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2023/10/15
アルプス処理汚染水の海洋投棄、直ちに中止を!
アルプス処理汚染水の海洋投棄を直ちに中止してください

渡辺眞知子(東京1区市民連合 共同代表)
 
 8月24日政府、東電は、2015年福島県漁連に文書で伝えた「関係者の理解なしに(汚染水の)いかなる処分も行わない」の約束を反故にし、国内外の反対を押し切って、アルプス処理汚染水の海洋投棄を開始した。「アルプス処理汚染水」とは、燃料デブリの冷却水、原子炉建屋・タービン建屋内に流入した地下水・雨水を、ALPS(多核種除去設備)で処理したものである。

 2011年の事故当時、膨大な放射性物質が放出されてしまったが、今回の意図的な海洋投棄は、(陸にある毒性物質、有害物質の放出を禁止した)「国連海洋法条約」第194条第3項に反し、「清潔、健康的でかつ持続可能な環境へのアクセスは普遍的な人権」と宣言した国連決議(2022年7月)に反する行為である。


 2020年10月、原子力市民委員会は、政府が福島第一原発のALPS処理汚染水の海洋放出を近く決定するという報道を受け、「政府は福島第一原発ALPS処理汚染水を海洋放出してはならない。汚染水は陸上で長期にわたる責任ある管理・処分を行うべきである」との声明を発表した。この声明は次のように結ばれている。
 「原子力市民委員会は設立当初から、事故炉を100年以上隔離し放射能の減衰を待つことが、現実的かつ合理的な『後始末』の最善策であると主張してきた。政府・東京電力が直ちに取り組むべきことは、汚染水の海洋放出ではなく、廃炉ロードマップの根本的な見直しである。」

 2021年4月、菅政権は当時最も安価であった処理水の海洋投棄を決定した。この決定に、原子力市民委員会による「大型タンク貯留案」・「モルタル固化処分案」、福島大学の研究グループによる「広域遮水壁」建設案は、何ら考慮されることはなかった。
 2023年4月、世界平和アピール七人委員会は「汚染水の海洋放出を強行してはならない」 を発表した。このアピールは「生じる問題について危険性が否定できなければ、安全のための措置を最優先に講ずる」という安全性優先原則(予防原則)を基にしている。
 同委員会は、この原則にてらして「トリチウムの危険性は否定できないのだから、安易に環境に放出してはならない。科学的・社会的・国際的にさまざまな問題点がある汚染水の海洋への放出計画を強行してはならない。」と述べている。
 
 ポイントは、事故炉のむき出しの核燃料に触れた処理汚染水は、通常炉から排出される温排水とは全く異なり、トリチウム以外の放射性核種が基準を越えて存在する。放出される放射性物質の総量も、放出の期間も明らかではない。たとえ希釈したとしても、海中生物、漁業への影響は否定できない。原発周辺では小児白血病が高率で発症しているという疫学調査結果を考慮するまでもなく、放射性物質は、厳重保管が原則である。

 政府は、「IAEAが海洋放出を妥当な方策と認めた」というが、IAEA包括報告書は、海洋投棄決定を前提に、政府・東電が提出した資料に基づいて海洋放出決定を追認したものに過ぎない。

 マーシャル諸島共和国政府は、「より安全な代替処理計画を日本に検討するよう求める」との決議を採択し、「処理水放出は海洋資源に依存している太平洋諸島の人々の命と生活を脅かす。太平洋を核廃棄物のごみ捨て場にこれ以上するべきではない」と訴えた。
 9月6日、福島の漁民・住民ら151人は、ALPS 処理汚染水放出差止を求め、福島地裁に提訴している。
 政府・東電は「2051年までに処理水放出も含めて廃炉を完了させる」と言うが、通常炉の廃炉でも、炉心に核燃料が無い状態から始めて30~40年かかるとされており、日本原子力学会・廃炉検討委員長の宮野廣氏は、「福島第一原発の2051年廃炉はあり得ない」と述べている。


 政府・東電は、廃炉工程表を根本的に見直し、環境を汚染し生命に重大な影響を与えかねない海洋投棄を直ちに中止し、別の汚染水対策に踏み出すべきである。
 その際留意すべきは、福島第一原発では、ALPS処理汚染水以外に、複数の経路から大量の放射性物質が日々漏出している 、という重大な事実である。

