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2022/04/23
憲法の平和主義はどこへ
 防衛費を倍額に  自民安保調査会提言案
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 自民党安全保障調査会(会長・小野寺五典元防衛相)は、政府の外交・防衛政策の基本方針「国家安全保障戦略」など3文書の改定に向けた党の提言案を、4月21日の全体会合で了承した。注目の防衛費については、国内総生産(GDP)比の「2%以上」を念頭に、倍額(現在は1%程度)を目指す内容。新型コロナウイルス禍により医療体制がひっぱくし、社会不安が広がるなか、防衛費の倍増を打ち出したことは、ロシアのウクライナ侵攻に乗じた暴挙と言える。中国など周辺国が警戒を強めることは必至だ。
 防衛費の「国民総生産(GNP)比1%以内」は、三木内閣時代の1976年に閣議決定された。中曽根内閣は86年に1%枠を撤廃したが、以後も予算編成の目安となってきた。2022年度当初予算の防衛費5兆4005億円は過去最大だったとはいえ、GDP比約0・96%に収められた。
 防衛費に関しては、北大西洋条約機構(NATO)が2024年までに加盟国の国防費をGDP比2%以上に引き上げる目標を掲げており、今回の提言案は、これに追随するかたち。安保調査会は当初「5年をめどに2%以上」で検討を進めていたが、「安全保障環境の変化に迅速に対応する」との理由で、「前倒しも視野に入れる」と表現を変えた。
 そのほか、提言案では、相手国の領土内のミサイル発射拠点などを攻撃する「敵基地攻撃能力」の名称を「反撃能力」変更し、攻撃の対象に司令部など「指揮統制機能」を追加したうえで政府に保有を求めている。さらに武器輸出のルールを定める「防衛整備移転三原則」の枠を緩め、他国から侵略された国・地域への「装備の移転」の検討まで加える始末。それでなくとも、武器の全面的な禁輸政策として打ち出された「武器輸出三原則」は徐々に緩和されており、日本国憲法の平和主義は、このままでは骨抜きになる。
 この日は東京・永田町の衆院議員会館で、「日米地位協定改定を考えるリレー討論会」があり、米軍基地を多く抱える沖縄県の玉城デニー知事=写真中央=は、基地と新型コロナウイルスの感染拡大の関連性を指摘。日米地位協定の抜本的な見直しと、人々の生活、命を優先する政治の実現を訴えた。
 「最も優れた政治とは、戦争をしない、あるいは回避することだ」とよく言われる。いま、日本の政治がすべきことは、戦争状態にあるロシアとウクライナの停戦合意に向け、外交努力を尽くすこと。それが、ひいてはこの国の平和につながる。
2022/04/16
国か、いのちか
 前回書いた「命が一番大切なのだからウクライナは降伏を」論がずっと引っかかっている。

★「それを言うなら、侵略者に100倍言え!」
テレビ朝日モーニングショーの玉川徹キャスター「どこかでウクライナが引く以外に市民の死者が増えるのは止められない」(3月4日)、橋下徹・前大阪市長「もう政治的妥協の局面」(3月21日、フジ「めざましテレビ」)などが代表例か。私がまず叫んだのは次の二点だ。「それをいうなら侵略者の側に百倍の声で叫べ」「侵略に対し、どんな方法でどう対応するかは第一義的には侵略された側が決めることだ」

★「武力を頼む国は自滅する」
加藤陽子・東大教授(政府が学術会議委員への任命を拒否した)は、この種の議論を意識していたのではないか。
毎日新聞3月18日付「近代史の扉」はこう展開する。日中戦争が始まる2年前の1935年、北京大文学院長だった胡適(こせき、こてき)は言う。日本と戦争になれば、中国は米ソの支援を招来したい。しかし簡単に参戦してくれるはずもない。「ならば方法は一つ。中国自身が犠牲を払い、単独で数年間耐えるしかない」。「その犠牲を甘受して初めて」米ソの応援もあるのだ、と。覚悟とでもいおうか。加藤論評の表題はずばり「武力をたのむ国は自滅する」と。

★「先制攻撃はしない…」
同じく毎日3月27日の藻谷浩介(日本総合研究所主席研究員)論評も玉川所論を踏まえている。
「人命を守るために降参すべきだ」とは筆者は言わない、と明言したうえで、憲法論に入り、「憲法9条改正で国を守ろう」論に反論する。「憲法は、自国の政府権力を規制するものであり、どう改正しても外国をけん制しない」。「先制攻撃」論にも容赦ない。「ウクライナで死ぬロシア兵を見てもわかる通り、自国が先制攻撃をすることは、これまた無駄に国民を危険にさらす行為である」。氏の所論は、ロシアへの経済制裁の徹底に加えて何が必要か、さらに言う。「攻撃されれば死を賭して反撃するが、先制攻撃はしない」国を一つでも増やすこと。なるほど「憲法9条を世界に」の精神だ。

