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2021/01/29
政府、政治こそ「改正」が必要
「緊急事態です。刑罰(懲役・罰金)だけでなく、「数十万円の過料」(制裁金)にも反対です」
 新型コロナウイルス対策の根拠となる特別措置法と感染症法の両改正案について、弁護士の毛利正道さんが1月29日、オンライン署名サイト「Change.org」を通じて反対のキャンペーンをスタートさせた。憲法研究者ら有志も30日に反対声明を発表。刑事罰や行政罰など強権的な国の態度に、各界から反対の声が相次いでいる。

 自民党の二階俊博、立憲民主党の福山哲郎両幹事長は28日、国会内で会談し、新型コロナウイルス対策のベースとなる、新型インフルエンザ等特別措置法案と感染症法の両改正案を修正することで合意した。政府案にあった、入院措置を拒否した人への懲役や罰金など刑事罰は削除されたが、前科のつかない行政罰の過料に切り替えられたため、結局、患者への罰則は設けられる。営業時間短縮の命令に従わなかった事業者への過料も、金額が引き下げられたとはいえ、依然として残ったまま。行政の権限強化に変わりはない。改正案は29日に衆院で審議入り。2月3日の参院本会議で、与党や立憲の賛成で可決、成立する見通しとなった。
毛利正道弁護士がスタートさせた
反対キャンペーンの画面
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 こうした事態に、ネット上で反対キャンペーンを始めた毛利弁護士は、「日本の感染拡大の主たる原因が感染者が入院しないことにありますか。市民が疫学調査に応じないことにありますか。事業者が営業時間短縮の要請を聞かずに営業したことによるものですか」と疑問をぶつけ、さらに、コロナ禍を収束させるために立場を超えて一致団結しないといけないときに「分断を生むような法律が有効だと思いますか」と政治家らの姿勢を追及する。
 一方、飯島滋明さん(名古屋学院大学教授)、右崎正博さん(獨協大学名誉教授)、稲正樹さん(元国際基督教大学教授)ら憲法研究者は、有志で反対声明を出す準備を進めている。賛同者が29日現在、65人になった。
 生命に対する権利、健康で安全な生活を送る権利は、憲法(13条、25条)で認められ、その保障こそが政府に課せられた最も重要な役割だ。ところが、政府は感染防止のために必要な検査体制をきちんと整備せず、医療機関への支援、感染者の入院、療養施設は依然として不十分。声明文では、今回の改正法案は「不適切なコロナ政策の結果として生じた状況に刑事罰や行政罰、公表などの威嚇で強権的に対応することを可能にする、本末転倒な法案であり、政府の失策を個人の責任に転嫁するものだ」と厳しく批判する。
 改正案の罰則については、「社会的害悪が明確で悪質な行為だけを犯罪として法律で定めることができるという適正手続主義(憲法31条)からも問題がある」「憲法31条は刑事手続の規定であるが、刑事手続の規定も行政手続に準用されることは最高裁判所でも認められること、行政目的達成のために必要最小限の権利・自由の制約しか認められないという比例原則に照らせば、改正案に行政罰を設ける憲法上の妥当性には疑問がある」――など、憲法上の欠陥も詳細に指摘する。
 苦しんでいる患者、事業者らを罰するという発想。一体、誰のための何のための法律「改正」なのか。「改正」すべきは、政権、政府の考え方の根本ではないか。
2021/01/22
一夜明けて見た光景は
六本木まで見える一面の焼け野が原
米軍撮影 隅田川と堅川周辺
― 東京大空襲戦災資料センター提供 ―
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 戦後76年経とうとしている今年になって、やっと空襲被害者救済法案が国会に上程されるかどうかの正念場を迎えています。
 これはぼくの妻の「思い」を代筆したものです。
  話した人 仲築間 みき
  代筆   仲築間 卓蔵

