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2023/04/02
韓国・朝鮮人元BC級戦犯の補償問題
4月1日をメモリアルデーに
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韓国のドキュメンタリー番組で証言する李鶴来さん
 韓国・朝鮮人元BC級戦犯に対する謝罪と補償を求める「同進会」が4月1日、結成68年を迎えた。長年、闘い続けた当事者が次々とこの世を去ったいま、その遺志を継ぐ支援者らが結成の日である4月1日を「韓国・朝鮮人元BC級戦犯被害者を想起する日(仮称)」として毎年、記念の行事を行うことに決めた。1回目の今年は、韓国のMBCが制作したドキュメンタリー作品「忘れられた戦争 もう一つの叫び」(1993年)がオンラインで日本初上映された。
 戦時中、朝鮮半島から2000人以上が軍属として捕虜収容所などに派遣された。戦後の連合国側の軍事裁判で148人が戦犯に問われ、死刑が執行されたのは23人にのぼる。 番組では、同進会の創設メンバーで、「犠牲になった仲間の名誉回復のために」と補償運動に身を投じた在日韓国人の李鶴来(イ・ハンネ)さん(2021年3月、96歳で死去)らの生活を追う。李さん自身、17歳のときにタイに送り込まれて泰緬鉄道建設の管理業務に従事させられ、一度は死刑判決(その後、減刑)を受けた。
 李さんは、シンガポールのチャンギ刑務所で処刑された朝鮮半島出身の同胞の写真を大切に保管していた。最後の夜、林(リム)という名のその同胞は、「みんなに伝えてほしい。私はそんなに悪い男ではなかった」と語った。
 命をつないだ李さんたちも、日本では国籍条項の壁で政府の援護や補償から排除されてきた。裁判で闘い、「この不条理を理解してほしい」と立法による解決を訴え、救済法案がつくられたものの、棚上げになったままだ。
 一方、元戦犯らについて韓国政府は2006年、「強制動員の犠牲者」と初めて認定した。
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オンラインによる放映の後、当時の状況を解説する内海愛子さん=東京都内で
 同進会を応援する会の代表で、恵泉女学園大名誉教授の内海愛子さんは「この問題を忘れてはいけない。当事者の無念の気持ちを受け止め、立法運動への決意を新たにしたい」という。
 なお、4月5日午後2時半から東京・永田町の衆院第二議員会館で、この問題の早期立法を求める集会が開かれる。
2023/03/27
見落とすな! 24年10月に向けて 
「24年10月」の意味するもの

 筆者は月1回のこの稿で、改憲勢力の戦略とどう対峙するかを基本視点としてきた。今回も変わらない。

 とにもかくにも「24年10月」が一つの焦点だ。21年の自民総裁選で岸田氏をはじめ各候補は「(24年10月までの)任期中に改憲を」と公約した。自民のリーダー岸田首相は「24年の自民総裁選でどう再選を果たすか」と「24年秋までの改憲公約をどうするか」の両立という方程式を解かねばならぬ。
 今年5月の「広島サミット」は(「必勝しゃもじ」のおかげかどうか)まあ終えるとする。ではその1年4カ月後に迫った「焦点の日」に向けてどうするか、一つの方法は「解散」して新勢力のもとで「岸田首相」を継続させることだが、そうなったらなったで「自民総裁任期」=「改憲公約」の24年10月は変わりなく迫る、岸田首相にとって最も気になる「日付」なのである。

 23年春の岸田首相について、リアルな政治論評はこういう。「岸田の本性は『タカ派の軍事好き』」「岸田の安定は幻想にすぎない」(『選択』3月号)。頭の隅においておこう。

 あらためて改憲攻防の場のひとつである国会の憲法審査会をみてみよう。
 3月9日、衆院憲法審査会を例にとる。自民、公明、維新、国民民主、有志の会の5会派は「緊急事態条項創設」を改憲の突破口にしようとした。〝災害などで選挙が実施できない場合、国会議員の任期延長を認める〟規定が柱だ。だがこれは事実の前ではあまりにももろい。当然「東日本大震災でも、コロナでも、緊急事態条鋼がなかったから対応できないという問題はなかった」(共産党・赤嶺政賢議員)と反論された。

