2021/06/14
明らかな違憲! 重要土地調査規制法案

 16日までの国会会期を控え、米軍、自衛隊の基地、原発、など安全保障上重要だとする土地の周囲約1キロメートル、また国境離島を「注視区域」「特別注視区域」に指定し、区域内の土地・建物の所有や利用に関する調査、利用の制限や、「特別注視区域」内の不動産取引の事前届け出の義務付けなどを行う「重要土地調査規制法案」の審議が大詰めを迎えている。

 自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障した日本国憲法に違反する違憲立法だが、この基本的な権利を、国家が「安全保障」の名のもとに直接制限する法案。6月1日衆議院を通過し、参議院に回されたが、政府は規制対象にする地域や行為、調査内容や体制の詳細は明らかにされず、実際に何が調査されるのか、規制されるのかわからないまま、政府に白紙委任を求めるのだから、明確な憲法違反だ。

 調査のために、内閣総理大臣が自治体や国の行政機関に情報提供を要請すると、自治体などが、氏名、住所を「提供する」としているし、調査にもとづき、利用をやめるよう勧告、命令することができるし、特別注視区域内では、土地・建物の売買等の契約について、当事者は首相に、氏名、住所、売買物件の所在地・面積、利用目的などを、あらかじめ届け出ることを義務付けし、怠ると懲役刑など刑事罰まで科す、という。
 
 もともと右翼団体が、沖縄や対馬、北海道や離島の土地について、「韓国人や中国人が買っている」などと騒ぎ、問題にしたことで自民党が動いて始まったもので、どこにも法制化の必要はない。

 そればかりか、自衛隊の情報保全隊は、イラク派兵に反対する市民について監視していたことが、2007年、共産党によって暴露され、仙台高裁は16年にプライバシー権を侵害した違法行為と認め、国に賠償を命じた事件も起きている。いまこっそりやっている違法行為を合法化し、さらに締め付けようという意図も見え見えだ。

 戦前戦中、要塞(ようさい)地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられた。こんな国民監視法を認めるわけにはいかない。
2021/06/05
「ゆがめられた行政」責任は誰に
総務省への接待問題の調査結果を報じる各紙
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 東北新社やNTTによる総務省への接待問題で、情報通信担当部局の職員32人が、2015年~20年11月の間、延べ78件の国家公務員倫理規程に違反する接待を受けていたことが6月4日、同省の調査結果で分かった。新型コロナウイルス禍の下、菅内閣の信用失墜を加速させる出来事がまた一つ、増えた。
 総務省の調査は、情報通信担当部局の職員約170人を対象に実施された。約1500件の会食の申告があり、このうち企業側が全額負担するなどの倫理規程違反は78件に上った。接待側は、NTTグループ5社、「匿名」で発表した事業会社6社、東北新社の計12社。件数は、NTTドコモが最多の39件で、東北新社は19件。接待の1件あたりの最高額は井幡晃三・放送政策課長が受けた、飲食代と野球観戦チケット代を含めた約6万円だった。
 事の起こりは、放送事業者である東北新社が16年10月、BS4K放送の認定を総務省に申請。「外資規制違反はない」との報告を受けて同省が17年1月に認定したが、同社のその後の社内調査で違反が判明(同8月)した。同社の役員らと面会した井幡氏(当時は衛星・地域放送課長)は、認定を取り消せば4K推進に影響を及ぼしかねないことから、「子会社への事業継承を」との考えを示したといわれている。
 東北新社が総務省への接待を重ね、その中に、同社勤務の菅首相の長男が加わっていたことを週刊文春が2月に報道。翌3月にはNTT幹部による同省への接待問題を報じた。
 この問題では、第三者による検証委員会の報告書の内容も発表された。東北新社の外資規制違反について「総務省は認識した可能性が高いにもかかわらず、対応を行わなかった点で行政をゆがめたとの指摘は免れない」との見解をまとめた。けれども「行政をゆがめた」ことと、菅首相の長男の接待参加による「特別扱い」の可能性には一切、触れていない。首相への「忖度(そんたく)」なのか。肝心なことをあいまいにしたまま、事態を収めようとする意図が透けて見える。
 総務省の「ナンバー2」だった谷脇康彦・元総務審議官はすでに3月に辞職。谷脇氏は、菅首相が看板政策に掲げた携帯電話料金の引き下げを主導していた人物だ。
 小手先の人気取りのようなことをしている間に、ウイルス対策はもとより、生活危機に直面する市民の支援、保護は遅れに遅れた。東京五輪、パラリンピックについても同様。「命」を優先した判断をすべきだ。
2021/05/28
ごめんなさい、ずっと 嘘をついてきました。
 日本テレビ『NNNドキュメント』のディレクター・加藤就一が表題の本を出した。人気番組『アメリカ横断ウルトラクイズ』の総合演出で知られていたが、その後ドキュメント番組に移り、福島第一原発事故報道でJCJ賞(日本ジャーナリスト会議賞)などを受賞して別の顔を見せることになる。この本は「福島第一原発 ほか原発一同」が告発するという手法をとっている。
 帯の推薦コメントがいい。原発問題を話し始めると止まらなくなる漫才師のおしどりマコちゃんは 「壮大なコント? いえ現実の悲劇。とざい、とーざい!ここにおわすは原発の、嘘かマコトかこの懺悔!? 事実は小説より悲劇、知らずに生きるのは災難」と。
 アメリカ横断ウルトラクイズ13代クイズ王の長戸勇人さんは「知らなかったよー。ウルトラクイズ優勝の僕の肩書はいったい何だったんだろう。本当に世界は知らないコトにあふれてる!」と。

