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2023/03/27
見落とすな! 24年10月に向けて 
「24年10月」の意味するもの

 筆者は月1回のこの稿で、改憲勢力の戦略とどう対峙するかを基本視点としてきた。今回も変わらない。

 とにもかくにも「24年10月」が一つの焦点だ。21年の自民総裁選で岸田氏をはじめ各候補は「(24年10月までの)任期中に改憲を」と公約した。自民のリーダー岸田首相は「24年の自民総裁選でどう再選を果たすか」と「24年秋までの改憲公約をどうするか」の両立という方程式を解かねばならぬ。
 今年5月の「広島サミット」は(「必勝しゃもじ」のおかげかどうか)まあ終えるとする。ではその1年4カ月後に迫った「焦点の日」に向けてどうするか、一つの方法は「解散」して新勢力のもとで「岸田首相」を継続させることだが、そうなったらなったで「自民総裁任期」=「改憲公約」の24年10月は変わりなく迫る、岸田首相にとって最も気になる「日付」なのである。

 23年春の岸田首相について、リアルな政治論評はこういう。「岸田の本性は『タカ派の軍事好き』」「岸田の安定は幻想にすぎない」(『選択』3月号)。頭の隅においておこう。

 あらためて改憲攻防の場のひとつである国会の憲法審査会をみてみよう。
 3月9日、衆院憲法審査会を例にとる。自民、公明、維新、国民民主、有志の会の5会派は「緊急事態条項創設」を改憲の突破口にしようとした。〝災害などで選挙が実施できない場合、国会議員の任期延長を認める〟規定が柱だ。だがこれは事実の前ではあまりにももろい。当然「東日本大震災でも、コロナでも、緊急事態条鋼がなかったから対応できないという問題はなかった」(共産党・赤嶺政賢議員)と反論された。

 小林節・慶応大名誉教授は「かつて自民党の憲法論の相談にのってきた」という人だが、その小林氏は、自民が2012年の改憲案の4点をいま強調していることに対して日刊ゲンダイ2月28日付でこういう。
  1. 自衛隊明記=海外派兵を可能にするもので許されない
  2. 緊急事態条項=東日本大震災の経験を見ても内閣独裁体制になるのはだめだ
  3. 参院合区=自民世襲体制の温存だ
  4. 教育充実=そもそも改憲を必要とするものではない。要するに論理総崩れなのだ。
 しかししかし、改憲勢力が国会で3分の2を占めていることは確かだ。
 岸田首相も「任期中の改憲」の看板をおろしてはいない。
 それでもわれわれはなお「大軍拡反対」「憲法守れ」の2大スローガンは国民多数を結集しうる。
 「24年秋」に向け、まずあると思われる解散を含め、まさに正念場だ。
2023/03/22
「岸田首相・キエフ訪問」でいいのか?
 岸田首相のウクライナ訪問が話題になっている。「ようやく訪問できた。まず、よかった」という意見が大方の見方らしい。だが、本当にそうだろうか?
 岸田首相がウクライナの訪問をするということは、少なくともロシアの侵略に反対し、この部分でウクライナの側に立つ、と言うことなのだろうが、一つ考えなければいけないのは、日本の外交姿勢として、どうなのか、ということだ。

 ウクライナ戦争の背景についてはここではあえて置く。しかし、ここで日本が示さなければならないのは、力による秩序の建設については断固反対し、NATOの側にもロシアの側にも立たないということではないだろうか。否応なく戦争に引きずり込まれたウクライナの民衆を支援し、何としても戦争を終わらせるために尽力することではないだろうか。
 ところが日本は、このウクライナ問題を契機に、大きく軍事的な立ち位置を、「西側」に傾斜させ、「米国」の「代貸し」として、活動している。その象徴が、ウクライナ訪問だったのではないだろうか。

何があったのか…? 
 米国が狙ったのは、日本をフルに使ってのアジア太平洋地域における中国包囲網つくりだ。言うまでもなく、アジアで影響を持っているのは、ASEAN(東南アジア条約機構)。しかし、この組織は軍事同盟ではなく、「反米」でも「反中」でもない。米国にしてみれば、この状況の中で、アジア版NATOで、米国覇権を実現するには容易ではない。
 米国は日本を使って、様々に「工作中」だ。クワッド(日、米、豪、印)の首脳会議(昨年5月)を開き、連携を強化。そして、岸田首相は「G7議長国」を売り物に、日本の首相としては初めて、NATO首脳会議に出席(昨年6月)、オーストラリアとの間でも「日豪同盟」を結び、「安全保障協力に関する日豪共同宣言」(昨年10月)を締結した。
 米国の動きに忠実な日本として露骨だったのは、「G20」についての対応だ。日本はこの3月、「G20」の外相会談に、林外相を出席させず、副大臣でお茶を濁した。問題になって慌てて首相がインド訪問で修復を図った。
 北朝鮮のミサイル実験が続いている。米国にしてみれば、日韓関係が聞く酌しているのが気がかり。そこで、ユン大統領に働きかけ、懸案の「徴用工問題」を解決をはかった。GSOMIA(軍事情報共用協定)を復活させた。日本は、問題は日本企業に始まっているのに、当然のことのようにとぼけている。

