/ 

2023/01/25
歴史の分水嶺になりかねない国会開幕
「新しい戦前」にするわけにはいきません
 昨年末のテレビ朝日『徹子の部屋』。ゲストはタモリさん。「来年はどんな年に?」と問われたタモリさんは即座に答えました。「新しい戦前になるんじゃない?」と。
 「戦前と戦後を生きていま戦前」という川柳がありました。「ずっと戦後であってほしい」と語っていたのは作家の半藤一利さん。「私たちは戦争の加害者にも被害者にもなりたくありません。私たちは人間の尊厳を踏みにじり、人を、若者を、こどもたちを戦争の駒にする国にしたくありません」と語ったのは女優の竹下景子さんでした。
 1月24日の『日刊ゲンダイ』の一面は「“新しい戦前”にしていいのか 23日からの国会はまさしく、歴史の分水嶺。徹底追及し、保身のために国を売る亡国首相の暴政を止めることができるのか」でした。

1月23日 九条の会事務局が「声明」を発表しました。
アジアと日本を戦争に巻き込む
大軍拡と改憲に反対しましょう
―― 通常国会の開会にあたって ――
2023年1月23日 九条の会事務局
 1月23日、第211回国会が召集されました。本国会において、岸田文雄政権は、自民党政権のもとでも続けてきた「専守防衛」の路線をすら真っ向から蹂躙する2つの企てを強行しようとしています。今国会は、今後の日本の進路を左右する重大な対決の場となりました。

▼ 一つは23年度予算において防衛費の大増額を図ろうとしていることです。昨年末の12月16日、政府は、自ら「戦後安全保障政策の大転換」と明言する「国家安全保障戦略」ほか安保3文書を閣議決定しました。その中心は、歴代政権が憲法の趣旨に反するとして認めなかった「敵基地攻撃能力」を「反撃能力」と言い換えて保有することであり、それを柱とする5年で43兆円にのぼる大軍拡方針でした。これを実行するため、政府は、12月24日には、トマホークの大量購入はじめ防衛費に6兆8219億円を計上する大軍拡予算案を閣議決定したのです。

▼ さらに重大なことは、1月11日の日米安全保障協議委員会(日米2+2)、続く13日の日米首脳会談において、日本政府が、国会にも諮らないまま「防衛力の抜本的強化」と「そのための予算拡充」をアメリカ側に約束したことです。その上で、日米2+2の「共同発表」と首脳会談を受けた「日米共同声明」において日米両国は、「日米同盟の現代化」という名のもと、日米同盟を対中国等を念頭に置いた文字通りの軍事同盟に強化することに合意し、その具体策を列記したのです。

▼ 安保3文書の閣議決定以降の、こうした政府の一連の行動は、憲法9条の理念を真っ向から踏み躙る暴挙であると同時に、それを国会での審議もせずに行った、立憲主義の重大な侵犯に他なりません。しかも岸田首相は、防衛費の増額を「増税」によって実現すると明言しています。増税はもちろんですが、たとえ増税が回避されても巨額の防衛費増を賄うため社会保障費等の削減や負担増など、それが暮らしをさらに悪化・破壊することは明らかです。今度の国会では、こうした政府の行為が果たしてアジアと日本の平和を促進するのか、それとも憲法が掲げる平和の路線のあからさまな蹂躙なのかを徹底的に議論し、軍拡予算にストップをかけなければなりません。

▼ 第2の企ては、こうした大軍拡、日米軍事同盟の侵略的強化の企図に立ちふさがる憲法9条自体を改変する明文改憲の策動です。任期中の改憲を宣言した岸田首相は、憲法審査会で緊急事態条項の議論が進んだことを踏まえて、今国会では審査会において緊急事態条項改憲での合意づくりを先行し、9条への自衛隊明記も併せて、改憲の発議に向けて「前進」しようとしています。大軍拡予算の審議と並行して、維新の会などの協力を得つつこちらも進めようという思惑です。

▼ 今こそ、市民が立ち上がるときです。大軍拡と改憲は、アジアと日本を戦争に巻き込む道、絶対に許さないという声で、国会を取り囲みましょう。

▼ 振り返ってみれば、市民は、戦後いく度かの改憲の策動に立ち向かい、76年間にわたり改憲を阻んできました。2016年以降の、衆参両院で改憲勢力が3分の2を上回っていた状況の下でも、市民と立憲野党の共闘の頑張りで安倍改憲を阻んできました。この力に確信を持ち、地域、草の根から、戦争への道NO!の声を上げましょう。

美空ひばりの「一本の鉛筆」というのが好きです
詞 松山善三
曲 佐藤 勝
あなたに聞いてもらいたい
あなたに読んでもらいたい
あなたに歌ってもらいたい
あなたに信じておらいたい

