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2020/07/05
「安倍改憲発言」「自民党改憲案」へ反対の動き(2)
■■憲法審査会の開催に断固反対する法律家団体の緊急声明■■<丸山重威>
改憲問題対策法律家6団体連絡会は4月12日、「憲法審査会の開催に断固反対する法律家団体の緊急声明」を発表しました。
▼憲法審査会の開催に断固反対する法律家団体の緊急声明 2019/4/12
自由民主党及び公明党などは、「日本国憲法の改正手続きに関する法律」(以下「改憲手続法」という。)の改正案を審議するためとして、衆議院憲法審査会の開催を目指している。
改憲問題対策法律家6団体連絡会(以下、「6団体連絡会」という。)は、2018年6月4日に、上記改憲手続法改正案の国会提出に反対する緊急声明を発表した。
6団体連絡会は、改めて上記改憲手続法改正案に対して反対するとともに、以下の理由から、現時点での衆参両院の憲法審査会開催に強く反対するものである。
改憲問題対策法律家6団体連絡会(以下、「6団体連絡会」という。)は、2018年6月4日に、上記改憲手続法改正案の国会提出に反対する緊急声明を発表した。
6団体連絡会は、改めて上記改憲手続法改正案に対して反対するとともに、以下の理由から、現時点での衆参両院の憲法審査会開催に強く反対するものである。
1 憲法改正の前提となる世論が存在しない
後述するように、原則として首相や国会議員には「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)が課されている以上、首相や国会議員には憲法を遵守する法的義務がある。憲法改正は、政府や政党、政治家の中から改正すべきとの声が上がった際に行なうものではなく、国民の中から憲法改正を求める意見が大きく発せられ、世論が成熟した場合に限り、行われるべきものである。自民党政権も、昭和55年11月17日政府統一見解(衆議院議運委理事会において宮澤内閣官房長官が読み上げたもの)において、「憲法の改正については、慎重のうえにも慎重な配慮を要するものであり、国民のなかから憲法を改正すべしという世論が大きく高まってきて、国民的なコンセンサスがそういう方向で形成されることが必要である。」と、同趣旨のことを述べている。
公権力を制約することによって国民の権利・利益を保障することが憲法の役割である以上、政府や国会といった公権力には常に憲法による制約を緩めようと目論む危険性がある。したがって、公権力の側からではなく、国民の側から憲法改正を求める世論が高まった後に、初めて憲法審査会での議論を行なうという謙抑的な姿勢が国会には求められているというべきである。
近時の世論調査において、政権に期待する政策として「憲法改正」を挙げた割合は1割程度に過ぎず(日経新聞・テレビ東京合同世論調査など)、現在、国民の中で憲法改正を求める世論が高まっているとは到底言えない状況にある。
このような状況下で憲法審査会を開き、手続法を含む憲法改正に向けた議論を進めることは、結果的に公権力が国民に対して憲法改正を「押し付ける」ことになりかねない。
憲法改正を求める国民世論という大前提を欠いた現在の状況において、憲法審査会を開催すべきではない。
公権力を制約することによって国民の権利・利益を保障することが憲法の役割である以上、政府や国会といった公権力には常に憲法による制約を緩めようと目論む危険性がある。したがって、公権力の側からではなく、国民の側から憲法改正を求める世論が高まった後に、初めて憲法審査会での議論を行なうという謙抑的な姿勢が国会には求められているというべきである。
近時の世論調査において、政権に期待する政策として「憲法改正」を挙げた割合は1割程度に過ぎず(日経新聞・テレビ東京合同世論調査など)、現在、国民の中で憲法改正を求める世論が高まっているとは到底言えない状況にある。
このような状況下で憲法審査会を開き、手続法を含む憲法改正に向けた議論を進めることは、結果的に公権力が国民に対して憲法改正を「押し付ける」ことになりかねない。
憲法改正を求める国民世論という大前提を欠いた現在の状況において、憲法審査会を開催すべきではない。
2 事実に基づく議論が期待できない
安倍首相(自民党総裁)は今年の自民党大会において、自衛隊員募集に関して「都道府県の6割以上が協力を拒否している」と述べ、9条改憲(自衛隊明記)の必要を訴えた。しかし、この発言は事実に反しており、後に訂正を余儀なくされているものの、事実に反することを改憲の理由に挙げたことについて安倍首相は未だに撤回していない。さらに、森友疑惑をめぐる公文書改ざんと公文書毀棄、証拠隠滅、加計疑惑での事実を隠す数々の答弁、自衛隊の「日報」隠し、裁量労働制をめぐる不適切データの使用、財務省事務次官のセクハラ問題等々、安倍政権下の政府与党には、事実を軽視し、あるいは事実を歪めて議論を強引に進める姿勢が顕著である。直近でも、塚田一郎前国土交通副大臣が下関北九州道路に関する「忖度発言」で辞任に追い込まれたばかりであるが、政府与党は発言内容の真実性を認めようとしない。
