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2020/06/04
日本国憲法施行73年  新型コロナウイルス感染問題で、集会はオンラインに    緊急事態条項の明記は「不要不急の火事場泥棒」と批判の声

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1枚目 総がかり行動実行委員会の3人の共同代表。(左から)高田健さん、小田川義和さん、藤本泰成さん
2枚目 憲法学者の稲正樹さん


明珍美紀
明珍美紀
 日本の平和憲法の施行から73年を迎えた5月3日の憲法記念日は、新型コロナウイルスの感染拡大という非常事態のなかで、ネットを中心にした活動が各地で繰り広げられた。一方、安倍首相は、改憲派の集会へのメッセージで、「緊急事態条項」の憲法書き込みを主張。「緊急事態条項」を争点しようと躍起。「火事場泥棒」との批判も集まった。

▼コロナ渦にも人権守れ
 国会議事堂前で行われた「平和と命と人権を!5・3憲法集会2020」は、「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」「安倍改憲NO!全国市民アクション」などが主催。今年は、国会前で学者やジャーナリストらによるスピーチが行われ、その様子がネットで中継された。
 「九条の会」世話人で早稲田大学名誉教授の浅倉むつ子さんは「緊急事態においては、最も弱い立場にいる人々が安全に生きられることが優先課題」と首相に反論。憲法学者で元国際基督教大学教授の稲正樹さんは「コロナ危機の最中に緊急事態条項を憲法に入れろというのは不要不急の火事場泥棒だ」と語気を強めた。
 新型コロナウイルスの感染の拡大で、国家が第一にするべきことは市民の命を守ることだ。ところが、医療現場は切迫し、PCR検査を希望しても受けられない人がいる。憲法13条(幸福追求権)について言及した稲さんは「私たちは平和的に生きていく権利を持っている。生命の保護を為政者に要求する権利がある」。緊急事態宣言による外出や営業などの「自粛要請」については、25条(生存権)と27条(勤労権)を挙げ、「自粛と補償はセットであることを、声を大にして言わなければいけない」と訴えた。

▼「緊急事態条項を」と安倍メッセージ
 改憲を目指す民間団体のオンライン集会では、自民党総裁の立場で安倍首相が送ったビデオメッセージが流された。「そもそも現行憲法には緊急時に対応する規定は参議院の緊急集会しか存在していない」「緊急事態に国家や国民がどのような役割を果たし、国難を乗り越えていくべきか。そのことを憲法にどう位置づけるかについては極めて重く、大切な課題」などと主張した。
 露骨な「コロナ便乗改憲策動」が目立っている。

▼各地でネット集会
「憲法守ろう」と訴えるネット集会は、大阪、京都のほか、広島でも開かれた。
 広島市の、楾(はんどう)大樹弁護士は、テレビ会議システム「ズーム」を使った講演を実施。緊急事態条項について「自民党の改憲案には乱用を防ぐ仕組みは書かれていない」と権力の乱用を危惧した。
 国会議事堂前からのオンライン集会のライブ視聴者は約3000人だったが、主催団体の一つ、総がかり行動実行委の共同代表、藤本泰成さん(64)は「普段は集会に来ない人にも聞いてもらえたと思う」と言い、新しい形で市民がつながることを期待していた。
2020/06/04
問題は「黒川人事」でも「記者との癒着」でもない…
 900万を超す「#検察庁法改正に抗議します」のツイッターが、「自粛」の日本中を揺るがせ、法案の今国会成立を断念させたが、折も折、問題の黒川弘務東京高検検事長と、産経新聞の2記者、朝日新聞の元記者の賭け麻雀が「週刊文春」に書かれ、黒川氏辞任という事態になった。安倍首相の官邸は、検察庁人事もコントロールしようと、黒川検事長を法律に違反して定年延長。さらにこれを法律で決めようと改正案を上程した。しかし、「伏兵」になったのが、900万超のツイッター。そこに「賭け麻雀」が飛び出した。
 賭博罪に当たる事件を検事長が起こしていたという不祥事は,相手が記者だったことで、「黒川氏が癒着していたのは政権でなくメディア」「信用できないマスコミ」との疑念を呼んだ。これ幸い、強行採決を狙っていた政権は、ここで急遽、黒川を切って問題をそらし、延命を図ったのではなかったか。

