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2021/05/24
問われる「首相の決断」
  
 緊急事態宣言を解除できるかどうか、一方で新しい変異株の感染が広がる新型コロナの状況を背景に、東京オリンピック・パラリンピック実施か中止かの決定を決めなければならない期限が迫っている。

 21日開かれた国際オリンピック委員会(IOC)の調整委員会後の記者会見で、J・コーツ副会長は「感染対策を講じることで、緊急事態宣言下であってもなくても、安心安全な大会が実施できる」と表明した。一方、政府の基本的対処方針分科会の舘田一博東邦大教授は「東京に緊急事態宣言が出されている状況で五輪ができるとは思わないし、やってはいけないというのがみんなのコンセンサス」と述べた。(毎日22日)。

 菅義偉首相は10日の衆院予算委では何を聞かれても、「選手や大会関係者の感染対策をしっかり講じて、安心のうえ参加できるようにするとともに、国民の命と健康を守っていく」と繰り返した。朝日新聞によると、同じ答弁は17回。ちょっと度が過ぎている。
バッハ会長に「日本人のユニークな粘り強さという精神。逆境に耐え抜く能力をもっている」(1月27日)などとおだてられて、いい気になっている場合ではない。

 世論調査では各社とも「中止」論がトップで、読売(調査7-9日)では、「中止」59%に、「観客を制限して開催」16%、「無観客で開催」23%。朝日(同15-16日)は「中止」43%、「再延期」40%、「実施」論は14%、共同(同)でも59.7%が「中止」、「無観客」25.2%、「観客を制限して開催」は12.6%、毎日(22日調査)は「中止」40%、「再延期」23%、「無観客で開催」は13%だった。

 こうした状況の中、菅内閣の支持率は急落。不支持率は、朝日47%(支持33%)、共同47・3%(同41・1%)、ANN45・9%(同35・6%)、フジ産経52・8%(同43%)、読売46%(同43%)、毎日も59%(同31%)。軒並み不支持が支持を上回った。理由はいろいろあるが、コロナ対策で毎日調査が「評価する」13%、「評価しない」69%だったこともあり、軒並み「不支持」が「支持」を上回った。

 支持、不支持以前に、菅内閣が抱える問題には、「1億5000万円の出所」や「ウィッシュウマ・サンダマリさんの死の真相」「赤木手記」、「学術会議問題の記録」と公開を求められた課題が山積している。ひとつひとつ解きほぐして行かなければ、信頼は回復できそうにない。すべて「首相の決断」にかかっている。
2021/05/15
個人情報保護、国の「監視」を
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プライバシーの保護についての懸念などを伝える各紙

 官民が保持する個人情報の一元化などを含むデジタル改革関連法が5月12日、参院本会議で可決、成立した。マイナンバーカードの普及、行政手続きのオンライン化などを加速させる内容で、政府は、情報一元化・標準化の司令塔となるデジタル庁を9月に発足させる方針。国が住民の個人情報を管理することに「監視社会への扉を開きかねない」「個人情報は守られるのか」と反対や懸念の声が上がっている。

 デジタル化に関わる60本を超える新法案や法改正案があったにもかかわらず、短時間での審議に終わり、「国会議員は法案をきちんと読んだのか」と疑問を持たざるを得ない。
 その一つが、個人情報保護制度の改定だ。従来の個人情報保護法は、民間、国、独立行政法人の三つに分かれていたが、それぞれの条例やルールを国が作成するガイドラインに合わせて一本化する。民間や自治体が集約した情報を国の管理下に置くことになる。こうした一元化、標準化により、政府の情報監視が強まる恐れがある。個人のプライバシーを守ることよりも、行政や民間企業によるデータの利活用を優先するという姿勢は看過できない。また、主に民間の個人情報を監督してきた「個人情報保護委員会」が、地方自治体など行政機関の監督も行うことになる。膨大な個人情報を、分散管理ではなく集中管理に切り替えれば、情報ろうえいのリスクはより高まることになる。
 今国会の審議で、個人情報を民間が利活用する動きとして、全国30の国立大学が授業料免除者名簿を外部に提供しようとしていたことなどが判明した。プライバシーに関わる重大な問題が、いまだに安易に取り扱われているのが現状だ。
 専修大学の山田健太教授(言論法)は、法律の運用にあたって「個人が自分の情報を管理する『自己情報コントロール権』の明記などが必要だ」と指摘する。
 監視社会への移行を阻止するには、市民や自治体が国を「監視」することが重要だ。
2021/05/08
今回も 気になること三題

【野党共闘】 「一歩後退 二歩前進」

 5月1日メーデー、3日憲法記念日国会正門前。ともにオンライン参加で不満が鬱積。じっとしてはおられない。6日(木)12時~ 衆議院第二議員会館前の総がかり行動実行委員会呼びかけの「国民投票法(改憲のための手続法)阻止」集会に新聞OBの有志と声掛け会って参加した。
 500人を超える参加者で熱気ムンムン。集会が始まって何分も経たないのに、衆院憲法審査会を傍聴していた総がかりの高田健さん、法律家6団体の田中隆弁護士が現れた。「1時間も審議されないまま、修正案付きで立憲民主党が賛成して(国民投票法が)採決されたという。ええッである。
 高田健さんは「(立憲民主党が出した)修正案をもっても、改憲手続法の欠陥は変わらない」「次の総選挙で悪政を続ける自民党・公明党政権を倒そう」と語った。
 田中隆弁護士は「欠陥法のうえを明文改憲案が進みかねない。欠陥法を追及し、改憲を阻止するたたかいを進めていこう」と呼びかけた。
 おもしろかったのは、法案に(修正案つきで)賛成した立憲民主党から女性の参議院議員(名前を忘れた)がマイクを握ったことだ。彼女は「法案に反対」の胸の内を率直に話した。ぼくは「がんばれー!」とエールを送った。
 この法案、11日には衆院本会議で採決されているだろう。舞台は参議院に移る。野党共闘は三歩前進二歩後退の感があるが、それでも必ず進む。そう思う。

【東京五輪、パラリンピック】

 聖火ランナー。まだ走っているとすれば、いま中国地方か。走り続けていますか? 東京新聞(5月8日付け)「こちら特報部」の大見出しは『東京五輪 万事休す』●中止要望 2日で22万筆●医療従事者 人手不足●IOC会長 来日暗雲●宣言延長 進まぬ接種●別変異株 流入の恐れ。
 IOCバッハ会長は17日~18日に来日する予定だったが、ここにきて雲行きが怪しくなっている。組織委員会に問い合わせると、「バッハ会長の来日の意向は承知しており、実現すれば歓迎したい。ただし、具体的には決まっておりません」だと。7日のしんぶん赤旗の一面トップの見出し。「五輪とコロナ対策――両立しないことはいよいよ明瞭」。委員長の志位さんは「政府として直ちに中止を決断し、関係諸団体と調整することを強く求めたい」と述べている。これが国民の率直な声だろう。

【やっぱり「赤木ファイル」はあった】

 森友学園に関する決裁文書改ざんをめぐる訴訟で国側は6日、自殺した元財務省近畿財務局職員赤木俊夫さんが残した「赤木ファイル」の存在をようやく認めた。1年以上前から遺族が提出を求めてきたものだ。どこまで開示されるのだろうか。まさかマスキング(黒塗り)で出すのではないでしょうね。裁判所も、もうそろそろまともになる時期にきているのではないですか?
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