一本の鉛筆があれば
私はあなたへの愛を書く
一本の鉛筆があれば
戦争はいやだと私は書く

あなたに愛をおくりたい
あなたに夢をおくりたい
あなたに春をおくりたい
あなたに世界をおくりたい

1枚のザラ紙があれば
私は子どもがほしいと書く
1枚のザラ紙があれば
あなたをかえしてと私は書く

一本の鉛筆があれば
8月6日の朝と書く
一本の鉛筆があれば
人間のいのちと私は書く
2023/01/16
沖縄を戦場にさせるな
日米の「反撃能力強化」に反発
103-s-1.jpg
トークに参加した大木晴子さん(左端)、山城博治さん(左から2人目)、吉岡忍さん(右端)ら
 訪米した岸田文雄首相が、バイデン米大統領と会談した際、昨年12月に改定した国家安全保障戦略に明記した反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有など防衛力の抜本的強化や防衛費増額の方針を説明し、「日米同盟の抑止力・対処力の強化」に向けて協議を深める方針で合意したことに対し、沖縄の人々が反発を強めている。 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」共同代表の山城博治さんは1月15日、東京・渋谷の「LOFT9(ロフトナイン)」であった「戦争をとめる!やらせない」と題するトークイベントで、「沖縄に新しい脅威が来ている」 と発言。「日本政府はアメリカと一緒に戦おうというが、その現場は沖縄だ」と言葉に力を込めた。
 「ノーモア沖縄戦 命どぅ宝の会」は、「沖縄を再び戦場にさせるな」とジャーナリストや映画監督、平和活動家らが呼びかけ人となり、2022年1月に結成された。山城さんによると「日米のプロパガンダによる中国脅威論は沖縄にも広がり、辺野古の米軍基地移設問題とは違ってなかなか(反対運動に)火がつかなかった」という。だが、昨年末、日本政府は外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など安保関連3文書の改定を閣議決定し、安保戦略に相手国のミサイル発射拠点などをたたく反撃能力(敵基地攻撃能力)の保有を明記したことで事情は変わった。敵基地攻撃能力について石垣市議会は「容認できない」と意見書を可決。玉城デニー知事も、防衛省が、陸上自衛隊与那国駐屯地(与那国町)に新しいミサイル部隊を配備する方針を示したことに「厳しく臨む」と批判した。
 トークは、ベトナム戦争時、東京でさかんだった反戦運動「フォークゲリラ」を追うドキュメンタリー映画「1969新宿西口地下広場」の上映にちなみ、運動に関わった大木晴子さんら有志が企画した。大木さんや山城さんとともに登壇したノンフィクション作家の吉岡忍さんは、「岸田さんはアメリカに行って日米同盟の強化を強調したが、これは日本が米国の戦争に巻き込まれるのではなく、戦争を一緒にやっていくということだ」と指摘した。
◇    ◇    ◇
 5月には広島で主要7カ国首脳会議(G7サミット)が開かれるが、日米の軍事力強化が、他国にどう映るのか。日本は逆の道を進んでいるとしか思えない。沖縄に新たに吹き始めた「反戦の風」を全国に広げなければいけない。
2023/01/09
解散で信を問え

▼大変な問題をどんどん決めていこうという動き

 新年を前後して政治・社会についての芸能人・著名人の勇気ある発言が相次いだ。吉永小百合さんは元日の東京新聞で「戦後を生き戦後へつなぐ」の見出しで語り、作家・半藤一利の「ずっと戦後であってほしい」という言葉を引いている。そのうえで岸田政権の「敵基地攻撃能力」「防衛費増強」を例に挙げ、「大変な問題を、みんなで考えるなんじゃなく、どんどん決めていこうとした動き」に警鐘を鳴らしている。

 タモリ氏は暮れの「徹子の部屋」に出演。「来年はどんな年になりそう?」という問いに、短く「新しい戦前」と返した。この言葉は2015年、安倍内閣の「集団的自衛権」「日米で他国攻撃も」という安保法制強行時あたりから知識人を中心に言われてはいた。それを今、タモリ流に口にしたのだろう。吉永さんの「ずっと戦後で」と表裏一体の警告だ。

 吉永・タモリに共通するのは、1945年生まれである。終戦・敗戦という「境目の年」に生まれた2人の、日本近現代を見つめる鋭さがある、と思う。ちなみに戦後ベビーブーム期(47~49年)は毎年268万人超が生まれている。では45年生まれは? 日本政府「資料がありません」。内外の各役所の焼失、また海外人口動態把握の限界などによるものだ。

▼「憲法の死」

 さて吉永さんも口にした「敵基地攻撃能力」。昨年12月の岸田内閣「安保3文書」で正式に打ち出された。「立憲主義・憲法の破壊」「平和の破壊」などいろいろ定義づけがあった。かつて「憲法の番人」と言われた内閣法制局長官をつとめた阪田雅裕氏(弁護士)は、3文書について「憲法の死」とまで言っている(『世界』2月号)。

 改憲勢力は「本格的な死=改憲」へと常に牙を研いでいる。しかし、ことばを返すわけではないが「まだ死んでいない」。いまこのときこそ「改憲阻止」の出番である。

▼勝手なスケジュールを許さない

 新年の新聞紙面で多く見られたのは「解散」だと思う。タガがはずれたような岸田内閣の暴政に「退陣を」の声は明確にある。そうでなくても「大軍拡・大増税というなら国民の信を問え」はまさに正論だ。だからこそ岸田首相も暮れには「軍備増強・増税」ならその前に解散―と口にした。しかし年明けには「一つの可能性」「解散権は首相」と事実上取り下げた。

 首相は「自民総裁任期(24年秋)までに改憲(発議)という方針はいささかも変わらない」と言う(昨年暮れ)。このスケジュールを狂わせ、遅らせ、やめさせる。その具体的な一歩、大きなたたかいの場が「岸田退陣」または「解散で信を問え」であることは確かだ。
 その思いを胸に今年も歩みを始めよう。
管理  
- Topics Board -