりから知識人を中心に言われてはいた。それを今、タモリ流に口にしたのだろう。吉永さんの「ずっと戦後で」と表裏一体の警告だ。

 吉永・タモリに共通するのは、1945年生まれである。終戦・敗戦という「境目の年」に生まれた2人の、日本近現代を見つめる鋭さがある、と思う。ちなみに戦後ベビーブーム期(47~49年)は毎年268万人超が生まれている。では45年生まれは? 日本政府「資料がありません」。内外の各役所の焼失、また海外人口動態把握の限界などによるものだ。

▼「憲法の死」

 さて吉永さんも口にした「敵基地攻撃能力」。昨年12月の岸田内閣「安保3文書」で正式に打ち出された。「立憲主義・憲法の破壊」「平和の破壊」などいろいろ定義づけがあった。かつて「憲法の番人」と言われた内閣法制局長官をつとめた阪田雅裕氏(弁護士)は、3文書について「憲法の死」とまで言っている(『世界』2月号)。

 改憲勢力は「本格的な死=改憲」へと常に牙を研いでいる。しかし、ことばを返すわけではないが「まだ死んでいない」。いまこのときこそ「改憲阻止」の出番である。

▼勝手なスケジュールを許さない

 新年の新聞紙面で多く見られたのは「解散」だと思う。タガがはずれたような岸田内閣の暴政に「退陣を」の声は明確にある。そうでなくても「大軍拡・大増税というなら国民の信を問え」はまさに正論だ。だからこそ岸田首相も暮れには「軍備増強・増税」ならその前に解散―と口にした。しかし年明けには「一つの可能性」「解散権は首相」と事実上取り下げた。

 首相は「自民総裁任期(24年秋)までに改憲(発議)という方針はいささかも変わらない」と言う(昨年暮れ)。このスケジュールを狂わせ、遅らせ、やめさせる。その具体的な一歩、大きなたたかいの場が「岸田退陣」または「解散で信を問え」であることは確かだ。
 その思いを胸に今年も歩みを始めよう。
2023/01/02
日本は本当に戦争する気なのか? 山積する23年の課題
 「3年ぶりの行動制限がない新年」―新聞はそう伝えている。コロナ感染症の伝染が初めて伝えられたのが、2000年の1月。伝染病は世界中に広がり、ネットにあるデータでは、日本時間2022年12月30日午前8時現在、感染者数は6億5749万7614人、死亡者数は667万9764人と読み取ることができる。
 「コロナ感染症」を感染症法でどう規定するか、早速議論になっている。しかしその問題は、「患者」 だったり「無症状感染者」だったり、さまざまなケースがある中で、検査や療養の費用をどう保障するか、そして、とにかく築き上げてきた日本の医療体制をどう守り、すこしでも改善していけるか、それが問われている。

×          ×

 それはとにかく、2022年から2023年へ、その理由、訳はいま問うまい。ひとつひとつ、その背景と問題を引き起こす要素は違っている。しかし、ちょっと出て来ている政治課題だけ拾っても、あまりにも問題が大きく、私たちの生活を脅かす問題ばかりであることに驚く。そしてそれは、より大きな問い「日本は本当に戦争を始めるのですか?」という問いにつながっている。

 日本国憲法は、「戦争を放棄」し、「一切の戦力」を持たず、「交戦権は認めない」と明確に規定されている。しかし、朝鮮戦争が起き、警察予備隊が生まれると、「侵略」に対抗するため、必要最小限度の「実力」は求められている、との政府解釈が生まれ、「世界有数の軍隊」としての実力を持つ自衛隊が育ってくると、「日米安保条約」の下で、「現実」容認のためのいくつかの「原則」が生まれてきた。
 ①「侵略」がなければ、「反撃はしない」という「専守防衛」、②核兵器は持たず、造らず、持ち込ませず、とする「非核三原則」、③軍拡を抑え、「軍事大国」にはならないとする「防衛費GNP枠1%堅持」、④日本は「死の商人」にはならない決意を込めた「武器輸出の禁止」、⑤軍事同盟を前提としたり、他国の紛争に関わって安全を維持するという「集団的自衛権」の否定―などである。

 しかし、この「原則」が悉く崩され、憲法九条が「骨抜き」にされてきているのが、「いま」である。
 12月16日、政府は臨時閣議で決められた「国家安全保障戦略」、「国家防衛戦略」、「防衛力整備計画」の「安保3文書」は、それを露骨に示している。
 2022年から23年へのいま、岸田内閣が打ち出している「反動政策」は。まさに日本国憲法が創り出してきた「戦後レジーム」からの脱却であり、日本国憲法否定をより一層鮮明にした「新たな戦争国家造り」そのものと言うことができる。
 こんなことを許してはならない。みんなで声を上げて、阻止しよう。とにかく、「万機公論」に諮るといういう民主主義は最初から崩されている。切り口はいくらでもある。

×          ×

 すべて、根っこから変えられようとしている。まず、戦争と軍事費問題を中心に、重要テーマを紹介しよう。
 新年、改めて考えてみたい問題だ。

1:歴史の中から岸田政権をみる…
 歴史を学ぼう。戦前、軍部横暴を許してしまった状況と似ていないか。
 戦前の日本。1928年(昭和3年)の「パリ不戦条約」以降、世界では、より一層、軍備を抑え戦争を防ごうという動きが続くなかで、「フリーハンドを持ちたい」とする日本軍部は、1931年(昭和6年)9月の柳条湖事件をでっち上げて中国侵略を本格化し、32年には首相犬養毅を暗殺する「5.15事件」、翌36年には、クーデターを狙った「2,26事件」を起こす。「2.26」では、軍縮を主張した高橋是清蔵相が暗殺された。いまの日本とは、いろんなところが違っている。しかし、戦前、その行き着く先は「対米英戦を辞せず」だった。