このような安倍首相や政府与党の姿勢・性質に鑑みれば、現時点で憲法審査会を開催した場合、事実に基づく慎重な議論が行われることは期待できず、強引な議論で多数派の要望のみが実現される危険性が極めて高い。
憲法審査会の伝統たる「熟議による合意形成」を尊重するのであれば、事実に基づく議論が期待できない現在の政治状況において、憲法審査会を開催すべきではない。
このような安倍首相や政府与党の姿勢・性質に鑑みれば、現時点で憲法審査会を開催した場合、事実に基づく慎重な議論が行われることは期待できず、強引な議論で多数派の要望のみが実現される危険性が極めて高い。
憲法審査会の伝統たる「熟議による合意形成」を尊重するのであれば、事実に基づく議論が期待できない現在の政治状況において、憲法審査会を開催すべきではない。
3 憲法尊重擁護義務に違反し、憲法を蹂躙し続ける安倍政権に改憲をリードする資格はない。
安倍首相は、国会で国会議員に対して憲法改正の議論を進めるように呼びかけるのみならず、防衛大学校の卒業式で改憲を示唆する演説を行なうなど、内閣総理大臣の資格に基づいて憲法改正を推進する主張を繰り返している。
しかし、首相には「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)が課されている以上、そもそも改憲を口にすることは許されない。また、憲法96条を前提とする改憲手続法や国会法では、憲法改正の発案権は国会には認められているものの、内閣や首相には、その権限は与えられていない。内閣や国務大臣には発案権がないにもかかわらず、内閣総理大臣という資格に基づいて具体的な憲法改正を呼びかける安倍首相の行為は、憲法尊重擁護義務(憲法99条)、憲法改正手続き(憲法96条)に違反するというべきである。
安倍政権は、これまでも、秘密保護法、集団的自衛権の一部行使容認の閣議決定、安保法制、刑訴法改悪・盗聴法拡大、共謀罪など、国民の多くが反対し、法曹関係者より憲法違反と指摘される数々の立法を、十分な審議もせずに強引に数の力で成立させてきた。憲法に定められた野党議員による臨時国会の召集要求権を無視し、他方で(首相は)解散権を濫用して衆議院を解散する暴挙も繰り返してきた。
このように、憲法を無視し蹂躙し続ける安倍政権のもとで、憲法改正の議論を進めることは、自らの憲法違反は棚上げして公権力に都合のよい形で、強引に憲法改正を審議するという悪しき前例を作りかねないものであるから、憲法審査会を開催すべきではない。
しかし、首相には「憲法尊重擁護義務」(憲法99条)が課されている以上、そもそも改憲を口にすることは許されない。また、憲法96条を前提とする改憲手続法や国会法では、憲法改正の発案権は国会には認められているものの、内閣や首相には、その権限は与えられていない。内閣や国務大臣には発案権がないにもかかわらず、内閣総理大臣という資格に基づいて具体的な憲法改正を呼びかける安倍首相の行為は、憲法尊重擁護義務(憲法99条)、憲法改正手続き(憲法96条)に違反するというべきである。
安倍政権は、これまでも、秘密保護法、集団的自衛権の一部行使容認の閣議決定、安保法制、刑訴法改悪・盗聴法拡大、共謀罪など、国民の多くが反対し、法曹関係者より憲法違反と指摘される数々の立法を、十分な審議もせずに強引に数の力で成立させてきた。憲法に定められた野党議員による臨時国会の召集要求権を無視し、他方で(首相は)解散権を濫用して衆議院を解散する暴挙も繰り返してきた。
このように、憲法を無視し蹂躙し続ける安倍政権のもとで、憲法改正の議論を進めることは、自らの憲法違反は棚上げして公権力に都合のよい形で、強引に憲法改正を審議するという悪しき前例を作りかねないものであるから、憲法審査会を開催すべきではない。
4 与党が提出した改憲手続法改正案は議論に値しない。
与党が提出したいわゆる「公選法並び」の改憲手続法改正案は、2007年5月の同法成立時や2014年6月の同法改正時の附帯決議で挙げられた問題点等の検討を完全に怠ったものであり、抜本的な見直しが不可欠な欠陥改正案と言うべきものである。
改憲手続法の成立時や前回改正時の与党の対応や前述のような現在の政府与党の姿勢・性質に鑑みれば、もし憲法審査会を開催して改憲手続法改正案の議論に応じた場合、附帯決議で挙げられたり野党が求めたりするような問題点を与党が真摯に受け止める保障は全く無い。欠陥法である与党提出の改正案が強行採決で可決され、与党がその後具体的な改憲案の議論に突き進むことは明らかである。
なお、与党などには「提出済みの法案審議に応じないのは野党の怠慢だ」などといった批判をする者もいるが、いわゆる「原発ゼロ基本法案」や「共謀罪廃止法案」といった野党提出法案の審議に与党が全く応じていない以上、ご都合主義と言うほかない批判である。
与党が提出した改憲手続法改正案は、内容的には議論に値せず、また安倍首相の求める改憲の呼び水としての危険性を持つものであるから、その議論のために憲法審査会を開催すべきではない。
