2021/05/03
これでいいのか、75回目の憲法記念風景風景
酒もダメ、ネオンもダメ、憲法学者もダメ、…自粛警察とオリパラ特攻作戦
これでいいのか、75回目の憲法記念日の風景
<丸山 重威>
 1947年5月3日、「国民主権」「非戦非武装」「基本的人権の尊重」の日本国憲法が施行されてから、丸74年を迎えたことしの5月3日、コロナ渦の中で迎えた2回目の憲法記念日だ。この間、私たちはすべての「戦争」には協力しないという誓いを守ることはできなかったが、憲法9条をひとつのタテに、とにかく、戦争の当事者になることは防いできた。
 しかし、米国の世界戦略に盲従し、かつての中央集権国家の幻想を夢見る安倍内閣のもとで、集団的自衛権の容認や、自衛隊の海外派遣が始まる中で、秘密保護法の成立、共謀罪の新設、安保法制=戦争法の成立と続いた国内体制のファッショ的再編は、新型コロナウイルス感染症を口実にした、自由な社会の管理、統制強化に走りつつある。

 大きな問題ではないように見える、いくつかの出来事…。憲法の基本的人権、思想、信条、行動の自由や、営業の自由に関わる問題だ。こんな日本で良いわけがない。ちょっと考え、おかしくないか? 75回目の憲法記念日に考えたい。 

・なぜ、「酒はダメ」なのか

 3回目の非常事態宣言で、飲食店については、昼間も酒の提供ができなくなった。酒を提供する飲食店も、時間短縮だけでなく、昼間の酒の供給もできない。第3波か、第4波か、感染がまた増えてきたとき、店を閉め出された客が街路で酒盛りをしたりしたことが報じられた。閉店後の飲酒客が店を困らせていることの報道もあった。
 しかし、それが感染クラスターを引き起こしたという実例も伝えられてはいないし、仮にあったとしてもそれは「酒」が問題なのではない。かつて米国で、「飲酒のせいで健康被害や治安悪化・暴力事件が増えている」という清教徒的運動から禁酒法が生まれたが、密造や買いだめで稼いだギャングが大きくなっただけだった、といわれた100年前の経験もある。何の証拠もなく、禁止する発想は一体どこから来るのだろうか。

・消灯要請、ネオン消灯にどんな意味があるのか

 何の根拠もないのは、「夜の街のネオンは消していただきたい」という小池知事の「灯火管制」まがいの要請である。屋外のネオン看板、イルミネーション、点本照明など午後八時以降、防犯上必要なものをのぞいて落とすように、と呼び掛けた。「夜道が暗くなって、帰宅する女性が危なくなるだけ」という声も消され、実際に街が暗くなった。
 消灯要請で連想させられるのは、戦時中の灯火管制。家では電灯に黒い幕を掛けて、外に光が漏れないようにした。巡回してきた隣組の役員の目が怖かった、とも伝えられている。だが、この苦心の空襲防止策も、レーダーで攻撃目標を決めた米軍機には何の意味もなかったことがわかっている。結局、人々を国家に従わせ、国民に互いを監視させることに意味があった、と評価される。東京新聞によれば、今回も都の担当、都市整備局開発企画課の課長は、「科学的データはない」とあっさり認めたという。

・憲法学者はなぜ、講演者にふさわしくないのか

 4月30日付東京新聞は、神奈川県鎌倉市が市と実行委員会による2018年の「憲法記念日のつどい」で、講師に推薦された憲法学者の東京都立大教授(当時、首都大学東京教授)・木村草太氏が「憲法9条にも言及する懸念があり、行政の中立性を損なう」との趣旨で拒否された、と大きく報じた。
 18年の集会というから3年前のことで、ちょうど安倍首相が17年5月の憲法記念日に「9条に自衛隊を明記する改正をしたい」と提起したあと。何とそれまでは市と市民による実行委員会の共催だったのが、企画、運営は実行委員会にやらせ、主催は市に、と変更した中でのこと。カネを抑えて、講師の人選や内容に注文を付ける。市民の側は、全部なくされるより、妥協してでも集会を開きたい、とあきらめ、結果として国や行政に批判的な講師は排除される。
 学術会議問題で分かってきたのは、政府に批判的な言動があった人物はどんな業績がある学者でも排除される、といういまの日本の「学問の自由」の実態だった。自治体でも同様、憲法記念日だけでなく、他の自治体でも同様の問題が起きている。東京・調布市の夏の「平和の集い」では、「原発の問題に触れないこと」と条件が付けられ、実行委員会の市民は市当局にあぶらをしぼられた。

