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2021/08/14
医者にかかれない、ということ
 病気になって、医者にかかる、というのは、およそ人類が誕生してから、どの社会でも行われてきたことではなかったか。むかし支配者が巫女だったり、支配者の周辺には必ず医者がいた。近代になって、医療制度ができると、医者にかかって治療を受けられる人と受けられない人が次第に分化し、それではいけないと社会保障制度が生まれてきた。医療保険ができ、日本の「国民皆保険」は、「世界的にも高く評価」(厚生労働省HP)されるまでになった。
 日本の医療は、国民すべてが公的医療保険に加入することで、誰もが全国の医療機関で公的保険によって医療を受けられる(フリーアクセス)ことが、最大の意義だとされている。どんなに、大富豪でも一人暮らしの貧しい老人でも、皇族でも元華族でも、田舎の市民でも外国からの移住者でも、およそ人である限り、病気になったら同じ医療が受けられる、ということは、日本の「誇り」でもあったはずだ。

 「入院患者以外は原則自宅 政府、宿泊療養を限定」(毎日)、「『入院重症者ら限定』に転換」(読売)と報じられた、コロナ感染者への入院制限は、その後、若干修正されたにしても、実際に、逼迫した医療体制のなかで、病床もスタッフも足りず、適切な治療が受けられない状況は続いているようだ。
 何とかしなくてはいけない。五輪で使った選手村の施設や用意したホテルは、早速、臨時の療養場所に転用できるはずだし、中国のようにバラックの臨時診療所を建てても、そんなに時間はかからないはずだ。

 憲法13条は「人間の尊厳」をうたい、国には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」への「最大の尊重」を求めている。そして、25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とし「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定している。まさに、「健康な生活」のために、生かされ具体化されていかなければならない。

 ウィシュマさんの事件については,二人の妹たちの活動で,事態が明らかになりつつある。彼女も医者に診せてくれ、と頼んでも見せてはもらえなかった。ひどい話だが、問題は、こうしたことが当たり前に行われる状況であり、それを許している入管法だ。裁判もなく、刑事事件でもないのに、事実上,長期間「拘束」を認める法律は、憲法違反ではないのか?
 生活保護は「朝日訴訟」で基準が変わり、憲法25条の意義を明らかにした。裁判でなければ変わらない、とすれば、政治の怠慢である。「憲法に基づく政治」に立ち戻って、直ちにやるべきことを一つでも二つでも進めていくことではないか。
 ことは「いのち」の問題である。
2021/08/07
「命」を大事にしない首相
 東京オリンピック開催中の日本で、新型コロナウイルス(COVID-19)の国内感染者が累計で100万人を超えた。8月6日に確認された新規感染者数は1万5645人。一日当たりの過去最多となり、救急の受け入れ停止や手術の延期など通常医療への影響は必至だ。7月中旬から感染力の強い変異株が猛威を振るっているにもかかわらず、五輪実施を強行した日本政府の責任は重い。
 感染拡大に伴い、重傷者も急増している。厚生労働省によると、重傷者の数は1020人(6日午前0時現在)で、その10日前の2倍になった。また、受け入れ先の医療機関が決まらないなど、800人以上が入院調整中の状態になっている。ワクチン接種も後れを取り、感染の歯止めに追いつかない。
 「毎日、PCR検査を行っている」という選手村はどうか。五輪選手や大会関係者で陽性が判明したのは380人余。根拠もなく「安全」を連呼した国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は、この事態を「見て見ぬふり」するに違いない。
 現実を直視しないのは、菅義偉首相も同じだ。日本の「メダルラッシュ」を「東京五輪成功」に結びつけ、次の総選挙のプラス材料にする。そんなことをいまだに考えているとしたら、首相失格と言わざるを得ない。人々の命に関わる。次に続くパラリンピックの中止を一刻も早く決断すべきだ。
  ◇        ◇
 「感染100万人突破」のニュースが列島を駆け巡った8月6日、広島は原爆1945年8月6日投下から76回目の「原爆の日」を迎えた。この日、平和記念式典に参列した菅首相は、今年1月に発効した核兵器禁止条約に一言も触れないどころか、同条約に「批准しない」ことを、その後の記者会見で表明した。
 「命」を大事にしない首相に、この国のかじ取りを任せるわけにはいかない。
  ◇        ◇
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 就任直後、政治部記者を集めて、ふわふわのパンケーキをほおばった。そんなこの国の首相を題材にした“政治バラエティ映画”が今夏、公開された。
 タイトルは「パンケーキを毒見する」。自民党の国会議員をはじめ元官僚、ジャーナリストらが、それぞれの立場から菅さんについて語り、その実像と現政権の実態に迫る。証言の合間には、5本の風刺アニメーション(短編)をはさみ込んでいる。
 公開にちなみ、同作のエグゼクティブプロデューサー、河村光庸さん=写真右=と、監督した内山雅人さん=同左=が東京の日本外国特派員協会で会見した。河村さんは「菅政権の発足とほぼ同時にこの映画をつくろうと決めていた」と言い、「分かりやすい政治ドキュメンタリーを」と内山監督にオーダーしたという。「とりわけ若い世代に見てもらいたい。そして選挙に行ってほしい」と河村さんは強調する。
2021/07/31
いまからでも遅くはありません 酷暑五輪 いますぐ中止を!
今回も「怒りの話題」三題