 小林節・慶応大名誉教授は「かつて自民党の憲法論の相談にのってきた」という人だが、その小林氏は、自民が2012年の改憲案の4点をいま強調していることに対して日刊ゲンダイ2月28日付でこういう。
  1. 自衛隊明記=海外派兵を可能にするもので許されない
  2. 緊急事態条項=東日本大震災の経験を見ても内閣独裁体制になるのはだめだ
  3. 参院合区=自民世襲体制の温存だ
  4. 教育充実=そもそも改憲を必要とするものではない。要するに論理総崩れなのだ。
 しかししかし、改憲勢力が国会で3分の2を占めていることは確かだ。
 岸田首相も「任期中の改憲」の看板をおろしてはいない。
 それでもわれわれはなお「大軍拡反対」「憲法守れ」の2大スローガンは国民多数を結集しうる。
 「24年秋」に向け、まずあると思われる解散を含め、まさに正念場だ。
2023/03/22
「岸田首相・キエフ訪問」でいいのか?
 岸田首相のウクライナ訪問が話題になっている。「ようやく訪問できた。まず、よかった」という意見が大方の見方らしい。だが、本当にそうだろうか?
 岸田首相がウクライナの訪問をするということは、少なくともロシアの侵略に反対し、この部分でウクライナの側に立つ、と言うことなのだろうが、一つ考えなければいけないのは、日本の外交姿勢として、どうなのか、ということだ。

 ウクライナ戦争の背景についてはここではあえて置く。しかし、ここで日本が示さなければならないのは、力による秩序の建設については断固反対し、NATOの側にもロシアの側にも立たないということではないだろうか。否応なく戦争に引きずり込まれたウクライナの民衆を支援し、何としても戦争を終わらせるために尽力することではないだろうか。
 ところが日本は、このウクライナ問題を契機に、大きく軍事的な立ち位置を、「西側」に傾斜させ、「米国」の「代貸し」として、活動している。その象徴が、ウクライナ訪問だったのではないだろうか。

何があったのか…? 
 米国が狙ったのは、日本をフルに使ってのアジア太平洋地域における中国包囲網つくりだ。言うまでもなく、アジアで影響を持っているのは、ASEAN(東南アジア条約機構)。しかし、この組織は軍事同盟ではなく、「反米」でも「反中」でもない。米国にしてみれば、この状況の中で、アジア版NATOで、米国覇権を実現するには容易ではない。
 米国は日本を使って、様々に「工作中」だ。クワッド(日、米、豪、印)の首脳会議(昨年5月)を開き、連携を強化。そして、岸田首相は「G7議長国」を売り物に、日本の首相としては初めて、NATO首脳会議に出席(昨年6月)、オーストラリアとの間でも「日豪同盟」を結び、「安全保障協力に関する日豪共同宣言」(昨年10月)を締結した。
 米国の動きに忠実な日本として露骨だったのは、「G20」についての対応だ。日本はこの3月、「G20」の外相会談に、林外相を出席させず、副大臣でお茶を濁した。問題になって慌てて首相がインド訪問で修復を図った。
 北朝鮮のミサイル実験が続いている。米国にしてみれば、日韓関係が聞く酌しているのが気がかり。そこで、ユン大統領に働きかけ、懸案の「徴用工問題」を解決をはかった。GSOMIA(軍事情報共用協定)を復活させた。日本は、問題は日本企業に始まっているのに、当然のことのようにとぼけている。

ロシアのウクライナ侵攻の今後は誰にもわからない。ただはっきりしているのは、双方の戦争で、犠牲になっているのはウクライナの民衆だと言うことだ。どうであれ、戦争をやめさせること。停戦を実現すること。支配者に人権弾圧をさせないこと。
 …「憲法9条」を「国是」とし、政府の行為によって戦争の惨禍が起きることをやめさせることを決意した日本国民としては、いま、しなければならないことは、そのための働きかけしかないではないか。
 いろいろ言われているが、中国の習近平主席はロシアを訪問し、話し合いに入っている。
誰の仲介でもいい。とにかく戦争をやめること。そのために、日本外交の力の全てを注いで、戦争終結にはたらいてほしい。それが国民の願いである。
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