・寄席はどうして閉鎖を強要されるのか

 緊急事態宣言後も客数を減らして興業を続けてきた、東京都内の4つの寄席(鈴本演芸場、新宿末廣亭、浅草演芸ホール、池袋演芸場)が1日から休業に入った。ところが、この休業、何と「無観客開催」を求める都の休業要請に抗しきれなかった「スガ圧力」のためだ、と3日付(発行は1日)の「日刊ゲンダイ」が報じている。
 超党派の落語議員連盟の小泉進次郎氏に相談しても「いまは逆らわないほうが良い」との判断だったそうで、官邸が文化庁に説得を求め、助成金を受けている落語協会、落語芸術協会に圧力がかかって決まった、という。
 NHKの朝ドラ「おちょやん」では、戦時にも笑いを絶やさなかった芸人たちの苦難が描かれたが、どうしてそこまで…? と考えると、結局、統制、管理を徹底したいという、根拠はないまま、空気を作ってしまう政府・官邸の政治手法だ。

・「自粛警察」と「オリパラ特攻隊」、強まる管理・統制

 この1年数か月の間、国民の頭を支配してきたのは「自粛警察」と、オリンピックとパラリンピック。補償のカネは入らないのに、回ってきた「自粛警察」の怖さ。そして、何があっても突き進む、インバール作戦さながらの「オリンピック・パラリンピック特攻作戦」の無謀さ。「オリ・パラ特攻」にはバッハIOC会長も乗って「日本人の不屈の精神はこれを乗り越えて大会を成功させるだろう」などと無責任なことをいっている。
 日本国憲法の素晴らしさは、世界の平和、人類の幸福を求めて、国際的な視野を持ち、戦争違法化の歴史に乗った展望で書かれていることだ。
 憲法記念日、それを改めて思い返し、すべて身近な問題も憲法問題に引きつけ考えてみよう。それが、いま改めて問われている。
2021/03/18
東北新社問題 スガ総理長男の影響は?
仲築間卓蔵
仲築間卓蔵
そもそも東北新社問題とは・・・東北新社の外資規制違反問題。
 放送法=外資による支配を防ぐ目的で基幹放送事業者の外資比率を20%に制限。
 しかし、東北新社は2017年1月、当時外資比率が20.75%だったにもかかわらずBSチャンネル「ザ・シネマ」4Kの認定を受けていた。
 その背景に東北新社と監督官庁である総務省とのズブズブの関係が明らかになったが、東北新社は「総務省に相談した」といい、総務省側は「そんな覚えはない」と。

●スガ総理の長男正剛氏とは
2006年~7年 スガ総務大臣時代に大臣秘書官
2008年    東北新社に入社
2014年    第2編成企画部長に昇進

●放送法違反に関しての中島信也社長の国会証言
「担当者と確認したが(当社の)木田由紀夫氏が総務省の鈴木信也総務課長に面談したのは事実だと報告を受けました」

●立憲民主党の後藤祐一衆議院議員の予算委員会での質問
「それでは鈴木、当時情報流通行政局総務課長で今は電波部長に伺います」

●これに対して鈴木氏の長々とした答弁
「当時、情報流通行政局総務課長へ移動した直後でございまして、多くの方々がご挨拶にこられていたので木田氏も来られていたかもしれませんが、外資規制法違反のような重要な話を聞いていたら覚えているはずでありまして、このような報告を受けたという記憶は全くございません。ただ、ご挨拶には当時いろいろな方が来られまして、4年前でございますので誰がそのときご挨拶に来られたか、事細かに記憶がございません。会ったか合わないかの記録も残っておりませんし、記憶にございません」

●東北新社による総務省接待
2016年7月~2020年12月 総務省幹部ら13人接待。計39回。
                 そのうち21件に正剛氏が同席。

●テレビ朝日の『ワイドスクランブル』によれば、利害関係者との「1万円」を超える飲食の件数(2017年~19年度)
                     経済産業省 296件
                     農林水産省 254件
                     厚生労働省  93件
                     国土交通省  84件
                     総務省     1件
他省庁からは「届け出ができないのは接待が多いからではないのか」との声もあるといいます。

●東北新社の事業認定と接待の関係は
2016年7月        ―――――⇒ 2017年1月
 吉田真人総務審議官(当時官房審議官)らと  「ザ・シネマ」4Kの認定
 6回会食
 ――――――――――――――――――――――――――――――――
2018年5月        ―――――⇒ 2018年5月
 山田真貴子氏(当時総務審議官)らと     「囲碁将棋チャンネル」の
 33回会食                  CS放送業務継続認定
               ―――――⇒ 2020年12月

「スターチャンネル」のBS放送業務認定更新
総務省の有識者会議は、衛星放送協会が要望する衛星料金の負担軽減の報告書案をまとめる。

●Dr.ナイフさんのツイート
 籠池氏「総理から100万円もらった」
 アベ 「渡してない」
 アベ 「前夜祭の明細書ない」
 ホテル「ある」
 東北新社 「総務省職員に報告した」
 総務省役人「聞いてない」

