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2022/10/30
自民党席から失笑の文科大臣答弁
癒着の反省一言もない山際担当相辞任

 臨時国会は始まったばかりなのに、岸田内閣早くも「末期症状」だといっていいでしょう。
 たまたま見ていた参議院予算委員会。野党が(旧)統一教会の名称変更に関わる資料の提出を求めて3か月経っても(資料を)出さない理由について「宗務課の人数が少ない」という答弁をしたのは永岡桂子文科大臣でした。自民党席からも失笑がもれましたよ。
 この大臣、何を質問されても官僚が用意した答弁を読み上げるだけ。質問とかみ合わないこともありましたが、それは違う用紙を読んでいたらしいのです。自民党内からも「こんなに答弁能力がないとは思わなかった」と嘆く声が上がっているそうです。

▼ またまたビックリは、岸田首相の記者会見(10月28日)。宗教法人法に基づく調査の実務を担当する宗務課の人員を拡充する考えを示しました。「従来8人だった人員を来月(11月)には38人にする。法律や会計の専門家の協力を得つつ被害者や旧統一教会問題をよく知る弁護士による団体などからも情報提供を得て必要な協力を得る」といいます。問題は人員拡充でなく、(旧)統一教会問題を解決する「本気度」ではないですか。

▼ 山際経済再生担当相がやっと辞任しましたね。
 岸田首相は10月25日の衆院本会議で謝罪し、「旧統一教会問題への対応や経済対策、補正予算審議に集中することを最優先し、(辞任を)了承した」といいました。
 これに対し野党各党とも、辞任にあたり旧統一教会との癒着への反省がないことを批判し、首相の任命責任を厳しく問うとともに、政府・自民党と旧統一教会との癒着の徹底調査を求めましたね。

▼ 落語家・立川談四楼さんの一言
「山際の辞任は入り口に過ぎない。相撲で言えば平幕だからだ。この先に小結、関脇、大関、横綱が控えている。萩生田光一、下村博文、菅義偉、そして調査は故安倍晋三にまで及ぶだろう。そこまでいかないと被害者は救われないし、国民の怒りは収まらないのだ。もちろん岸田さんの任命責任も強く問われる」

 旧統一教会をめぐっての「国会解散」・・・予感はぼくだけではないでしょう。
(仲)

2022/10/22
統一協会の反共思想
 「政策掲げ 教団側『署名を』 議員側『踏み込んだ関係求められた』」―10月20日付朝日新聞の1面トップの見出し。朝日新聞については、統一協会問題は「全体として消極的ではないか」との批判もあったが、21日付では、他紙も揃ってこれを追いかけ、朝日新聞はこの特ダネで、間違いなく「統一協会報道」レースのトップに躍り出た。

 統一協会問題とは何か。それは、単にマインドコントロールで『信者』を獲得し、多くの家庭を崩壊させ、被害者を創り出す、という問題にとどまらず、「反共」「右翼」「復古主義」「国家主義」思想で、日本の政治・社会を支配しようとする「宗教団体」と称する組織の実に巧妙で複雑な思想運動である。メディアは、その実態を一層明確にしていかなければならない。
 報道によると、統一協会が自民党と交わしていた「政策協定」は「世界平和連合」の名前で出された推薦確認書である。

  推薦確認書
 以上の趣旨に賛同し、平和大使協議会及び世界平和議員連合に入会するとともに基本理念セミナーに参加する。

 統一協会問題がわかり難い理由の一つは、この団体、「友好団体」とする多くの団体を周辺に置き、実はすべて一体の「ヤマタノオロチ」組織であることだ。ここに登場した「世界平和連合」とか「平和大使協議会」「世界平和議員連合」もその一部だ。
 統一協会は「世界基督教統一神霊協会」として、1954年5月、みずからを救世主だとする文鮮明によって設立されたが、世界は「東西冷戦」の時代。ソ連勢力圏・第3勢力諸国の拡大に対する米国を中心にした、国際的な「反共運動」は、汎米会議のカラカス宣言、米国のSEATO提案など、さまざまな形で現れつつあった。
 日本でも日米安保条約の改定が提案され、大きな反対にも拘わらず、強行され、現在に至る米億従属の枠組みが作られてしまったが、安保反対運動の高まりを経験した若者達の「心の空白」に、統一協会の「原理運動」がしのび込んでいった。その一方、「反共思想」の枠組みの中で、1968年1月、「国際勝共連合」が誕生した。

