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2021/03/28
聖火ランナー スタートしたが・・・
東京五輪の聖火ランナーが3月25日、福島県の「Jヴィレッジ」からスタートした。7月23日の開会式までの121日間をかけ、1万人のランナーで47の都道府県を回る。この稿が目に触れる頃、ランナーは走り続けているだろうか。2番目の栃木県や3番目の群馬県など、この先1ヶ月間に聖火リレーが行われる15府県のうち、実に8割で新型コロナ感染者が増えている。4月21日~22日に実施予定の愛媛県は3月25日、1日あたりの感染者が過去最多(59人)を更新している。リバウンド必至の中でのスタートだったといっていい。
肝心かなめの選手のみなさんはどうなのだろうか。スポーツジャーナリストの谷口源太郎さんは「世界の感染者と死者数を見れば、安全・安心な大会を開催するのは100%無理です。変異株もありコロナ禍の深刻さはこれからまだ増す。世界中でいまだ3割の予選が実施されないでいます。予選のないまま、選手を派遣できなくなる国・地域も出てくるでしょう。そうなると五輪の意義が根本から問われることになります」(日刊ゲンダイ)という。菅総理、それでも五輪強行ですか!
ぼくの住む大船は松竹撮影所のあったところ。松竹といえば『男はつらいよ』。寅さんがいたらどんな啖呵売(たんかばい)になるだろう。きっと叫ぶだろう「けっこう毛だらけ猫灰だらけ。スガの周りはウソだらけ」。
2021/03/21
コロナと五輪
20日夜、五輪、パラリンピックの海外客受け入れ断念が決まった。IOC、IPC(国際パラリンピック委員会)、日本の組織委員会、政府、東京都の5者会議での決定。これで関係者は、25日に聖火リレーが始まり、関係者は大会ムードを高めるのに躍起だ。2度目のコロナ緊急事態宣言が21日で解除されるのに併せて、「官邸サイドはためらっていたが、最終的に組織委の判断を受け入れた」(同、東京)という。要するに、「中止封じ最優先」(21日、毎日)の決定である。
朝日が新聞通信調査会が昨年12月から今年1月にかけて米仏中韓タイの5カ国で、各国1000人に聞いた「対日メディア世論調査」を掲載している。コロナ感染症が収束しない中での五輪開催について、「中止すべきだ」「延期すべきだ」の合計は、タイ95・6%、韓国94・7%、中国82・1%、米国74・4%、フランス70・6%、平均すると、83・4%だった。同調査会が昨年11月に聞いた日本国内の意見(3064人)は、「中止・延期」は71・9%。
「自粛」を要請しながら、終わるとGoToキャンペーンに走り、感染が止まらない状況に、医療団体が揃って「これでは医療が崩壊する」と悲鳴をあげたのを受けて再度の「宣言」、そして「延長」。しかし、「必ずしも効果は上がっていない」として「解除した中で引き締めを」と、21日解除。
既にさまざまな「変異ウイルス」が広がり、日本での変異さえ伝えられているのに、ここでも、「検査・調査の拡大」「ワクチンの自主開発」「ベッド増、スタッフ増」など必要な「対策」は見えていない。
「収入を確保したいIOC,菅義偉政権浮揚の切り札にしたい政府と言った思惑が透けて見え、組織委幹部の放言も重なって世論は冷え切っている」(21日朝日、稲垣康介編集委員)状況の中で。この「決断」でいいのだろうか。
(了)
2021/03/13
原発災害から10年。福島の人々から学ぶ。
追悼のキャンドルのカップには、それぞれの思いが描かれていた
福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で(2021/03/11)
東日本大震災、東京電力福島第1原発事故から10年。発生の日の3月11日は各地で追悼行事が行われ、犠牲になった人々への鎮魂の祈りがささげられた。行方不明者の捜索は現在も続いている。福島県双葉町の東日本大震災・原子力災害伝承館で(2021/03/11)
午後2時46分。原発事故対策の拠点だった福島県の「Jヴィレッジ」(楢葉、広野町)では、グラウンドに親子連れや若者らが集まり、1分間の黙とうをささげた。同所での復興追悼イベントを企画した一般社団法人「ラブフォーニッポン」(東京)代表理事でアーティストのキャンドルジュンさん(47)は、「自分には被災した人の気持ちは分かりません。分からないこそ、福島に来ます。今日だけでも楽しかった、平和な日だった、と感じる日をみんなでつくり、それを365日に増やしていきたい」と呼びかけた。キャンドルジュンさんは、月命日の11日は福島の人々と過ごし、鎮魂の祈りを込めてろうそくに明かりを灯す「キャンドルナイト」の活動を続けている。
双葉町にある東日本大震災・原子力災害伝承館でも、追悼の行事があった。伝承館は、原発事故の教訓を後世に伝える目的で、大津波に襲われた地に建てられた。だが、来館者らからは「原発は絶対安全と言ってきた方々の反省の弁がない」など、批判の声もあがっている。
原発事故では、6基ある原子炉のうち3基に炉心溶融が起き、世界最悪のレベルの大事故となった。伝承館には事故の経過を説明する展示や動画はあっても、それまでの災害対策の不備を検証する内容はほとんどない。ちょうど翌12日夜、映画「Fukushima50」(若松節朗監督)がテレビで放映され、映画を見ると電源喪失で原子炉の冷却機能が失われ、発電所内が停電し、計器類が機能不全に陥った様子がリアルに再現されていた。そうした大惨事に至った原因をきちんと提示し、原子力を「明るい未来のエネルギー」「二酸化炭素を排出しないクリーンなエネルギー」と豪語してきた国の過ちをただすことが、伝承館の役割の一つではないのか。
双葉町の犠牲者は、関連死を含めて175人。震災時は7140人が住んでいた。全域に避難指示が出され、役場の機能も一時、埼玉県加須市(旧騎西高校)に移転。いまなお全住民が避難生活を強いられる。しかも、双葉町と隣接の大熊町には、県内の「除染土」の中間貯蔵施設が設けられている。全国各地から集められた作業員が、放射性物質を含んだ表土を薄くはぎ取ったものが除染土だ。環境省によると、中間貯蔵施設への搬入は7割ほど進んだが、「県外での最終処分(期限は2045年)への理解は全国的に低い」という。
東電の原子力発電所(福島の第1、第2、新潟の柏崎刈羽)でつくられた電気を大量消費してきたのは東京の人間だ。その事実を意識すれば、少なくとも都民にとって原発事故は「他人事」ではない。
福島の人々から学ぶ。これからでも遅くはない。
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