政治を変えるしかありませんねえ。(仲)
2021/02/01
特措法であらゆる業種に警察介入  法律家団体が緊急声明
丸山 重威

 本格的な対応策をしないままに過ごした1年間を経て、「やっている感」を強調するため出てきたのが、統制を強化する感染症法とコロナ特措法の改正案。野党の反対で、さすがに刑事罰はなくなったが、行政罰に「過料」は残り、野党の一部も賛成に回る情勢だ。
 こんなことでいいのだろうか? 社会文化法律センター、自由法曹団、青法協、国法協、反核法協、日民協の法律家6団体は、1日、「特措法等改正案の罰則規定の削除を求める法律家団体の緊急声明」を発表した。6団体声明は次のような項目をあげ、「修正では今回の改正案のもつ本質的な問題は解決しておらず、罰則規定を設けることには強く反対する」と述べている。(全文は「仲間から」に掲載)
 声明が問題にしているのは、①患者に罰則を科すことは、感染症法の理念に反し、必要性も存在せず、感染症対策に弊害があるなど行政罰でも許されない②事業者に罰則を科すことは、憲法の営業の自由、財産権保障に反し金額の多寡にかかわらず許されない③行政権力の市民生活の広範で過度の介入と乱用の危険がある―など。
 特に注目されるのは、この市民社会への「介入」についての指摘だ。
 つまり、罰則の対象になる事業者の範囲は、学校、社会福祉施設、興行場、その他政令で決められた場所で、極めて広範囲であることが指摘されている。飲食店、喫茶店、飲食設備を持って営業している施設、劇場、観覧場、映画館、演芸場、集会場、公会堂、展示場、百貨店、マーケット、ホテル、旅館、体育館、水泳場、ボーリング場、その他の遊戯施設、博物館、美術館、図書館、キャバレー、ナイトクラブ、サンスホール、理髪店、質屋、貸衣装屋、自動車教習所、学習塾…。都道府県知事はこれらの場所の立ち入り検査ができ、警察に必要な措置を講じさせることができる。
 声明は昨年7月9日、当時の菅義偉官房長官はテレビで「風営法で立ち入り検査ができる。そういうことを思い切ってやっていく必要がある」と述べており、実際に7月16日には、菅官房長官のほか、西村康稔経済再生担当(コロナ対策担当)大臣、小池百合子東京都知事が立ち入りをし、行政指導までさせたことを指摘している。
 求められるのは政治の「冷静さ」だ。
2021/01/27
建造物侵入にはなりません…    ―あるマンションでのビラ配り、最高裁で確定
丸山 重威

 2018年11月、東京・三鷹で、地域の政治団体が、市内のマンションに市政報告のニュースを配ったところ、「郵便受けがあるエントランス・ホールへの立ち入りは住居侵入罪。自分の郵便受けへの投函で精神的苦痛を受けた」と、住民の男性一人が団体を訴えた裁判で、最高裁は、ビラ配りを認めた武蔵野簡裁、東京地裁の判決を支持。男性の上告を棄却した。集合住宅が増えたことで、市民運動のビラ、チラシ配布が問題になり、居住者との間でトラブルになったり、建造物(住居)侵入罪として警察が介入したりするケースが増え、運動を萎縮させている。それだけに、運動に勇気を与え、示唆を与える判決だ。

▼エントランスの集合郵便受け
 事件になったのは、三鷹市の3階建てマンション。18年11月、東京都選管の届け出政治団体、「野村羊子といっしょにつくる三鷹の会」のメンバーが、無施錠のガラス扉で仕切られたマンションの玄関部分に入り、そこの集合郵便受に、市議の活動報告を記載したチラシを入れた。無施錠のガラス扉には、「関係者以外立入禁止」の札が貼られ、訴えた男性の郵便受けには「チラシを入れた企業の製品等は絶対に購入しません! チラシを入れた政党・候補者には絶対に投票しません!」などのステッカーが貼られていた。
 男性は19年1月、「鍵は掛けてなくとも、玄関部分への立ち入りは不法侵入。投函拒否の意思に反する投函行為は加害の意図は明白だ」と、この「会」に10万円の損害賠償を請求、武蔵野簡裁に訴えた。
裁判になって、武蔵野簡裁は同年7月、東京地裁は20年2月、男性の訴えを棄却。東京高裁も20年9月に「上告棄却」の判決をしたが、原告の男性はさらに最高裁に特別上告。最高裁は、今年1月22日、この特別上告を棄却。一審以来の棄却判決が確定した。

