点描
2023/11/19
仏映画「私はモーリーン・カーニー」
東京・渋谷の
「Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下」
で上映中
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主人公のモーリーン・カーニーを演じるイザベル・ユペールさん
©2022 le Bureau Films-Heimatfilm GmbH+CO KG-France2 Cinèma
 フランスの原子力企業アレバ社(現オラノ)が電力会社と組んで、中国とのハイリスクな技術移転契約を秘密裏に進めていた。この問題を内部告発した労働組合長の女性が2012年、自宅で性暴力の被害に遭う事件が起きた。
 女性の名は、モーリーン・カーニー。捜査当局は「架空の犯罪」を疑って自白を迫り、心身の苦痛からモーリーンは、「自作自演だ」と認めてしまう。直後に撤回をしたものの、裁判で有罪に。公権力とも闘う決意をしたモーリーンを、雑誌の女性記者やフランス民主労働組合連盟(CFDT)のメンバーらが支え、ついに裁判で「被害者である事実」を勝ち取る――。
 企業スキャンダルを背景にしたこの実話を基にした仏映画「私はモーリーン・カーニー 正義を殺すのは誰?」(ジャン・ポール・サロメ監督)が、東京・渋谷の「Bunkamura ル・シネマ渋谷宮下」で上映中だ。
 公開記念トークイベントが今月7日、同映画館で開かれ、映画監督の岨手由貴子さんが登壇した。岨手さんは「正しいと思う行動を女性が取ろうとしたとき、それがいかに困難な社会であるかを感じた」と言う。また、撮影時の問題にも触れ、「性暴力などセンシティブなシーンを撮るときは、被害者役の俳優らの安全をきちんと確保することが大切」と話していた。
(M・M)
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