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2024/03/16
<3月のまんが> なぜ飛ぶの?飛んでいないと落ちるから   鈴木 彰

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 3月の岸田内閣の支持率は、前月比1.1ポイント増の18%。2カ月ぶりに増加に転じたものの4カ月連続で1割台にとどまった(時事通信)。昨年末に労働組合組織率が16%台に落ち込んだこととともに、わが国の労働者・国民が信頼できる内閣と組織を持っていないことを表している。年明け早々の能登地震で震源地直近の志賀原発での油漏れ事故や避難路崩壊が、長年にわたる災害対策の手抜きに加えて13年前の福島原発事故の教訓を踏みにじる「原発推進」に舵を切った岸田政治・行政の誤りを明らかにした。内閣支持率の低迷は、防衛費倍増とその財源確保のための増税・福祉破壊、万博やカジノなど大企業のための開発への巨大な財政支出、そのもとで莫大な政党助成金を手にしているにも関わらず、政治資金とその「裏金」の獲得に耽ってきた政府・自民党への国民の審判に他ならない。いまこの政権が生き延びているのは、過去の選挙で「小選挙区制」等によって獲得した「虚構の多数議席」と莫大な政党助成金、嵩にかかった「裏金づくり」があるからにすぎない。これらの条件があるうちに「行けるところまで行く」というのが岸田内閣の戦略となっている。アメリカが沖縄と日本の空でのオスプレイの「飛行再開」を強行した姿になぞらえて、ただ生き延びるために暴走を重ねる岸田政権を「悪政ゴリ押しのオシプレイ」として描いてみた。
2024/02/07
<2月のまんが> 自問して自答したんじゃ「自免党」       鈴木 彰

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 能登半島の震災は240人を超える人の命を奪い、1カ月余りが過ぎても1万4.000人以上が避難生活を余儀なくされている。地震・津波は天災だが、その被害がかくも深刻化する要因のひとつとして「人災」をあげなければならない。わが国の政府・行政が、大軍拡や原発推進、万博・カジノなど大開発には巨大などんどん財政を割くのに、「社会福祉・社会保障・公衆衛生の向上および増進」という憲法25条が明記する責任を長期にわたって放棄してきたからだ。震源地のすぐ近くにある志賀原発で変圧器から1万9.800リットルの絶縁油漏れが起こったが、これが稼働中だったフクシマの二の舞だったかもしれない。
 「人災」のタネはまだある。企業・団体献金を規制する政治資金規正法と小選挙区制は、自民党に多数の議席とそれに応じた莫大な政党助成金をもたらしたが、自民党は「パーティー券なら企業・団体に売っても良い」とする抜け道を利用して莫大な「ウラ金」を手に入れてきた。やるべきことをやらずに「金権・腐敗」に耽る自民党に世論は内閣支持率16%という痛打を浴びせているが、岸田首相は1月10日、自らが本部長、最高顧問が麻生・菅の元首相、茂木幹事長が本部長代行、疑惑の渦中にある安倍派議員10人を含む38人のメンバーを揃えて「政治刷新本部」なるものを開設し、「派閥の解消」すなわち「裏金づくり組織の再編」によって疑惑を棚にあげようとしている。岸田首相は就任以来、2500回以上「しっかり」という言葉を繰り返しているそうだが、こんなことばかり「しっかり」やられてはかなわない。
 極めつけは、2月に入り「刷新本部」の下部組織として森山裕総務会長をトップに渡海紀三朗政調会長、小渕優子選対委員長、松山政司参院幹事長、梶山弘志幹事長代行ら6人で「調査チーム」をつくって、安倍派・二階派・岸田派の現職議員約90人に対し、キックバックの金額や収支報告書に記載しなかった理由を調べていること。自民党の疑惑を自民党が取り調べるという文字通り「自問自答」で世論をケムに巻こうとは滑稽千万。自らの大犯罪を「しっかり」と免罪する自民党ならぬ「自免党」の姿を描いてみた。
2024/01/16
<1月のまんが> 集まって何を「刷新」する気やら

