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2022/05/22
改憲4党に批判集中を
いつの間にか、九条改正論議!
 制定75年の憲法記念日を迎えた有明の集会で、「日本国憲法9条はいま、戦後最大の危機を迎えています!」と声をあげたのは、改憲問題法律家6団体連絡会の大江京子事務局長。大江さんは、ウクライナ危機に便乗して、自民党などが「9条では国は守れない」とキャンペーンしていることを上げたのだが、5月12日、19日の憲法審査会で、自民党の九条への自衛隊明記論に関連して、自民、公明、維新、国民の各党・会派が、憲法審査会を舞台に、改憲を動かそうと画策していることが明らかになった。

▼乱暴な9条改正論議
 新聞各紙は「9条改憲、各党違い鮮明 参院選控え、本格議論 衆院憲法審」(毎日)「衆院憲法審で9条議論 自、維『自衛隊明記を』 立民など反対『否決なら自衛隊違憲に』9条で論議」(東京)=いずれも13日付、「自民ペース、改憲議論盛ん 審議13回、維新も9条改正案 衆院憲法審査会」(朝日、20日付)などと取り上げ、アピールに努めている。しかし、この審議、憲法審査会でのルールに反した乱暴な議論だ。
 参院選を前に、立憲野党の統一を壊し、逆に9条改憲の足がかりを作ろうという画策を許すわけにはいけない。改憲4党のタッグに警戒を強めよう。

▼壊される「話し合い方式」
 そもそも憲法審査会は、改憲案発議のための期間として生まれているが、それだけに発足当時の中山太郎会長の提案「中山方式」で、単純な多数決による国会運営はしないことを約束、審議についてもたの委員会とは違う運営が心がけられてきた。ところが、昨年の国会で「改憲手続き法」(国民投票法)では、「CM規制などについては概ね3年をメドに結論を得る」との付則が作られた修正が行われた。
 ところが、この修正について議論するどころか、自民党はそれをつまみ食いした修正案を提出。参院選前に、問題を「解消」しようと画策。一方で「自由討議」と称して、審議会を開いて持論のPRに努める、と言う対応を始めている。油断すれば、いつ「取りまとめ」と称して、多数決で、議論をまとめかねない状況だ。

▼自民党にすり寄る「改憲4党」
 昨年秋の総選挙後の情勢ではっきりしてきたことは、①「維新の会」が自民党の改憲案に同調し、ほぼ同一の自衛隊明記路線を明らかにしたこと、②国民民主党が予算に賛成するなど、ほぼ完全に「与党路線」に踏み切ったこと、③公明党が「九条堅持」から、北側一雄・公明副代表が「個人的意見」としながら「自衛隊の統制明記」を言い出すなど、「揺れ始めている」こと―など。
 この結果、市民連合と党の政策合意は、5月9日、シンポジウムで「合意」できたものの、「国民」「れいわ」は不参加のまま。現場の1人区各区での統一論議に委ねられることになった。各地での市民連合の役割がますます大きくなった、とも言えそうだ。
 
 それにしても、メディアの扱いはひどい! 市民連合と立憲野党の「合意」は、ほとんど伝えず、「改憲4党」の「憲法9条論議」は、批判抜きで大きく扱う。一体これでいいのだろうか?
2022/05/14
孫娘と東大教授 ~憲法施行75年の5月に~
憲法とおなじ齢… 孫娘には宿題が出た…。
 マンションの隣の号棟に娘一家が住み、小6の娘がいる。顔をあわすのは月3,4回か。私のスマホに娘から動画が送られてきた。孫娘のクラスで日本国憲法前文を暗唱しようという課題が出て、クラスで一番にできたそうな。「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し…」以下1分50秒。憲法施行75年の5月のうれしいできごとだった。なお私はこの憲法施行の1947年生まれである。高校同期500人のうち名前に「憲」のつく同級生が5人いる。

《東大教授は高校後輩》
もう一つうれしいこと。この日の朝日新聞に石川健治・東大法学部教授の発言がでていた(聞き手は新聞労連委員長を務めたことがある豊秀一編集委員)。石川氏は私の高校の14年下で、数年前の講演を聞いたあと、あいさつしたことがある。
この記事、いくつかのほう、へえがあった。⇒は私のつぶやき。
★明治の首脳たちは「国防目的だけでない観点を、彼らはもちあわせていました」「伊藤博文が特にそうです」「彼が中心になって起草した憲法には、天皇制をてこにした、文明化の実験と言う側面があった」(⇒伊藤博文についてもう少し勉強してみたくなった)