 これまで政府・東電は、ALPS処理汚染水の放出以外、放射性物質が放出されていないかのような説明を繰り返してきた。が、トリチウム以外の放射性物質については、実は漏出している放射性物質の方が、ALPS処理汚染水より圧倒的に多く、セシウム137の漏出量は、ALPS処理汚染水に含まれる量の1,750~2,400倍にものぼっている。

 加害企業である東電、原発回帰を公言する岸田政権に汚染水対策を任せることには、大きなリスクがある。福島第一原発をめぐる様々な施策については、民主的・透明性を確保した第三者機関の設置が急務である。
(了)

(注) 1, 原子力市民委員会「声明:政府は福島第一原発ALPS処理汚染水を海洋放出してはならない。汚染水は陸上で長期にわたる責任ある管理・処分を行うべきである」
2, 世界アピール7人委員会「汚染水の海洋放出を強行してはならない」

 原子力資料情報室の推計によれば、福島第一原発から専用港に漏出している放射性物質は、セシウム137で70億~96億ベクレル/月、全β(ベータ線を放出する放射性物質)では2,500億ベクレル~2,900億ベクレル/月、トリチウムが430億ベクレル~530億ベクレル/月に上っている。計画されているALPS処理汚染水の放射性物質放出予定量は、セシウム137で400万ベクレル/月、全βでは28億ベクレル/月、トリチウムは1.8兆ベクレル/月等である。(2023年7月)
2022/10/10
周首相の手は柔らかかった――田中首相を北京で見送った50年前
日中国交正常化50年に思う

<杉本 万里子 ( 翻訳業)>

 半世紀前、抜けるような青空の北京首都空港で間近に見た、田中角栄首相のうれしそうに上気した顔と、周恩来首相の太い眉と大きな澄んだ目がいまもまぶたに焼き付いている。

 1972年9月29日、両首脳が北京の人民大会堂で共同声明に署名し、日中は国交を回復し、「戦争状態」にピリオドを打った。この歴史の新たなページがめくられた日の午後、幸運にも、17歳の高校生だった私と両親は、上海へ向かう二人を見送る式典に参列することができた。

 父は当時、北京に本部を構えていた、左派系の国際NGO「アジア・アフリカ・ジャーナリスト協会」(AAJA)で働いていた。その縁で、私も歓送式典に参列する機会に恵まれたのだ。AAJAは、脱植民地化と真の独立をめざすアジア・アフリカ各国のジャーナリスト同士の交流、連帯促進を目的にした団体で、周首相と中国記者協会が後ろ盾となっていた。それはともかく……

 閲兵を済ませた両首脳は、参列者ひとり一人に歩み寄って会釈し始めた。私にもお辞儀をしてくれた田中首相の顔を見ると、紅潮し、汗がにじみ出ていた。続いて、握手を求めてきた周首相の手を握ると、実に柔らかくて暖かった。二人とも偉業を成し遂げた達成感に浸っていたように見えたことを覚えている。

 いま振り返ると、両首脳のようなスケールの大きい政治家がいたからこそ、国交正常化は実現したのだと思う。

▼「侵略者」から「友人」へ

 父親の仕事の関係で日本と国交すらなかった中国に渡って7年。まだ各地で戦争の記憶が生々しく残っていた。一般の中国人の対日イメージは「侵略者日本」であり、「日本鬼子」(日本の鬼ども)であった。中国人の根深い反日感情に触れて、肩身の狭い思いをしたこともある。

 しかも、当時は文化大革命のさなか。権力闘争が熾烈を極めた政治だけでなく、子が親を「反革命分子」と密告したり、辺境での労働に突然従事させられたりするなど社会も揺れていた。いま思えば笑ってしまうが、私も学校で「革命教育」をたっぷり受け、赤い表紙の毛沢東語録を振りかざし、「世界観の改造」に励んでブルジョワ思想と闘っていた。

 そんななかで、周首相ら指導部が内外の時流をつかみ、田中訪中受け入れに舵を切り、日本との友好が中国の利益になる、と人びとを説得することは政治的に生やさしいことではなかったと思う。

 しかし、同時に、そこに至るまで民の力を信じ、民間交流を積み上げ、国交回復の土台を築いた人たちがいたことも事実である。日中友好の井戸を掘る人たちの地道な努力がなければ、国交回復は実現できなかったとも思う。