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 果てしなくつづくウクライナ侵略とガザ攻撃、これを停戦に導くよりもむしろ便乗して防衛費倍
増と大増税すなわち経済の軍事化による利権を貪る岸田内閣。政治資金規正法と小選挙区制によっ
て、企業・団体献金を規制する代わりに多数の議席とそれに応じた莫大な政党助成金を手にしてき
た自民党が政治資金パーティー券なら企業・団体に売っても良いとする「法の抜け道」からも莫大
な「ウラ金」を手に入れ、これを継承する岸田内閣も金権・腐敗に浸ってきたが、これを見抜いた
世論が「内閣支持率16%」という審判を突き付けて昨年は暮れた。新しい年は能登半島と志賀原発
を大きな地震と津波が襲い、震災対策と志賀原発廃炉が緊迫した課題となっているのだが、これら
の課題には気もそぞろ。1月10日に「政治刷新本部」なるものを開設した。党の政治資金への厳し
い批判を反らすためだというが、裏金づくりの疑惑の渦中にある安倍派の議員10人を含め、38人の
メンバーを揃えている。岸田首相を本部長に、最高顧問に麻生・菅の元首相を据え、茂木幹事長が
本部長代行。派閥について無派閥の菅氏が「解消」をしゅちょうすると、麻生氏が「解消などとん
でもない」と返して、派閥をどうするかが争点のように見せるが、無派閥でも政治資金パーティー
と裏金作りは行われているのだから、これは争点反らしだ。政党助成金をたんまりせしめながら、
法の裏を行く「企業・団体献金」による「ウラ金」づくりが大手を振っていることにメスを入れな
い限り、「アリババと40人の盗賊」の話じゃないが、38人揃えてゴマカシたって「疑惑の門」は
開くものではない。今月はここを描いてみた。
2023/12/12
<12月のまんが> 共闘を阻むが「湯党」の生きる道?

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 自民党派閥の政治資金パーティー裏金疑惑をめぐって、岸田首相は12月7日に岸田派(宏池会)会長を退くことを決め、その後連日、「内閣の要」を担う松野博一官房長官、高木毅党国対委員長、西村康稔経済産業相、萩生田光一党政調会長、ついには15人におよぶ安倍派・清話会の裏金疑惑の中心人物の更迭表明に追い込まれている。これは、2年前の10月に第100代総理大臣に就任した岸田首相が、アベノミクスの継承と安倍派のご機嫌取りで政権固めをめざしてきた流れを、根元から脅かす事態といえよう。岸田首相は昨年末に「安保三文書・原発推進5法」を閣議決定し、ウクライナ侵略からガザ攻撃にいたる生臭い情勢も利用して「防衛費倍増」の財源確保と軍事産業育成、軍事経済を支えるマイナー保険証・インボイス・原発再稼働にのめり込んできたが、それは、賃金と年金・医療・介護・社会保障の連続破壊、消費税の連続引き上げと果てしない物価高をいっそう深刻化するものであり、国民の反発は「内閣支持率」の低下というかたちで岸田内閣を苦しめた。そこで岸田首相は反発をなだめようと「税収増の還元策」と称する国民1人当たり年4万円の定額減税(「給付」ではなく半年先1回限りの「減税」)を持ち出したが、その後に大増税が控えていることを見抜く「世論」は、内閣支持率21%、不支持率74%、所得税・住民税減税を評価しない66%、評価する22%(11月20日毎日新聞)という数字で厳しくこれを打ち据えた。政党助成金をごっそりいただいたうえでちゃっかりと裏金づくりに明け暮れ、国民には暮らしと福祉の破壊、大軍拡と大増税を押しつける「安倍流の岸田暴走政治」は、裏金疑惑とあいまって、いま「市民と野党が力を合わせれば倒せる」ところまで追い込まれているのは明らかだ。
 ところがである! さあ「政治を変えよう」と立ち上がる私たちがふと気づくと、何と野党の足並みが揃わない。新党「教育無償化を実現する会」を立ち上げ、「非共産・非自民」で政権交代をと宣言する「Ⅿさん」は、来年の政党助成金をたっぷり受け取れるように5人のメンバーを揃えて年末に駆け込んだ。「内閣不信任は行いません(近日はそうも言ってられないようだが)と総理に擦り寄る「国・民党のTさん」は政権交代より現政権への参加を夢見ている。「身を切る改革」が売りの維新の「Bさん」は、周りには身を切れと言うが決して政党助成金は返上しない。要するに岸田与党を批判するフリをしながら、「癒(湯)党」として「政党助成金」とその裏金や利権に群がり、「時効」の来ている「自・公」与党を支える「翼賛勢力」として、手を変え品を変え、野党共闘を妨害している。今月はこの部分に目を向けて描いてみた。
2023/11/14
<11月のまんが> 「戦前」に戻る軌道をたどるだけ    鈴木 彰

