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2021/07/29
五輪の中、急速な感染拡大
 多くの反対を押し切って、東京五輪という大イベントが始まった。ただ「安心・安全な大会」というだけで理念も示せず、杜撰な運営が目立つ「異形の祭典」。その一方で、新型コロナウイルス感染症の新規感染者が急拡大。東京の新規感染者は7月27日には2848人、28日は3177人と2日連続で過去最多を記録した。
 多くの問題点を指摘しながら、「中止」を主張しきれなかったメディアは、開幕以後、連日、新型コロナウイルスの感染状況の数字こそ報じているが、世界の中心を維持しようと「中国包囲網」結成に動き出した米国の政策も、秋の総選挙を前提に、野党共闘を崩そうと躍起な自民党や支配勢力の思惑も、そっちのけで「五輪報道」に突っ走っている。

 「妹に負けるな、と取ったお兄ちゃんも金、阿部一二三・詩兄妹」「12歳違いの幼なじみ水谷隼・伊東美誠コンビが中国を破った、卓球の混合ダブルス」「2つめは落ち着いて泳げた、大橋悠依の2冠」―どれも、人々の心をつかみ、和ませるエピソード。上野由岐子から後藤希友へ、内村航平から橋本大輝へ、若いヒーロー・ヒロインの登場は、自然な形で世代交代も進んでいる。
 しかし、彼らにも気の毒だが、手放しで喜べないのが、この環境だ。

 オリンピック開催には、さまざまな反対論があった。国会の党首討論で「なぜ五輪を開催するのか」と聞かれ、結局、答えられなかった菅義偉首相が強気に、開催に突っ走ったのは、「いまは世論が反対しても、オリンピックが始まってしまえば、人々は日本選手の活躍に熱狂し、問題など忘れてしまう」との「読み」があったからだ、といわれている。―その通りになってしまった、ではすまされない。
 隣国とのお付き合いより、米中印豪による「アジア版NATO」を画策し、国務長官をインドに派遣したバイデン政権にただ追随し「中国包囲網」も口走る。一方で「分断より統一を」と、停戦協定ができた日に、改めて南北をつなぐ直通連絡線を全面復元した朝鮮の南北政権に、なぜ、「全面的に賛成だ。協力する」くらい言えないのか。
 「世界情勢より金メダルの獲得者が先」、菅首相の思惑通りにになってしまったメディアの編集・編成はこれでいいのか。

 結局のところ、国民とメディアを踊らせて、3兆円を超える税金を使って、金儲けする人たちに奉仕する権力者、支配者たち…。庶民はただ外出を控え、「夏ごもり」して「異形の花火」を見上げる。ウイルスと同じように、世界を見つめ、したたかに生きる。何が正しく何が間違っているか、秋の選挙で決着をつけるための採点簿を―。
2021/07/17
COVID-19は災害 女性医師らが五輪中止を訴え
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会見した(左から)前田佳子さん、青木正美さん、松尾亜紀子さん
7月12日、東京都千代田区の日本外国特派員協会で
 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のリバウンド(感染再拡大)が続くなか、東京オリンピック・パラリンピックが開かれようとしている。東京で4回目の緊急事態宣言が発出された7月12日、女性医師らが、東京の日本外国特派員協会で会見し、改めて「五輪中止」を訴えた。
 日本女医会の前会長(現監事)の前田佳子さん、同会理事の青木正美さん、性暴力に抗議する「フラワーデモ」の呼びかけ人の一人で出版社「エトセトラブックス」代表の松尾亜紀子さんが会見した。
「NO OLYMPICS 」の文字入りの真っ赤なTシャツを着た前田さん。医師全体のうち女性は約2割だが、保健師、看護師、准看護師に占める女性の割合は9割余におよび、「コロナ禍の下、最前線で影響を受けている多くは女性。五輪開催ありきで突き進んできた日本政府による人災だ」と強調した。
 ワクチンの接種率が低い日本で、五輪が開催されると、どうなるか。国境を越えて人々が往来する過程で、外国生まれの変異株が国内に流入する可能性が高まる。さらに、新たな変異株が日本で発生し、それに感染した選手、関係者らが自国に持ち帰る危険性がある。防災活動にも取り組む青木さんは、今回のパンデミック(世界的大流行)を「災害」と、とらえる。「私たちがしなければいけないのは、お互いできるだけ離れてパンデミックを終息させることだ」と言い、「五輪は、この大災害のさなかに最もやってはいけない人類のタブーです」
 一方、松尾さんは、ウイルス禍により女性が在宅を強いられる状況が生じ、DV(ドメスティックバイオレンス)や望まない妊娠などの相談件数が増加していることを報告。これ以上の感染拡大は、「女性たちの命と生活を危険にさらす」と指摘した。
 五輪開催を1週間後に控えた16日、東京都は、都内で新たに1271人の感染者が確認されたと発表した。神奈川、千葉なども増加傾向にあり、ワクチン未接種の高齢者の重症化が危惧されている。
 この非常時に、五輪開催を強行しようとする国際オリンピック委員会(IOC)とそれに同調する日本政府。前田さんは「私たちは五輪中止の声を上げ続ける」と言葉に力を込めた。
2021/07/13
五輪中止を決断することこそ 最良のコロナ対策だ!
4回目の緊急事態宣言が発令された。
飛び込んでくる様々な言葉、様々な報道を、思いつくままに

▼バッハ「無観客とは理解に苦しむ」
庶民 「開催自体理解できない」(Facebookから)

▼関口宏さん(TBS系)『サンデーモーニング』で「あの戦争(アジア太平洋戦争)を見てると、どうにかなるどうにかなるよっていう雰囲気でどんどんどんどん進んでいって、あの惨事(戦争被害)になったというのが私の印象なんですよね。今回(五輪)も似てるのかな。なんかちょっとそんな気がします」

▼7月9日、河北新報「東京電力は8日、福島第1原発5,6号機側の放射性廃棄物の一時保管エリアの排水溝で、7日夜に放射能濃度が急上昇したと発表した。近くで天板のずれた汚染土壌入りの金属容器2個が見つかり、容器内から雨水があふれ出ていたことが判明。付近には構内を西から東に横切る川が流れており、既に汚れた水が海に流出した可能性がある」と。確認していないが、
テレビニュースは朝1回の報道でおわったようだ。
 各地で起きている大雨被害にまぎれて、これ幸いと汚染水を流したのではないか! そんな思いはぼく一人ではあるまい。
 「アンダーコントロール」で招致した東京五輪。「復興五輪」という言葉はどこにいった!

▼7月10日のTBS系『報道特集』の特集タイトルは「7300億円から3兆円強の五輪」
金平キャスターは言っていた。「西村担当大臣の金融機関を使って飲食店を締めつけようとした発想は、まるで香港政府が会社資産を抑えてリンゴ日報を潰したあの手口とそっくりです。全国の飲食業者のみなさんは、こういうことをしようとした事をきちんと記憶に留めておくべきだと思います」
あらためて問おう 誰のための 何のための五輪!?

▼ことし6月にローマ史上初の女性市長に選出されたビルジュニア・ラッジさん(38)の英断にローマ市民は拍手喝采しているという。
英断とは――イタリアは2024年の五輪招致を目指してきたが6月21日、五輪招致反対の立場を鮮明にしたことだ。「五輪開催には税金が使われ、(会場建設などで)市民や国民の借金を増やすことになる」というのが理由である。ローマは近く正式に立候補をとり下げる見通しだという。

 五輪をめぐる状況は変わりはじめている。
 「五輪は時代遅れ」「この際、五輪廃止」の地鳴りがしてきそうだ。
(T.N)

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