▼井戸掘りをやめるわけにはいかない

 あれから50年。日中の経済規模は逆転し、日本では大国化した中国の脅威論がかまびすしい。日中の経済と人の往来は緊密になったが、外交安保や歴史、人権問題などでのあつれきは高まる一方だ。
私がとりわけ心を痛めるのは、日中相互の国民感情が悪いことだ。 言論NPOが2021年に実施した世論調査によれば、日本人の約9割が中国に「良くない印象」を持っている。日本に良くない印象を抱く中国人も前年より13ポイントも増えて約66%と出た。

 まだ、まだ、井戸掘りをやめるわけにはいかない。

 この先、50年の日中関係を見据えると、私たち一人ひとりが交流の当事者、主役であるという自覚を持つことが必要だと思う。その際、日中共同声明をもう一度見つめ直し、その原点に立ち戻ると、これからのあるべき交流の姿が見えてくる。

 半世紀前の共同声明は、「社会制度の相違があるにもかかわらず、両国は、平和友好関係を樹立すべきであり、また、樹立することが可能である」とうたう。
 日本と中国では、政治体制から商慣習、生活様式、社会規範、価値観まで違う。しかし、「国情」が違っても日本人と中国人は同じ人間だ。理解し合える共通点は少なくない。
 日中関係が歴史や領土問題で険悪のときでも、「上はけんかしているようだが、私たちは私たち」といった言葉を中国の友人たちからよく聞いた。政治や外交が私たちの心まで縛ることはできないが、その逆は可能だ。民の力で政・官を動かすことはできる。

 ビジネスでも勉学でもスポーツ、ファッション、料理、音楽、何の分野でも構わない。中国との縁をつくり、それを育ててもらいたい。とくに、次世代を担う日中の若者同士の出会い、ふれ合い、共感、支え合いが望まれる。今も昔も若い世代ほど両国を隔てる心の壁は低いと思う。

▼みんなで違いを乗り越えよう

 文革時代、私が通っていた中学の父兄の間で、日本人と付き合うと、「スパイ」のレッテルを貼られ、不測の事態を招きかねないという空気が支配的だったが、私と仲良くしてくれた級友は少なくない。

 田中首相一行が北京空港に到着したとき、高校の級友たちも動員され、一行を空港で歓迎する「政治任務」を果たした。級友の多くは、軍国主義日本による侵略の記憶が消えない親たちの世代とは異なり、日本人に対する憎しみや恨みもなければ、日本との国交回復に抵抗感もなかった。
 親から日本兵の残虐行為を何度も聞かされていたという級友でも、積極的に祝う気持ちにはなれなかったものの、「日本には、良くも悪くも特別な感情はなかった」と話してくれた。

 日本で日中交流と言えば、国交正常化に貢献した議員連盟や経済協会など「日中友好7団体」が知られる。中国側の信頼が厚く、改革開放後もこのような権威ある友好団体を介して中国側と接する交流が主流の時期もあったが、いまはネット時代。誰でも個別に中国に触れることができる。

 中国発の動画SNS「TikTok」やファストファッションの通販「SHEIN」をはじめ、「チャイナ」と「サイボーグ」を掛け合わせて「チャイボーグ」と呼ばれる中華メイク、オンラインゲーム「原神」……。
 いずれもデジタル化が進んだ時代に生まれた日本の「Z世代」に受けている。中国の若者も同じ傾向だと思う。私の知る限り、日本のアニメや映画、小説、テクノ・ロック、ヘルシーな日本食などを通して日本と自然に接触している。もちろん、コロナ禍前は日本旅行も。

▼まず、岸田―習トップ会談を

若者は、こうした「自然の流れ」に乗って、意識しなくても簡単に国境の壁を飛び越えてしまう。日本の若い世代ほど中国への親近感が高いという総務省の調査結果(2021年)もうなずける。権力側の不用意な介入は禁物だ。
それにしても、政府間対話の方は心もとない。国交正常化のときと同じように、日本も中国もあらゆるレベルで「制度の相違」を乗り越える努力が求められていると思う。
まずは、先延ばしにされている岸田首相と習総書記のトップ会談で、その一歩を踏み出せるか注目される。


