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2021/05/14
<5月のまんが> 「ボロット」のボケで悪法押し通す  鈴木 彰

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 新型コロナの感染拡大は変異株の増殖を伴って世界を覆っている。これを迎え撃つ菅政権の「コロナ対策」は、無為無策、後手後手小出しに加えて、まるで方向違いというしかない。「まん延防止等重点措置」「緊急事態宣言」を行ない、暮らしと営業に従来以上に高圧的に「自粛」を求めて5月の連休を迎えたのだが、連休明けに始まった国会では唖然としてしまった。「老人医療の窓口負担2倍化法」、公立・公的病院の再編・統合の具体化、フクシマ汚染水の海洋投棄など、「コロナ対策」とは真逆の政策を押し付け、憲法に自衛隊条項や緊急事態条項を明記する「憲法改悪」への「呼び水」と称する「国民投票法改正案」や個人情報を危機にさらす「デジタル改革関連法案」などをろくな審議もしないまま採決する。野党が、感染拡大が続く中でオリンピック・パラリンピックを開催できるのかと何度も質したが、菅首相は「国民の命と健康を守り、安全安心な大会が実現できるように全力を尽くすこと、これは私の責務」「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにする。それと同時に国民の命と健康を守っていく」という原稿を繰り返し読み上げるだけの「連続ボケ」をかまし続けた。その姿は「コロナ対策」への意思も能力もない、出来の悪いロボットだ(ボロボロの答弁で「ボケ」をかますから「ボロット」か?)。今月は、次つぎと悪法を強行する「ボロット」の姿を描いてみた。
2021/04/12
<4月のまんが> 感染も汚染も海に流したい?   鈴木 彰

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 4月9日、菅総理は「緊急宣言にいたらないように、罰則の適用もできる措置」と称して「まん延防止重点措置」を発動した。コロナ禍が1年以上続き、初の「緊急事態宣言」から1年経っているのに、大規模検査の実施、陽性判明後に生活や仕事に支障が出る不安を払拭させる十分な生活・営業・人員補償、コロナ専用病院の設置、医療機関への減収補償、病床確保のために回復期の患者を転院させるなどの病院間の連携強化等、政府がやるべきことは何ひとつ実現していないというのに、「国民の気の緩み」「自粛疲れ」などに責任を押し付け、「罰則と見回り」という監視強化でしのごうというわけだ。同日政府は、東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水を海へ放出処分する方針を固めた。事故から10年、原発再稼働・推進に固執して放射性汚染水を垂れ流しのままで海に流そうというわけだ。コロナ対策は後手後手小出し、右往左往で感染拡大。GoToトラベル・病院潰し・医療窓口2倍負担による景気対策。デジタル庁・こども庁で縦割り行政打破と言いつつ政権への権力集中。加えて汚染水の海洋投棄は原発推進・オリンピックごり押し・国威発揚を狙うもの。菅政権は、国民のいのちと暮らしを守ることでは無責任・無為無策のまま、軍事拡大・原発推進・憲法改悪に突き進んでいるが、これは自らの政権の終末を予感しているからに違いない。菅総理に「恐れてたら何もできない」とハッパをかける二階自民幹事長などは、自分が何を言っているのか分からなくなっているとしか思えない。汚染水の海洋投棄などを言い出したのは、失政の何もかもを「水に流したい」という心理が表面に出てきたものなのだろう。
 翌10日に、白血病から復帰した池江璃花子さんが競泳日本選手権大会・女子50メートル自由形決勝で優勝し大会4冠を果たした。「自分がつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなって思いました」と語った青年の思いは、ウソとごまかしに怒り、隠蔽と改竄に飽き、コロナ禍で必死に生きている私たちの胸に熱く響いた。
2021/03/10
<3月のまんが> コロナなど上の空なり大接待   鈴木 彰