★「選択に敬意を払う」
篠田英朗東京外大教授(国際政治学者)は朝日4月15日付で、橋下、玉川氏らに呼び掛けているかのように語る。「ウクライナでは、大統領の方針を9割の国民が支持しています。多くの一般市民が命を懸けて、自分の国と国際社会の秩序を守っている。当事者が苦悩の末にそういう選択をした以上、それに対して敬意を払うべきでしょう」。氏の結論は次のくだりか。「『法の支配』によって国際社会の秩序を維持することは、二度の世界大戦の教訓を踏まえて、人類が取り組んでいる壮大な実験です」。ここには日本国憲法の精神への賛意が読み取れる。

★日本は何を学ぶ?
玉川氏についていえば3月18日の東京新聞コラムで「失われようとしている数十万の命を救う」ために「侵略を受け入れる」ことまで言及していた。1カ月でいろんな議論、ときには批判があり、氏は4月15日の同コラムでは「降伏」論は口にしていない。
自民党などの「改憲」「軍事費倍増」の主張について、「他国の不孝をテコにして長年の野望を実現しようという魂胆」が「ないとは言い切れません」と指摘する。さらにウクライナ問題から日本が何を学ぶか、「それは軍備増強や軍隊の創設なのでしょうか」と問い、「そうではない」と否定する。
彼の心中に変化があったか、この方向性は大事にしてほしいと念じる。
(了)

2022/04/10
歴史は繰り返さない!
そんな歴史のはじまりの「目撃者」でありたい

ウクライナ問題はいま、新しい歴史を刻もうとしています。
{その1} ウクライナの「我慢」
 ウクライナ侵略から2か月が経とうとしています。
 ウクライナのゼレンスキー大統領は(ロシアの蛮行に)「ジェネサイド(集団虐殺)だ」と訴えています。かんにん袋の緒が切れてウクライナがロシア領に砲弾を撃ち込んだとしたら・・・「第3次世界大戦」になる可能性大です。ウクライナは踏みとどまっています。ウクライナのこの「態度」は、歴史に深く刻み込まれるでしょう。新しい歴史のはじまりを予想させる「態度」です。その「態度」を支持し、支援する必要をあらためて強く決意させられています。
{その2}国連総会の「役割」発揮
 ロシアがウクライナ東部に侵攻してきた2月24日。国連総会は直ちに「ロシア非難決議」を141ヶ国の賛成で採択しました。つづく3月2日。国連総会緊急特別会合は、ロシアの侵略を「国連憲章違反」と断定しました。
 そして3月7日(日本時間8日未明)再招集された国連特別会合は、国連人権理事会(ロシアは理事国)の理事国資格停止決議(賛成93、反対24)が採択されました、3度もの国連決議がなされたのは初めてではないでしょうか。この国連の臨機応変の決議は、あたらしい「国連の姿」として記憶されることになるでしょう。
日本はどうでしょうか
 自民党を中心に「自衛のために軍拡が必要」「軍事には軍事で対抗」などと平和に逆行する議論が行われています.アベ元首相にいたってはウクライナ危機に乗じて、米国の核兵器を配備する「核共有」まで言い出しています。高市早苗政調会長も「議論を封じ込めるべきではない」と呼応。維新の会なども同調しています。許せますか!?

 昨年の総選挙の時のNHK調査。憲法「改正」を優先課題とすべきはたったの3%でした。ここに民意と自民・維新らの改憲勢力との大きな矛盾があります。
 あらためて確認しましょう。そもそも憲法は政府の権力を規制するものです。戦争を国際紛争解決の手段として使わないというのが日本の憲法ですよ。「自衛」というなら日本の平和憲法を世界に広める努力をすることこそ本当の「自衛」行為ではないでしょうかね。

 改憲の中身は
 今、国連憲章に基づいて平和秩序を回復するというあたり前のことがすすみはじめています。わたしたちは、世界が大きく変わろうとしている瞬間に立ちあっています。メディアも、「歴史は繰り返さない」、そんな歴史のはじまりの「目撃者」になろうではありませんか。
(仲築間 卓蔵)
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