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2022/04/10
歴史は繰り返さない!
そんな歴史のはじまりの「目撃者」でありたい

ウクライナ問題はいま、新しい歴史を刻もうとしています。
{その1} ウクライナの「我慢」
 ウクライナ侵略から2か月が経とうとしています。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は(ロシアの蛮行に)「ジェネサイド(集団虐殺)だ」と訴えています。かんにん袋の緒が切れてウクライナがロシア領に砲弾を撃ち込んだとしたら・・・「第3次世界大戦」になる可能性大です。ウクライナは踏みとどまっています。ウクライナのこの「態度」は、歴史に深く刻み込まれるでしょう。新しい歴史のはじまりを予想させる「態度」です。その「態度」を支持し、支援する必要をあらためて強く決意させられています。
{その2}国連総会の「役割」発揮
 ロシアがウクライナ東部に侵攻してきた2月24日。国連総会は直ちに「ロシア非難決議」を141ヶ国の賛成で採択しました。つづく3月2日。国連総会緊急特別会合は、ロシアの侵略を「国連憲章違反」と断定しました。
 そして3月7日(日本時間8日未明)再招集された国連特別会合は、国連人権理事会(ロシアは理事国)の理事国資格停止決議(賛成93、反対24)が採択されました、3度もの国連決議がなされたのは初めてではないでしょうか。この国連の臨機応変の決議は、あたらしい「国連の姿」として記憶されることになるでしょう。
日本はどうでしょうか
 自民党を中心に「自衛のために軍拡が必要」「軍事には軍事で対抗」などと平和に逆行する議論が行われています.アベ元首相にいたってはウクライナ危機に乗じて、米国の核兵器を配備する「核共有」まで言い出しています。高市早苗政調会長も「議論を封じ込めるべきではない」と呼応。維新の会なども同調しています。許せますか!?

 昨年の総選挙の時のNHK調査。憲法「改正」を優先課題とすべきはたったの3%でした。ここに民意と自民・維新らの改憲勢力との大きな矛盾があります。
 あらためて確認しましょう。そもそも憲法は政府の権力を規制するものです。戦争を国際紛争解決の手段として使わないというのが日本の憲法ですよ。「自衛」というなら日本の平和憲法を世界に広める努力をすることこそ本当の「自衛」行為ではないでしょうかね。

 改憲の中身は
 今、国連憲章に基づいて平和秩序を回復するというあたり前のことがすすみはじめています。わたしたちは、世界が大きく変わろうとしている瞬間に立ちあっています。メディアも、「歴史は繰り返さない」、そんな歴史のはじまりの「目撃者」になろうではありませんか。
(仲築間 卓蔵)
2022/03/27
ウクライナ便乗・改憲策動

 ウクライナのゼレンスキー大統領が、国会でオンライン演説した。これを受けた参院議長の山東昭子議員は「閣下が先頭に立ち、また貴国の人々が命をも顧みず、祖国のために戦っている姿を拝見して、その勇気に感動しております」と挨拶した。
 東京新聞3月25日付「こちら特報部」は、「『個』の犠牲いとわず 危うい『愛国』」と問題にしたが、ウクライナ情勢に便乗して、自民党、維新など改憲派勢力が、「憲法九条」や「非核三原則」を批判し、「愛国心」や「戦争支援」を広げる中で、参院選での改憲勢力3分の2獲得と日本を「戦争する国」にする策動を図っていることが目立っている。
 ロシアのウクライナ侵攻が、一方的な他国への武力攻撃で,どんな理由があるにせよ、許されない暴挙であることに疑いはない。