改憲手続法の成立時や前回改正時の与党の対応や前述のような現在の政府与党の姿勢・性質に鑑みれば、もし憲法審査会を開催して改憲手続法改正案の議論に応じた場合、附帯決議で挙げられたり野党が求めたりするような問題点を与党が真摯に受け止める保障は全く無い。欠陥法である与党提出の改正案が強行採決で可決され、与党がその後具体的な改憲案の議論に突き進むことは明らかである。
なお、与党などには「提出済みの法案審議に応じないのは野党の怠慢だ」などといった批判をする者もいるが、いわゆる「原発ゼロ基本法案」や「共謀罪廃止法案」といった野党提出法案の審議に与党が全く応じていない以上、ご都合主義と言うほかない批判である。
与党が提出した改憲手続法改正案は、内容的には議論に値せず、また安倍首相の求める改憲の呼び水としての危険性を持つものであるから、その議論のために憲法審査会を開催すべきではない。
5 終わりに
6団体連絡会はこれまで、秘密保護法・安保法制・共謀罪といった立憲主義を破壊する安倍政権の一連の施策に反対し、自民党改憲4項目の本質と危険性についても警鐘を鳴らし続けてきた。
現時点での憲法審査会の開催は、安倍首相が目指す改憲実現へと道を開くことに他ならず、これに断固として反対するものである。
現時点での憲法審査会の開催は、安倍首相が目指す改憲実現へと道を開くことに他ならず、これに断固として反対するものである。
2019年4月12日
改憲問題対策法律家6団体連絡会
社会文化法律センター 共同代表理事 宮里 邦雄
自 由 法 曹 団 団 長 船尾 徹
青年法律家協会弁護士学者合同部会 議 長 北村 栄
日本国際法律家協会 会 長 大熊 政一
日本反核法律家協会 会 長 佐々木猛也
日本民主法律家協会 理事長 右崎 正博
2020/07/05
「安倍改憲発言」「自民党改憲案」へ反対の動き(1)
■■自民党改憲案に反対する声明■■<丸山重威>
自民党の改憲4項目は、2012年12月の安倍内閣成立依頼、国家安全保障会議の創設、特定秘密保護法制定、武器輸出三原則の廃止、集団的自衛権の行使容認、安保関連法制定、共謀罪法成立など、既に憲法破壊立法を次々成立させてきており、明文による4項目改憲はその集大成とも言えるものでした。
反対運動も急速に高まりました。法律家が声を上げ、市民団体が署名運動を展開しました。署名は2年間続きましたが、2019年秋「発議反対」に衣替えし、なお続いています。
反対運動も急速に高まりました。法律家が声を上げ、市民団体が署名運動を展開しました。署名は2年間続きましたが、2019年秋「発議反対」に衣替えし、なお続いています。
▼自民党改憲案に反対する憲法研究者声明 2018/4/10
はじめに
2018年3月25日、自由民主党は党大会を開き、党の憲法改正推進本部がまとめた条文案(「たたき台素案」)に基づいて①自衛隊の憲法9条への明記、②緊急事態条項、③参議院の合区解消、④教育の充実の追加の4つの項目で憲法改正を進めていくことを確認した。
わたしたち憲法研究者は、森友学園問題における公文書改ざん問題が明らかになった現在、自民党には、憲法改正案を提起する資格がないと強く主張する。昨年の衆議院議員総選挙がおこなわれた時には、すでに改ざんが行われていたのである。改ざんの事実が明らかになっていれば選挙結果も異なっていた可能性がある。さらにいえば、国会は憲法改正を進めるよりも先に、森友学園問題について明らかにする責務がある。憲法は、政治家をはじめとする公務員に対し、国家権力を真に国民のために使うよう義務を課す。森友学園問題では、まさに、国家権力が権力者のために使われたのではないかが疑われているのである。その全貌の解明なくして進められる憲法改正は、まさに、権力者のための憲法改正にならざるをえないであろう。
次に、わたしたちは、日本国憲法が制定以来日本国の基軸として機能し、日本国民の幸福な生活のために役立ってきたと考える。日本を始め、立憲民主主義に基づく国家は憲法を前提として運営されるのだから、政治をおこなう上で具体的な不都合がないかぎり、憲法は変更されるべきではない。また、説得力ある明確な理由なくして憲法を変更することは、国民に対して思わぬ弊害をもたらす危険性もある。
以下で、自民党による憲法改正提案がもつ問題点を指摘する。
わたしたち憲法研究者は、森友学園問題における公文書改ざん問題が明らかになった現在、自民党には、憲法改正案を提起する資格がないと強く主張する。昨年の衆議院議員総選挙がおこなわれた時には、すでに改ざんが行われていたのである。改ざんの事実が明らかになっていれば選挙結果も異なっていた可能性がある。さらにいえば、国会は憲法改正を進めるよりも先に、森友学園問題について明らかにする責務がある。憲法は、政治家をはじめとする公務員に対し、国家権力を真に国民のために使うよう義務を課す。森友学園問題では、まさに、国家権力が権力者のために使われたのではないかが疑われているのである。その全貌の解明なくして進められる憲法改正は、まさに、権力者のための憲法改正にならざるをえないであろう。
