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2021/12/04
歌いましょう War is over レノン忌に
 太平洋戦争開戦80年。12月8日がやってきた。
 はじまりは日本軍による真珠湾攻撃だった。「日本海軍が宣戦布告の前に手違いで攻撃してしまった」と聞いていたが、そうではなかった。
 毎日新聞の栗原俊雄記者(栗原さんは「空襲被害者全国連絡会」の補償を求める運動を積極的に報道してくれている記者の一人でもある)が、山田 朗・明治大学教授にインタビュー(12月3日付け「論点」)した一部を紹介したい。

▼ 宣戦布告が遅れたのは「もうこれ以上交渉しない」という通告で、国際法上の宣戦布告と明確に読み取れるわけではない。国際法に反することを承知で、最初から開戦後に宣戦布告することになっていたのだ。実際、対イギリス戦では何の通告もなく、陸軍が英領のマレー半島に上陸した。(略)

▼ 真珠湾攻撃もマレー作戦も、南方資源地帯をなるべく早く押さえるためだった。そうしなければ日本は戦争を継続できなかったからだ。つまり戦争を継続するため、戦争のための戦争だった。ここで確認すべきは、12月8日以降、一気にアジアの人々を戦争に巻き込んでしまったことだ。その迷惑のかけ方が、今日あまりにも知られていない。これは日本人の、太平洋戦争以前の戦争に対する歴史認識にも共通している。(略)

▼ 日露戦争以来の成功事例を継承しようとして、時代の条件が変わっていることに気がつかなかった。
 また、行き詰まりを直視できなかった。日中戦争がうまくいかないとドイツと同盟する。劣勢でも戦争を続け、被害が拡大した。
 日本の、この都合の悪いことを直視できない姿勢は戦後にもつながっている。高度経済成長の成功体験に縛られて、「成熟」ではなくいまだに「成長」を信じている政治家がいる。当時の軍部や政治家を笑うことはできない。開戦80年は、歴史から知恵を得るいい機会だ。(栗原さんの了解もなく引用させてもらいました。12月7日の空襲被害者全国連絡会総会・すみだ女性センターでお会いした時に事後承諾を。仲築間 卓蔵)

▼ 12月8日は、ビートルズのジョン・レノンが亡くなった日でもある。
 何年前だったか、東京新聞の「平和の俳句」欄に載った2句をメモしていた。
レノン忌と開戦の日の重なれり
 歌いましょう War is over レノン忌に

        (沖野竜太 東京都世田谷区)

