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2022/07/08
ノーパサラン! 奴らを通すな! 
   参院選投票日 問われる「憲法」、「9条」 

★ 参院選。たしかに「平和と暮らし」が焦点なのだが、その土台としての「憲法」が大きく問われている。9党党首が出席した3日のNHK日曜討論は、最後のテーマが憲法だった。自民党は改めて「4項目」を持ちだし、複数の野党は「改憲反対、9条を生かした日本に」と主張した。「9条2項(戦力不保持)」廃止をと主張する特殊部隊(NHK党党首)もいた。

★ そういうもとで朝日1日付オピニオン&フォーラムの佐伯啓思「『普遍的価値』を問い直す」を読む。保守論客といわれる人だが、正直いつもよくわからない。

 今回の論は、アメリカ、ロシア、中国、そしてEUでさえ「一種の帝国化」と指摘する。そういうもとで「日本はどのように国を守ればよいのか」と問う。
 氏は憲法前文から2カ所を引く。「いずれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならない」。だから世界平和のためにも悪とたたかう必要がある、と。それはいい。もう1カ所前文の「平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して」を引いて「だが今日の世界でもはやこの条件は成立しない」と断じる。

 佐伯氏よ待ってくれ。戦後翌年にできたわが憲法は、各国単位のことを言ってない。あくまで「諸国民」なのだ。いま世界の諸国民は「平和を愛」してないというのか。そうではなかろう「平和を切望」してるのだ。前文の読み誤りから悲観主義におちいってはならない。前文のこの箇所は「成立していない」どころか、ますますわれわれが依拠しなければならないフレーズだ。

★ 同じ朝日が今年の憲法記念日に発表した世論調査を、世論調査部記者が分析している(5月16日付)。「『改憲必要派」は56%、比較できる2013年以降で最多」。だが改憲必要派でも「9条を変える」は53%どまり。全体では「変えるほうがいい」33%に対し「変えないほうがいい」59%である。私の感覚とも合っている。
 同記事はいう。「最優先の政治課題に憲法をあげるのはわずか2%。国会は慎重な議論を」。

★ 3日のNHK番組に戻る。改憲諸党は、国民の2%しか「最優先課題」だと思っていない改憲問題になぜこうまで前のめりになるのか。「岸田首相はなぜそんなに急ぐのか」という問いをだして、次のように解明した野党党首がいた。日本共産党の志位委員長だ。
 「いま(政府・自民党が)やろうとしていることが、憲法9条との関係で説明がつかなくなっているからだ」。「軍事費を2倍にする」、また日本が攻撃されてないのに「敵基地攻撃」を加えるとなると,これまで言ってきた「専守防衛」では説明できなくなるからだ、と。正鵠をついた指摘だと思う。

★ 10日は参院選投票日。これまで以上に「憲法」とくに「9条」が問われている。
 「奴らを通すな! ノーパサラン」ということばが頭をよぎる。1936年7月、ナチスとたかったスペインでの「マドリード包囲戦」で使われた。さらに10月4日、ロンドンでのファシストのデモに対して労働者・住民10万人以上が集結してこれを阻止した。
 このときのスローガンも「ノーパサラン」だった。今日の日本、「改憲派を通すな」。

×      ×      ×

 本稿は、投票日より少し前にと思って8日(金)アップしたが、「安倍元首相、銃撃され死亡」という事件が起きてしまった。改めて考えたが、ここでは、いくつかのことを確認しておきたい。

1)私は「暴力・テロ」反対という点では人後に落ちない。
2)安倍氏は改憲論の先頭に立った人物ではあるが、心から哀悼の意を表する。
3)私は、それでもやはり「改憲論者」に対して「ノーパサラン」と声をあげる。

