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2021/10/13
<10月のまんが> 「新しい」と言って再びウソ・改ざん  鈴木 彰

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 政府は「新型コロナ対策」そっちのけで、菅首相の政権投げ出し、自民党内の権力闘争である総裁選、その結果総裁となった岸田文雄前政調会長の国会での「首班指名」に明け暮れた。従来は非アベ派と目されていた岸田首相は、総裁選でのアベ・スガ政治への忖度・すり寄り合戦を通してすっかりカドがとれ、「モリカケ桜の再調査はしない」「当面は原発再稼働」に変わり、総裁選で語っていた「予約不要の無料PCR検査所の拡大」は8日の所信表明で「予約不要の無料検査の拡大」へとトーンダウンし、11日の代表質問への答弁にいたっては「新自由主義からの転換」や「成長と分配」「金融所得課税の強化」もあっさりと引っこめ、かつて二階幹事長に「説明責任」を直談判していた河井事件の1億5000万円問題も「必要なら説明する」に後退した。「声を聞くのが特技だ」「新しい資本主義をめざす」などと、これまでの自・公の腐敗と悪政を隠蔽・改ざんするだけの、抽象的な大風呂敷を広げるばかりだ。そのうえこの内閣は、20人の閣僚の内17人が「靖国」派の改憲・右翼団体と一体の二つの議員連盟のいずれかに加盟してきた人びとだというから、この内閣は、押しも押されもせぬアベ・スガ直系の歴史修正主義・改憲・右翼政治推進をめざす攻撃的な内閣だ。ようやく開かれた国会で、コロナ対策を審議するどころか、驚くべき短期間で「解散総選挙」に逃げ込み、国会と国民世論の批判が定まらぬ内に自・公政権の退勢を挽回しようとの野心を露わにしている。10月31日の総選挙で、「これは何とかしなければ」という当たり前の国民の声を「市民と野党の共同」に束ねて、姑息かつ無展望なあがきに、しっかりとどめを刺してあげる他あるまい。
2021/09/16
<9月のまんが> 変異株?「コップの中」でバカ騒ぎ   鈴木 彰

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 菅義偉首相(自民党総裁)が9月3日、臨時役員会で自身の任期満了に伴う総裁選(17日告示、29日投開票)に立候補しないと表明した。記者会見などではいつも「出馬は時期が来れば当然のことだ」と述べ、再選をめざし、二階俊博幹事長や下村博文政調会長など党幹部人事の一新について、この日の会議で一任を取り付けると言っていた菅首相だが、これらの思惑は片っ端から崩れた。補償は小出しの自助・自粛押し付け、コロナ対策よりGoToキャンペーン・オリパラ開催・経済対策優先、緊急事態宣言の延長・追加を繰り返したが。頼みのワクチン供給も後手後手で弾切れを多発し、ついにコロナ感染を爆発局面にいたらせてしまった。首相の説明不足や発信力不足も手伝って、産経新聞社とFNN(フジニュースネットワーク)が8月21、22両日に実施した合同世論調査での内閣支持率は32・1%となり、今年1月以降の最低を更新した。不支持率は61・3%で、4カ月連続で50%を超えた。このままでは10月21日に任期満了を迎える衆院選で自民党に勝ち目はない。そこで、彼の好きな「私自身」の退陣も含めた人心一新が必要と判断せざるを得なかったのだろう。総裁選不出馬の理由は「新型コロナウイルス対策に専念するため」と説明したが、国会を開かずに有効な対策を打てるわけもない。結局スガ氏がやったことは、バイデン大統領に招かれて、軍事協力の大きな土産をもって「卒業旅行」を準備する程度のようだ。首相の総裁選不出馬を受け、自民党は総裁選で選出した総裁を臨時国会で首相指名し、衆院選に臨むことになる。総裁選には、早速名乗りを上げた下村博文政調会長はスガ氏に叱られて断念、石破茂元幹事長も時間をかけて断念した。結局、岸田文雄前政調会長、高市早苗前総務相、河野太郎ワクチン担当相が「コップの中の権力闘争」えお演じているが、ももとアベ氏直系の高市氏のサナエノミクスには大笑いだが、岸田・河野などの非アベ派と目された面々が、「モリカケ桜の再調査はしない」とか、「原発再稼働も結構」などを表明。忖度・すり寄り合戦の様相だ。自民党が代表を選ぶ内輪の権力闘争だから、どうでもいいことだが、こういう面々の誰が総裁になっても、次の時代の総理大臣をまかせるわけにはいかない。今月はとりとめないがこんな気持ちで描いてみた。 
2021/08/12
<8月のまんが> ワクチンにスガる他には打つ手なし   鈴木 彰