 5月28日付・日刊ゲンダイが「注目の人 直撃インタビュー」(聞き手=生田修平記者)で大きくとりあげています。中身の一部を(ちょっと手抜きですが)紹介しましょう。
―― 著書を読むと、政府があの手この手で原発関連の情報を長年コントロ―ルしてきているのがよくわかります。
 僕は鉄腕アトム世代です。超小型原子炉で100万馬力、などと原子力は素晴らしいと刷り込まれた国民でした。福島原発事故が発生し、調べ始めたら、今まで信じていたことが全部嘘だということが分かった。この嘘っぱちをきちんと伝えないといけないと思いました。
―― 安倍首相(当時)は東京五輪を招致した2013年のIOC(国際オリンピック委員会)総会の演説で、福島第1原発について、日本語では「港湾内の0.3平方キロの範囲内で完全にブロック」と表現する一方、英語では「アンダーコントロール」と使い分けました。
 『お笑い芸人VS原発事故』という番組を制作している時、演説の英語版を使おうとしたら、英語版はオンエアできないようになっていた。見比べてみたら、驚くことに肝心な部分がごっそり変えられていた。英語版では安倍首相は「私は完全に保証します。状況はアンダーコントロールです。これまでも、これからも(放射能は)どんなダメージも東京に与えません」とスピーチしているのです。
―― 菅首相は今年4月、「もうこれ以上は避けて通れない」として、放射性トリチウムを含んだ「汚染水」の海洋放出を決定。2023年にも開始されるとみられています。
 安易な決定です。トリチウムを取り除く技術があるのかないのかが吟味されていない。例えば、近畿大学で低コストで除去する技術を開発しています。また、120年経つと、トリチウムの濃度は1000分の1になるのですが、石油の備蓄タンクが12個あれば保管できる量です。原発施設の外側の地下にダムを造って、地下水を出さない方式もある。コストはそれほどかからない。海洋放出を回避する方法はいくらでもあるのです。
―― メディアが電力会社を批判できないから、原発政策が推し進められるのですね。
 政権とメディアの関係も同じ構図です。総務省が東北新社に勤める菅首相の長男と会食を繰り返していた問題がありました。あってはならない接待ですが、安倍政権時代にすごくはやったのが、テレビ各局の社長や報道局長と首相との会食です。総務省の接待問題と何ら構図は変わりない。メディアは本来、権力を監視しなければならない立場なのに、社長と報道局長が首相とニコニコ食事をして仲良くなる。ひと昔前だったら、首相から誘いを受けても、「お気持ちだけいただきます」と丁重に断るのが報道機関だった。それがなんとなくグジュグジュになってしまった。それではメディアは噛みつけませんよね。隠ぺい、改ざん、言い換え、ごまかしなど、情報を都合よくコントロールする政権が続き、政府にも電力会社にも切り込めないメディアという環境ですから、国民はなにも知らされないまま、原発推進が再び加速していくのです。根はとても深い。

 「ごめんなさい」は14個つづきます。
出版社:書肆侃侃房
定価:本体1600円+税
出版元「書肆侃侃房」の紹介ページ
一度お読みになることをお薦めします。

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