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 安倍政権の7年8か月は、森友学園との交渉に関する決裁文書の改竄、1年間存在が伏せられていた自衛隊イラク派遣時の日報、加計学園をめぐる「首相案件」というメモ、桜を見る会の領収書などの疑惑もみ消し、河井選挙買収、黒川検事長、国民置き去りで後手後手のコロナ対策など、政治の「私物化」と退廃のオンパレードだった。省庁の人事権を内閣人事局に集めて「官邸主導の強権政治」のもとで、官僚による官邸への「忖度」が常態化し官僚機構の権威も地に落とされた。これを継承した菅政権は、深刻化する「コロナ対策」には上の空で、総務省・外務省・農林水産省の幹部らが国家公務員倫理法に違反する利害関係者からの接待を繰り返し受けている事実のもみ消しに追われている。農水省は贈収賄事件で在宅起訴された吉川貴盛元農水相と鶏卵生産会社「アキタフーズ」の前代表の会食に同席していた事務次官ら6人を処分。元総務相だった菅首相の強い影響力のある総務省は13人の幹部が5年も前から菅首相の長男が勤める衛星放送関連会社「東北新社」幹部らと延べ39回も会食(内21回は首相長男が同席)し、飲食代、手土産、タクシー券を受け取っていたとして、「断らない女」を名乗る山田真貴子内閣広報官を辞職させ、菅IT戦略の懐刀=「ミスター携帯」と異名をとる谷脇康彦総務審議官ら11人を処分した。菅首相は「長男とは別人格」とシラを切ったが、その後、谷脇総務審議官が巻口英司国際戦略局長や外務省の金杉憲治審議官らとともにNTTの澤田純社長とも会食を繰り返していたことが判明し、これらの接待が、菅首相の目玉政策=IT戦略・放送通信改革の推進にからむ官僚たちの「忖度」を利用した贈収賄だったことがごまかせなくなった。わが身と政権を守るためには、長男だろうと懐(ふところ)刀だろうと切り捨てざるを得ない。累々たる使い捨ての山の向こうに、やがて「アベ・スガノミクス」の残骸も横たわるのだろうが・・・。描いているうちに、「ただ酒」を呑んだ揚句に使い捨てられた官僚たちの悲哀を感じてしまう今月であった。
2021/02/14
<2月の漫画> わきまえぬこの人たちに明日はない  鈴木 彰

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  東京オリ・パラ組織委員会の森喜朗会長が2月12日、女性蔑視の発言への内外の批判に追い込まれて会長を辞任した。「#わきまえない女たち」の抗議行動、ボランティアや聖火リレーのランナーたちの抗議の辞退。オリンピックのスポンサー会社の製品不買運動、スポンサー会社70社の中で36社が「森会長の発言は容認できない」とアンケートに答え、朝日新聞、毎日新聞も社説で批判した。一旦は不問に付す発言をしたIOC(国際オリンピック委員会)のバッハ会長も、世界の流れを見て「完全に不適切」と断罪した。完全に追いつめられた辞任なのに森氏は、次の会長を自分で選ぼうとしたり、組織委の臨時会合で「不適切な発言が原因で混乱をきたし、申し訳ない」と謝罪したのに、女性蔑視について「解釈の仕方でそういう意図じゃない」「多少意図的な報道があった」「誰かが老害と言ったが、老人が悪いと表現されるのは極めて不愉快」などと語ったりした。菅首相も森会長発言は「不適切」としつつ辞任を求めず、二階自民党幹事長もボランティア辞任の動きには「また募集すればよい」、世の中の批判も「瞬間的なもの」と言って森氏をかばった。これらによって彼らは、批判された女性差別を自覚も反省もしない、まったくわきまえていない自らの姿を天下に知らせた。今月は彼らの黄昏への予感を描いてみた。
2021/01/13
<1月の漫画> ガースーと媚びても消せぬゴーツー罪   鈴木 彰

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 2021年は新型コロナウイルスの感染拡大「第3波」の中で明けた。コロナ禍で身に着けた「自粛はしても萎縮はしない」の合言葉を当分のあいだ手放さず、したたかに歩むとしよう。昨年7月に安倍首相が開始した観光支援事業「GoToトラベル」は、コロナ禍で全戸に配布したアベノマスクと1人10万円の定額給付金を取り戻そうと、感染対策を度外視して「経済を回すことを最優先する景気対策」だった。9月の総裁選で「政策に反対する官僚は異動してもらう」とまで言ってアベノミクスの継承を掲げた菅首相は、この「ゴーツー」を、秋以降の「第3波」到来後も推進し続けた。感染の広がりは国民の責任だと言わんばかりに「5人以上の会食を控えよう」と国民に呼びかけたかと思うと、その数日後には8人での「ステーキパーティ」に興じる。のらりくらりと「ゴーツー」の時間を稼ぎ、崩壊に瀕している医療とケアを放置し、いのちと暮らしを見殺しにしてきたうえで、ついに2回目の「緊急事態宣言」を発せざるをえない事態を招いた。その「宣言」もまた、自ら破壊してきた医療とケア、いのちと暮らしを補償するものではなく、罰則付きの「飲み会禁止令」でしかない。12月11日に出演したインターネット番組で「こんにちはガースーです」と緊張感のないあいさつで若者に媚びたが、今も景気対策優先に固執する「ゴーツー罪」はどんなに媚びても消えるものではない。都議選と総選挙が必ず行われる年を迎えて「菅政権の罪を許さない」との思いを描いてみた。

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