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2022/01/30
いま、対中外交で果たすべきこと

 ▼報道されなかった共同作戦計画
 
 「自衛隊と米軍が、台湾有事を想定した新たな日米共同作戦計画の原案を策定したことが分かった。有事の初動段階で、米海兵隊が鹿児島県から沖縄県の南西諸島に臨時の攻撃用軍事拠点を置くとしており、住民が戦闘に巻き込まれる可能性が高い」―共同通信が昨年12月24日朝刊用で配信した特ダネだ。沖縄2紙をはじめ、地方紙には数多く載ったが、全国紙などは無視した。1月7日の日米安保協議委員会(2+2)でも、21日の岸田・バイデン・テレビ会談でも承認されたはずだが、ほとんど報道されていない。

 日米共同作戦計画は、米国との間では自衛隊が創設以来、次々作られてきた。しかし、「台湾有事」といい「南西諸島に臨時拠点」「40のサイト」となると、穏やかではない。テレビ会談では岸田首相は、米国の要求そのまま、「防衛力強化」を表明し、大統領は「防衛分野での投資を持続させる」と応じた。

 昨年来、中国についての体制批判をベースに、「台湾危機」「米中衝突」の戦争宣伝が進んでいる。街頭では、「衝突時にはどちらに付くのか」と論争を吹きかける勢力もある。

 ▼戦争の根拠がない米国・中国

 ことしは米中、日中ともに正常化50年。特に2月は、米中関係で、ニクソン米大統領が中国を訪問した月だ。ニクソン大統領は、前年、秘密裏に訪中したキッシンジャー国務長官のお膳立てで71年2月21日、北京を訪問、毛沢東主席、周恩来首相と会談して米中正常化の道を開いた。日本も9月に田中角栄首相が北京を訪問。共同声明を発表した。

 ここで重要なのは、以来50年、米国も日本も「台湾は中国の一部」と認め、領土保全の相互尊重、平等互恵,内政不干渉を原則に関係を築いてきたことだ。仮に中国が台湾を「武力統一」しても、それは「内政」問題で、日本も中国も、干渉できないのがルールだ。

 中東で「自衛権」を理由に介入を続けてきた米国も、バイデン大統領は昨年8月、「他国を立て直すための、大規模な軍事作戦の時代を終わらせる」と宣言してアフガンから撤退し、11月の米中会談でも「米国は中国の体制を変えるつもりはない」と明言した。

 中国が台湾を武力統一する危険も語られる。しかし、台湾で「統一支持」はわずか数%。「民意」に逆らって武力統一しても、国際的な非難を浴びるだけで、「果実」は得られない。まして中国も、「経済成⾧」を求める時代から、人々の生活の質的向上を目指す「共同富裕」を求める時代。習近平指導部が無理をして武力統一する必然性は全くない。

▼あくまで「戦争はしない」決意を

 こうした中で大切なのは、日本は「危機」を煽るのではなく、どんな場合も自衛隊は動かさない。「応戦」は認めないことを確認し、宣言していくべきだということだ。

 憲法9条は、戦争と武力による威嚇、武力の行使を放棄、非武装と交戦権の放棄を決めた。これは世界と日本との誓約でもある。

 中国とは数千年前からの関係を持つ日本なのに、日中戦争で日本は、非武装の住民に「殺し尽し、焼き尽し、奪い尽す」(三光作戦)という残虐な攻撃で全土に部隊を展開した。それからもう80年になる。中国は日中共同声明で戦争賠償の請求放棄を宣言。日本は賠償問題から「解放」された歴史もある。

「非戦」を宣言し「人権を訴える」―。いま、それが、中国に対する日本の歴史的責任ではないだろうか。

2022/01/23
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かんにん袋の緒が切れたぜ!
3月にとり組まれる
「大江戸東西南北いっせいアピール」
▼ マスコミ九条の会が「東海道五十三次いっせい行動」を考えたのは2018年の12月だった。最初の発想は京都三条大橋からお江戸日本橋に向けての「キャラバン行動」だったが、宣伝カーのリレーなどでかなりの費用と要員確保に難点があることからこの行動を諦めかけたが、「五十三次」というネーミングが捨て難く、五十三次関連地域の九条の会に「3月9日にいっせいにチラシ配りを軸に行動しませんか」と呼びかけた。反応はよかった。
 翌2019年正月から準備開始。宿の多い静岡は静岡革新懇の国労OBの方々が東海道沿線九条の会にキャラバンで呼びかけてくれた。
 チラシは「弥次喜多問答」。京都三条大橋では俳優さんが弥次喜多に扮して話題になった。地域の新聞は各地で報じてくれた。
 統一のチラシはマスコミ九条の会がつくり、横断幕はそれぞれが工夫してつくることにした。
 結果は、3月9日(土)48宿55か所で成功裡に終わった。

▼ 「いっせい行動でやったという実感で涙が出た」「しばらく眠っていた?いくつかの地域九条の会が目を覚ましました」「中山道でもやってみたい」「全国いっせい行動を提起したらどうか」という感想が寄せられた。
 この年は統一地方選と参議院選を控えていた年である。
 あれから3年。ことし7月は参院選だ。3年前とちがって市民と野党の共闘の努力は高まっている。

