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2022/08/07
55年前、百貨店屋上から舞ったビラ
1967年10月31日午後2時10分、大阪・梅田の百貨店屋上から100枚ほどのビラが舞った。吉田茂(戦後2度にわたって首相)の「国葬」での「黙祷」の時刻だ。書いたのは私。顛末は以下である。大阪の小さな大学の学生自治会の書記長をしていた。敷地は国立大でもっとも狭く2㌶なかった。学生の不満は大きく、施設改善要求で教官とともに文部省に交渉したりした。ベトナム戦争反対など政治的主張もデモなどでぶつけた。自治会活動としては大阪市内で一番まともだったろう。
国葬の前日、自治会室の電話が鳴った。三大紙の一つの大阪社会部からで、「あす学生自治会として何かしますか」と聞く。大学は午後半休だが、国葬反対で学生集会、というまでの高まり、パワーは正直なかった。その辺の事情を説明していて、ふと「あした一斉黙祷のとき、H百貨店の屋上からビラが降ってくるかもしれませんよ」と口にしてしまった。
当日朝から意を決して、下書きもなくガリを切り始めた。「真に哀悼の意を表さるるべきは」と書き出した。それは安保条約で日本を売り渡した吉田などでは絶対ない、内外の戦場で命を奪われた兵士、原爆や空襲で殺された国民ではないのか、ということをいろんなフレーズで繰り返した。全部で30行ほど。
わら半紙の半分に、100枚ほど刷った。2時が迫る。自治会室周辺にいた1年先輩の男子に同行をたのんだ。大阪駅前には電車1本では行けない。タクシ―を拾った。大阪駅前のH百貨店。屋上は遊具はもはやなく、園芸コーナーのようなものがあったか。
屋上の柵からは駅前が見下ろせた。2時10分、先輩に見張りを頼み、ザックの中から、ビラをつかんで2回に分けて放り投げた。ビラはどっちの方向にどう飛んだか、覚えていない。地上におりてビラを確かめたかの記憶もない…。
翌日の新聞には何も載っていなかった。その新聞からの電話もなかった。
おい、幻想ではないのか。いや、ビラの束が私の手を離れたときの感覚はまだ残っている。
なぜこんなことを思い出したか。8月初め、前川喜平・元文科次官の講演を聞いた。最初は「統一教会の名称変更、私は1997年文化庁宗務課長の時にはダメだと言ったのに、2015年には『世界平和家庭連合』に変えられた。次官か大臣(当時は下村)がOKしたのだろう」「何らかの政治的圧力があったと思う」という話。5日の国会での野党ヒアリングでも同趣旨の発言をした。忖度なく率直に言う姿勢はそのままだ。
前川氏の講演でひとつふうんと思うことがあった。2006年第一次安倍政権時代の教育基本法改悪(この時前川氏は初等中等教育局長で直接の関与はなかったとのことだが)の際、自民党内閣でもさすがに教育基本法に「天皇への敬愛』は書き込めなかったと指摘した。
氏は憲法についても「天皇は象徴」「国民の総意に基づく」とあって、敬愛までは言ってないと解説した。前川講演全体として、公務員生活のなかで憲法全体をよく熟知しているなと感じた。
講演で前川氏は9月の安倍元首相「国葬」について「当然反対」とのベ、憲法の精神の一つである「内心の自由」という言葉を口にした。
「国葬」で「内心の自由を蹂躙されてたまるか」という思い――それが冒頭の55年前の体験と記憶を呼び起こしたという次第だ。
2022/08/02
ミャンマー国軍による弾圧に抗議
日本人男性の釈放を求めて集会
外務省前で行われた抗議集会=7月31日(保芦宏亮さん提供)