次に、わたしたちは、日本国憲法が制定以来日本国の基軸として機能し、日本国民の幸福な生活のために役立ってきたと考える。日本を始め、立憲民主主義に基づく国家は憲法を前提として運営されるのだから、政治をおこなう上で具体的な不都合がないかぎり、憲法は変更されるべきではない。また、説得力ある明確な理由なくして憲法を変更することは、国民に対して思わぬ弊害をもたらす危険性もある。
以下で、自民党による憲法改正提案がもつ問題点を指摘する。
9条改憲案の問題点
①の自衛隊を明記するという9条改正については、2項を残した上で、9条の2として、「必要な自衛の措置」のための「実力組織」として「自衛隊を保持する」という条文を追加するという案が有力視されている。
自衛隊を憲法で承認し、正式に合憲化することは、自衛隊員のためにも良いことだと考える人もいるかもしれないが、それは全く反対である。というのは、すでに、2014年7月1日の閣議決定によって、憲法解釈が一方的に変更され、この閣議決定にしたがって、2015年9月19日に安保法制が制定されているからである。自衛隊の憲法での承認は、安保法制によって集団的自衛権の行使が認められた自衛隊の承認を意味することに注意しなければならない。
集団的自衛権は、アメリカのベトナム戦争や旧ソ連のアフガニスタン侵攻など、強国による無用な軍事介入に利用されてきた。安保法制は、自衛隊がそのような軍事活動に参加することを意図するものである。戦力の保持を否定する現行9条の下では、安保法制が合憲と認められる余地はない。ところが、自衛隊を憲法に明記することになれば、安保法制を違憲とはいいづらくなる。つまり、憲法への自衛隊の追加は、安保法制の合憲化が真の目的なのである。自民党の9条改正の提案が実現すれば、自衛隊員は、危険な集団的自衛の仕事を正式にさせられることになるだろう。
ところで、今回、自民党の憲法改正推進本部は、従来の政府解釈で採用されていた「必要最小限度の実力」ではなく、「必要な自衛の措置」を認める案をたたき台として打ち出していくようである。「必要最小限度」という文言がなくなることで自衛隊の活動に歯止めがかからなくなり、「必要な自衛の措置」には集団的自衛権の行使が当然に含まれることになる。したがって、この条文は、戦力の不保持、交戦権の禁止を定めた9条2項と正面から衝突する。戦力をもたないと宣言しながら、自衛のためには集団的自衛権行使を含む「実力」を行使できるというのである。この改憲によって、憲法9条2項は、全く意味をなさなくなるだろう。
他にも、自衛隊法7条では、憲法72条や内閣法5条の規定を受けて、「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」としているが、今回の自民党の提案では「内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする」としているため、行政権の主体が内閣であるという日本国憲法の構造と矛盾するおそれがある。この点で、自民党の9条改正の提案は、内閣総理大臣の下に、立法、行政、司法から独立した「防衛」という新たな国家作用を創設することになるのではないかという深刻な問題を内に含んでいるのである。
自衛隊を憲法で承認し、正式に合憲化することは、自衛隊員のためにも良いことだと考える人もいるかもしれないが、それは全く反対である。というのは、すでに、2014年7月1日の閣議決定によって、憲法解釈が一方的に変更され、この閣議決定にしたがって、2015年9月19日に安保法制が制定されているからである。自衛隊の憲法での承認は、安保法制によって集団的自衛権の行使が認められた自衛隊の承認を意味することに注意しなければならない。
集団的自衛権は、アメリカのベトナム戦争や旧ソ連のアフガニスタン侵攻など、強国による無用な軍事介入に利用されてきた。安保法制は、自衛隊がそのような軍事活動に参加することを意図するものである。戦力の保持を否定する現行9条の下では、安保法制が合憲と認められる余地はない。ところが、自衛隊を憲法に明記することになれば、安保法制を違憲とはいいづらくなる。つまり、憲法への自衛隊の追加は、安保法制の合憲化が真の目的なのである。自民党の9条改正の提案が実現すれば、自衛隊員は、危険な集団的自衛の仕事を正式にさせられることになるだろう。
ところで、今回、自民党の憲法改正推進本部は、従来の政府解釈で採用されていた「必要最小限度の実力」ではなく、「必要な自衛の措置」を認める案をたたき台として打ち出していくようである。「必要最小限度」という文言がなくなることで自衛隊の活動に歯止めがかからなくなり、「必要な自衛の措置」には集団的自衛権の行使が当然に含まれることになる。したがって、この条文は、戦力の不保持、交戦権の禁止を定めた9条2項と正面から衝突する。戦力をもたないと宣言しながら、自衛のためには集団的自衛権行使を含む「実力」を行使できるというのである。この改憲によって、憲法9条2項は、全く意味をなさなくなるだろう。
