点描
2022/11/25
戦禍の演劇人、「移動演劇桜隊」題材に舞台
東京の俳優座で
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 戦争末期、滞在中の広島で被爆した「移動演劇桜隊」の人々を描いた舞台「獅子の舞う夢―戦禍に生きた演劇人たち」が、港区六本木の俳優座劇場で上演されている=写真。戦時下にあっても演劇に情熱を注いだ俳優、演出家らの過酷な運命に焦点を当てた群像劇だ。
 桜隊は、政府に強制的に解散させられた「新築地小劇団」の俳優だった丸山定夫さんら新劇の役者らが結成。演劇を続けるための苦渋の選択で、当初の名称は「苦楽座移動隊」だった。原爆投下の日は中国地方公演のため広島市に滞在しており、丸山さんを含む劇団員ら9人が犠牲になった。 
 広島出身のノンフィクション作家、堀川恵子さんの作品「戦禍に生きた演劇人たち」が原作。当時、桜隊の芝居の演出を手がけ、被爆を免れた演出家の故八田元夫さんらが創設した劇団東演が2019年に舞台化し、今回、再演に臨んだ。同劇団の制作担当、横川功さんは「表現の自由が奪われるなか、先達が体験してきた事実があって現在がある」と語る。27日まで。
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