▼内閣支持率27%
安倍首相の約7年半の政治は、日本を「戦争する国」に作り替えようとする「特定秘密保護法」、「戦争法」、「共謀罪法」などの憲法破壊の法律を次々と強行採決で成立させ、同時に行政の仕組みを壊して、自衛隊日報隠し、文書改竄、統計作り替えなどの不正行為を行った。そしてさらに、森友学園問題、加計学園問題に代表される行政私物化。国会で追及されても、官僚文書を丸読みするだけで、ごまかしとすり替えに終始し、一片の誠実さもない答弁を繰り返し、民主主義のルールを壊し続けてきた。
 ことし、新型コロナウイルス感染症の問題が始まっても、何とかごまかしてオリンピックを開こうと、問題を矮小化し、PCR検査を制限して「感染隠し」を続け、結果的に大感染を招くこととなった。さらに、これを機会に「懸案」を処理しようと考えた「火事場泥棒」政策の1つがこの検察人事問題。その失敗で、さすがに世論も動き、23日の毎日新聞の世論調査では、4月4日の調査では44%、前回の6日の調査では40%だった政党支持率は27%まで急落した。

▼記者と検察
 ジャーナリストは、事実に肉薄するため,ときには法を犯しても,ニュースソースに接近し、情報を求める。しかし、検察の取材は、情報統制が徹底していて、現在、役職者にしか接触できないルールを検察側かが設け、メディア側はこれを崩せていない。
 この結果、検察情報は、独自で取った情報は、当局に当てて確認するのが精一杯で、事実上、検察リークの情報が紙面、ニュースを飾っている。その「壁」は、若い頃からの付き合いを長く続けて、家族や仲間同然の付き合いにならないと、破れない。勢い熱心な記者は、遊びも便宜供与(車の手配)も、続け、深めていくことになる。
 問題になった産経の担当記者も、記者職から離れた職務になった朝日の社員も、こうした中での黒川氏との付き合いを続けていたのだろう。「密」の麻雀とか、「賭け」との犯罪性など、一般社会の理解は簡単には得られないだろう。しかし、「熱心な記者」が陥る落とし穴。問題は「記者」として、そこで得た情報を、国民のためにどう書いてきたか、どう書いているかだが、こんな形で明らかになると、ソースとしても終わりになる。

▼これからの焦点
 これからの焦点は、検察がその誇りを守るためにも、いまの政治に切り込む捜査をするかどうか。河井克行、案里両議員の疑惑、「桜を見る会」の疑惑、検察がこれらにどう肉薄するか。問われているのはそのことである。
2020/06/04
#検察庁法改正案に抗議します
明珍美紀
明珍美紀
 一人の女性のインターネットへの投稿が、大きなうねりを巻き起こした。日本中に広がった批判の声を受け、安倍晋三首相は5月18日、検察庁法改正案の今国会での成立を見送る方針を自民党に伝えた。ただし、今回の「断念」は単なる問題の先送り。「民主主義を壊すな」と人々は抗議の声を上げ続けている。

■権力の私物化を許さない
 東京・永田町では19日、国会議員会館前で抗議行動があり、約600人が集まった。「許すな!憲法改悪・市民連絡会」事務局次長で司会役の菱山南帆子さんが「権力の私物化を許さない」「継続審議ではなく廃案の実現を」と呼びかけて集会がスタート。労組、宗教者、市民団体の代表らが、「民主主義の蹂躙(じゅうりん)」「世論の力があれば暴走をストップできる」「これからも声を出し合いましょう」などと訴えた。