他にも、自衛隊法7条では、憲法72条や内閣法5条の規定を受けて、「内閣総理大臣は、内閣を代表して自衛隊の最高の指揮監督権を有する」としているが、今回の自民党の提案では「内閣の首長たる内閣総理大臣を最高の指揮監督者とする」としているため、行政権の主体が内閣であるという日本国憲法の構造と矛盾するおそれがある。この点で、自民党の9条改正の提案は、内閣総理大臣の下に、立法、行政、司法から独立した「防衛」という新たな国家作用を創設することになるのではないかという深刻な問題を内に含んでいるのである。
緊急事態条項の問題点
②の改正については、国会議員の選挙が困難な場合における任期延長と、災害において法律に代わる政令を認める真の意味での「緊急事態条項」との二つが提示されている。
前者については、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」が仮に起ったとしても、国政選挙全体を不能にするということなどは通常考えられない。国会議員の選挙は、国民の意見を国政に反映させるための重要な機会である。安易に憲法で任期の延長を認めるべきではない。
後者は、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」の際に、内閣が法律と同様の効力をもつ政令を制定できるとする。しかし、災害対策基本法など災害に対処するための法律はすでに存在している。これまでの災害の事例をみても、内閣が立法権をもっていればより効果的な災害対処ができたとはいえないだろう。
また、緊急事態を憲法で承認する場合、自民党案のように、行政権が立法権を無条件に行使できるような規定にすることは大変危険である。ナチスの独裁は、ワイマール憲法の緊急事態条項を悪用することで可能になったということを思いおこす必要があるだろう。
さらに、自民党案の緊急事態条項は、9条改正と密接な関係がある。今回の自民党案では「大地震その他の異常かつ大規模な災害」となっているが、国民保護法には「武力攻撃災害」への対応規定があり、武力攻撃と災害とが明確に区別されていない。したがって、自民党提案にある緊急事態条項があれば、他国と武力衝突が起きたときに、政令のみで国民の権利を制限することができるようになる。緊急事態条項は、9条改正とともに、戦争を準備し、そのために国民を動員することを可能にするのである。
前者については、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」が仮に起ったとしても、国政選挙全体を不能にするということなどは通常考えられない。国会議員の選挙は、国民の意見を国政に反映させるための重要な機会である。安易に憲法で任期の延長を認めるべきではない。
後者は、「大地震その他の異常かつ大規模な災害」の際に、内閣が法律と同様の効力をもつ政令を制定できるとする。しかし、災害対策基本法など災害に対処するための法律はすでに存在している。これまでの災害の事例をみても、内閣が立法権をもっていればより効果的な災害対処ができたとはいえないだろう。
また、緊急事態を憲法で承認する場合、自民党案のように、行政権が立法権を無条件に行使できるような規定にすることは大変危険である。ナチスの独裁は、ワイマール憲法の緊急事態条項を悪用することで可能になったということを思いおこす必要があるだろう。
さらに、自民党案の緊急事態条項は、9条改正と密接な関係がある。今回の自民党案では「大地震その他の異常かつ大規模な災害」となっているが、国民保護法には「武力攻撃災害」への対応規定があり、武力攻撃と災害とが明確に区別されていない。したがって、自民党提案にある緊急事態条項があれば、他国と武力衝突が起きたときに、政令のみで国民の権利を制限することができるようになる。緊急事態条項は、9条改正とともに、戦争を準備し、そのために国民を動員することを可能にするのである。
参議院の合区解消規定と教育の充実規定の問題点
③の合区の解消には参議院選挙区の定数を増やしたり、選挙区選出をやめて比例代表に一本化するという方法もあり、必ずしも憲法改正による必要はない。
また、合区を解消するために憲法改正が必要だとしても、それは、47条を変更するだけではすまないはずである。そもそも、この問題は、参議院に「地方代表」的な性格を与えようとしたとき、憲法43条の「全国民の代表」規定と矛盾するという大きな論点と関わるものである。また、参議院に「地方代表」的な性格を明確に与えることは、衆議院と参議院との関係をどう考えるべきかという、二院制に関する大きな問題に発展せざるをえない。さらに、具体的に提案された条文をみると、衆議院議員の投票価値の平等の憲法判断に影響を与える可能性もある。これらのことを考慮せず、合区を解消するために憲法47条を変えようというのは、いかにも場当たり的な発想であり、国民に提案されるに値するだけの真摯な検討を経ていないと言わざるを得ない。
④の教育の充実に関しては、経済的理由による教育上の差別の禁止や国の教育環境整備義務は、現行の26条から当然に導かれる内容であり、憲法を改正する必要はない。反対に、国の義務を憲法に明示することによって、教育内容に対する国の不当な干渉を導く危険性もある。ちなみに当初議論されていた、高等教育の無償化も、その気さえあれば法律で十分実現可能である。また、憲法89条の私学助成問題解消のための改正も、これまで憲法学界も政府も解釈で対応し、大きな問題となっていたわけではない。