2:安全保障政策大転換 九条捨ててどこへ行く? 九条を読み直し、平和憲法を守る「決意」と「覚悟」を持とう。    
 戦前と大きく異なるのは、「日本の防衛」など、日本だけでは守れないこと。まして、それは米国の「手下」になることではない、ということだ。そして、米国が、日本を軍事的影響下に置こうとし、米軍との「一体化」をすすめていることだ。5次にわたる「アーミテージ報告」、バイデン政権の中国政策から、米国の対日政策を読み取り、戦争への道を回避することだ。年末に決められた「安保3文書」が示す、日本の国家体制の変更を認めるわけにいかない。

3:原発再稼働 事故の反省はどこへ
 岸田首相は8月24日、福島原発事故以来、一貫して「可能な限り原発依存度を低減する」方針を掲げてきた政府の方針を転換、「原子力を最大限活用していく」と大きく政策を転換する方針を発表した。
 「電力需給のひっ迫」などを理由に挙げているが、政府の「グリーントランスフォーメーション(GX)実行会議」で、既に再稼働している原発10基に加え、7基の原発を来夏以降に再稼働する方針。政府はさらに、再稼働している原発10基、再稼働方針の7基、設置許可審査申請済みの10基、未申請9基を含めて再稼働し、原発の運転期間の延長も図り、30年の発電電力量に占める原子力の構成割合は20~22%とするという。
 しかし、原発事故から11年を経ても、地域の除染や事故機の廃炉の見通し、汚染水放出も、放射性物質の最終処分場にメドも付いていない。一体どうする気なのだろうか。

4:巨額の防衛費=軍事費をどこから出して、どうするのか? 
 2022年当初から、勝手に作り上げられてきた、「米国産兵器の爆買い」→「GDP2%」達成→敵基地攻撃能力=攻撃能力の整備路線は、「なぜ必要か」「何をするのか」を抜きに、「税金」か「国際化」という財源問題として派手な論争が演出された。

 メディアもそれに乗って、本質論抜きに2027年度にGDP比2%に到達させる「規模ありき」の指示で、安定財源の確保や必要な装備の精査は後回ししてはじき出した。
 しかし、この大幅増の結果、期間中に新規契約する装備品購入費が必要で、ローンで支払う額をいれると、実際の規模は60兆円に達すると言われる。当初は国債、といわれても結局そのツケは税金になる。国民はまんまとこの「すり替え」の議論に乗せられた。


5:「戦争国家造り」のバックグラウンド、学問と論理の否定に声を上げよう
内閣府は12月21日、日本学術会議の改革に向けた具体案を公表。会員の選考に意見を述べる第三者委員会を設置、外部の第三者から会員候補の推薦を受ける仕組みを導入するなどとし、2020年の菅内閣による6人の学者の任命拒否を合理化、政府言いなりの学術会議造りを狙っている。政府は日本学術会議法改正案を通常国会に提出することを目指すとしている。
 要するに、政府に異論を申し述べるものに金は出せない。全部切る、という 「知性の蔑視」「軍事研究優先」「科学の否定」の体制作りの一環だ。

 学術会議は声明を発出し、「自律的かつ独立した会員選考への介入のおそれ」があるとして、国に再考を求め、学者や作家ら文化人127人による「学問と表現の自由を守る会」が撤回を要望する声明を公表、医学・医療を担う141学会の連合体「日本医学会連合」(会長・門田守人元大阪大副学長)も「独立性を毀損する法制化に強く反対する」と声明した。

6:まだあるけれど…統一協会問題とは何なのか?
 項目は、経済、年金、福祉、介護などまだいっぱいあるが、長さの問題もあるので、ここで一旦切る。最後に一つ、統一協会問題だ。

 この問題、「勝共主義」「原理運動」「霊感商法」「集団結婚式」「自治体決議」…など、拾い出すだけでも数多くの問題を含んでいるが、自民党が調べて公表しただけでも「旧統一教会と接点をもつ国会議員は179人」に達している。この春の統一地方選挙でも、いろんな名前の団体を使って、地方政界に浸透しようとするだろう。
 そこで出て来るのは、「家族」「子ども」であり、「ジェンダー」問題だったりする。

早い話、関係を問われた大臣が次々辞めた。ただ「政界の浄化」を図るなら、どうしても忘れてはいけない人がいる。
細田博之衆院議長だ。細田氏は関連団体について、最初「4回あった」と明らかにし、さらに別の4つの会合に出席し、あいさつしたと明らかにしている。いやしくも、国権の最高機関、しかも国民の指示を直接受ける衆議院の議長だ。問題は「説明すればそれでいい」のだろうか? そういえば、議長には、セクハラ疑惑がある。「今から家に来ないか?」「添い寝するだけだから」「うちでプラネタリウムを見よう」などというお誘いだそうだ。

 
 早いうちに、細田さんにも岸田さんにも、もうすべてやめてもらおう。
 とりあえず、衆院解散総選挙で、日本の政治を大きく変えよう!

管理  
- Topics Board -