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 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。スガ政権は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用を規模や期間を変えるだけで、人流抑制への十分な補償、感染者の発見・保護のための検査、免疫獲得のためのワクチン接種などの「コロナ対策」よりも、オリンピック・パラリンピックの開催による国際的な利権の確保や景気対策、原発再稼働・改憲・軍拡など不要不急なことにばかり力を入れるから、感染は野放し状態だ。
 西村康稔経済再生担当相が7月8日、飲食店の酒類提供に金融機関を使って「圧力」をかけ、世論の批判を招いた。これは頓挫したとはいえ、スガ首相が「ワクチン接種などに懸命に対応している自衛隊を違憲とする声がいまだに根強くある」「緊急事態への備えに対する関心が高まっている」ので憲法に自衛隊条項や緊急事態条項を明記する必要があると語った(6月10日)ことと通じ合う、スガ政権の本音を現したものだ。
 首相は7月30日、「ワクチンが・・・効果を発揮するまで、1人ひとりが警戒感をもって感染対策を徹底するようお願いする」と「ワクチン頼み」の姿勢を露わにしたが、相変わらず本気の「コロナ対策」には手を付けようとしていない。河野太郎ワクチン担当相が供給減の事実を隠蔽したり、15日の全国知事会との意見交換や国会でワクチン供給減による個別接種のキャンセル続出について陳謝したり、ワクチンの供給体制も頼りない。オリンピックが終わって総選挙が次の政治日程となっているが、内閣支持率は30%を割り、スガ政権の行方は見えてこない。この期に及んで「ワクチンが効いてくる」ことにスガっているスガさんの姿を描いてみた。
2021/07/11
<7月のまんが> 先手だと言ってまたまた後手を打つ   鈴木 彰

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 菅首相は7月8日夜、首相官邸で記者会見し、新型コロナウイルス対策として東京に4度目の「緊急事態宣言」を発令することについて「先手先手で予防的措置を講ずる」と述べ、ワクチンを1回接種した国民の割合が月内に4割に達する見通しとして、ワクチン接種が進み、病床の改善がみられる場合には「前倒しで解除することも判断する」と語った。同時に「緊急事態宣言の下で異例の開催となった」オリ・パラについては「新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを、東京から発信したい」と述べた。9月に自民党総裁の任期、10月に衆院議員の任期を控えて、この夏、コロナの感染拡大を抑え込んで、安心・安全な五輪を実現して衆院解散・総選挙に打って出て勝利したかったのだろうが、東京での感染「第5波」を防げず、「東京の有観客」も断念に追い込まれ、先の東京都議選も首相の予測を大きく下回る「大惨敗」に終わった。ワクチン接種も首相が掲げた「1日100万回」を達成したというが、供給が追いつかない「弾切れ」が起きている。感染を本当に予防するには、オリンピックを中止し、これまで「後手・後手・小出し」に徹してきた「コロナ対策」を、徹底的な検査拡充による感染状況の把握、自らが破壊してきた医療・福祉への支援・立て直し、「自助・自粛」を押し付けてきた国民のくらしと生業への手厚い補償に切り換えるのでなければならない。この局面で、供給体制も効力も不確かなワクチン接種とオリンピック開催による国債利権の獲得に縋りついて、「先手先手の予防措置」などと国民を騙るとは! この首相の感覚には舌を巻かざるをえない。
2021/06/15
<6月の漫画> ヤブへびの「五輪ありき」の二枚舌  鈴木彰

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 菅義偉首相は6月7日の参院決算委員会で、立憲民主党の水岡俊一氏が「首相は東京大会を開催する▽中止する▽延期する――の三つの選択肢を持っているのか」と尋ねると、「私自身は主催者ではない。私自身は我が国の国民の安心、安全を守る。そうした使命があると考えている」と答えた。
 その菅首相は6月11日の先進7か国首脳会議では、今夏の東京五輪・パラリンピック開催の決意を表明し、各国首脳に選手団の派遣を要請した。「世界が新型コロナウイルスという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを日本から世界に発信したい」と述べ、大会の意義を強調。「安全安心な大会の開催に向けて、万全な感染対策を講じて準備を進める。強力な選手団を派遣してほしい」と、まるで主催者であるかのように呼びかけたという。
 国民の五輪中止の願いには「私は主催者じゃないから」と答えず、海外では「五輪で団結しよう」と主催者のように呼びかける! 何と無責任で、何と平然たる二枚舌だろうと驚いているところに、G7の同行記者団との懇談で首相が、二階俊廣自民党幹事長の手腕を評価し「しっかり指導力を発揮し、安定した党運営をしてもらい感謝している」「私自身は党の問題に対して神経を使わずに国政に専念できている。ありがたい」と語ったというニュースが入り、先月末に飼い主宅の二階(!)の屋根裏で捕獲された大蛇の舌が2股に分かれていたことを思い出した。今月の漫画のテーマはこうして決まった。

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