また、合区を解消するために憲法改正が必要だとしても、それは、47条を変更するだけではすまないはずである。そもそも、この問題は、参議院に「地方代表」的な性格を与えようとしたとき、憲法43条の「全国民の代表」規定と矛盾するという大きな論点と関わるものである。また、参議院に「地方代表」的な性格を明確に与えることは、衆議院と参議院との関係をどう考えるべきかという、二院制に関する大きな問題に発展せざるをえない。さらに、具体的に提案された条文をみると、衆議院議員の投票価値の平等の憲法判断に影響を与える可能性もある。これらのことを考慮せず、合区を解消するために憲法47条を変えようというのは、いかにも場当たり的な発想であり、国民に提案されるに値するだけの真摯な検討を経ていないと言わざるを得ない。
④の教育の充実に関しては、経済的理由による教育上の差別の禁止や国の教育環境整備義務は、現行の26条から当然に導かれる内容であり、憲法を改正する必要はない。反対に、国の義務を憲法に明示することによって、教育内容に対する国の不当な干渉を導く危険性もある。ちなみに当初議論されていた、高等教育の無償化も、その気さえあれば法律で十分実現可能である。また、憲法89条の私学助成問題解消のための改正も、これまで憲法学界も政府も解釈で対応し、大きな問題となっていたわけではない。
おわりに
憲法改正の提案は、真摯になされなければならない。自民党の憲法改正の提案は、内容においても、また、時期的にも、国民に提案されるだけの真剣さが足りないと言わざるをえない。わたしたちは、自民党の憲法改正の提案に強く反対する。
2018年4月10日
2020/07/02
《コロナ禍の下で安倍政治の不正をただす》(1)
<丸山重威>
コロナ禍の下で行われている安倍政治。いろんな問題が派生し、問題になっていますが、「改憲問題対策法律家6団体連絡会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は、6月26日、「市民の力で廃案に追い込んだ検察庁法改正案の再提出にあたっては特例部分の完全削除を求めるとともに検察官定年延長の閣議決定撤回を求める共同アピール」を発表しました。
2020/06/29
映画、演劇、音楽を守れ!
<丸山重威>
新型コロナウイルス感染症の流行で、自粛を求められた音楽、演劇などの実演家や、制作者・事業者・プロモーターの組織は、そのための生活保障を求めて、さまざまな形で声を上げました。■■フリーの音楽家が支援要請■■
日本音楽家ユニオンは3月2日、自粛要請で公演キャンセルが相次ぐ状況に、声明を発表した。
▼「新型コロナウイルス感染拡大防止措置に伴う公演キャンセルに関する声明」
昨年12月に中国武漢市を中心に発生した新型コロナウイルス(COVID-19)による感染症が、世界的に拡大している。日本各地でも多くの感染者が確認され、日本政府は不特定多数の人々が集まるイベントの開催自粛を要請するに至った。
これを受け、音楽家をはじめとする実演家やイベント主催者の多くが、感染拡大の防止という目的のため、自らの生活を犠牲にして公演の延期、中止(キャンセル)を受け入れた。にも拘わらず、出演者へのキャンセル料等が支払われない事例もある。音楽家の生活を守る使命を担う日本音楽家ユニオンは、苦渋の決断を強いられた出演者が、経済的負担までも強いられる事態を大変憂慮している。
キャンセル料に関しては、一義的には主催者と出演者との間で適切な話し合いのもと、お互いに納得できる形で支払われる事が最善だと考える。
これに加え、公演自粛は政府からの要請により発生した事態であり、国は正規・非正規だけでなく、音楽家のようなフリーランスとして活動する人々への経済的支援にもとりくむよう強く要望する。
2020年3月2日
日本音楽家ユニオン(MUSICIANS’ UNION of JAPAN)
北海道地方本部 東北地方本部 関東地方本部 中部地方本部
関西地方本部 中国四国地方本部 九州地方本部
■■事業者3団体 「エンターテインメントを愛する皆さんへ」■■
3月5日、一般社団法人の日本音楽事業者協会、日本音楽制作者連盟、コンサートプロモーターズ協会が共同声明を発表しました。
▼ 「エンターテインメントを愛する皆さんへ」
先般のイベント中止、もしくは延期の要請を受け、コンサート等のエンターテインメントを中断する判断や、敢行する判断に対する様々な批判や賛同がある中で、我々は大多数の公演を中止、もしくは延期することに致しました。
何よりも皆さんの健康が優先されることが大事という、強い気持ちを持って判断した次第です。
一方で、開催に向けて準備してきた苦労や、開催することで得られる充実感や達成感、そして何よりもオーディエンスの皆さんと分かち合えるかけがえのない喜びなど、経済的な損失以上に、その代償は大きなものがあります。