ミャンマーの最大都市ヤンゴンで7月30日、国軍に対する抗議デモを撮影していた日本人男性が治安当局に拘束された。ミャンマーメディアの報道によると、フリーランスでドキュメンタリー制作をしている久保田徹さんだと見られる。昨年2月に国軍がクーデターで実権を掌握してから1年半。ミャンマー市民の自由や人権、日本人男性の早期解放を求めて、日本でも集会やデモが行われている。東京都千代田区の外務省前で31日、日本人男性の拘束に抗議する緊急集会が行われ、在日ミャンマー人を含め約100人が、「日本政府はすぐ解放されるよう、ミャンマーの軍部に圧力をかけろ」などとシュプレヒコールを上げた。集会は、ミャンマー料理研究家で僧侶の保芦宏亮さん(52)がSNSを通じて呼びかけた。クーデター当時、ミャンマーに滞在中だった保芦さんは「軍による抑圧の状況を目の当たりにした」といい、帰国後はミャンマー人らの支援活動に力を注いでいる。集会にはクーデター後の昨年2月と4月、やはりヤンゴンで拘束されたジャーナリスト、北角裕樹さん(46)が駆けつけた。2度目の拘束時、「虚偽ニュースを拡散した」として逮捕、訴追され、約1カ月にわたって収監された北角さんは、「どうしてデモや取材をしたことが罪になるのか」「誰一人、命を落とさないように願いたい」などと力を込めた。
ミャンマー国軍は、クーデターの強行に伴い、1年間の期限で発令した非常事態宣言を、来年2月1日まで6カ月延長すると発表し、司法、立法、行政の全ての権限は、ミンアウンフライン最高司令官が握っている。現行憲法では、非常事態宣言の期間は原則1年で、延長は最長2年まで。その後は6カ月以内に総選挙を実施すると規定され、国軍は2023年8月1日までに総選挙を行う必要がある。日本政府やASEAN諸国がこの問題にどう対処するかを注視しなければいけない。
ウクライナではロシア軍の侵攻により、多数の命が犠牲になり、生活が破壊されている。日本国内では、核兵器の廃絶、脱原発、反基地など、課題は山積しているが、どれか一つでもいい。それぞれが、こうした問題に関心を持ち、行動を起こすことで、社会は変化する。そのためには、紛争地や戦地を訪れ、果敢に報道するジャーナリストらを、市民社会が後押しし、時には守ることが重要だ。
今夏で敗戦から77年。平和は市民が創るものだということを改めて肝に銘じたい。
2022/07/25
安倍元首相の国葬に異議あり
こんなことから書きはじめていいのだろうか。この数週間、さまざまなことが頭の中を駆け巡っている。▼ まずは、安倍元首相を銃撃した山上徹也容疑者のこと
「山上」という名を目にしたのは二度目である。
最初は映画界の大先輩につれられて世田谷の成城にあった映画監督・マキノ正博邸を訪ねたときである。話好きの監督は(映画創成期の)マキノ映画のことを話し始めた。「散歩中の神社でよれよれの羽織をまとった青年に出会ったのだ」「大事そうに懐に脚本を持っていた。タイトルは“浪人街”」「無声映画時代の代表的な作品になった。その青年の名は山上伊太郎」だという。
マキノ映画で連作になっている。内容は庶民を泣かせる悪旗本を懲らしめる浪人たちのはなしである。なにかで読んだがラストシーンに「浪人街の白壁に いろはにほへとと書きました」という文字が映し出されたという。斬り合いが終わって穏やかな日常に戻った様(さま)を描こうとしたのだろうか。山上伊太郎・・・忘れられない名である。山上伊太郎は京都生まれ。映画史に残る人物である。
検察は山上徹也容疑者を精神鑑定するとか言っています。まさか「精神異常者」にでもするつもりではないだろうね。目が離せません。
「山上」という名を目にしたのは二度目である。
最初は映画界の大先輩につれられて世田谷の成城にあった映画監督・マキノ正博邸を訪ねたときである。話好きの監督は(映画創成期の)マキノ映画のことを話し始めた。「散歩中の神社でよれよれの羽織をまとった青年に出会ったのだ」「大事そうに懐に脚本を持っていた。タイトルは“浪人街”」「無声映画時代の代表的な作品になった。その青年の名は山上伊太郎」だという。
マキノ映画で連作になっている。内容は庶民を泣かせる悪旗本を懲らしめる浪人たちのはなしである。なにかで読んだがラストシーンに「浪人街の白壁に いろはにほへとと書きました」という文字が映し出されたという。斬り合いが終わって穏やかな日常に戻った様(さま)を描こうとしたのだろうか。山上伊太郎・・・忘れられない名である。山上伊太郎は京都生まれ。映画史に残る人物である。