 「本連合の目的は、勝共理論により国民を啓蒙し、当面日本を革命から守り、共産主義を日本から一掃することにある」(76年「勝共救国大会」の「提言」=茶本繁正著「原理運動の研究」から)

 勝共連合はその後、「スパイ防止法制定」の地方議会決議運動を全国で展開したり、選挙では、街頭演説に動員したりする行動で目立っていたが、「勝共」の名前をいつの間にか消して、「世界平和議員連合」「平和大使協議会」などと名乗って、自民党などに浸透しているのが、現在の状況だ。

 いま、この組織が中心的に取り上げ、動いているテーマが、この「確認書」にある「家庭教育支援法」「青少年健全育成基本法」や「LGBT」、「同性婚合法化」の問題。統一地方選では、こっそり、この課題を「形」「成果」にしようとするだろう。

 安倍政権時代、「日本会議」が問題になった。この母体になった組織に「日本を守る国民会議」と「日本を守る会」があったが、「勝共連合」は「スパイ防止制定法運動」などで、これらの組織とも友好関係があり、現在に至っている。
 表面上の名前に惑わされず、この「反共・復古主義」について、きちんと拾って、広く伝え、どこででも問題にしていく。そんな姿勢が求められている。
2022/10/10
岸田首相の改憲フレーズ「議論」から「発議」に
首相の改憲フレーズが変わった…

 9月27日の安倍元首相「国葬強行」から、10月3日からの臨時国会へ-憲法を念頭に振り返ってみる。
 国葬強行でまず踏みにじられたのは憲法だったといっていい。思想信条の自由(19条)、法の下の平等(14条)。元首相を送る防衛省音楽隊が奏でたのは、1942年大日本帝国の軍楽曲「国の鎮め」だった。
「戦争放棄」「軍備不保持」の憲法の精神は冒頭から吹き飛んだ。

▼逆風の中で「強気」

「国葬」の6日後に参院選後の国会(臨時国会)がようやく開かれた。「国葬の高揚」を国会へつなげたかったのかもしれないが、そうはいかない。「国葬強行」「統一協会問題」「物価高騰」などなど、首相を迎える逆風は並みではない。
しかし首相の言動は部分的には極めて強気だ。3日、所信表明の最後の項目で岸田首相は改憲問題で「踏み込み」をした。「発議に向け、国会の場においてこれまで以上に積極的な議論が行われることを期待します」と冒頭に「発議」をもってきた。

21年秋の総選挙で首相率いる自民党など改憲志向勢力は3分の2を超えた。ただ直後の臨時国会所信表明では、「憲法審査会で、各政党が考え方を示した上で、与野党の枠を超え、建設的な議論を積極的に深めてもらうことを期待する」だった。
ことし1月の通常国会施政方針演説でも「憲法改正に関する国民的議論を喚起していくには、国会議員が国会の内外で議論を積み重ねていくことが必要だ」。まだ「発議」は口にしていない。

しかし今年の参院選での「勝利」が改憲への弾みとなったことは疑いない。投票日翌日7月11日の記者会見。首相は冒頭の総論では憲法について「国会の議論をリードしていきたい」だった。
ところが改めて質問が出ると「3分の2の賛成を結集し、できる限り早く発議に至る取り組みをすすめていく」に変わった。ことばを継ぐと強さが増す。
ほぼ3カ月たってようやく始まった臨時国会。首相の所信表明演説では「発議」が定着した感がある。
「発議に向け、国会の場において、これまで以上に積極的な議論を」

▼だんだん強くする手法

代表質問は一問一答式だが、相手に応じて「だんだん強くしていく」手法をとる。自民の別働突撃隊ともいえる維新の会・馬場書記長は、軍拡をあおったあげく「いつまでの国会発議をするのか」とねじを巻いた。
振り返れば首相は21年秋の自民総裁選の討論などで、改憲について何度か「総裁任期中(24年9月まで)にめどをつけたい」と発言している。馬場質問に対しては、それを踏まえて「思いは変わらない」と応じた。

 図式的にいえば、あと2年の勝負だ。

しかし現実の政治と国民のダイナミズムはどうだ。冒頭の3課題だけではない。「ウクライナ問題でどんな役割を果たすのか」「まだアベノミクスを続けるのか」「コロナ対策はあまりにも成り行き任せ」などなど。内閣支持率はメディアによっては3割を切る危険水域だ。

来年の日本・広島での「サミットの成果」で解散、などの観測さえある。国民の意思と行動があれば「2年勝負」はいくらでも押し返せるし、狂う。勝負そのものもつぶせる。
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