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2022/03/19
▼改めて憲法9条の意義を
 ロシアのウクライナ侵略を受け、「憲法9条は対外的な武力行使を禁じている。ではそれで外敵からの侵略を防げるのか」という声がある。結構ある疑問だろう。これに便乗して「憲法9条は無力だ」攻撃を強めている勢力がある。 ここでの攻防が一つの焦点になっているといっていいだろう。メディアも勝負所だ。

・志位発言
 ひとつのきっかけは、ロシアの侵略開始の2月24日の共産党・志位委員長の「仮に日本でプーチンのようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするのが憲法9条だ」というツイッター発言だ。9条の意味のオーソドックスな説明だ。
 これに「空想」「思考停止」と毒づいたのが安倍元首相だ。加えて「武力行使をいとわない国が隣国にある」(3月3日の派閥会合)。維新議員もここぞとばかり「今の憲法で国民の命をまもれるのか」「9条を含む改憲の議論を」(三木圭恵衆院議員)と突き上げる。
 東京新聞16日付はこの議論に第三者ではない。田中優子・前法大総長を登場させた。彼女はリアルに発言する。「9条は自衛権を否定していない。変えなくても自衛できる」」
 志位委員長がツイッターで上記のように発言した共産党は、今年になって発行した綱領解説リーフでこういう。「万が一、急迫不正の侵略を受けたら」の問いに「自衛隊も含めて、あらゆる手段を用いて命をまもります」と明確に述べている。憲法をめぐっては、踏み込んだ論争が求められる。

・「命を守る」ための選択とは?
 ロシアのウクライナ侵略をめぐって、一部で注目されている発言がある。日本の政権に対して「正義の論調・注文」をしているとみられているテレビ朝日「モーニングショー」の社員キャスター・玉川徹氏だ。「私に言わせてもらえるのならば、何より為政者に課せられているのは、失われようとしている数十万の命を救うことではないでしょうか。しかし、軍事的敗北は、すなわち国民の敗北ではないと私は思うのです」(東京新聞18日付)。彼は3日の番組でも同趣旨のことを言った。
 「何より大事なことは国民の命を守ること」―。侵略側の為政者に言うのならそれでいい。しかし侵略されている側に「降伏すれば国民の命は守れる」と言うか?言えるか?
 玉川発言に対しては「道義的に問題だ」「降伏した方が犠牲者が増える」などの批判・反論が寄せられている。ロシアへの怒りをたぎらせつつ、このテーマでも突っ込んだ討論がなされればいいと思うがどうか。
2022/03/11
ロシアのウクライナ軍事進攻 いますぐ やめろ!
▼ 「侵略」か「侵攻」か、使い方に迷ったものだ。国語辞典には「侵略」は“奪いとることを目的としている攻撃のこと”。「侵攻」は“他国や他の領地に侵入して、軍事的な手段をもって攻め込むこと”としている。みなさんいろいろ使い分けている。ぼくは「侵略」といってきたが、どうやら「軍事侵攻」という表現が一般的になっているようだ。
 法政大学の前総長・田中優子氏が東京新聞のコラムで“ロシアの国連大使は「われわれはウクライナやウクライナの国民と戦争を行っているのではなく、東部の国民を守るために特別な作戦を行っている」と言った。もしこれが本当なら、戦争の前にやるべきことがあった。中立的な調査団をつくって徹底的に調査し、そのような事実があれば国際的な問題にしていくことだ。なぜそうしなかったのか?戦争を仕掛ける側は常に「防衛」を言う”と。プーチンは「もともとウクライナはロシアのものだった」と言っているようだが、いまどき、そんな理屈が通るとでも思っているのか。

ロシア非難のうねりは高まる一方
▼ 3月2日、国連総会緊急特別会合。ロシアによるウクライナ侵略を国連憲章違反だと断定し、ウクライナでの武力行使停止、軍の「即時、完全、無条件撤退」をロシアに求める非難決議を圧倒的多数で採決した。
▼ ロシアの69の都市で「ウクライナ侵攻反対」のデモ行進がおこなわれている。まだまだ増えそう。
▼ 日本でも各地で集会、デモ行進が増えている。
▼ 3月10日は東京大空襲から77年目。空襲被害者連絡協議会のKさん(82歳),避難するウクライナの子どもの「死にたくない」という映像をみて「あれは(77年前の)私」と。全国空襲被害者のみなさんの思いも同じだろう。
▼ ウクライナのゼレンスキー大統領からロシア市民への言葉。「あらゆる挑発行為や火花がすべてを焼き尽くすかもしれない。あなたたちはこの炎がウクライナ市民を開放すると(プーチン氏から)言われている。だが、ウクライナ市民は元々自由だ」。そのゼレンスキー大統領の国内支持率急上昇という。
▼ プーチン大統領、国内の情報統制を強化した。