▼ そんなとき、東海道五十三次ならぬ「大江戸東西南北いっせいアピール」が九条の会東京連絡会から提起された。

今回のチラシは江戸の「八っつあん熊さん長屋問答」
八っつあん キシダってぇ人が首相になって最初の言葉は「皆さんの声を聞く」だったよなあ。

熊さん   モリ・カケ・サクラ問題に手を付けると思っていたが、案の定目をつぶってしまったぜ。

八っつあん それだけじゃねえ。アベ、スガでもできなかったあたらしい危険に踏み切ろうとしてるぜ。

熊さん   敵基地攻撃能力の検討を所信表明演説でしゃべった。自民党の総力を結集して、憲法改正を実現するってぇじゃねえか。

八っつあん そんなこと誰も望んじゃいねえよ。日経新聞の世論調査じゃあ「政府にとり組んでほしい政策」の1番は「年金・医療・介護」41.9%、2番は「コロナ対策」で38%、「憲法改正」は最下位の9%だ。

熊さん   中国・台湾問題や北朝鮮のことで緊張感を植え付けているぜ。これで怒らなきゃ江戸っ子の名が廃るぜ。

八っつあん ことしは沖縄の本土返還50年だ。平和な沖縄にするチャンスだが、その気はまるでねえ。

熊さん   オミクロン株の水際対策だってなってねえや。米軍の出入国はスルー。 沖縄の感染者は増える一方だ。

八っつあん 米軍への「思いやり予算」という呼び名を「同盟強靭化予算」という名 にしたって?

熊さん   呼び名をどう変えたって国民の税金に変わりはねぇ。

八っつあん 根本は「日米地位協定」だな。アメリカと対等に話す気はねえな。

熊さん   それどころか、沖縄振興費が削られたって?玉城知事への嫌がらせか!

八っつあん 福島第一原発のことだけどよう。トリチウム汚染水の海洋放出を東電が申請したってぇじゃねえか。

熊さん   何から何まで国民無視だぜ。

八っつあん 7月にある参議院選挙は大事だぜ。

熊さん   ニュートンの法則に「作用と反作用」ってぇのがある。作用(悪政)が強まれば反作用(抵抗する力)も強まるってやつだ。

八っつあん 長屋の連中といっしょに幟を立てて、チラシをもって飛び回ろうじゃねえか。

▼ そのスタート集会は3月15日(火)18時~ エデュカス東京(麹町)
講演・小森陽一さん(九条の会事務局長)

▼ この行動は、早くも神奈川に伝播しています。
 なんと「白浪五人男」をテーマにやるそうです。どんなことになるのですかね。

▼ 鎌倉でも と言う声も出そう。となるとチラシは「頼朝・政子問答」ですかね。

参院選前に おもしろくなりました。
<仲>
2022/01/16
問われる役所、役人の質
 新型コロナウイルスの感染再拡大が、失業などで生活困窮に陥っている人々をさらに脅かしている。首都東京では、昨年のおおみそかと元旦に、都が住居を失った人の一時宿泊支援の受付窓口を閉めたため、寒風のなか、路頭に迷う人がいた。新型ウイルス感染者の増大で医療体制もひっぱくし、他の病気を患った人が必要な治療が受けられないなど事態はさらに深刻化。公立病院が少ない日本では「治療費が払えないなら診察はできないと断られる」ため、病院に行くことを諦める人もいる。
 若い世代はどうか。「虐待から逃げた18歳。頼みの綱は生活保護です。どうか選択肢をください」。こんなタイトルの署名活動が、オンライン署名サイト「Change.org(チェンジ・ドット・オーグ)」で展開中だ。虐待から逃げようと家を出ても、大学生では生活保護を受けられず、進学を断念したり中途退学を迫られたりしている若者がいるという。
 報道によると、署名はNPO法人「虐待どっとネット」(大阪市)の代表理事、中村舞斗さん(32)が呼びかけ、昨年8月にスタート。「最後のセーフティーネット」といわれる生活保護制度を「穴だらけ」と指摘し、大学生でも必要な場合は受給を認めるよう訴えている。
 中村さん自身、幼いころから、親族らの暴力にさらされ、母からもネグレクト(育児放棄)を受けた経験がある。通信制の高校を経て、病院で看護助手として働きながら貯金して看護大学に入学。だが、虐待経験がフラッシュバックして体調を崩し、生活保護が受けられないかと役所を訪れると、冷たく突き放された。大学に通っていることが「ぜいたく」とみなされ、結局、中退した。
 憲法25条では「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利」を掲げ、生活保護はそれに裏打ちされた制度。だが、厚生労働省は、高校や夜間大学には生活保護を受けながら通えるが、昼間の大学で学ぶ人は原則、生活保護の対象外という、1963年の厚生省社会局長(当時)の通知を根拠に、「虐待被害者であっても認めない」というわけだ。
 「大学に行くのはぜいたくなのか」。こう政府を問いただす署名に共感する人々が徐々に増え、1月半ばで5万筆に迫っている。
 法律や規則は本来、市民の安全や命を守るためにある。前例や慣習に縛られ、実情を見ない、見ようともしない。この国の役所、役人の質が問われている。
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