だからこそ、今回の新型コロナウイルスに対して今一度正しい知識と関心を持っていただき、これ以上の感染が広がらないようにつとめる事を、率先して訴えかけます。
エンターテインメントが再び多くの皆さんに大きな力を与えることができるよう、細やかな知識や情報を、率先して広げていきたいと思います。
我々も、開催に向け実施可能な感染防止対策を行いますので、少しでも沢山の皆さんが感染拡大防止の知識を増やし、事態の収束への意識を強く持ち、新型コロナウイルスに1日も早く打ち克ち、その結果、共に楽しいエンターテインメント空間を描けることを心より願っています。
エンターテインメントを愛する皆さんと共に。
#春は必ず来る
■■芸団協が政府に申し入れ■■
芸団協は3月13日、首相と、文部科学大臣、厚生労働大臣、財務大臣、経済産業大臣、総務大臣に要望書を提出、申し入れました。
▼芸団協申し入れ
令和2年3月13日
新型コロナウイルス感染症対策本部本部長 内閣総理大臣 安倍晋三 殿
公益社団法人日本芸能実演家団体協議会会長 野村 萬
新型コロナウイルス感染拡大防止による舞台公演中止等を受け、実演芸術活動の維持と、鑑賞機会の回復に向けた施策を要望します
2月26日に安倍総理大臣より出された、「全国的なスポーツ・文化イベントの中止・延期又は規模縮小の要請」を受け、実演芸術界としても3月中旬までの多くの公演を中止や延期にするなどの対応を行って参りましたが、3月10日には更に10日間程度の継続が要請されるに至っています。
新型コロナウイルス感染拡大の防止の必要性は論をまたず、実演芸術界も引き続き協力していく所存ですが、公演の中止・延期などが既に実演芸術の担い手である実演家やスタッフ、それを支える企業・団体に深刻な打撃を与えており、更にこれが継続した場合には、実演芸術活動の存続そのものが危ぶまれると同時に、国民の鑑賞機会が喪失するとの強い危機感を抱いております。
つきましては、以下の三つの点について要望申し上げます。
1,公演に携わる企業・団体等への支援
公演の中止・延期により、公演に携わる多くの企業・団体が既に深刻な打撃を受けています。政府の資金繰り支援をはじめ、緊急融資等の施策が発表されましたが、実演芸術の基盤を支える企業・団体がこの苦難を乗り越えられるよう、更に踏み込んだ経済的な支援をお願い致します。
2,実演家・スタッフへの支援
公演に参加予定だった実演家やスタッフの多くが、企業・団体に雇用されないフリーランスとして活動しており、長期に亘り公演が行われない事態となれば、生活そのものが成り立たなくなることが危惧されます。公演の中止等により収入を失った実演家・スタッフへの幅広い経済的な支援をお願い致します。
3,国民の鑑賞機会の回復に向けて
9年前、東日本大震災で傷ついた多くの人々を実演芸術が癒し、勇気づけたように、今回の事態収束後、人々が平穏な生活を取り戻すための大きな原動力の一つとして、実演芸術が果たす役割は非常に大きいと感じています。子供たちの芸術体験機会をはじめ、あらゆる手段を用いて、 多くの国民が実演芸術に触れ、鑑賞できる機会を急ぎ回復させるために、私たち実演芸術団体も力を尽くす所存ですが、強力な政策によって文化芸術に活力を与えることが必要不可欠であり、それに相応しい令和2年度補正予算等での文化予算確保のご検討をお願い致します。
なお、施策検討にあたっては、実演芸術の各ジャンルの個別の状況を踏まえて適切な対応ができるよう、早急に意見交換の場を設けてくださいますようお願い申し上げます。
以上
■■注目される日本の文化政策■■
FIA国際俳優連合とFIM国際音楽家連盟(International Federation of Artists & Musicians)は3月12日、「新型コロナウイルス感染症の緊急対応が、元来生活基盤の弱い日本の芸能実演家を破壊しかねない影響があることに関する声明」を発信しました。日本の文化政策が貧しいことは、国際的にも知られています。
▼「新型コロナウイルス感染症の緊急対応が、元来生活基盤の弱い日本の芸能実演家を破壊しかねない影響があることに関する声明」
FIA国際俳優連合とFIM国際音楽家連合は、俳優部門と演奏レコード業界の何十万人ものプロフェッショナルな芸能実演家を代表する仲間と共に、日本政府の新型1コロナ感染症対策の措置が、日本の多くの公演が中止になっている芸能実演家の収入減少の保護なしに行われていることを、非常に懸念しています。
日本の芸能実演家は、選択の自由のない個人事業主です。専門性のある技術を備えるために、自ら莫大な自己資金を投じているにも関わらず、しがらみのある、無期限の雇用契約をさせるために、法的に労働者性を不当に否定され、社会的な権利の保護が狭められている。日本の芸能実演家は、議論もされないままに、個社(個別取引を行う為に存在する会社)のように扱われています。
新型コロナウィルス感染症の安全対策を講じるのはもちろん不可欠です。 多くの命がかかっており、経済的利益が人間の安全より優先するべきではありません。 そのために、コンサートや演劇公演での不特定多数の集団行動は慎重に対処し、リスクは回避するべきです。