【その1】愛読紙の一つ「日刊ゲンダイ」7月31日付けの大見出しと小見出し

〇かき消される専門家の警鐘

 あの尾身会長でさえ、「最大の危機」と答弁しているが、首相は「心配ない」と言い、国会からもトンずらし、大メディアもコロナは片隅扱い。
 すべてに五輪が優先し、メダル至上主義に拍車がかかる五輪ファシズムの先に何があるのか。

〇感染爆発よりも メダル報道が席巻のオドロキ。

 国内の新型コロナウイルス感染者は31日、1万2341人が新たに確認された。1日当たりの感染者が1万人を超えたのは3日連続で、4日続けて過去最多を更新した。死者は9人。重症者数は667人で、前日から41人増えました。東京都では4058人の感染が確認され、1日当たりの新規感染者は初めて4000人を超えました。
 厚労省関係者も語っています。「感染の広がりと症状の深刻さは、数字以上です。ワクチン接種によって“重症者は少ない”という報道がありますが、まったく違います。都の重症者は773人と過去最多の567人(1月27日)をはるかに上回っている。しかも、ここには重症者を少なく見せるカラクリがあります。厚労省は5月、コロナ診療の手引きを改定し、鼻から管で大量の酸素を送り込み、人工呼吸器並みの対応ができる“ネーザルハイフロー療法”を中等患者向けとして明記した。第3波では重症者として扱われた患者が、現在、中等症として扱われている。実質的な重症者は相当数いるはずです。重症化すると苦しいのはもちろん、後遺症も出やすい。感染者が増えると、重症者も増える。専門家が警鐘を鳴らすのは当然です」。
 金子勝・立正大学名誉教授は「日本人選手のメダルラッシュとなり、これだけメディアが煽れば“やっぱり五輪やってよかった”という国民が増えるでしょう。まさに、それが菅首相の狙いでもあります。五輪が終了したら、菅首相と小池知事、さらに大手メディアは、“五輪は成功した”と大々的に喧伝してくるはずです。本当は“この五輪に大義はあったのか”“どうして次々に不祥事が起きたのか”“あの開会式でよかったのか”と、問題点を分析すべきですが、政府と大手メディアは“無事に終わってよかった”という空気をつくっていくはずです。でも、それは民主主義を否定するのも同然です。東京五輪は、開会の直前まで国民の4割、都民の5割が”反対“していたのに、開催が強行された。五輪終了後は、コロナ禍の東京で五輪をやるべきだったのか、責任は誰にあるのか、きちんと議論すべきです」と語っています。
思い出したことばがある
「ジャーナリズムとは(権力者が)報じられたくないことを報じることだ。それ以外のものは広報に過ぎない」
(イギリスの作家でありジャーナリストのジョージ・オーウェル)

【その2】「桜を見る会」前夜祭 不起訴は不当

 安倍晋三前首相の後援会が「桜を見る会」前夜祭で地元有権者の飲食代を一部負担した公選法違反(寄付の禁止)などの事件で、安倍氏が不起訴となっていたことについて、東京第1検察審査会が「不起訴不当」と議決したことが3 0日、分かりました。議決は15日付。安倍氏についての捜査が再び始まることになります。議決書は「首相だったものが、秘書がやったことだと言って関知しないという姿勢は国民感情として納得できない。きちんと説明責任を果たすべきだ」と付言しています。
 東京新聞・社説「(略)“桜を見る会”問題の核心は、本来なら招かれないはずの支援者たちを特別に招いた“権力の私物化”にある。その当事者である安倍氏自身は、不正の存在を本当に知らなかったのだろうか。
 “政治家はもとより総理大臣であった者が、秘書がやったことだと言って関知しないという姿勢は国民感情として納得できない““議決書にある一文は、多くの国民が突きつける怒りでもある“」と。
 しんぶん赤旗によれば、検察に審査を申し立てた市民団体が30日記者会見、世話人の弁護士らは「議決は申し立てを正確に受け止め、最大限の判断をした」と評価したとしています。泉澤章弁護士は「議決をきちんと受け止めるのであれば安倍氏は議員辞職しかない。間もなく総選挙があるが、有権者としてもしっかり受け止めたい」と語っています。
 そうです。目線の先は 総選挙です。

【その3】財務相の決裁文書改ざん事件
 検察の動向に注目!

 忘れてはならないもう一つの大事件が「財務相の決裁文書の改ざん」です。
 国がようやく開示した「赤木ファイル」は518頁。財務省本省の理財局と出先機関の近畿財務局の職員の間でやりとりされたおよそ40通のメールや改ざんする部分に印をつけた元の決裁文書などが時系列で整理されているといいます。
 赤木さんが『備忘録』と書かれた最初のページ。
 『現場の問題意識として、決裁済の文書の修正は行なうべきでないと本省に強く抗議した。
 本省理財局が全責任を負うとの説明があったが納得できない。
 佐川宣寿理財局長からの指示の詳細が説明されず不明確なまま、その都度、本省からメールが投げ込まれてくるのが実態だ。
   本件の備忘として修正作業の過程を記録しておく』
   注目し続けましょう!
▼Facebookにこんなことが紹介されていました
改ざん文書を官僚が国会に提出した場合の最高刑
アメリカ  終身刑
イギリス  死刑
ロシア   強制労働30年
中国    銃殺
北朝鮮   公開処刑
韓国    大統領を訴追
安倍様の日本は・・昇進 「やっぱり美しい国だわ(怒)」
(TN)
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