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 11月3日に国会正門前で、九条の会主催の「11・3憲法大行動」が開催され4000人が参集した。
 長引くロシアのウクライナ侵略戦争に加えて10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃、これを契機に1か月で1万人近い市民と子どもの命を奪うパレスチナ攻撃が行われているさ中での行動となった。昨年末にロシア・中国・北朝鮮・台湾の動向を口実に「安保3文書」と「原発推進」を閣議決定し、防衛費倍増・軍事経済化・軍事大国日本復活への暴走を開始した岸田内閣が、パレスチナ情勢をも利用して軍拡財源の確保(そのための暮らし・福祉の蹂躙、マイナンバー制度の押し付け)、原発汚染水の海洋投棄、憲法改悪を具体化しようとする鼻先での行動でもあった。
 岸田内閣は、軍拡への批判を反らそうと、所得税の定額減税や低所得者世帯への7万円給付などの「経済対策」を掲げたが、内閣支持率は下落を続け過去最低を更新している。世論が経済対策を評価しないのは「増税が予定されている」「経済対策より財政再建を優先すべき」「政権の人気取り」との批判があるからであり、東京都江東区長側の公選法違反事件を巡り法務副大臣を辞任した柿沢未途氏や、女性問題で文部科学政務官を辞任した山田太郎氏(13日には税金滞納が発覚して財務副大臣を辞任した神田憲次氏も加わった)への首相の任命責任は重大だとの意見が高まっているからだ。11月7・8日に東京で開いたG7外相会議を終えて上川外務大臣が「今回の会合はG7として初めて戦闘の人道的休止やその後の和平プロセスを含め、一致したメッセージをまとめ」たとして、「日本がG7議長国として、精力的に取り組んできた結果だ」と誇って見せたが、ロシアのウ国侵略には民間人や学校・病院への攻撃を「国際法違反」と厳しく非難してきたG7が、ハマスへの批判の一方でイスラエルの「自衛権を強調」してガザ侵攻そのものの停戦は求めないという「外相声明」は、世論にいっそう深刻な疑問を投げかけ、その後の内閣支持率はいっそう沈下している。
 「11・3大行動」は、悪政と世論の緊迫したせめぎ合いの渦中で、十分な規模を果たしたとは言えないが、問答無用の暴走を押しとどめ、新たな方向に転じる決意とエネルギーを現した行動となった。それは、政府のその場限りの「説明」ではだまされない国民世論が、内閣支持率を低下させ続けているのと同じ軌道に立つものに他ならない。
 今月は、イスラエルの「自衛権」擁護、日本の「防衛力倍増」の推進という、岸田政治の軌道の上で、内閣支持率浮上のために空しく走る「岸田外交のヴィーナス」の姿を描いてみた。

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