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2021/08/12
<8月のまんが> ワクチンにスガる他には打つ手なし   鈴木 彰

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 新型コロナウイルスの感染拡大に歯止めがかからない。スガ政権は緊急事態宣言やまん延防止等重点措置の適用を規模や期間を変えるだけで、人流抑制への十分な補償、感染者の発見・保護のための検査、免疫獲得のためのワクチン接種などの「コロナ対策」よりも、オリンピック・パラリンピックの開催による国際的な利権の確保や景気対策、原発再稼働・改憲・軍拡など不要不急なことにばかり力を入れるから、感染は野放し状態だ。
 西村康稔経済再生担当相が7月8日、飲食店の酒類提供に金融機関を使って「圧力」をかけ、世論の批判を招いた。これは頓挫したとはいえ、スガ首相が「ワクチン接種などに懸命に対応している自衛隊を違憲とする声がいまだに根強くある」「緊急事態への備えに対する関心が高まっている」ので憲法に自衛隊条項や緊急事態条項を明記する必要があると語った(6月10日)ことと通じ合う、スガ政権の本音を現したものだ。
 首相は7月30日、「ワクチンが・・・効果を発揮するまで、1人ひとりが警戒感をもって感染対策を徹底するようお願いする」と「ワクチン頼み」の姿勢を露わにしたが、相変わらず本気の「コロナ対策」には手を付けようとしていない。河野太郎ワクチン担当相が供給減の事実を隠蔽したり、15日の全国知事会との意見交換や国会でワクチン供給減による個別接種のキャンセル続出について陳謝したり、ワクチンの供給体制も頼りない。オリンピックが終わって総選挙が次の政治日程となっているが、内閣支持率は30%を割り、スガ政権の行方は見えてこない。この期に及んで「ワクチンが効いてくる」ことにスガっているスガさんの姿を描いてみた。
2021/07/11
<7月のまんが> 先手だと言ってまたまた後手を打つ   鈴木 彰

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 菅首相は7月8日夜、首相官邸で記者会見し、新型コロナウイルス対策として東京に4度目の「緊急事態宣言」を発令することについて「先手先手で予防的措置を講ずる」と述べ、ワクチンを1回接種した国民の割合が月内に4割に達する見通しとして、ワクチン接種が進み、病床の改善がみられる場合には「前倒しで解除することも判断する」と語った。同時に「緊急事態宣言の下で異例の開催となった」オリ・パラについては「新型コロナという大きな困難に直面する今だからこそ、全人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを、東京から発信したい」と述べた。9月に自民党総裁の任期、10月に衆院議員の任期を控えて、この夏、コロナの感染拡大を抑え込んで、安心・安全な五輪を実現して衆院解散・総選挙に打って出て勝利したかったのだろうが、東京での感染「第5波」を防げず、「東京の有観客」も断念に追い込まれ、先の東京都議選も首相の予測を大きく下回る「大惨敗」に終わった。ワクチン接種も首相が掲げた「1日100万回」を達成したというが、供給が追いつかない「弾切れ」が起きている。感染を本当に予防するには、オリンピックを中止し、これまで「後手・後手・小出し」に徹してきた「コロナ対策」を、徹底的な検査拡充による感染状況の把握、自らが破壊してきた医療・福祉への支援・立て直し、「自助・自粛」を押し付けてきた国民のくらしと生業への手厚い補償に切り換えるのでなければならない。この局面で、供給体制も効力も不確かなワクチン接種とオリンピック開催による国債利権の獲得に縋りついて、「先手先手の予防措置」などと国民を騙るとは! この首相の感覚には舌を巻かざるをえない。
2021/06/15
<6月の漫画> ヤブへびの「五輪ありき」の二枚舌  鈴木彰

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 菅義偉首相は6月7日の参院決算委員会で、立憲民主党の水岡俊一氏が「首相は東京大会を開催する▽中止する▽延期する――の三つの選択肢を持っているのか」と尋ねると、「私自身は主催者ではない。私自身は我が国の国民の安心、安全を守る。そうした使命があると考えている」と答えた。
 その菅首相は6月11日の先進7か国首脳会議では、今夏の東京五輪・パラリンピック開催の決意を表明し、各国首脳に選手団の派遣を要請した。「世界が新型コロナウイルスという大きな困難に直面する今だからこそ、世界が団結し、人類の努力と英知によって難局を乗り越えていけることを日本から世界に発信したい」と述べ、大会の意義を強調。「安全安心な大会の開催に向けて、万全な感染対策を講じて準備を進める。強力な選手団を派遣してほしい」と、まるで主催者であるかのように呼びかけたという。
 国民の五輪中止の願いには「私は主催者じゃないから」と答えず、海外では「五輪で団結しよう」と主催者のように呼びかける! 何と無責任で、何と平然たる二枚舌だろうと驚いているところに、G7の同行記者団との懇談で首相が、二階俊廣自民党幹事長の手腕を評価し「しっかり指導力を発揮し、安定した党運営をしてもらい感謝している」「私自身は党の問題に対して神経を使わずに国政に専念できている。ありがたい」と語ったというニュースが入り、先月末に飼い主宅の二階(!)の屋根裏で捕獲された大蛇の舌が2股に分かれていたことを思い出した。今月の漫画のテーマはこうして決まった。
2021/05/14
<5月のまんが> 「ボロット」のボケで悪法押し通す  鈴木 彰

