「大軍拡反対、憲法改悪を止めよう！」と、「九条の会」の全国交流集会が５月28日、東京都千代田区の日本教育会館で開かれた。呼びかけ人の一人で３月、この世を去った作家、大江健三郎さんの志を受けつごうと、全国から約300人が参加した。
　９条を守るため、地域・分野ごとに結成された会の近況や活動報告の後、世話人らが登壇した。法学者の浅倉むつ子さん＝早稲田大名誉教授＝は「大江さんはケアの思想を大切に育ててきた方だった。他者に対する温かみのある深い思想が憲法９条を全世界に広げていこうという意思につながった」と故人をしのんだ。ドイツ語翻訳家の池田香代子さんは「大江さんが伝えた沖縄の心、広島の心、９条に対する思いを私たちは背負っていきましょう」と呼びかけた＝写真。
　九条の会は、評論家の加藤周一さん、大江さん、憲法学者の奥平康弘さん、劇作家の井上ひさしさん、作家の澤地久枝さんら９人が呼びかけ人となって2004年６月に誕生した。事務局長を務める国文学者の小森陽一さん＝東京大名誉教授＝は、大江さんの遺志を胸に「私たちの運動を進めて行きたい」と話していた。