★9条2項にある「陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない」について。「ここでいう『その他の戦力』とは、かつて富国強兵。殖産興業という形で、軍国主義と開発主義が癒着して形成された、軍産複合体の禁止を意味している」(⇒正直これは初めて接した。これも勉強してみよう)
★「9条は理想主義」論について。「議論の次元が間違っている」と正面から切り返す。以下の展開。「9条は国防の手段を定めた条文ではありません。軍事力を制し自由を確保する、立憲主義の統治機構を構築するための条文です」。しかし、国家は「国民に安全を提供する義務があります」。「憲法によって許容される範囲内で、あの手この手を使って、政治的・経済的・社会的な安全を確保しなくてはなりません」。
「自衛隊を9条に明記する」主張について。「日本の立憲主義を挫折に追い込んだ帝国主義・軍国主義が、全て9条によって吹き飛ばされたのです」「それを不用意に動かすのは不可逆的な改正となりかねません」(⇒剛直で小気味よい9条擁護論だ)
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《鬼才》
今回は紹介にとどめる。もっと話題になり、深められたらと思う。補遺1=ウィキぺディアによると西原博史・元早大教授は石川氏を「現代憲法学の鬼才」と評した。補遺2=私が「高校部活は?」と聞いたら「剣道部」。この記事の写真の眼は「青年剣士」のそれである。補遺3=石川氏は同日のNHKテレビの憲法コーナーにも出演。朝日と同趣旨のことを語っていた。ただテレビは字幕がでても、やや「難しい感」があった。
2022/05/06
祝 日本国憲法施行75周年
改憲を許さない運動を広げていこう! いまこそ

▼ 憲法施行から75年を迎えた5月3日。
全国各地で「憲法を守り生かそう」とアピールする集会が行われた。東京は有明防災公園で3年ぶりに開催された「会見発議許さない!守ろう平和といのちとくらし2022憲法大集会」には1万5000人が参加した。(本欄「点描」参照)。
 ぼくが(司会役で)参加したのは横浜駅前。晴れた5月の青空の下でリレートークあり、合唱あり、腹話術ありで1時間はあっという間に過ぎた。

▼ 直近のいくつかのことを振り返ってみる。
〇 4月28日。改憲問題対策法律家6団体と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」は国会議員会館前で「憲法審査会で何が語られているか・緊急集会」にとりくみ、「改憲ありきの議論やめよ」「審査会の強行許せない」と訴えた。
 総がかり行動の高田健共同代表は「与党などが数の力で乱暴な運営をしている。参院選で立憲野党が3分の1以上を確保し、改憲を許さない運動を広げよう」と訴えた。
 改憲問題対策法律家6団体連絡会の田中隆弁護士は、「参議院の憲法審査会では、オンライン国会について“多数決でのとりまとめの強行”はされなかった。衆議院では今日(4月28日)で11回目の審査会が開かれる。憲法9条の“明文改憲”への地ならしをしようとしている。ロシアのウクライナ侵攻を口実に、憲法に緊急事態条項を明記することは明文改憲につながる」「改憲手続き法案はCM規制や最低投票率がないなどの欠陥がある。CM規制、ネット規制など抜本的にかいせいすべき」と述べ、「憲法審査会の実情を知らせ、改憲を許さない運動を広げていこう」と呼びかけた。

〇 ロシア正教会司祭 ウクライナ侵攻を批判 投獄も覚悟
 5月4日 AFP=時事
ロシア正教会のゲオルギー・エデシュテイン司祭は、ウクライナでのロシアの軍事作戦に反対している。だが、「異論を唱える人との議論は歓迎だ」と自宅の肘掛け椅子を指さし、「反対派の一人や二人はここに座っていてほしい」と話す。
ウクライナ侵攻に反対の声を上げたロシア正教会の聖職者は、一握りしかいない。白いひげをたくわえ、黒い祭服を着たエデリシュテイン司祭は、震える声で、しかし、ためらうことなく主張する。「私は、悪い司祭なのだと思う。すべての戦争に反対してきたわけではないが、侵略戦争には常に反対してきた」「ウクライナは独立国家だ。彼らが必要と考える国家を築かせればいい」。
首都モスクワから車で6時間、コストロマ州のボルガ川沿いにあるノボルベールイカ―メニ村でAFPの取材に語ったという。
「NO WAR!」の声 ロシアに広がるか。

〇 いま(5日)届いたAFP=時事
 ロシア マリウポリ製鉄所での停戦発表 民間人避難へ
 ロシア国防省は4日、ウクライナ南東部マリウポリのアゾフスターリ製鉄所で停戦を実施し、民間人を避難させるための人道回廊を3日間にわたり設置すると発表した。同省によると人道回廊は5日~7日、モスクワ時間の午前8時~午後6時に設置される。という。
 予断は許されない事態は続きますね。
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