2021/11/27
東京都調布市の道路陥没問題
情報公開請求した住民の情報が漏えい
 東京都調布市の東京外郭環状道路(外環道)トンネル工事地下ルート上の道路が陥没した事故に関連し、市に情報公開請求をしている市民の個人情報を、市が無断で工事事業者の国土交通省など関係先に伝えていることが分かった。請求者を特定する情報が、市の職員によって漏えいした。情報公開制度、個人情報保護制度、地方公務員の守秘義務違反などの問題を含む深刻な事態だ。
 事故の発生(昨年10月)を受け、市が保有する工事関連の文書の情報公開請求を繰り返していた調布市在住の男性(74)のもとに10月下旬、匿名の封書が届いた。「個人情報がだだ漏れとなっています」と書かれた手紙と一緒に、男性の氏名や住所などを記した請求書(10月1日付)の写し、国交省、東日本高速道路、中日本高速道路の3者の担当課長に宛てた、市の担当職員の電子メール(印字)の文書が同封されていた。そのメール文書には「情報公開請求がありましたので、情報提供いたします」「前回同様、取扱厳重注意で」と記されていた。
 報道によると、調布市街づくり事業課の加藤舞課長の説明では、市の担当職員は当初、請求を受けたことを事業者側に電話で連絡していたが、同一人物の請求が続くので今年6月から請求書をメールに添付し「取扱厳重注意」と記して送るようになったという。「請求が届いたことを第一報として伝えるため」「市情報公開条例に基づき(事業者側から)意見を聴く必要があった」などがその理由だが、男性の個人情報が記載された部分にマスキングを施すなどの処置はなされず、担当の職員2人は、メールの送信について上司の決裁を得ていなかった。同じく漏えいを指摘する匿名の投書は調布市の長友貴樹市長にも郵送で届いていたため、11月10に市の幹部が男性の自宅を訪ねて謝罪した、といい、加藤課長は「職員の個人情報保護の意識が希薄だったことによるミス」と釈明している。
 一方、男性の請求の結果は、事業者の担当者名などが一部黒塗りとなって開示された。
 情報公開を受けた自治体が、請求者の個人情報を、議員や国などにこっそり教えるようなことは、これまでもあった。しかし、請求者の名前や住所は、本人と連絡を取る必要があるときのためのもので、外部への漏えいは目的外の利用だ。
 長友市長は11月25日の定例会見で「請求者、市民のみなさまに多大な迷惑と心配をおかけし深くおわび申し上げる」と頭を下げたものの、市が「何らかの意図を持って対処しようとしたことは断じてない」と発言した。
 住民を命の危険にさらすような地下のトンネル工事、市民の個人情報の漏えいなど、この外環道問題から見えてくるのは、この国はやはり経済優先で進んでいるということだ。
 市民に身近な市町村が、「住民主体」にならない限り、この国は変わらない。
2021/11/15
野党の結集と改憲の行方
 立憲民主党の代表選挙が19日告示、30に投開票で行われる。枝野代表が辞任したためで、ぜひ、次につながる、元気のいい代表選をしてもらいたいものだ。
 枝野氏の辞任表明は、総選挙結果を受けてのことだったが、はっきりさせておいてほしいのは、「野党共闘路線」は失敗ではなく、それ以外の選択肢はなかったし、決して敗北・失敗ではなかった、ということだ。

 改めて数字をみてみよう。
 まず、今回の統一は、289の小選挙区のうち、214選挙区で一本化に成功、62選挙区で勝利した。確かに、小沢一郎氏、辻元清美氏の落選など惜しい敗戦もあったが、自民党の甘利明幹事長、石原伸晃元幹事長を落選させ、負けたところでも、32選挙区で自民候補を1万票以内の接戦に持ち込んで惜敗した。次に、「勝った」という維新にしても、実は前々回の獲得議席を回復しただけで、野党共闘が反自民の受け皿になり得なかったことを示したに過ぎない、ということだ。特に、立憲の自力、党組織が弱く、共通政策も共闘の意味もわからなかった、という有権者も少なくなかったし、「日本の政治変える」という訴えは、間違いなく広がったが、共闘の選択にまで広げられなかった、ということだ。
 立憲代表選では、こういう「組織」と「路線」についてうんと議論したらいい。「共産党との共闘はけしからん」という人には「なぜ」と明らかにしてもらったらいい。誰かがこう言っている、とか、こちらの方が支持が集まりやすいとか、他人の言葉ではなく、自分の言葉で政治を語ってもらいたい。

 そんな中で、奇怪な話もある。
 9日には日本維新の会の馬場伸幸幹事長と、立憲民主党の榛葉賀津也幹事長が会って、「憲法改正に向けた議論を加速する」と確認したというのだ。もちろん「維新」は自民党よりも「右」の政党だ。しかし「国民」は、立憲の協力を得て当選した選挙区があったのではなかったか? 
 また、国民民主は、今後、野党の国対委員長会談や、野党による官僚共同ヒヤリングに参加しない、とも宣言した。そして、自民党も、岸田首相は「任期中にメドを付ける」と言い、茂木敏充幹事長は「各党と議論して具体的な選択肢とスケジュールにつなげる」という。
  
 立憲代表選には、立憲民主党が改憲阻止の旗を続けられるかどうか、がかかっている。
(了)
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