このことに疑いの余地はありませんが、実演家はいま既に仕事と収入をなくし、収支が合わない状況に陥り、基盤が崩れている。
日本政府が発表した救済措置は、現時点でいずれもフリーランスの実演家には適用しないと伝えられています。「小学校等の臨時休業に対応する保護者支援」は、(皮肉なことに)中小企業にしか正当に適用されません。
FIAとFIMは、日本俳優連合と日本音楽家ユニオンが、この前例のない未曾有の危機に面して、適切な措置を求めて声を上げたことを、全面的に支持します。
芸術的な仕事によって、その能力にふさわしい、公正な収入を得た芸能実演家は、あらゆる方法の緊急対策によって、保護されるに値します。 敬具
ドミニク・ルカー FIA国際俳優連合事務総長
ベノア・マシュエル FIM国際音楽家連盟事務総長
■■あるライブハウス経営者のつぶやき■■
大坂のライブハウスに行っていた客が感染を持ち込んで広めた、と大きな問題になった。このライブハウスの映像を見ると、かなり大きな店で、若い女性たちが舞台も客席も踊って歌っている賑やかな店。それで広がる、「ライブハウス叩き」に、小さな店の若いオーナーが声を上げました。
この店も確かにライブハウス。「自粛」もいい。それなら、せめて「補償」を願いです。
▼「ライブハウスには行ってはいけません」
ライブハウスを経営するようになってから、かれこれ6年あまりの月日が経ちます。このような事態になるまでも十分に苦しいライブハウス業界なのに、今回のコロナの件でもうほとんどオワコン状態ですよね。まさかこれだけ名指しで業界ごと叩かれるとは誰も思わなかったのではないでしょうか。3蜜がやばいというのはもう十二分に理解しました。
でも、そんな状態がうちのようなライブバー的な店で実現したことが、年に何回あったでしょうか。専門家のみなさまはきっとライブハウスにあまり行ったことがないのでしょう。
というわけで、いま行ってはいけない場所ナンバーワンのライブハウスがどんなものか、僕なりにご紹介してみようと思い、曲にしてみました。こうして撮ってみると、いかにも自分の演奏能力の低さを思い知るわけですが、まあ、そんなことを心配できる余裕がまだ自分にあって良かったな、と思うことにします。
音源はこちらです。
▼「営業再開に当たって」
新型コロナウィルス感染拡大を防止するための試みとして、クローフィッシュは3月27日から6月1日現在に至るまで営業を自粛しております。つまり、都の休業要請に完全に従った形で店を閉鎖して参りました。その間、無観客でのライブ配信などは何回か開催することができましたが、それでさえも外出自粛要請に応える形でほとんど実現しなかったというのが実情です。
5月25日に都の緊急事態宣言が解除されても、ライブハウスは依然として自粛対象の指定を外されることはありませんでした。ですが、今月19日からはようやくライブハウスも感染対策を徹底した上で営業再開を認めるとのことですから、当店でもようやく6月19日からお客様をお迎えしてのライブを再開出来たらと思っています。
ただ、ウィルスがこの世から無くなる訳ではありませんから、このような警戒状態は向こう2年間は必要との声もあり、今後もしばらくは以前と全く同じようにライブを開催するのはなかなか難しいと認識しています。
したがって、クローフィッシュではお客様やアーティストの安全と安心をできる限り守り、今まで以上に皆様に必要とされるライブハウスとなるために、以下のような対策を講じることができたらと思います。
①密集の回避
当店のキャパシティは本来60名前後となっておりますが、お客様の来場数を40名程度に制限させていただくことで、密集を避けます。それに伴い、1回のライブをご覧になれるお客様の数が減ってしまい、アーティストの方の収入も下がってしまうことが考えられますので、今後出来る限り配信投げ銭のスタイルも併用できたらと考えています。
②密接の回避
一階最前列のお席を従来に比べ1メートル程後方に配置し、出演者の飛沫による感染のリスクを軽減します。
③密閉の回避
密閉に関しては元来、当店は他店舗に比べ、吹き抜け天井を有し、サイズに比して広々とした空間となっております。巨大な換気扇の音が若干演奏の妨げに感じるほど、換気については問題がないかと思います。
④飛沫・接触感染に対する積極的対策
空間除菌についてはほぼどれも効果が立証さていませんが、ほぼ唯一実効性のある装置としてオゾン発生装置「バクテクターO3」を導入しています。こちらは全国500台以上の救急車に搭載されるなど、医療機関においても多数実績のある機器です。新型コロナウイルスが流行している中、少しでもリスクを減らす効果を期待できます。
もちろん、テーブルやドアノブなどの多くの方が触れる場所に関しては小まめにアルコール消毒を徹底し、ご来店時にお客様にご利用いただけるマスクや除菌グッズなどは最大限ご用意致します。
以上のような点に留意しつつできる限りのサービスを提供していけたらと思っています。すべては「音楽を愛する人を応援する」ためです!
是非、ご理解の上、今後ともご愛顧頂けましたら幸いです。
どうぞよろしくお願いします!
クローフィッシュ赤坂