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2023/06/28
政治の「劣化」を食い止めよう
旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と自民党との癒着、マイナンバーカード普及のための健康保険証の廃止、入管法の「改悪」や「LGBT理解増進法」の強行可決――。民意とかけ離れたことを次々と押し進める現政権。一体、どこを向いて政治をつかさどっているのか。当事者らがいち早く反対の声を上げたLGBT理解増進法(6月16日成立)は、性的少数者に対する理解を広げることが目的なのに、法案の度重なる修正で「差別を助長しかねない」と懸念が残る内容になった。
理由の一つは、「全ての国民が安心して生活できるよう留意する。政府はその運用に必要な指針を策定する」と定めた12条だ。日本維新の会、国民民主党の賛同を得ようとして自民党が両党案を受け入れて新設された。法律が施行されれば、「男性の体を持って生まれたが心は女性」という人も「女湯に入れるようになる」など、誤った言説が流布されたことが背景にある。この条文は、使い方によっては多数派に配慮する規定として機能し、「自治体や教育現場での先進的な取り組みが規制されてしまう」とのおそれがある。同法の成立後、LGBT法連合会のメンバーや弁護士、支援者らが東京・霞ケ関の厚生労働省で記者会見し、「求めてきた法案とは逆の内容。さらなる生きづらさを強いられる」などと訴えた=写真。
首相自身、息子が外遊の際に公用車で観光した疑惑の渦中にあり、さらに新型コロナウイルス禍の下、家族や親族らを集めて首相公邸でパーティーを行うなど「ありえない」ことを次々とやってのけている。
日本の市民社会の成熟度が問われて久しい。だが、政治の「劣化」があまりにも激しい。スマートフォンではなく現実を見よう。そして声を上げて行動しよう。「まずは自分から」と気を引き締めている。
(M)
2023/06/11
解散風のリアリズム
月1回、原則日曜に書いている。今日11日の読売1面見出し。「首相、解散時期探る。月内か今秋か」と事実上2者択一を打ち出している。
「G7サミットで支持率があがってる今だ」VS「いま解散する大義がない(自民内の必ずしも岸田全面賛成ではない諸勢力)」という構図のようだ。
なお月刊誌『選択』6月号の見出しで目立つのは「6・18大隈講堂解散か」。1週間ない。21日会期末直前の18日、岸田首相は母校の早稲田訪れ講演する。「『大隈講堂解散』があってもおかしくない」というのだが。これは飛ばし記事だろうとは思う。次の日曜には答えがでているが。
さて筆者は月いちこのサイトで「改憲勢力と改憲反対勢力の対抗構図」を中心にみてきた。
この間、興味を引いたのは、岸田首相のものの言い方だ。少なくとも昨秋までは国会で「任期中に改憲という思いはいささかもかわりがない」と繰り返していた。昨年10月5日の本会議などがそうだ。
ところが今年になっては微妙に変化している。「総裁選に当たって任期中に憲法改正を実現したいと申し上げた。改憲に対する思いはいささかも変化していない」(4月25日、自民党憲法改正実現本部の会合)。つまり「いささかも変わりない」は、「任期中改憲」とは切り離している。
じつはこの手法は今年の憲法記念日に産経新聞に登場した際も同じなのだ。「改憲への思いは。スケジュールは?」の質問にこう答えた。
「総裁選で任期中に改憲実現と訴え、選出された」。その後の衆院選、参院選は「改憲を公約の大きな柱として戦い、勝利した。「改憲に向けた強い思いはいささかも変わりありません」。
ただし、「首相の立場で今後のスケジュールなどを具体的に述べることは控え」るという。(しかしそこは産経のこと、「首相 任期中の実現意欲」と見出しはとっている)
岸田首相は5月26日、改憲派国会議員らでつくる新憲法制定議員連盟で自民総裁としてあいさつしたが、「改憲に強い思いをもって挑戦」と言ったが、おもな報道を見る限り「いささかも変わりはない」と言わなかったようだ。