■芸能人らに拡散
 黒川弘務・東京高検検事長の定年延長が閣議決定されたのは1月31日。黒川氏に「検事総長への道」が開かれた形で、国家公務員法の延長規定の適用がその根拠だった。だが、過去の政府答弁と矛盾しており、そのことを追及された安倍首相は2月13日、「法解釈を変えた」と答弁。その1カ月後、検察庁法改正案が国会に提出された。
 流れが変わったのは、衆院内閣委員会で審議が始まった5月8日だ。東京の女性会社員(35)が「#」(ハッシュタグ)をつけて最初に「声」(検察庁法改正案に抗議します)をあげたのを機に、ツイッター上で投稿が急増。10日朝に俳優の井浦新さんが投稿すると、リツイートは約2万件に。その後も、小泉今日子さんら芸能人や音楽家らの投稿が相次ぎ、政府が無視できないほどのムーブメントが起きた。

■正念場は秋
 新型コロナウイルスへの対応で政府は迷走しているのに「不要不急の法改正」はどんどん進んでいく。「そんな政府の思うままになったら」--。最初に投稿した女性の危機感から連帯の輪が生まれ、「政治介入を許さない」という検察0Bの意見書にもつながった。
 首相は秋の臨時国会に再びこの法案を持ち出すとみられている。国会議員会館前での抗議集会で、主催者を代表してマイクを握った市民運動家の高田健さんは「秋の臨時国会に出してきても許さない。その決意をみんなで確認しよう」と語った。


(ジャーナリスト・明珍美紀)
2020/05/30
トピックス      2020/05/31版
<丸山重威>

▼給付金に電通介在
 中小企業などに最大200万円を給付するとしながら、給付遅れが続く政府の持続化給付金で、実際の給付作業が一般社団法人「サービスデザイン推進協議会」に業務委託され、その作業が電通に再委託され、769億円の委託費用の97%、749億円が電通に渡っていた。5/28東京新聞によると、費用は申請一件当たり4~5万円になる。同協議会は、電通、パソナや、「トランスコスモス」(ITサービス業)が2016年5月設立した。

▼米国がWHO脱退へ
 トランプ米大統領は29日、「中国に支配されている」とした世界保健機関(WHO)からの脱退と、「一国二制度」を前提とした香港への優遇措置の見直しを発表した。欧州連合(EU)は30日、新型コロナウイルスに対応する国際協力の効果を損なうとして「米国に判断を再考するよう強く求める」との声明を発表した。

▼都知事選に、宇都宮、小池氏
 6月18日告示、7月5日投開票の東京都知事選に、25日、元日本弁護士連合会会長の宇都宮健児氏(73)がツイッターで、27日、記者会見で出馬を表明した。共産党の志位和夫委員長は28日の記者会見で、宇都宮氏について「政治的な基本姿勢、基本政策は共有できる。歓迎する」と述べ、野党共闘で戦う態勢を作るために努力したい」と述べた。 小池百合子知事(67)も再選を目指して立候補する意向で、27日開会の都議会定例会最終日の6月10日にも表明する方向。

▼感染者追跡ソフト稼働
 大阪府は31日、QRコードを活用して注意喚起のメールを登録者に送信する大阪府独自の「大阪コロナ追跡システム」の運用を開始、が始まっている。導入するかどうかは事業者の判断だが、飲食店を除く施設を対象に開始、6月1日からは全対象施設で運用する。 不特定多数の人が集まる施設やイベントを対象に導入を呼び掛け、感染者が発生した場合には接触の可能性がある利用者やイベント参加者に、府がメールで注意喚起する。メールアドレスは府が管理し、登録から2カ月後に消去する。府スマートシティ戦略部によると、同日午後6時の時点で、3247事業者・イベントが登録しているという。 
2020/05/30
「桜を見る会」私物化問題、法律家660人が安倍首相らを刑事告発  公選法、政治資金規正法違反
 「桜を見る会」をめぐる問題で、弁護士や学者ら約660人が連帯し、安倍晋三首相ら3人を刑事告発した。
 「『桜を見る会』を追及する法律家の会」(事務局長・小野寺義象弁護士)が、公職選挙法などの違反容疑で首相と後援会幹部の計3人の告発状を5月21日、東京地検に提出した。
 「桜を見る会」の前夜祭と位置づける、ホテルでの夕食会(2018年4月20日)で、一人5000円の会費では足りない分を首相側が負担したという公選法違反(有権者への寄付)と、政治資金収支報告書に、夕食会の収支(約800人分の参加費計約400万円)を記載しなかった政治資金規正法違反を対象にしている。

