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2023/01/14
2023年1月のまんが まだ何も決まってないのにべらべらと   鈴木 彰

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 昨年末の12月16日に「戦後の安全保障政策の大転換」を唱える「安全保障3文書」を閣議決定した岸田首相は、年頭早々からこれを世界中に吹聴している。戦後の歴代政権が少なくとも建前として尊重してきた「専守防衛」と「軍事費のGDP1%枠」を投げ捨てて、「敵基地攻撃能力の保有」と空前の軍拡に踏み込もうというのだ。これに関連して岸田内閣は、福島での原発事故後に各政権が掲げざるを得なかった「原発依存の低減、新規の原発建設の抑制、運転期間の原則40年への制限」などの政策も一気に転換し、「原発の最大限活用、再稼働・建設・推進」を宣言した。ウクライナ侵略戦争とエネルギー危機、中国の軍事力拡大の脅威などを利用して国民の不安をあおりながら推進されようとしているこれらの「大転換」は、国民に、コロナ危機・気候危機への無為無策、医療・介護・年金・社会保障の大抑制、大増税をおしつけ、いのちとくらしを踏みにじる「大暴走」だ。
 ここで重大なことは、これらの「大転換・大暴走」は、この間の総選挙・参院選で議席の多数を獲得できたのを良いことに、国民への説明も国会での審議も行なわないまま「閣議決定」によって推進されていることだ。これらの危険な転換と暴走をこのまま放っておいていいのか? 保守系の人びとも含む全国民が「いくら何でも許せない」という思いを抱いていると思う。この思いを、各分野・全世代の人びとと共有し、この数年間、妨害され苦戦を強いられてきた「市民と野党の共闘」を建て直す必要性と可能性を、何としてもつかみとりたい。今月は、国民の合意も国会の審議もないままで、閣議決定の中身を欧米諸国に声高に吹聴している岸田首相の「おしゃべり外交」を笑ってやることにした。
2022/12/13
<12月のまんが> おい世論、揺れてる時じゃないだろう!  鈴木 彰

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 12月10日、臨時国会が閉会した。数十年にわたって強権政治を進めてきた自民党の「新自由主義」が破綻し、コロナの感染拡大にも、デフレにも物価狂乱にも無力であること、しかもこの間の強権政治が実は自民党と旧統一協会=勝共連合の癒着によって推進され岸田首相自らを含む政治家も汚染されていることなどが明らかになる中での国会だった。これらを徹底的に究明し、いのちと暮らし、人権と福祉を抜本的に回復することが世論の流れであり、内閣支持率の大幅低下を背景に3閣僚更迭に追い込まれた岸田政権は息絶え絶えの状態にあった。ところが岸田首相は、旧統一協会に関わる疑惑の解明を「被害者救済法」の審議で棚上げし、ロシア・北朝鮮・中国・台湾の動きを「安全保障の危機」と騒ぎ立てて「軍事費倍増・敵基地攻撃・基地拡充・原発推進・9条改憲」への世論誘導に終始した。誘導は、5月23日のバイデン米大統領との会談で、①日米同盟の抑止力・対処力の強化、②沖縄県辺野古新基地の建設強行、③中国を念頭とする軍事費の「相当な増額」、④原発の輸出促進など「革新原子炉・小型モジュール炉」の開発・世界展開などを誓約した岸田首相による防衛費2%指示(11月30日)、5年間で43兆円の防衛予算指示(12月5日)、年1兆円の防衛増税指示(12月8日)や、経産省審議会の原発新増設・建て替え・再稼働・運転期間60年への延長指針(8日)など、開催中の国会を無視した閣議主導で立て続けに垂れ流された。
 ここで重大なことがある。これらの動きをマスメディアも碌に批判しない、野党の足並みも揃わない。その結果、世論にも揺らぎがつくられていることだ。「防衛費増額に『賛成』5割超、中露への対抗姿勢を『評価』74%、防衛力強化に『賛成』70%、『反対』24%」(6月の読売新聞調査)、「防衛費増額に対する賛否、『賛成』55%、『反対』29%」(10月のNHK調査)、「日本が敵基地攻撃能力(反撃能力)を持つことに『賛成』60.8%、『反対』35.6%」(11月共同通信調査)。
 おーい世論、揺れてる場合じゃないだろう! 「撃ちてし止まむ」「進め一億火の玉だ」「欲しがりません勝つまでは」と煽られて「一億玉砕」に追い込まれた暗黒の時代が終わって78年。その反省から憲法9条を掲げ、反戦・平和と民主主義を求めつづけてきた世論が「戦争」を選ぼうというのか? 今月はその世論に問いかける。
2022/11/14
<11月のまんが> 崩れ際、暴走にこそアラートを 「増補・改訂版」も投稿します(12/1)         鈴木 彰