率直に言って、「6,7月解散」は来年9月の「総裁任期」まで間がありすぎる。自民が勝ったとしても1年3か月「岸田政権」を1あと1年3カ月維持するのは大変だろう。
さらに憲法については、改憲反対の前面部隊でも、改憲勢力の執念は警戒はしつつも「強気のリアリズム」という流れがでているのではないか。9条の会事務局、総がかり行動実行委員会共同代表の高田健氏の見解に注目している。5月28日、九条の会東京連絡会の講演を聞いた。
「国民投票、やるならやってみろとたんかを切る」のでなく「国民投票に持ち込ませないためにどう戦うかが今一番大事」。さらにずばり言う。「(自民総裁任期はあと1年3カ月)この間に改憲派政党の合意が本当にできるか。私はできないと思う」。その理由として「自民 4項目」のひどさ、でたらめさをあげている。
立場は違うが、放送などのキャスター・辛坊治郎氏は3日のラジオ番組で、公明は「9条堅持」なので合意しないとして「来年9月までの改憲は絶対ムリ」「違えばこの番組降りる」とまで言った。ただ「来年9月までは」の限定付きで、しかも公明がどこまで9条堅持かを見つめなければならぬ。
ここでもリアリズムの目が求められる。
2023/06/05
終盤国会の課題
「岸田一家」の官邸・公邸私物化や、ガーシー前議員の帰国・逮捕は、結局、「対決的重要法案」を議論させないで通す世論の目眩ましなのか? もちろん、忘年会だの「常習的脅迫」だの、そのこと自体重要な問題なのだが、何しろ国会も最終盤に入って、重要な問題がいっぱいあるのに放置されてしまっている。
- 保険証と一体化し、銀行口座まで管理が進む「マイナカード問題」。法案は通ってしまったけれど、こんな状態で本当に実施していいのだろうか? 健康保険との紐付けは、一つ間違えば、「いのち」につながる問題なのだ。
- 外国人の人権などどう扱ってもいいんだ、と言っているような「入管法」の改悪。いわゆるマクリーン事件判決を引いて最高裁が1978年に「国家は外国人を受け入れる義務を負うものではなく、国際慣習法上、外国人を自国内に受、特別の条約がない限り、当該国家が自由に決定することができる」という趣旨の判示をしているのが、「入国管理は憲法以前の国の権限」という理屈になって、憲法31条や13条以下、「国民に保障した人権規定」の適用を奪っているらしいが、そんな話がいま、日本国憲法下で許されるのか?
- 「脱炭素」を口実に、原発活用を「国の責務」などと言い出した原発推進5法案が、反対の声を聞きながら強行成立した。60年超の老朽原発も動かせる…。一体、福島の反省はどこに? 大手弁護士事務所と最高裁の癒着で、事故についての「国の責任」を否定させて安心して居直ったのか? 避難した人たちは帰れず、ふるさとは壊されたまま…。そんな場所をまた作っても、平気なのか?
- 軍需産業強化で、日本を「世界の兵器廠」化し、「死の商人」国家にしてしまう軍需産業支援法案。要するに、これをしないと「新しい資本主義」はできないと言うことなのか? 「兵器のスクラップアンドビルドのためには、地域戦争が必要だ」などとしたり顔で解説して見過ごすわけにはいかない。「国のかたち」に関わる問題だ。
- 「G7までに法案を」と焦って作ったはずなのに、要するに、「差別禁止」でなく「理解増進」とすり替えて平気な「LGBTQ法案」。バラバラと出る違憲判決に、国会は何も考えないのか?
- 鳴り物入りの「少子化対策」。2022年の合計特殊出生率はとうとう1.26まで低下したが、子どもや若者の生活は一向に改善されないままで、予算は先送り。根本的対策は何も打たれていない。
新聞の紙面も、テレビのニュースも、結局「面白いニュース」に占拠され、いま、何が重要な問題なのか、が伝えられていな状況になったのは、今に始まったことではない。メディア自身、商業主義の中に放り込まれ、経営、存続の危機に瀕している。
ここまできた日本…。だが絶望するわけにはいかない。気づいたことは、発言する。小さな声が、流れになり、それがいつか、力になるはずだ。