 杉本 万里子(すぎもと まりこ)
  1955年、東京生まれ。北京大文学部卒。共同通信記者、日中文化交流協会職員などを 経て、現職。1965年に北京に渡り、文革期の現地校に通い、1978年帰国。主な訳書に曹 乃謙著『闇夜におまえを思ってもどうにもならない―温家窰村の風景』(論創社、2016 年)など。
2022/08/29
沖縄知事選でできること
「沖縄辺野古新基地建設を許しているのは日本人だ」との批判にどうこたえるか

<福島 清>
(北大生・宮澤弘幸「スパイ冤罪事件」の真相を広める会・事務局)

 ▼菅原文太さんの訴え

 2014年の沖縄知事選で、病身をおして翁長雄志さん応援に駆け付けた菅原文太さんはこう訴えた。
 こんにちは。沖縄は、何度来ても気持ちがいいね。
政治の役割はふたつあります。ひとつは、国民を飢えさせないこと、安全な食べ物を食べさせること。もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争をしないこと!
 沖縄の風土も、本土の風土も、海も山も空気も風も、すべて国家のものではありません。そこに住んでいる人たちのものです。辺野古もしかり! 勝手に他国へ売り飛ばさないでくれ。
 まあそうは言っても、アメリカにも、良心厚い人々はいます。中国にもいる。韓国にもいる。その良心ある人々は、国が違え、同じ人間だ。みな、手を結び合おうよ。
 翁長さんは、きっと、そのことを、実行してくれると信じてる。 今日来てるみなさんも、そのことを、肝に銘じて実行してください。それができない人は、沖縄から、日本から、去ってもらおう。
 はなはだ短いけど、終わり。

 ▼沖縄への基地集中をどう見るか

 この訴えから8年が過ぎた。今、沖縄の人々は、本土の「日本人」をどう見ているか。
 「敗戦から77年、21世紀に入って22年目でもあります。それだけの時を経てなお、米軍という外国軍のために新しい基地(名護市辺野古)を建設し、提供しようとしているのです。……これを異常と感じる感性も認識能力も、日本政府や政府を支持する大半の日本人にはない。しかも米軍駐留の負担を沖縄に集中させることで、自分たちは基地被害を免れ、無関心で済ませられる。……『復帰』50年の現実の姿です。クソ以外の何でしょうか」(目取真俊・作家=2022年5月11日毎日新聞)

 「米軍基地の70%を沖縄に押し付ける差別があるから、それを受け入れるかどうかの闘いが引き起こされている。日本の人々は傍観者ではなく、舞台をつくり、闘いを仕向けている加害者に当たる。復帰から50年、沖縄の憂鬱は晴れない」(阿部岳・沖縄タイムス記者=「週刊金曜日」2022年7月22日号「2022参院選特集」)

 ▼座り込み2000日
                           
 何とも辛い。経過を振り返りつつ考えてみたい。沖縄辺野古に新基地建設が決まった出発点は、1995年9月に起きた米兵3人の少女暴行事件をきっかけに高まった沖縄県民の怒りだった。これに対して、日米両政府は「沖縄に関する特別行動委員会」(SACO)を設けて検討を進め、1996年4月の中間報告で、世界一危険と言われる「普天間飛行場」は、「今後5~7年以内に、十分な代替施設が完成した後、返還する」とした。

 SACOは1996年12月、「沖縄本島東海岸沖建設」との最終報告を発表したが、具体的地名は明記しなかった。97年11月、政府が名護市辺野古沖海上ヘリポート案を発表して以降、熾烈な闘いが始まった。同年12月の名護市住民投票では反対53%となった。しかし以後の名護市長選では、容認候補と反対候補が争ってきた。沖縄知事選でも辺野古基地建設が争点となったが、2014年に反対を掲げた翁長雄志知事が誕生して以降、辺野古基地建設反対の姿勢は一貫している。これが沖縄県民の総意だ。
 2018年12月辺野古浅地への土砂投入が強行されたが、キャンプシュワブゲート前座り込みは、2000日を超え、今日も断固とした抗議行動が継続・展開されている。