2022/07/04
京都新聞記者が、自社の大株主らを刑事告発
関西新聞合同ユニオンが告発状提出
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「京都新聞記者らの会見の様子」=NHKのニュースより
 参院議員選挙が迫るなか、選挙戦を報じる新聞社で深刻な問題が生じている。
 京都新聞ホールディングス(HD)が大株主の元相談役に長期間、支払った報酬など総額約19億円が違法支出に当たると第三者委員会から指摘された問題で、傘下の京都新聞社の記者2人が6月29日、元相談役と支出に関与したといわれる当時の役員計2人を、会社法違反(利益供与)の疑いで京都地検に告発したのだ。
 京都新聞の日比野敏陽(としあき)記者と、曺澤晨(チョウ・テクシン)記者が告発し、2人が個人加盟する労働組合「関西新聞合同ユニオン」の名で、告発状を提出した。
 告発状では、HD取締役、白石京大(きょうた)氏(48)が代表取締役だった2019年7月~21年2月、京大氏の母で元相談役の白石浩子氏(81)に、年3550万円を不正に支出したことを問題視。浩子氏は「オーナー家」と呼ばれる白石家の一族で絶大な影響力を持ち、「経営に口出ししない」ことへの対価だったと指摘している。
 この母と息子は、京都新聞社の経営に長年関与してきた白石家の一族だ。故・白石古京(こきょう)氏は1946年から長い間、社長を務め、浩子氏は古京氏の義理の娘にあたる。第三者委は、人事を握る大株主としての浩子氏を、HDが過剰なまでに優遇し、大阪国税局などから再三、指摘があったにもかかわらず、改善を図らなかったため「法令遵守(じゅんしゅ)意識が欠如していた」と厳しく批判した。ところがHD側は、関係者の刑事責任は追及しないと明言し、現経営陣の責任を認めることもなかった。
 京都市内であった記者会見で日比野記者は、「不正に流れた資金は本来、読者や働く人に還元されるべきものだ」と主張。「我々は新聞を愛している。誰も告発しないなら、やるしかない」と発言した。
 一方、HDはこの日、株主総会と取締役会を開き、京大氏が6月29日付で退任し、山本忠道社長が退いて取締役になる役員人事を決定した。さらに、浩子氏を相手取り、報酬などの一部、約5億1000万円の返還を求める訴訟を28日付で京都地裁に起こしたと発表した。だが、今回の告発については「記者個人が起こした行動なので、申し上げることはない」という態度だ。
 報道機関の記者が、自社の大株主らを刑事告発するという異例の事態。新聞やテレビなどのマスメディアは、報道、言論の自由を保つための大きな役目を担っており、それを支えているのが、紙面や番組づくりに関わる記者、従業員、スタッフらだ。不正が判明しても「関係者の刑事責任は追及しない」というHDの態度こそ、報道機関にあるまじきことではないか。
 今年5月に発表された国境なき記者団(本部・パリ)による「報道の自由度ランキング」(対象は180の国・地域)で日本は前回より四つ順位を下げて71位。ちなみに首位はノルウェーだった。
2022/06/28
参院選、期日前投票に行ってきました
世論調査に惑わされないで…
 7月10日の参院選投開票を前に、期日間投票が始まりました。
 早速、投票所に行ってみると、結構列ができていました。前の人、後ろの人、ここに来た人たちは、どういう投票をしているのでしょうか? 
 気になったのは、27日夜7時のNHK「ニュース」が報じた世論調査結果です。抜粋を紹介しながら、考えました。

▼重視するのは「経済」が圧倒的
 それによると、「投票する際に最も重視する政策課題は?」という問いには
 「経済対策」が43%、続いて「社会保障」16%、「外交・安全保障」15%、「新型コロナ対策」5%、「憲法改正」5%、「エネルギー・環境」5%…。問題の「物価高騰対策・消費税は?」と聞くと、「引き下げるべき」34%、「引き下げるべきでない」が47%、でした。
 消費税は、引き下げ、据え置きが相半ば。「消費税は社会保障の財源」という自民党の嘘の宣伝がしみこんでいるんでしょうね。

▼防衛費の倍増、調べてみました…
もう一つの重要な争点、「防衛費」について、調査はどうすべきか聞いています。ところが、「今のままでよい」30%、「ある程度減らす」5%、「大幅に減らす」2%、に対し、「大幅に増やす」12%が、「ある程度増やす」40%、でした。
 しかし、いまでも、防衛費は当初予算で5兆4005億円、補正予算を合わせると6兆1744億円。564兆6000億円とされている今年度の国内総生産(GDP)の1.09%、額では既に、世界9位です。これを「5年間で倍増する」と言うことは、毎年1兆円を増額。倍増すれば、米、中に次ぎ、「世界第3の軍事大国」になるはずです。
 この増額、「国を守る」ためといいますが、財源も、使い道も不明確。要するに米国と軍需産業の利益をはかるだけの軍事化。困ったことに、この話になると、維新、国民、そして立憲までが、よくわからないまま「必要な軍備増額を図る…」などと言っていることです。
ウクライナ戦争が始まって以来、「日本も防衛力を強化しないと危ない」とか言ういい加減な宣伝がはびこって、それに惑わされている人が少なくありません。「軍拡は戦争への道」―認めるわけにいきません。

▼そして憲法、3分の2を取らせてはならない…
 「重視する政策課題」で「憲法」はわずか5%でした。しかし、調査で、「憲法改正」について聞くと、「必要」53%、「必要ない」30%でした。アナウンサーは、「憲法については各党とも公約にもりこみ争点の一つ」「憲法改正に前向きな勢力が、衆議院だけでなく参議院でも改正発議に必要な3分の2の議席を確保するかどうかが焦点となっています」とコメント。自民党.茂木幹事長は「参院選後、憲法改正案を国会に提出したい」と公言。3分の2を獲得すれば、「本当にやる気」です。

▼やればできる…
 6月20日に開票された東京都杉並区長選。興奮しました。無所属で新人の公共政策研究者・岸本聡子さん(47)が、4選を目指した現職区長を破って当選、その差187票です。各党揃って投票率が5%アップした結果でした。やればできること、一票の大切さが実感されました。
 「俺一人が入れなくても…」「私一人が棄権しても…」と気楽に棄権している人がいるとしたら、あなたのその一票は当選させたくない候補への一票になっています。今回の参院選は、これからの日本の針路を決める大事な大事な選挙です。声かけ合って、投票は早めに…。
 「物価高は困る」「戦争はイヤだ」―いまならまだ言えるのです。
(了)

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