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 新型コロナの感染拡大は変異株の増殖を伴って世界を覆っている。これを迎え撃つ菅政権の「コロナ対策」は、無為無策、後手後手小出しに加えて、まるで方向違いというしかない。「まん延防止等重点措置」「緊急事態宣言」を行ない、暮らしと営業に従来以上に高圧的に「自粛」を求めて5月の連休を迎えたのだが、連休明けに始まった国会では唖然としてしまった。「老人医療の窓口負担2倍化法」、公立・公的病院の再編・統合の具体化、フクシマ汚染水の海洋投棄など、「コロナ対策」とは真逆の政策を押し付け、憲法に自衛隊条項や緊急事態条項を明記する「憲法改悪」への「呼び水」と称する「国民投票法改正案」や個人情報を危機にさらす「デジタル改革関連法案」などをろくな審議もしないまま採決する。野党が、感染拡大が続く中でオリンピック・パラリンピックを開催できるのかと何度も質したが、菅首相は「国民の命と健康を守り、安全安心な大会が実現できるように全力を尽くすこと、これは私の責務」「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じ、安心して参加できるようにする。それと同時に国民の命と健康を守っていく」という原稿を繰り返し読み上げるだけの「連続ボケ」をかまし続けた。その姿は「コロナ対策」への意思も能力もない、出来の悪いロボットだ(ボロボロの答弁で「ボケ」をかますから「ボロット」か?)。今月は、次つぎと悪法を強行する「ボロット」の姿を描いてみた。
2021/04/12
<4月のまんが> 感染も汚染も海に流したい?   鈴木 彰

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 4月9日、菅総理は「緊急宣言にいたらないように、罰則の適用もできる措置」と称して「まん延防止重点措置」を発動した。コロナ禍が1年以上続き、初の「緊急事態宣言」から1年経っているのに、大規模検査の実施、陽性判明後に生活や仕事に支障が出る不安を払拭させる十分な生活・営業・人員補償、コロナ専用病院の設置、医療機関への減収補償、病床確保のために回復期の患者を転院させるなどの病院間の連携強化等、政府がやるべきことは何ひとつ実現していないというのに、「国民の気の緩み」「自粛疲れ」などに責任を押し付け、「罰則と見回り」という監視強化でしのごうというわけだ。同日政府は、東京電力福島第一原発で発生した汚染水を浄化処理した後の放射性物質トリチウムを含む水を海へ放出処分する方針を固めた。事故から10年、原発再稼働・推進に固執して放射性汚染水を垂れ流しのままで海に流そうというわけだ。コロナ対策は後手後手小出し、右往左往で感染拡大。GoToトラベル・病院潰し・医療窓口2倍負担による景気対策。デジタル庁・こども庁で縦割り行政打破と言いつつ政権への権力集中。加えて汚染水の海洋投棄は原発推進・オリンピックごり押し・国威発揚を狙うもの。菅政権は、国民のいのちと暮らしを守ることでは無責任・無為無策のまま、軍事拡大・原発推進・憲法改悪に突き進んでいるが、これは自らの政権の終末を予感しているからに違いない。菅総理に「恐れてたら何もできない」とハッパをかける二階自民幹事長などは、自分が何を言っているのか分からなくなっているとしか思えない。汚染水の海洋投棄などを言い出したのは、失政の何もかもを「水に流したい」という心理が表面に出てきたものなのだろう。
 翌10日に、白血病から復帰した池江璃花子さんが競泳日本選手権大会・女子50メートル自由形決勝で優勝し大会4冠を果たした。「自分がつらくてしんどくても、努力は必ず報われるんだなって思いました」と語った青年の思いは、ウソとごまかしに怒り、隠蔽と改竄に飽き、コロナ禍で必死に生きている私たちの胸に熱く響いた。

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