2021/08/06
「移動演劇桜隊」が朗読劇に
広島で被爆した「移動演劇桜隊」の存在と原爆の惨禍を語り継ぐ朗読劇「ヒロシマ」が8月6日、桜隊の慰霊碑が建立される東京・目黒の五百羅漢寺で初披露された=写真。映画監督の新藤兼人さんの未映像化台本「ヒロシマ」を劇作家の丸仲恵三さん=本名・榎本明仁=が再構成した。
桜隊は、戦争末期の1945年に結成された移動劇団だ。メンバーは戦時体制の強化に伴い強制的に解散させられた「新築地劇団」の元俳優、丸山定夫ら新劇の役者が中心で、軍国主義の下、やむなく戦意高揚を図る演目などを上演しながら各地を巡った。8月6日は中国地方公演のため広島市に滞在していた丸山さんを含む9人が被爆し、命を落とした。
朗読劇は、若手の役者らが旗揚げした新生「桜隊」が上演。今回は俳優の常盤貴子さん、窪塚俊介さんも特別出演した。桜隊は、大林宣彦監督の「海辺の映画館―キネマの玉手箱」でも題材の一つになっており、その中で窪塚さんは丸山定夫を、常盤さんは看板女優の園井恵子を演じている。主催した「移動演劇桜隊平和祈念会」の事務局長で俳優の青田いずみさんは「若い世代に桜隊を追体験してもらうことで、桜隊の伝承と平和への思いが広がれば」と話していた。7日は東京の内幸町ホールで「ヒロシマ」が上演される。