▼「正当」な投函行動 
 こういうビラ配りはいけないのか? 市民にとっては重大な問題である。最高裁が支持した昨年2月の東京地裁判決は、次のように、その理由を述べ、「本件チラシの投函行為は不法行為を構成しない」と結論づけている。紹介、確認しておこう。
 ①会員はガラス扉を越えて平穏にエントランスホールに入ったのであり物理的障害を突破したわけではない。
 ②チラシの内容も市議の活動報告であり、目的自体、正当である。
 ③投函行為は男性と管理組合の意思に反する行為だが、だからといって直ちに違法だとはいえない。
 ④違法になるかどうかは、その行為の態様が、社会通念上一般に許容される受忍限度を超える侵害をもたらすものであるか否か、によって判断すべきだ。
 ⑤本件の投函行為は物理的な強制力を用いたものでなく、立ち入った区域も住民が居住する区域ではなく玄関部分のみである。
 ⑥配布されたチラシは一見して議員の報告文書であることがわかり、紙1枚で、詳細を確認せずに廃棄することも容易だった。
 ⑦従って、投函で一般的に受ける不利益の程度も、社会的に受忍しうる限度を超えるものではない、と認定するのが相当だ。
⑧男性は建造物侵入罪を構成すると主張するが、建造物侵入罪を認めた最高裁の判例の事案とは、建造物への立ち入りの態様が異なる。

▼「公共の広場での表現の自由」を
 憲法第21条は、「集会、結社及び言論、出版その他一切の表現の自由は、これを保障する」と規定し、「表現の自由」を保障した。明治憲法は「法律の範囲内」でしか表現のジオ有を認めていなかったが、日本国憲法は「一切の表現の自由」を認めている。
 民主主義はさまざまな個性を持った個人の自由な発言を認め、思想、信条の発表を認め、これを基本にした政治・社会制度だ。だから、自分の意思を外部に向かって表現する行為は、最大限、保障されなければならない。
 しかし、現実の日本では、建物にしてもその敷地にしても、「管理権」を盾に、そこでの言論・表現を認めない、とする制約が強かった。街頭のビラ配布が道交法で取り締まられたり、建物へのビラ貼りや立て看板も、建造物損壊罪や、美観などを理由にした軽犯罪法や屋外広告物条例などで規制された。特に、集合住宅へのビラ配布は、立川反戦ビラ事件、葛飾の政党ビラ配布などで、建物への立ち入りが問題にされ、争われてきた。
 しかし一方で、長年の運動の積み重ねが、ひとつひとつ制約を乗り越え、表現の自由の場を広げてきた。ビラ配布もポスター掲示も、あるいは街頭演説も、街頭パフォーマンスがいま、かなり自由にできるのも、運動の積み重ねの結果だ。それだけに、今回、「お断り、と書いてあっても、エントランスの郵便受けへの平穏な投函は正当な行為で、不法行為ではない」としたこの判決は重要だ。
 米国では「パブリック・フォーラムにおける表現の自由」が広く認められている。「パブリック・フォーラム」とは、「公共の広場」などと言われる考え方で、公衆、つまり一般市民が、自由に出入りできる道路、街頭、公園、広場、集会場、ショッピングセンターの広場などを「表現の場所」として認める考え方だ。現在の日本でも、大型商業施設が街の中心になったり、自治体の役所がそこに入ったりする例も少なくなく、そう考えるべき場所は増えてきている。

 住民運動で現実にビラを配るとき、このマンションはどうしよう、と考える。マンションも、そこに住む人も様々だし、エントランスもいろいろだが、どう考えられるか…?
 いま、現実は、中に住む人の協力を得るのが多いのだろうが、閉鎖された住居にこもる人たちにビラをどう届けるか、を考えるとき、この判決が持つ意味は決して小さくないだろう。
(了)
2021/01/08
コロナと学徒出陣
熊澤 通夫

 28の医科系大学を通して厚生労働省は、看護師資格を持つ大学院の教師と院生にコロナ治療する医療機関で働くことを求めた。学徒出陣を思い出した。

 「国の大事に殉ずるは我ら学徒の本望ぞ」(学徒出陣の歌)である。
 僕にとって先輩である諸兄はこうして戦陣に散ったが、報いられたのは彼らを消耗品として扱った将軍・高級将校と同じ“靖国の花”とされたのと僅かな軍人恩給で、青春を散らせた国家による賠償あるいは補償はなかった。
 
 なぜ厚生労働省は市中にいる「潜在的看護師」にエクスセレントワーカーらしい給与と労働条件を提示し、現場への復帰を求めないのか。それは現場で苦闘している医療関係者の待遇を改善し、勇気もあたえるだろう。
 国家は国民に一方的犠牲を供出させる義務はなく、国民には対価を要求する権利がある。とくに今、将来の医療を担う人々の善意に頼って、「死地」になりかねない場に赴かせるのは犯罪である。

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