 ▼米軍に辺野古は要らない

 今年6月25日に開催された「2022沖縄シンポジウム 沖縄とともにー慰霊の日を迎えて」で、柳沢協二・元内閣官房副長官補は、「米軍の新作戦は、大規模基地への集中から分散へと変化している。このため、普天間基地の代替である辺野古基地の2本の1800㍍滑走路は、ヘリポートしては過大、空中給油機など大型機には過小で使い物にならない」と言っている。
 一方米軍は、ロシアのウクライナ侵略を契機に、現在ある普天間基地の運用を拡大させているほか、日本全土で、やりたい放題の軍事演習を展開している。私の住む立川市も一部含まれている米軍横田基地では、C17,C130大型輸送機用駐機場建設、ジェット燃料大量貯蔵タンク工事など、基地機能強化工事が強行されている。

 つまり米軍にとって、辺野古新基地は全く不要なのである。にもかかわらず日本政府は、「普天間基地の危険除去のためには、辺野古基地建設しかない」と繰り返しているのだ。

 ▼いまできること…

 シュワブゲート前で座り込み、埋め立て土砂を運ぶダンプカーの前に立ちふさがって抵抗している人々、その一方で建設工事に動員されている人々、座り込みを阻止しようと立ちはだかっている警備員もみな沖縄の人々だ。沖縄の人々を争わせている責任の一端は、本土の我々にあることをかみしめなければならないと考える。

 今すぐ出来ることは、沖縄県知事選で、玉城デニー候補を当選させるためにカンパをすることだ。
2022/08/27
軍事費が2倍以上になるということ~暮らしはどうなる~   経済評論家  熊澤 通夫

軍事費が2倍以上になるということ~暮らしはどうなる~                    

安倍第2次政権が発足してから岸田政権までの10年間、防衛関係費とよぶ日本の軍事費は毎年、増えつづけ、2012年度の4兆7,138億円から2022年度には5兆3,877億円と1.4倍になりました。日本人一人当たりにすると約5,300円の負担増です。

▼「軍事小国」どころか…

ところが日本は「軍事小国」という人がいます。論拠に国の経済力を示す国内総生産(GDP)に占める防衛関係費の割合が1%前後と、国際比較で低いことをあげます。しかし分母になるわが国のGDPが世界第3位と経済大国なので、分子になる防衛関係費が多くても、その割合が低くでてあたりまえ。事実、軍事費の金額比較では世界上位第8位に位置します。
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▼「防衛三文書」とは?

岸田政権は、今年年末までに日本の外交、軍事の基本方針である「安全保障基本方針」、5年程度の戦争計画になる「安全保障大綱」と来年度を初年度とする軍備拡張計画の「中期防衛計画」という「防衛三文書」をつくり、その中で5年間を目途に来年度から軍事費1%を2%以上に倍増以上、世界上位第3位にするための予算をつくる作業に入りました。
目的は中国、北朝鮮、ロシアを相手国に第一線基地の役割を果たすため、日米軍事同盟を強めることで、敵基地先制攻撃の能力を持っているミサイルなど装備品の調達や、集団的自衛権が行使できる装備の充実のほか、財政の仕組みそのものも変えて「戦争のできる国」へ全力疾走するもので、憲法第9条改悪と一体化しています。
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▼社会保障削減、借金増

軍事費「倍増以上」とは、最低でも国民が毎年、いまよりも約5兆円、日本人一人当たり負担額になおすと約4万8,000円から約8万6,000円に増えることです。
このお金を調達するため政府は、社会保障費を中心に経費削減を強めるつもりです。しかしそれだけでは急増する軍事費に足りません。
そこでとりあえず借金を増やすでしょう。しかしアベノミクスの失敗でわが国の財政は1,026兆円、GDP比で2倍以上、先進国最悪の借金大国に転落し、昨今の物価値上りにも対処できない状況にあります。
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▼経済構造変え、国民の生存権否定

経費削減、公債増発でも賄えないほどの膨大な軍事費膨張!
これに日本の経済構造を激変させる岸田政権の経済政策がくわわります。それは経済安全保障基本法で定める重点業種・設備、GX、DX、それからイノベーション促進へ財政資金をバラマクことで、財源づくりにGXだけでも巨額の公債発行(環境債)を予定しているほか、基金制度の新設、個々の企業への補助金支給、法人税等の企業負担を軽くする租税特別措置の新設・拡充など財政の仕組みを改悪し、総動員します。
こうしていま、日本の財政は軍事大国と国民の生存権否定という政治により、消費税の大改悪・増税とともにインフレーションの道に陥りつつあります。
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▼市民の力で軍拡ストップを!

