点描
2023/04/16
再審開始確定 袴田巌さん
ドキュメンタリー2作品
東京・ポレポレ東中野で再上映
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 「再審開始が決まり、この57年の苦労が吹っ飛んだ気持ちです」――。
 強盗殺人事件で死刑が確定した後、東京高裁による再審開始が確実になった袴田巌さん(87)の姿を描く映画「袴田巌 夢の間の世の中」(2016年)と、「獄友」(18年)の再上映が4月16日、東京のポレポレ東中野で始まった。初日のトークイベントに登壇した袴田さんの姉、秀子さん(90)=写真=は感無量な面持ちでこう語り、「完全に無罪になれば、巌も安心してくれる」と弟の胸中をおもんぱかった。
 袴田さんは、1966年6月、静岡市(旧静岡県清水市)で一家4人を殺害したなどとみなされ、強盗殺人罪で死刑が確定した。秀子さんは、57年前の逮捕から、一貫して無実を訴え、弁護団とともに闘ってきた。静岡地裁の再審開始と死刑の執行停止決定(14年)で釈放。少しずつ周囲に心を開き、穏やかな表情を見せるようになった袴田さんだが、いまなお死刑の恐怖などによる拘禁反応があるという。
 再上映は、いずれも在日韓国人の金聖雄(キム・ソンウン)監督(59)の作品。「夢の間の世の中」は、秀子さんに支えられる袴田さんの日常をとらえ、「獄友」は、長い獄中生活を経て釈放された、袴田さんを含む5人の男性の交流に視点を置いた。金監督は「巌さんの命、魂が生きる方向に向かっている」と話していた。再上映は28日まで。
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