ロシアでさえ多くの国民が反戦デモを行っているのに・・
日本は「核共有」まで言い始めた
▼ 3月11日、東日本大震災から11年目。
 原発再稼働派が虎視眈々。原発フル稼働に舵をきろうとしている。原発事故で国民が核の脅威にさらされたことを、もう忘れたのか。
▼ 自民党を中心に「自衛のために軍拡が必要」「軍事には軍事で対抗」などと平和に逆行する議論がおこなわれている。アベ元首相にいたっては、ウクライナ危機に乗じて、日本国内に米国の核兵器を配備する「核共有」まで言い出した。
 これに、自民党内では「議論を封じ込めるべきではない」と高市政調会長らが賛同。日本維新の会なども同調している。
日刊ゲンダイの一文を借りれば「人類の危機に便乗する輩(やから)達は度し難い。自民党に任せていたら、国民は生命のリスクを負わされるだけだ。バイデンの演説ではないが、国民も政治家も歴史から学ぶ必要がある」。まったくそのとおりだ。

2022/02/25
ウクライナ市民救援の連帯を
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 恐れていたことが現実となった。ロシア軍が2月24日、ウクライナに侵攻し、首都キエフを含む複数の都市を攻撃した。新聞の1面には、顔を血で赤く染め、頭に包帯を巻いた女性の写真が掲載され、一般市民にも多数、犠牲が出ているとみられる。ウクライナのゼレンスキー大統領は、ロシアとの外交関係を断絶すると表明。国際社会はあらゆる手段を講じて、核保有国であるロシアの軍事攻撃を止めさせなければいけない。
 報道によると、ウクライナ北部ベラルーシとロシアの国境と、ロシアが2014年に「併合」した南部クリミアとの境界で、ロシアの地上部隊の攻撃があった。キエフや北東部ハリコフなど複数の都市がミサイル攻撃を受け、南部オデッサ、東部マリウポリでは死者が出た。西部の都市でも攻撃によるとみられる爆発音が聞かれたとの報告があった。
 ロシアの国防省は、ウクライナの軍事、防空施設対象の攻撃で、都市部は狙っていないと弁明。一方で、負傷した市民らの被害を伝える画像、映像が次々に発信されている。
 侵攻前、ロシアのプーチン大統領は国営メディアのテレビ演説で、親ロシア派の住民がウクライナの東部で「ジェノサイド(集団虐殺)を受けている」と主張した。北大西洋条約機構(NATO)の脅威から、人命を守るには「ほかに方法がなかった」といい、今回の「特別軍事作戦」を正当化した。
 米国のバイデン大統領は、「米国と同盟国らは結束して断固とした対応を取る。世界はロシアの責任を追及する」と表明した。欧州連合(EU)のフォンデアライエン欧州委員長は記者会見で「独立した主権国家に対する前例のない侵攻」と非難した。
 緊張が高まっていたヨーロッパの主要国、日本などは、在ウクライナ大使館の機能をキエフから、西部のリボフに移した。隣国ポーランドへの脱出を模索する市民もいるという。
 遠い日本に住む私たちも看過できない。ウクライナといえば、思い浮かべるのが、チェルノブイリ原発事故(1986年)。被ばくした子どもたちの保養活動など日本でも支援の輪が広がった。東日本大震災による東京電力福島第1原発事故(2011年)が起きた後は、ウクライナの医師らが、日本の被災者のため医療のアドバイスをした。
 そしていま、チェルノブイリの原発施設は再び、危険信号を発している。ウクライナの政府関係者は、ロシア軍がチェルノブイリを占拠したことを認め、放射性物質が漏れる危険性に触れたという。事故で廃炉になったものの、内部では処理作業が続いているからだ。
 東西の冷戦終結後、軍事同盟であるNATOは一定の役割を終えたはずだった。以後は平和共存のための組織に移行すべきだった。ところが、その体制は維持され、ポーランドなど旧社会主義国圏の国々が、ロシアと対立するNATOに相次いで加盟した。米国主導の拡大策は文字通り、ロシアにとって「脅威」になった。
 NATOに加わっていないウクライナを、プーチン氏は「ロシアとは不可分の関係」と位置づけていた。ウクライナに干渉してクリミアを「併合」したのは、欧米、NATOへの積年の不満が背景にあり、その延長線上に今度の攻撃がある、とみる専門家がいる。それは権力者の「事情」であり、軍事攻撃に巻き込まれる市民のことは意識の外だと言わざるを得ない。
 日本は、もうすぐ3月10日、東京大空襲のメモリアル・デーを迎える。むごい攻撃の報道に接し、高齢の体験者は何を思うのか。
 これ以上の攻撃、反撃を止めさせるための外交政策を政府に求める。そして戦火にさらされる子ども、人々の命を守るために、各国の市民と連帯を強める。私たち市民も行動を起こそう。
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