いま、世界では核兵器禁止・核戦争阻止と持続可能な地球球環境をつくるため、大きな運動が起きています。その中でこうした日本の状況を変えることは歴史的使命でしょう。とるべき道は憲法の定める平和主義を掲げ、絶対に戦争しない国にする!市民の力で軍事費膨張を止めなければなりません。
2022/07/28
加藤智大死刑囚 再審請求していたという
なのになぜ?!
仲築間卓蔵
仲築間卓蔵
 何かありそうだとおもっていたら、やっぱり出てきた。東京五輪・パラリンピック組織委員会の元理事が大会スポンサーの紳士服大手から資金提供を受けた疑惑だ。東京五輪開催の決め手になったのは、安倍首相の「福島原発はアンダーコントロール」という嘘(うそ)だった。日刊ゲンダイの一面タイトルを拝借すれば「統一教会も東京五輪も真っ黒だ 死してなお噴出する安倍首相の『負の遺産』」ということになる。
 あれこれ考えながらバスに乗った途端、マスクしてくるのを忘れた。幸い乗客が少なくて人目を気にしなくて済んだが、「非国民!」と言われそうな気がしてあわてて薬局に駆け込んだ。この気分、戦時中(日中戦争がはじまった頃)小学校の校庭に建てられていた奉安殿(天皇・皇后の写真を入れてある)の前で頭を下げなかったのを見られて「戦地で戦っているお父さんに申し訳ないと思わないのか」と先生に叱られたことがある。そんな雰囲気に似てきそうな気がして、思わずゾッとした。
 またまたこんな書き出しではじまったが
▼ 今回触れたいのは
秋葉原無差別殺傷事件(7人殺害、10人重軽傷)の加藤智大死刑囚(39)
に刑が執行されたことについてだ。
 事件当時(2008年6月)、被害者の手当に協力しながら自らも犯人に刺されて重傷を負ったタクシー運転手さんが(死刑執行について)「いままで生かしたんだから、もっと調べるべきだ」「再発防止対策をきちっとやったのか・・聞こえてこない」とインタビューに答えていた。
 当時のテレビ朝日『ザ・スクープ』の鳥越俊太郎さんの言葉を思い出している。「日本の社会格差が広がり、ワーキングプアが増えている。小泉構造改革の名のもとに進められた変化が、こういう犯罪を産み出していると思えてならない」。そんな見解を述べていた。

〇 しんぶん赤旗のご協力で、当時の記事を送っていただいた。
 彼は人材派遣大手の日研総業の社員だった。同社は1999年に労働者派遣事業の許可を取得し、人材派遣事業を開始している。
 2004年には製造業への派遣解禁などを盛り込んだ「改正労働者派遣法」(自民・公明などが賛成)の施行にともない、製造業への派遣事業をスタートさせている。おもにトヨタ、キャノンといった日本を代表する自動車や精密機械メーカーなどの工場で働く労働者の派遣で急成長。業界大手となっている。
 同社の求人広告 自動車の組み立て 月収25万5千円以上可 3食寮で食事可能 寮内24時間オープンの売店あります 個室寮も完備で生活環境バツグン。

〇 しかし、その実態は・・
 神奈川県に住む女性(32)は29歳のとき、「寮付き」との求人広告が目に飛び込み、日研総業の事務者を訪ねました。同社担当者は「長期に働くことができる。二交代制で、月20万円余は可能」と説明を受け、キャノンの宇都宮工場で働きました。ところが、拘束時間は10時間半に及ぶのに時間外手当はなし。給料明細書をみると、支給総額は17万円余なのに、社会保険料以外に寮費5万円余、水高熱費5千円、布団・テレビのレンタル料千円が差し引かれ、手取りは10万円余。働き出して2か月たった時、「減産のためにやめてくれ」と突然、解雇予告通知を受けました。

〇 加藤智大容疑者は事件の3日前、工場更衣室で「つなぎ(作業着)がない」と大声をあげ、そのまま退勤。翌日 人材派遣会社から「(勤務を続けるかどうか)本人が考えさせてほしいと言っている」という連絡があったという。

〇 日研総業は、事件から2日後「二度とこのような悲惨な事故が繰り返されることのないよう、派遣スタッフの管理体制をあらためて見直したい」というコメントを発表している。

加藤智大死刑囚は再審請求をしていたといいます。
それなのに なぜ?!

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