仲築間みき
仲築間みき
 あの頃(1945年)、昭和でいえば20年の3月、銀座7丁目の叔父夫婦の家に住んでいました。当時女学生でしたが、勉強なんかそっちのけで王子の軍需工場に動員させられていました。連日、空襲警報のサイレンを聞きながらの仕事は鉄砲の弾づくり、私の担当は検査係。なにせ女学生がつくるのですからそのほとんどが不良品。それでもつくらされていましたから不思議ですね。
 3月11日の朝。「ぼくんち焼けちゃったよ」と深川に住んでいいた弟が母親と一緒に素足のままの格好でころがりこんできました。後で分かったことですが、3月10日の、いわゆる「東京大空襲」です。どこの橋を渡ってきたのか、よくぞたどり着いたものです。これも不思議です。そのときの死者10万人、負傷者100万人といわれています。
 「東京大空襲」といえば3月10日が知られていますが、私にとっての東京空襲は5月24日から25日にかけてのいわゆる「山の手大空襲」です。その頃は強制疎開で銀座7丁目から、なぜか赤坂の芸者さんの置屋に移っていました。
 近所の置屋の物干し台に女ものの「白い腰巻」が干してあったのがなぜか印象にあるのです。「白いものを干していると空襲を免れる」というおまじないだというのです。白いものといえば「降参」の白旗ですよ。そのおまじないも通じませんでした。けたたましい空襲警報音。叔父に「今日こそは覚悟しろよ」といわれて慌てて地下鉄の赤坂見附駅に向かいました。
 避難場所は地下鉄の駅といわれていましたが、私たちが着いた時にはすでに満員。途方にくれていると「あっちに行こう!」という男性の声。つられて駆け出しました。近くに焼夷弾が落ちました。遅れていたら直撃だったかもしれません。
 やっと着いたところは坂を上ったところにある永田町小学校。男の人たちが延焼を防ぐためか校舎に水をかけていました。まんじりともせずそこで一夜を明かしました。
 目が覚めて見た光景は、六本木まで見える一面の焼け野が原。これが私の東京大空襲です。
 その後、母の実家の新潟の三条に避難しましたが、やがて広島・長崎に新型爆弾(原爆)。お年寄りに聞いた話ですが「こんどは新潟に落とす」というビラが降ってきたそうです。あのまま戦争を止めることができていなかったら・・と思うとぞっとします。「戦争反対!」・・の言葉よりもっといい言葉はありませんかねえ。
 総務省の2019年人口推計によれば、戦後(1945年以降)生まれは総人口の84.5%だといいます。戦争体験者がゼロになる時代はすぐそこにまできています。私は1930年生まれですが、耳が遠くなってきた程度でまだ元気です。
 空襲被害者を救済する法案が国会に上程されるかどうかの正念場をむかえていると聞いています。空襲被害者のみなさんのご苦労はいかばかりか・・。法案成立を心から念じています。

全国空襲被害者連絡協議会のWebサイト

2021/01/16
日本は核兵器禁止条約への参加を
  核兵器を全廃に向け、包括的に法的禁止とした「核兵器禁止条約」が、1月22日国際条約として発効する。しかし、日本政府は「日本は唯一の戦争被爆国」といいながら、条約に参加せず、要するに「米国従属」の情けない姿をさらしている。「日本は核兵器禁止条約に加入せよ」―。この日を機会に、全国会議員がふさわしいが、せめて全野党だけでも、一致して共同声明でも出せないものか! 
 日本政府の見解は、「日本は核兵器廃絶の目標を共有しているが、北朝鮮の核・ミサイル開発は、日本及び国際社会の平和と安定に対するこれまでにない重大かつ差し迫った脅威。北朝鮮のように核兵器の使用をほのめかす相手には、通常兵器だけでは抑止を効かせるのは困難で、核兵器を持つ米国の抑止力を維持することが必要」というもので、「条約に参加すれば、米国による核抑止力の正当性を損ない、国民の生命・財産を危険に晒すことの容認になりかねない。条約は、日本同様、核の脅威に晒されている非核兵器国からも支持を得られておらず、国際社会に分断をもたらしている」という。(外務省HP)
 一方日本は、核兵器禁止条約には一切触れず、①核戦力の透明性の向上、保有国間の信頼の醸成②核兵器使用のリスクを減らす方策③軍縮教育や被ばく者との交流―などを提案した核軍縮決議案を提出、国連第一委員会で成立させたが、今年は賛成国が昨年より9カ国、一昨年との比較では21カ国も減り、国際社会の日本への信頼の低下を見せつけた。
 日本国内での世論調査では、日本世論調査会の昨年8月調査で72%、朝日新聞の11月の調査で59%が条約に参加すべきだと回答、日本原水協の調べでは、日本政府に禁止条約への参加を求める地方議会の意見書が12月現在で501議会に達した。「日本政府に核兵器禁止条約の署名・批准を求める署名」も始まっている。
 真面目な話、「核の傘の下」にあるからといって、この条約に反対できないというものではないだろう。「米国と気まずくなる」「米国が『防衛』してくれなくなる」も本当だろうか。北朝鮮は確かに「核」を持ったらしいが、では「米国がいなくなったら日本を核攻撃する」というのだろうか? 「非核」の丸腰の日本を、核で攻めてくると言うのだろうか? これを機に、本当に考えたい。
 「唯一の戦争被爆国・日本」は、ここではっきり、「核なき世界」へ舵を切るべきだ。
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