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2022/10/14
<10月のまんが> 岸田さん「既死だ」と知って眼を覚ませ 鈴木 彰
10年以上にわたって、教育基本法改悪と安保法制の強行による「戦争する国づくり」、くらし・福祉の破壊と「モリ・カケ・桜」などの政治の私物化に明け暮れた「アベ政治」は、コロナ襲来のもとでその弱点を白日の下に晒して破綻した。2020年9月に安倍首相が政権を投げ出すと、その1年後に菅政権も破綻し、岸田政権もその1年後には内閣支持率30%割れという窮地に立っている。岸田首相は、コロナ危機・ウクライナ危機戦争・気候危機に加えて安倍元首相の「非業の死」まで利用して軍事費倍増・原発活用・憲法改悪で窮地脱出をはかったが、これらと背中合わせの医療・介護・年金・社会保障切り捨ての狙い、安倍元首相以来の旧統一協会との深刻な癒着が明るみに出て、どこから見ても「死に体」に追い込まれてしまった。それがなお政権の座を維持しているのは、小選挙区制と政党助成金をめぐる利権がらみの野合を深める「翼賛勢力」が「国会議席上の多数」を握っているからでしかない。コロナ禍のもとで雇用と営業を破壊され、空前の物価高騰のもとで賃上げが追い付かないという事態の真っただ中でアベ礼賛の「国葬」を強行した岸田政権は、10月に入って年金引き下げ、高齢者の医療費負担の2倍化を強行実施し、介護保険の改悪にも着手しているが、もう辞めた方が良い。今月は、いのち・くらし・平和を最優先する日本国憲法9条と国連憲章の立場から、「おまえはもう死んでいる」という「北斗の拳」のケンシロウの名セリフを、岸田(既死だ!)さんに送りたい。
2022/09/07
<9月のまんが> すがりつくイワシの頭の霊験は? 鈴木彰
長期化するウクライナ戦争のもとで深まる核戦争危機に加えてコロナ危機と気候危機が世界を覆い、これらの打開が世界共通の切迫した歴史的課題となっている。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマでの経験を通して「憲法9条」を守り育ててきた日本は、今こそ世界で、平和外交による紛争の解決、原発・核兵器の廃絶、いのちと暮らし最優先の経済社会づくりにイニシャティブを発揮すべきだ。ところが岸田政権はこれらの危機を利用して、軍事費倍増・「9条改憲」・原発活用、これらの財源を保障する医療・介護・年金・社会保障切り捨てに余念がない。コロナ感染、高物価・重税・低賃金、差別と貧困には「無策」をつらぬき、果ては先々代のアベ首相の「非業の死」をも利用する。旧統一協会をはじめとする利権がらみの諸「翼賛勢力」と癒着して「国会議席上の多数」を握っているのをいいことに、アベ礼賛の「国葬」という「イワシの頭への信心」を「粛々と」国民に押し付けようとしている。それは「九条の会」や「市民と野党の共闘」を妨害する「強大な力」に見えるのだが、その実体を見落とすわけにはいかない。その実体は、小選挙区制や政党助成金制度による「虚構の多数」でしかない。いのち・くらし・平和を最優先する世界史的本流に照らせば「逆流」にすぎない。いま「本流」として輝きを増しているのは日本国憲法9条と国連憲章であり、これを生かすための統一と団結を求める覚悟が私たちに問われており、そこにこそ未来はあるのではないか。今月は、イワシの頭にすがりつく政権を笑ってみた。
2022/08/12
<8月のまんが> 教団を隠したつもりで冠ってる 鈴木 彰
7月8日に安倍晋三元首相が凶弾に倒れ、その2日後10日の参院選で岸田文雄内閣の与党とその翼賛勢力が議席の多数を握った。即座に安倍政治の礼賛・継承、改憲・大軍拡・原発活用に足を踏み出した岸田内閣は、7月22日には安倍「国葬」を閣議決定する。しかし、これには国民の批判が高まり、某紙が「新型コロナの感染拡大や統一協会問題などで内閣支持率が急落し、政治的行き詰まりが激しくなるなか・・・政権浮揚を図ろうとして」と評したように、岸田内閣は8月10日、第2次改造内閣を発足させて事態の打開を急いだのだが、支持率低下は止まらない。この政権の政治的行き詰まりは、このような小手先の操作で解決できるものではないからだ。1945年のヒロシマ・ナガサキでの原爆被爆、無条件降伏による第2次世界大戦の終結、翌々年にかちとった平和憲法を踏まえて、日本が戦争を「放棄」してから77年が過ぎたのだ。