点描
2023/08/26
井上ひさしさん作「闇に咲く花」
8月30日まで、東京で上演
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「闇に咲く花」の1場面(宮川舞子さん撮影)
 敗戦後の混乱時の庶民の姿を描いた、井上ひさしさん作の戯曲「闇に咲く花」が、「紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA」(東京都渋谷区千駄ケ谷5)で上演中だ。
 舞台は東京・神田。夫を亡くした5人の女性の協力を得ながらお面工場を経営する神社の神主のもとに、戦死したと思われていた一人息子が帰還した。記憶を失ったまま捕虜収容所で過ごしていたという。かつて野球部で活躍した伝説のエース。野球によって記憶を取り戻した息子が、再び記憶障害に陥った。C級戦犯の容疑をかけられて激しいショックを受けたのだ――。
 井上さんの「昭和庶民伝」3部作の第2弾。未来に引き継がれるべき記憶と日本の戦争責任に視点を置いた。初演(1987年)から引き続き演出を手がけた栗山民也さんは「日本の戦後という不確定の時代を問うこの物語は、私たちの現在につながれている」という。問い合わせは、こまつ座(03・3862・5941)。
2023/08/19
関東大震災時の犠牲者を追悼
「アイゴー展」横浜で
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自身の作品の前に立つ高慶日さん。参加アーティストの一人として犠牲者への哀悼の思いを込めたという。
 1923年の関東大震災時に虐殺された朝鮮人や中国人らを追悼する作品展「関東大震災、100年ぶりの慟哭(どうこく)アイゴー展」が横浜市の横浜市民ギャラリーあざみ野(同市青葉区)で開催中だ。
 韓国の風刺画家で日本に留学経験のある高慶日(コ・ギョンイル)さん(54)が企画した。韓国、日本、在日コリアンのアーティスト、作家ら約40人が参加し、絵画や写真、オブジェなどが展示されている。
 現在、韓国の祥明大学の教授を務める高さんは、学生たちを連れて来日した際、在日コリアンらに向けられたヘイトスピーチの様子を目の当たりし、「関東大震災の時の虐殺の問題が現代も続いている」と日本人から聞いたという。「表現者としてこの問題にアプローチしよう」と今回の企画を練った。高さんは「民族差別やヘイトの問題はどこでも起こりうる。どうすればそうした溝が埋まり、互いに分かり合えるのかをアートを通して感じてもらえれば」という。8月20日まで。9月には韓国でも開催する予定。
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