 法律家の会によるオンラインでの会見が5月21日あり、米倉洋子弁護士らが議会制民主主義と法治主義が危機にさらされる現状を説明した。元最高裁判事の濱田邦夫弁護士は「自分の当選を図るために法や規則を無視することは許されることではない。刑事告発は我が国の政治家があるべき姿になることを願って行われた」と話した。

 同会は昨年暮れ以来、宮城(小野寺義象弁護士)、長野(毛利正道弁護士)、東京(澤藤統一郎弁護士)、大阪(阪口徳雄弁護士)ら各地の弁護士、法律家が立ち上がって、今年2月に結成された。弁護士のほか、上脇博之神戸学院大教授ら学者が名を連ねている。

▼告発状要旨 
 東京地方検察庁検事正 曽木徹也殿 被告発人 安倍晋三(衆議院議員・内閣総理大臣)、配川博之(安倍晋三後援会代表者)、阿立豊彦(安倍晋三後援会会計責任者)
 第1 告発の趣旨
 第2 告発の事実
 1 被告発人安倍、被告発人配川及び阿立は、共謀の上、政治資金規正法第12条1項により、山口県選挙管理委員会を経由して総務大臣に提出すべき後援会の収支報告書につき、2019年5月下旬頃、山口県下関市の安倍晋三後援会事務所において、真実は、2018年4月20日、ホテルニューオータニ東京において開催された宴会である「安倍晋三後援会桜を見る会 前夜祭」(以下、「前夜祭」又は「本件宴会」という)の参加費として、参加者1人あたり5000円の参加費に参加者数約800名を乗じた推計約400万円の収入があり、かつ、上記前夜祭の前後に、ホテルニューオータニ東京に対し、少なくとも上記推計約400万円の本件宴会代金を支出したにもかかわらず、後援会の2018年分の収支報告書に、上記前夜祭に関する収入及び支出を記載せず、これを2019年5月27日、山口県選挙管理委員会に提出し、
 2 安倍及び配川は、共謀の上、法定の除外事由がないのに、2018年4月20日、ホテルニューオータニ東京において開催された前夜祭において、後援会を介し、安倍の選挙区内にある後援会員約800名に対し、飲食費の1人あたり単価が少なくとも1万1000円程度であるところ、1人あたり5000円の参加費のみを徴収し、もって1人あたり少なくとも6000円相当の酒食を無償で提供して寄附をしたものである。
 第3 告発に至る経緯 (略)
 第4 告発事実1(政治資金規正法違反)について (略)
 第5 告発事実2(公職選挙法違反)について (略)
 第6 被告発人安倍に共謀共同正犯が成立することについて (略)
 第7 最後に
 前夜祭に関する収支の不記載は、政治資金の収支を公開することによって政治活動の公明と公正を確保し、もって民主政治の健全な発達に寄与することを目的とする政治資金規正法の趣旨に真っ向から反するものであり、極めて悪質である。
 後援会による違法な寄附は、選挙が選挙人の自由に表明する意思によって公正かつ適正に行われることを確保し、もって民主攻冶の健全な発達を期することを目的とする公職選挙法の趣旨に真っ向から反するものであり、極めて悪質である。
 内閣総理大臣たる被告発人がこのような犯罪を犯していることは、民主政治の根幹を揺るがす事態であり、これを放置することは許されないことである。
(了)

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