 ▼「悪乗り」から「ウクライナ侵攻利用改憲策動」

 日本国内で、ロシア批判が広がり、大衆的な運動が起きてきたのも、余りもあからさまな攻撃だったことから当然だったが、その中で、義勇兵の募集や武器供与論が出て来たのは、「悪乗り」と言うべきだった。義勇兵参加は刑法93条で禁止されている刑法の定める私戦予備・陰謀罪に当たるし、武器供与論は、「武器輸出禁止」に抵触し、まして交戦国への輸出であれば、「参戦」だ。しかし、政府は「防弾チョッキなら問題はない」とあっさり決めて、3月4日、防弾チョッキをウクライナに贈った。
 さらに、このウクライナ紛争を、「核武装」「九条否定」など日本の平和原則を否定し、軍拡に結びつける議論も出てきた。
 日本維新の会の松井一郎代表は、2月25日、「『力による現状変更』はあってはならないこと」と批判。「対岸の火事ではない。自国はしっかりと自分たちで守る決意と覚悟が必要だ」と述べた。「共産党はまた九条でどうのこうの言ってるけどあの人たちはロシアの味方かな」ともいう。
安倍晋三元首相は2月27日午前のフジテレビ番組で、「日本は核拡散防止条約(NPT)の加盟国で非核三原則があるが、現実を議論することをタブー視してはならない。米国の核兵器を自国に配備して共同運用する核共有(ニュークリア・シェアリング)を日本も議論すべきだ」と発言。松井代表が「非核三原則は昭和の価値観」と述べた「維新」は「核共有の議論」などを盛り込んだ提言を政府に提出した。

 ▼武力にも武力で対抗しない

 国際世論を味方にしたいウクライナは、ゼレンスキー大統領が先頭に立って、各国国会に訴え、米国、英国などに続いて、日本にも打診があり、野党を含めて、国会演説に応じることにした。交戦中の国のトップに演説させることについての疑問も、どういう位置づけでこれを受けるのかも明らかでないままの「決定」だった。
 しかし、設備の都合などから国会議事堂は避け、セットされたのは、議員会館の会議室。日本の憲法や世論を意識して抑制的だった大統領に対し、山東議長の発言は、その配慮をも台無しにする政治利用だった。
 無差別攻撃を受けているウクライナ市民への支援に異論はない。しかし、重要なのは「武力にも武力で対抗しない」、「国際紛争を武力で解決しようとする風潮にあくまで反対する」という国家としての姿勢だ。いま、日本国民には、この覚悟が求められている。
                      
2022/03/26
「尊厳を守る」のが司法の役目
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伊藤詩織さんの会見の様子は、インターネットでも配信された
 ジャーナリストの伊藤詩織さん(32)が、自身を中傷する投稿に「いいね」を押した自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は25日、伊藤さん側の請求を棄却した。ツイッターの中傷投稿をめぐっては、「リツイート」に賠償を認める判決がいくつか出ているが、「いいね」で賠償が認められた事例はない。原告側は控訴する方針だ。
 「裁判所がセカンドレイプを許しているような気持ちになった」
 判決後の記者会見で、伊藤さんはこう語った。「こんなことが許されれば、個人の尊厳が簡単に傷つけられてしまう」といい、「女性のネットいじめは一大産業になっているといわれる。近年は、これがただのネットいじめではなく、ビジネスになってしまっている」と訴えた。
 TBSのワシントン支局長だった男性から性暴力を受けたことを公の場で訴えた伊藤さんに対し、インターネット上で心ない言葉が飛び交うなど「二次被害」が相次いだ。杉田議員は2018年6~7月にかけて、「枕営業の失敗」などと書かれた匿名の投稿25件に「いいね」を押したという。
 判決では、「いいね」は、一般的に肯定的な気持ちを表す言葉だが、「称賛」から「悪くない」まで内容は幅広く、「対象が投稿の全部か一部かも区別できない。違法となる余地が生じるのは、感情の程度が特定できたり、加害の意図を持って執拗(しつよう)に繰り返したりした場合に限られる」と判断した。杉田議員は「いいね」を押したことを伊藤さんには知らせておらず、武藤貴明裁判長は「社会通念上、許される限度を超える違法行為とまでは言えない」と話した。
 性暴力の被害者が、中傷被害を受けることは、これまでにも多くあり、こうした二次被害は、SNS(ネット交流サービス)の普及でさらに深刻になっている。中傷の投稿が次々に拡散されるからだ。今回の判決は、「いいね」の感情の範囲について、あれこれ述べているだけで、性暴力の被害者が置かれた状況、あるいはその被害が、ネット上の誹謗中傷で、二次、三次にまで及んでいるという現実を認識していない。
 いまの司法に欠けていること。それは「命と尊厳を守る」という視点だ。
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