ロシアのウクライナ侵攻の今後は誰にもわからない。ただはっきりしているのは、双方の戦争で、犠牲になっているのはウクライナの民衆だと言うことだ。どうであれ、戦争をやめさせること。停戦を実現すること。支配者に人権弾圧をさせないこと。
 …「憲法9条」を「国是」とし、政府の行為によって戦争の惨禍が起きることをやめさせることを決意した日本国民としては、いま、しなければならないことは、そのための働きかけしかないではないか。
 いろいろ言われているが、中国の習近平主席はロシアを訪問し、話し合いに入っている。
誰の仲介でもいい。とにかく戦争をやめること。そのために、日本外交の力の全てを注いで、戦争終結にはたらいてほしい。それが国民の願いである。
2023/03/08
忘れはしない 高市早苗総務相発言
きっかけは・・安倍発言だった
 「ジャーナリズムとは(権力が)報じられたくない事を報じることだ。それ以外のものは広報に過ぎない」と言ったのはジョージ・オーウェル(英国の作家でジャーナリスト)だった。
▼ 日本のジャーナリズムはどうだったか。
第1回全国新聞週間(1948年)の標語
日米共通標語  あらゆる自由は知る権利から
日本の代表標語 あなたは自由を守れ 新聞はあなたを守る

▼ 一時期元気だったメディアだったが、変化し始めたきっかけは第2次安倍内閣からだといっていい。2013年初頭からメディアの社長たちと会食作戦を、1年間にわたって続けた。外国ではこんなことを聞いたことがない。

▼ 2014年11月18日 安倍首相が出演したTBS『サンデーモーニング』で、「インタビューの内容に偏りがある」と批判した。
 同 20日 自民党が在京テレビ局に対して、12月の衆院選にあたって、報道の公平・中立と公正確保を求める「お願い」文書提出
 同 23日 磯崎首相補佐官がツイッターに「日曜日恒例の不公平番組(『サンデーモーニング』)」「政治的に好き放題言うような番組が、放送法上許されるはずがない。だまって見過ごすわけにはいかない」などと投稿

▼ 2016年2月 高市総務大臣「一つの番組でも放送法の“政治的公平”に反する場合には電波停止を命じる可能性」に言及

▼ 2016年2月 総務省 放送法の「政治的公平の解釈」についての政府統一見解を発表。従来の法解釈の変更ではなく、「補充的に説明し、より明確にしたもの」と明記

▼ 2023年3月2日 小西洋之・立民参議院議員が、磯崎氏の働きかけで放送法解釈が変わった経緯を示すと主張する内部文書を公表

 3月3日 松元剛明総務省が、小西氏入手の文書に関して「事実に基づき記述されたものか確認できない」と述べ、総務省作成かどうかの回答を留保
 磯崎氏がツイッターで「補佐官在任中に放送法で定める政治的公平性の解釈について、総務省と意見交換をしたのは事実」と認める
 高市経済安全保障担当相が国会で、小西氏入手の文書に記載された自身のやりとりについては「ねつ造」と断言。事実であれば閣僚、議員を辞職する意向を表明した。
結果は? 放送法「行政文書」認める
 松本剛明総務相は7日、放送法の「政治的公平」の解釈変更をめぐる首相官邸と総務相のやりとりを記述したとされる文書について「すべて総務相の行政文書であることが確認できた」と述べた。
 報道の自由脅かす重大問題 
高市大臣 自身の答弁に責任を持つべきでしょう
 日本共産党の小池書記局長は「安倍政権が森友・加計学園問題や桜を見る会の疑惑隠し、安保法制など違憲立法を強行する一方で、報道機関への介入を行ってきたことが明らかになったとして「安倍政権時代の闇がまた一つ暴かれた。改めて安倍政治の負の遺産を一掃しなければならない」と強調している。そのとおりだ。
 メディアも正念場。ジョージ・オーウェルではないが、権力が報じられたくない事を元気に報じよう!

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