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 旧統一教会と複数の接点を「記憶がない」と否定し、指摘されると追認を繰り返した山際大志郎経済再生相について、岸田首相は「本人が説明責任を果たせ」「辞めさせるつもりはない」と庇い続けたが、世論の批判に耐えられなくなって10月24日に更迭した。ところがその4日後には山際氏をコロナ対策本部長に起用したというので批判が高まっている。死刑執行に関する職務を軽視する発言をした葉梨康弘法相をについても懸命に庇ったが、山際更迭の19日後、11月11日に更迭を決めた。引き続き、後援会の収支報告書の記載漏れなど「政治とカネ」を巡る疑惑が深まっている寺田稔総務相、旧統一協会との癒着の疑惑が明らかになっている秋葉賢也復興相、井野俊郎防衛副相、山田賢司外務副相、杉田水脈政務次官などの問題も岸田首相の任命責任を厳しく問うている。こうして11月の世論調査での内閣支持率は36%に落ち込み、この政権の足元は既に崩れている。ここから抜け出そうとして政権は、北朝鮮のミサイル発射に「Jアラート」を乱発し、コロナ危機・エネルギー危機・ウクライナ危機をも利用して、軍事費倍増と大軍拡、原発再稼働と新増設、くらしと福祉の破壊と憲法改悪を国民に押しつける暴走を開始しているが、この暴走を許さないアラートをこそ、いま吹き鳴らしたい。

 <12/1> 11/14の作画時には「2人崖崩れ」だったが、11/20に「もう1人」が崩れた。ビラで活用するにあたって、その点を「改造」したものを作画したので、これも増補投稿することにした。
2022/10/14
<10月のまんが> 岸田さん「既死だ」と知って眼を覚ませ      鈴木 彰

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 10年以上にわたって、教育基本法改悪と安保法制の強行による「戦争する国づくり」、くらし・福祉の破壊と「モリ・カケ・桜」などの政治の私物化に明け暮れた「アベ政治」は、コロナ襲来のもとでその弱点を白日の下に晒して破綻した。2020年9月に安倍首相が政権を投げ出すと、その1年後に菅政権も破綻し、岸田政権もその1年後には内閣支持率30%割れという窮地に立っている。岸田首相は、コロナ危機・ウクライナ危機戦争・気候危機に加えて安倍元首相の「非業の死」まで利用して軍事費倍増・原発活用・憲法改悪で窮地脱出をはかったが、これらと背中合わせの医療・介護・年金・社会保障切り捨ての狙い、安倍元首相以来の旧統一協会との深刻な癒着が明るみに出て、どこから見ても「死に体」に追い込まれてしまった。それがなお政権の座を維持しているのは、小選挙区制と政党助成金をめぐる利権がらみの野合を深める「翼賛勢力」が「国会議席上の多数」を握っているからでしかない。コロナ禍のもとで雇用と営業を破壊され、空前の物価高騰のもとで賃上げが追い付かないという事態の真っただ中でアベ礼賛の「国葬」を強行した岸田政権は、10月に入って年金引き下げ、高齢者の医療費負担の2倍化を強行実施し、介護保険の改悪にも着手しているが、もう辞めた方が良い。今月は、いのち・くらし・平和を最優先する日本国憲法9条と国連憲章の立場から、「おまえはもう死んでいる」という「北斗の拳」のケンシロウの名セリフを、岸田(既死だ!)さんに送りたい。
2022/09/07
<9月のまんが> すがりつくイワシの頭の霊験は?   鈴木彰

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 長期化するウクライナ戦争のもとで深まる核戦争危機に加えてコロナ危機と気候危機が世界を覆い、これらの打開が世界共通の切迫した歴史的課題となっている。ヒロシマ・ナガサキ・フクシマでの経験を通して「憲法9条」を守り育ててきた日本は、今こそ世界で、平和外交による紛争の解決、原発・核兵器の廃絶、いのちと暮らし最優先の経済社会づくりにイニシャティブを発揮すべきだ。ところが岸田政権はこれらの危機を利用して、軍事費倍増・「9条改憲」・原発活用、これらの財源を保障する医療・介護・年金・社会保障切り捨てに余念がない。コロナ感染、高物価・重税・低賃金、差別と貧困には「無策」をつらぬき、果ては先々代のアベ首相の「非業の死」をも利用する。旧統一協会をはじめとする利権がらみの諸「翼賛勢力」と癒着して「国会議席上の多数」を握っているのをいいことに、アベ礼賛の「国葬」という「イワシの頭への信心」を「粛々と」国民に押し付けようとしている。それは「九条の会」や「市民と野党の共闘」を妨害する「強大な力」に見えるのだが、その実体を見落とすわけにはいかない。その実体は、小選挙区制や政党助成金制度による「虚構の多数」でしかない。いのち・くらし・平和を最優先する世界史的本流に照らせば「逆流」にすぎない。いま「本流」として輝きを増しているのは日本国憲法9条と国連憲章であり、これを生かすための統一と団結を求める覚悟が私たちに問われており、そこにこそ未来はあるのではないか。今月は、イワシの頭にすがりつく政権を笑ってみた。

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