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2020/12/05
<12月の漫画> そこそこの期待にスガる独裁者  鈴木彰

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 菅首相が「国民の政権への期待もそこそこにある」と述べた10月29日の衆院本会議答弁について、「国民の政権への期待もそこにある」と議事録を訂正した。無表情・無感情で原稿を朗読するのがこの首相の答弁の特徴だが、それが内容も考えずに読んでいるのであることが明らかになってしまった。7年8か月の安倍長期政権の官房長官として、「批判には当たりません」「承知していません」「まったく問題ありません」などの決まり文句を繰り返して「モリカケ桜」の疑惑を反らし、アベ゛悪政を推進してきた菅さんの本心がこの「読み違い」にこぼれ出たのではないのか? いよいよ権力の頂点に成り上がった菅さんは、就任早々から辺野古新基地建設、日本学術会議への人事介入など、アベ政権を凌ぐ強権的な独裁政治への野心をむき出しにしている。「私がめざす国の基本は、自助・共助・公助、そして絆」と称してコロナ対策・社会保障を犠牲にするGoToトラベル・経済対策に走り、「世界のCO2ゼロを主導する」と称して原発再稼働を推進し、「核保有国との懸け橋になる」と称して核兵器禁止条約を妨害し、「敵基地攻撃能力」保持と称して改憲・軍拡を準備するこの政権には、国民の口をしっかりとマスクで覆って静かにさせたい、国民に「政権へのそこそこの期待」を持たせたいとの「すがる思い」があるに違いない。うまく行くかどうかは西村経済再生大臣の言うように「神のみぞ知る」ところだが・・・
2020/11/10
<11月のまんが> 「鬼滅」とは逆方向に「全集中」  鈴木彰

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 「自助」の強調、コロナ対策より経済対策、「敵基地攻撃能力」保持や改憲案の検討開始、辺野古新基地建設ごり押し、日本学術会議への人事介入など、アベ政権を凌ぐ極悪・非道の動きを見せていた菅義偉政権は10月26日から始まった臨時国会でその姿を国民の前に現した。11月2日の衆院予算委員会の開幕早々に首相は大ヒット中の劇場版アニメ「鬼滅の刃」の決めゼリフに便乗して「『全集中の呼吸』で答弁させていただく」と受けを狙い、議場を一瞬シーンとさせたが、この「全集中」が「鬼滅」とは逆方向を向いていることがやがて明らかになった。衆参の予算委員会は11月6日、計4日間の日程を終えたのだが、野党が菅義偉首相との初の本格的な国会論戦に「日本学術会議」の任命拒否問題を主要テーマに据えて挑んだのに対し、首相は質問が核心に迫ると「人事に関することなのでお答えは差し控える」を連発。後ろに控えた官僚が手渡す答弁メモを繰り返し読み上げるだけの答弁は白々しく矛盾だらけで「支離滅裂」。首相の「受け狙い」に応えて「官僚の答弁ばっかり読まずに、全集中の呼吸で答えてくださいね」と訴えて質問に立った立憲民主の辻元清美副代表に対しても同様の態度の繰り返し。辻元氏は「鬼滅の刃」の黒幕の「全ての決定権は私にあり、私の言うことは絶対である」というセリフを持ち出し「こうならないようにくれぐれもご注意いただきたい」と皮肉を込めて質問を終えた。野党の質問責めにしばしば「答弁不能」「茫然自失」に追い込まれた首相の姿は閣僚席にまで苦笑いを拡げた。この窮状を救おうと自民党の伊吹文明元衆院議長が「『学問の自由』と言えば水戸黄門の印籠の下にひれ伏さなくてはいけないのか」(5日、派閥の会合で)と「学問の自由」攻撃を仕掛けたが、この発言そのものが菅首相を「印籠を突き付けられた悪代官」と認めていて面白い。今月はここを描いてみた。
2020/10/15
<10月の漫画> 仕事師のおじさん早くも馬脚出し  鈴木 彰

