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2023/06/11
解散風のリアリズム
 月1回、原則日曜に書いている。
 今日11日の読売1面見出し。「首相、解散時期探る。月内か今秋か」と事実上2者択一を打ち出している。
 「G7サミットで支持率があがってる今だ」VS「いま解散する大義がない(自民内の必ずしも岸田全面賛成ではない諸勢力)」という構図のようだ。
 なお月刊誌『選択』6月号の見出しで目立つのは「6・18大隈講堂解散か」。1週間ない。21日会期末直前の18日、岸田首相は母校の早稲田訪れ講演する。「『大隈講堂解散』があってもおかしくない」というのだが。これは飛ばし記事だろうとは思う。次の日曜には答えがでているが。

 さて筆者は月いちこのサイトで「改憲勢力と改憲反対勢力の対抗構図」を中心にみてきた。
 この間、興味を引いたのは、岸田首相のものの言い方だ。少なくとも昨秋までは国会で「任期中に改憲という思いはいささかもかわりがない」と繰り返していた。昨年10月5日の本会議などがそうだ。

 ところが今年になっては微妙に変化している。「総裁選に当たって任期中に憲法改正を実現したいと申し上げた。改憲に対する思いはいささかも変化していない」(4月25日、自民党憲法改正実現本部の会合)。つまり「いささかも変わりない」は、「任期中改憲」とは切り離している。

 じつはこの手法は今年の憲法記念日に産経新聞に登場した際も同じなのだ。「改憲への思いは。スケジュールは?」の質問にこう答えた。
 「総裁選で任期中に改憲実現と訴え、選出された」。その後の衆院選、参院選は「改憲を公約の大きな柱として戦い、勝利した。「改憲に向けた強い思いはいささかも変わりありません」。
 ただし、「首相の立場で今後のスケジュールなどを具体的に述べることは控え」るという。(しかしそこは産経のこと、「首相 任期中の実現意欲」と見出しはとっている)

 岸田首相は5月26日、改憲派国会議員らでつくる新憲法制定議員連盟で自民総裁としてあいさつしたが、「改憲に強い思いをもって挑戦」と言ったが、おもな報道を見る限り「いささかも変わりはない」と言わなかったようだ。
 率直に言って、「6,7月解散」は来年9月の「総裁任期」まで間がありすぎる。自民が勝ったとしても1年3か月「岸田政権」を1あと1年3カ月維持するのは大変だろう。
 さらに憲法については、改憲反対の前面部隊でも、改憲勢力の執念は警戒はしつつも「強気のリアリズム」という流れがでているのではないか。9条の会事務局、総がかり行動実行委員会共同代表の高田健氏の見解に注目している。5月28日、九条の会東京連絡会の講演を聞いた。
 「国民投票、やるならやってみろとたんかを切る」のでなく「国民投票に持ち込ませないためにどう戦うかが今一番大事」。さらにずばり言う。「(自民総裁任期はあと1年3カ月)この間に改憲派政党の合意が本当にできるか。私はできないと思う」。その理由として「自民 4項目」のひどさ、でたらめさをあげている。

 立場は違うが、放送などのキャスター・辛坊治郎氏は3日のラジオ番組で、公明は「9条堅持」なので合意しないとして「来年9月までの改憲は絶対ムリ」「違えばこの番組降りる」とまで言った。ただ「来年9月までは」の限定付きで、しかも公明がどこまで9条堅持かを見つめなければならぬ。

 ここでもリアリズムの目が求められる。
2023/06/05
終盤国会の課題
 「岸田一家」の官邸・公邸私物化や、ガーシー前議員の帰国・逮捕は、結局、「対決的重要法案」を議論させないで通す世論の目眩ましなのか? 

 もちろん、忘年会だの「常習的脅迫」だの、そのこと自体重要な問題なのだが、何しろ国会も最終盤に入って、重要な問題がいっぱいあるのに放置されてしまっている。
 国の在り方や、人権、国民生活に直接関わるような問題についての議論は回避され、時折反対の動きが伝えられているだけで放置されてしまっている。
 新聞の紙面も、テレビのニュースも、結局「面白いニュース」に占拠され、いま、何が重要な問題なのか、が伝えられていな状況になったのは、今に始まったことではない。メディア自身、商業主義の中に放り込まれ、経営、存続の危機に瀕している。

 ここまできた日本…。だが絶望するわけにはいかない。気づいたことは、発言する。小さな声が、流れになり、それがいつか、力になるはずだ。
2023/05/22
軍事支援の合意に染まったG7
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<G7について報じる新聞各紙>
 広島市で行われた主要7カ国首脳会議(G7サミット)は、ウクライナのゼレンスキー大統領の来日で「対ウクライナ支援」に色濃く染まった。
 報道によると、バイデン米大統領は、ロシアの侵攻を受けるウクライナへの米国製のF16戦闘機を供与に向けて、欧州各国と共にウクライナ軍パイロットの訓練を支援する意向を示した。米国はこれまで、F16の供与に慎重だったが、姿勢を転じた。英国のスナク首相はツイッターを通じて「F16の訓練を容認する米国の判断を歓迎する」と応じ、オランダ、ベルギー、デンマークとも協力して、同軍パイロットの訓練の支援を表明した。
 「核兵器を永久になくせる日に向けて共に進もう」(バイデン大統領)▽「平和のために行動することが私たちに課せられた使命だ」(仏マクロン大統領)――。G7サミット初日の19日、各国首脳は原爆資料館を訪れ、それぞれ芳名録にメッセージを残した。2日目は、異例の前倒しで首脳宣言を発表し、核軍縮について「現実的かつ実践的な方法で核兵器のない世界を実現することに関与する」と強調。そして武器供与や軍事訓練の支援を「合意」して3日間のサミットは閉幕した。
 ロシアが参加していたG8サミットは1997年にスタートし、プーチン大統領がクリミア半島を一方的に編入した14年に終わりを告げた。ロシアのウクライナ侵攻は、冷戦終結後の「G7最大の危機」といわれる。だが、被爆地、広島でのサミットが、武器の供与など軍事支援の話し合いの場になっていいのか。戦争や紛争でこれ以上、命を犠牲にしてはならない。平和的解決のために、核保有国のロシアともチャンネルを持ち、戦争終結へと外交努力をすることが本来の役割ではないのか。
 この間、各市民団体は「核廃絶のための具体策を示していない」など核の問題や気候危機に関する討議の曖昧さを指摘し、シンポジウムや記者会見を通じてG7を批判した。
 国際社会が「平和のために共に進む」ための道筋は、核廃絶であり、それをリードするのが日本の役目。私たち市民も、各国の人々と連帯して、核廃絶の声を上げ続ける必要がある。
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