検察は山上徹也容疑者を精神鑑定するとか言っています。まさか「精神異常者」にでもするつもりではないだろうね。目が離せません。
▼ 次は統一教会
労働組合の役職を降りて現場復帰(ワイドショープロデューサー)して間もなく出くわしたのが韓国で行われた「合同結婚式」。有名タレントが参加するというので各局とも大騒ぎ。取材許可がいるという。統一教会広報部と連絡とり合うのはプロデューサーの役目。当時は「霊感商法」が問題視されていた。弁護士の紀藤正樹さんや(当時評論家だった)有田芳生さんにコメンテーターの役割をお願いしたものだ。
ご両人はあらためて番組に登場して世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)会長の発言に対して「誠実さを欠く」「大事なことについてきちんと説明していない」と鋭く批判している。ご両人の出演に横槍が入る可能性は十分ある。報道関係の皆さん、一過性の報道で終わらないようにしてほしい。
労働組合の役職を降りて現場復帰(ワイドショープロデューサー)して間もなく出くわしたのが韓国で行われた「合同結婚式」。有名タレントが参加するというので各局とも大騒ぎ。取材許可がいるという。統一教会広報部と連絡とり合うのはプロデューサーの役目。当時は「霊感商法」が問題視されていた。弁護士の紀藤正樹さんや(当時評論家だった)有田芳生さんにコメンテーターの役割をお願いしたものだ。
ご両人はあらためて番組に登場して世界平和統一家庭連合(旧・統一教会)会長の発言に対して「誠実さを欠く」「大事なことについてきちんと説明していない」と鋭く批判している。ご両人の出演に横槍が入る可能性は十分ある。報道関係の皆さん、一過性の報道で終わらないようにしてほしい。
▼ 統一教会の名称変更は下村文科相(当時)下の認証だった
しんぶん「赤旗」によれば、霊感商法など反社会的活動が問題になってきた
旧統一教会が2015年に正式名称を「世界平和統一家庭連合」に変更した問題で、下村大臣は事前説明を受けていたという。文科省の外局である文化庁は「教義など団体の実態に変化がないと名前は変えられない」と申請を拒否してきたのにだ。その下村氏の選挙区支部は統一教会から献金を受けていた。統一教会の支援を受けている自民党議員は少なくない。
しんぶん「赤旗」によれば、霊感商法など反社会的活動が問題になってきた
旧統一教会が2015年に正式名称を「世界平和統一家庭連合」に変更した問題で、下村大臣は事前説明を受けていたという。文科省の外局である文化庁は「教義など団体の実態に変化がないと名前は変えられない」と申請を拒否してきたのにだ。その下村氏の選挙区支部は統一教会から献金を受けていた。統一教会の支援を受けている自民党議員は少なくない。
▼ 安倍元首相の国葬に 異議あり
神戸学院大学教授(憲法学)上脇博之さんは言っています。
いま国をあげてやるべきなのは、安倍氏の安保法制=戦争法の強行や「モリ・カケ・桜」の政治の私物化問題の総括と真相解明のほか、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の広告塔として被害を拡大させてきた責任の追及です。安倍氏の「国葬」はそれに蓋をすることになりかねません。と
神戸学院大学教授(憲法学)上脇博之さんは言っています。
いま国をあげてやるべきなのは、安倍氏の安保法制=戦争法の強行や「モリ・カケ・桜」の政治の私物化問題の総括と真相解明のほか、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)の広告塔として被害を拡大させてきた責任の追及です。安倍氏の「国葬」はそれに蓋をすることになりかねません。と
疑惑の真相解明にふたをさせてはなりません