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 9月16日に菅義偉(よしひで)新政権が発足した。「農家出身」「工場勤務からアルバイト学生を経て政治の道へ」「たたき上げの仕事師」などの菅キャラクターの売り込みが効を奏したのだろう、安倍政権が30%まで引き下げた内閣支持率を一瞬75%(読売)まで上昇させた。しかし菅氏は、モリ・カケ・桜・河合夫妻疑惑を安倍首相と一緒にごまかし、改憲・軍拡・社会保障破壊の暴走政治を先頭に立って進めてきた人物。いわば破綻したアベ政治の共犯者(実は主犯だとみることもできる)が、その破綻を棚上げして、破綻したアベノミクスの全面的な継承・発展を宣言しているのだから、菅政権は、いわばアベ隠し・アベ共犯の政権に過ぎない。「国民のために働く政権」と大宣伝しているが、政権が国民のために働くのは憲法に定められている当たり前のことに過ぎない。首相になる前日に、自分が首相になったら「政府の方針に反対する官僚は異動してもらう」とテレビで官僚を恫喝した菅氏の政権が、いつまでも国民をだませるわけはないと思っていたが、何と国会もまだ開かず、施政方針演説も行なっていない内に、「自助」強調と「GoToトラベル」推進によるコロナ対策からの撤退、「敵基地攻撃能力」の保持や改憲案の検討開始、沖縄辺野古の新基地建設のごり押し、日本学術会議への人事介入・言論抑圧など、アベ政権を凌ぐ極悪・非道の馬脚を見せ、内閣支持率も下落を始めた。今月はそこに目を付けて描いてみた。
2020/09/14
<9月の漫画> 効くのかね?スカの心臓(晋三)マッサージ   鈴木 彰

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 コロナ禍に国民が重大な不安と困難に遭遇しているのに、通常国会閉会後2か月にわたって国民の前から姿を隠していた安倍首相が、8月28日、突然姿を現して「病気のため辞任」を宣言。アベノマスクと小中高校の臨時休校、補償抜きの自粛要請以外にはこれといったコロナ対策もなく、大軍拡のために憲法と社会保障を破壊し、2度にわたる消費税増税で日本経済を足元から停滞さた安倍首相は、7年8か月の長期記録を果たしたとたんに政権を投げ出したのだ。「いのちと経済」を天秤にかける新自由主義的な「GoToトラベル」で、コロナ危機をいっそう深刻化させている与党は、マスコミを巻き込んで「ポスト安倍」のお祭り騒ぎに興じている。派閥の力学で後継者は決めているのに総裁選を演じて、安倍政治が数知れぬ問題点を抱えて破綻したことを棚に上げるというゴマカシの祭りだ。ゴマカシに乗じて辞任した本人が次の政権に向かって「敵基地攻撃能力の保有、軍拡・改憲」を指示する「談話」まで出している。破綻し、本人さえやる気をなくした「アベノミクス」を「心臓(晋三)マッサージ」で蘇生させても、破綻したものは所詮破綻したものでしかない。何ができるというのだろうか?
2020/08/07
<8月の漫画>改憲の執念だけで何処へ行く   鈴木 彰

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 安倍首相が新型コロナウイルスの感染対策としてバラまいたのが「アベノマスク」。韓国が国防費を削ってコロナ対策に充てたのに比べ、あまりにもマト外れで貧弱で、安倍首相自身さえ8月にはそれを捨ててしまったほど不評だった。改憲・大軍拡のための福祉破壊というアベ・新自由主義政治が、コロナに対していかに無力であるか、防疫・防災には日ごろからの備えがいかに大切であるかが誰の目にも明らかになっている。相次ぐ豪雨災害での被災者の救援と復旧、猛暑とコロナ感染の再拡大への対策などが緊急の課題となっている。だから河野太郎防衛大臣の秋田・山口両県への弾道ミサイル迎撃システム「イージス・アショア」の配備断念には、軍事費を削ってコロナ対策に回す政策転換を期待したが、それは小野寺五典元防衛相らが8月に安倍晋三首相と菅義偉官房長官に「敵基地攻撃能力」の保有を提言するための「引き金」でしかなかった。安倍首相は、マスクのバラマキで「コロナ対策」を終えたことにして、国会の閉会中審査にも出席せず、正式な記者会見も開かず、国会と国民への説明責任を逃げ回りながら、改憲の意思を執拗に発信し、観光需要喚起策「GoToトラベル」の推進、核兵器禁止条約の批准拒否、「敵基地攻撃能力」の保有計画など、まさしく不要不急の改憲・大軍拡と福祉蹂躙に立ち戻ろうとしている。これらは結局、コロナ軍団に味方することになっているのではないか。

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