1868年の明治維新から戦争に明け戦争に暮れた日本が敗戦するまでに過ぎた77年と同じ年月が流れた。まさに「戦争の77年」と「平和の77年」を刻んだ明治154年の歴史を太く踏まえて、次の77年をどう歩むかが問われているのが今なのだと思う。一方では、地球規模での新型コロナの蔓延、気候危機、2月24日から続くウクライナ危機が、地球と人類の存続を脅かしている。他方では、5月15日に沖縄返還50年、6月21~23日に核兵器禁止条約第1回締約国会議、8月1~26日に第10回核不拡散条約(NPT)再検討会議、9月29日に日中国交回復50年など、危機を乗り越える世界史的な契機とこれを生かすチャンスも成熟している。こういう国内外の情勢を全面的にとらえて対処せずに、その場しのぎの「モリカケ桜隠しの国葬」や「教団隠しの内閣改造」などでごまかしても、問題は決して解決しない。今回は、小手先でのごまかしの手法が、まさに悪名高い「霊感商法」となっている「霊感内閣」を笑ってみた。
2022/07/14
<7月のまんが> 暴力はいのちも平和も守らない 鈴木 彰
ウクライナ危機に便乗し、日米同盟の強化や核共有、敵基地中枢部への攻撃能力の保有、軍事費の倍増を声高に叫んでいた安倍晋三元首相が凶弾に襲われ死亡した。憲法違反の「戦争法」を強行し、「力には力」「侵略には反撃」「核には核」「暴力には暴力」という立場での「戦争する国」づくりが憲法違反なら憲法を変えるのだと強権政治に明け暮れた安倍氏が、他ならぬ「暴力」によって命を落としたのは皮肉なことだ。俗には「自業自得」、科学的には「弁証法的必然」なのだろうが、67歳という若さでの非業の死には驚いたし心も痛む。私たちは、彼の長年の悪政を変えようと「安保法制の廃止と立憲主義の回復を求める市民と野党の共闘」を発展させてきたのだが、昨年の総選挙いらい足並みを乱され、今回の参院選では投票日の2日前に起こった安倍銃殺事件にも影響されて、与党と「翼賛諸党」に3分の2超の議席を与えてしまった。私たちの「共同」が、彼の「軍拡・改憲」路線を首尾よく抑え込んでいたら、彼のいのちを救うことができたかも知れないと考えると、私たちにも責任があると感じてしまう。いのちと平和は「市民と野党の共同」によってこそ実現できるのだという確信を取り戻すことができないと、この微妙な責任が重みを増してくる。
2022/06/13
<6月のまんが> 財源はGDPから搾りだす? 鈴木 彰
5月23日、日本を訪れたバイデン米大統領との首脳会談で、日本の防衛力を抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費を増額するとともに、いわゆる「反撃能力」を含め、あらゆる選択肢を排除しないと述べ、バイデン大統領から強い支持を得た岸田文雄総理大臣。6月7日に閣議決定した「骨太の方針」、それを踏まえて10日に「アジア安全保障会議」で行なった基調講演などで、「国内総生産(GDP)比2%」を念頭に、「日本の防衛力を5年以内に抜本的に強化し、その裏付けとなる防衛費の相当な増額を確保する」と表明するなど、国民と国会には何の相談もないままに、危ない政策をエスカレートさせている。他方で広島出身の総理として「核兵器のない世界」に向け汗をかくなどと言って見せるが、21日から始まる核兵器禁止条約締約国会議には一言も触れず、従来からの条約を妨害する態度は変わらず、「軍事費倍増」とそれを裏付けるための「憲法改悪」への意欲ばかりが、いやに目立ってきている。「軍事倍増」と「憲法改悪」は、戦後77年、平和憲法施行75年、1度も海外から攻められなかった「専守防衛」の日本を「攻められるかも知れない日本」に変えるものだ。「軍事倍増」には6兆円もの財政が必要で、消費税の大増税、くらし・福祉・賃金・雇用の大破壊、コロナ禍で3年も耐えさせられた国民のいのち・健康の大破壊が伴なうことは明瞭だ。軍事費をGDPの2%に引き上げると言っているように、GDPが搾り上げられる。ところが「軍事倍増」への各党の態度は、公明「避けられない」、国民民主「やむをえない」、維新「推進・見直し」、立憲「議論はすべき」とバラバラで、「反対」を言うのは共産と社民だけ? 政府・財界の「反撃」でバラけさせられた「市民と野党の共闘」だが、昨年の総選挙までに安倍・菅政権を破綻に追い込んだ力を思い出し、必ず立て直さなければ! 歌舞伎・白浪五人男の「賊徒の首領、日本駄右衛門」になぞらえて「軋駄(きしだ)右衛門」像を描いてみた。