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2022/03/26
「尊厳を守る」のが司法の役目
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伊藤詩織さんの会見の様子は、インターネットでも配信された
 ジャーナリストの伊藤詩織さん(32)が、自身を中傷する投稿に「いいね」を押した自民党の杉田水脈(みお)衆院議員に損害賠償を求めた訴訟で、東京地裁は25日、伊藤さん側の請求を棄却した。ツイッターの中傷投稿をめぐっては、「リツイート」に賠償を認める判決がいくつか出ているが、「いいね」で賠償が認められた事例はない。原告側は控訴する方針だ。
 「裁判所がセカンドレイプを許しているような気持ちになった」
 判決後の記者会見で、伊藤さんはこう語った。「こんなことが許されれば、個人の尊厳が簡単に傷つけられてしまう」といい、「女性のネットいじめは一大産業になっているといわれる。近年は、これがただのネットいじめではなく、ビジネスになってしまっている」と訴えた。
 TBSのワシントン支局長だった男性から性暴力を受けたことを公の場で訴えた伊藤さんに対し、インターネット上で心ない言葉が飛び交うなど「二次被害」が相次いだ。杉田議員は2018年6~7月にかけて、「枕営業の失敗」などと書かれた匿名の投稿25件に「いいね」を押したという。
 判決では、「いいね」は、一般的に肯定的な気持ちを表す言葉だが、「称賛」から「悪くない」まで内容は幅広く、「対象が投稿の全部か一部かも区別できない。違法となる余地が生じるのは、感情の程度が特定できたり、加害の意図を持って執拗(しつよう)に繰り返したりした場合に限られる」と判断した。杉田議員は「いいね」を押したことを伊藤さんには知らせておらず、武藤貴明裁判長は「社会通念上、許される限度を超える違法行為とまでは言えない」と話した。
 性暴力の被害者が、中傷被害を受けることは、これまでにも多くあり、こうした二次被害は、SNS(ネット交流サービス)の普及でさらに深刻になっている。中傷の投稿が次々に拡散されるからだ。今回の判決は、「いいね」の感情の範囲について、あれこれ述べているだけで、性暴力の被害者が置かれた状況、あるいはその被害が、ネット上の誹謗中傷で、二次、三次にまで及んでいるという現実を認識していない。
 いまの司法に欠けていること。それは「命と尊厳を守る」という視点だ。
2022/03/19
▼改めて憲法9条の意義を
 ロシアのウクライナ侵略を受け、「憲法9条は対外的な武力行使を禁じている。ではそれで外敵からの侵略を防げるのか」という声がある。結構ある疑問だろう。これに便乗して「憲法9条は無力だ」攻撃を強めている勢力がある。 ここでの攻防が一つの焦点になっているといっていいだろう。メディアも勝負所だ。

・志位発言
 ひとつのきっかけは、ロシアの侵略開始の2月24日の共産党・志位委員長の「仮に日本でプーチンのようなリーダーが選ばれても、他国への侵略ができないようにするのが憲法9条だ」というツイッター発言だ。9条の意味のオーソドックスな説明だ。
 これに「空想」「思考停止」と毒づいたのが安倍元首相だ。加えて「武力行使をいとわない国が隣国にある」(3月3日の派閥会合)。維新議員もここぞとばかり「今の憲法で国民の命をまもれるのか」「9条を含む改憲の議論を」(三木圭恵衆院議員)と突き上げる。
 東京新聞16日付はこの議論に第三者ではない。田中優子・前法大総長を登場させた。彼女はリアルに発言する。「9条は自衛権を否定していない。変えなくても自衛できる」」
 志位委員長がツイッターで上記のように発言した共産党は、今年になって発行した綱領解説リーフでこういう。「万が一、急迫不正の侵略を受けたら」の問いに「自衛隊も含めて、あらゆる手段を用いて命をまもります」と明確に述べている。憲法をめぐっては、踏み込んだ論争が求められる。

・「命を守る」ための選択とは?
 ロシアのウクライナ侵略をめぐって、一部で注目されている発言がある。日本の政権に対して「正義の論調・注文」をしているとみられているテレビ朝日「モーニングショー」の社員キャスター・玉川徹氏だ。「私に言わせてもらえるのならば、何より為政者に課せられているのは、失われようとしている数十万の命を救うことではないでしょうか。しかし、軍事的敗北は、すなわち国民の敗北ではないと私は思うのです」(東京新聞18日付)。彼は3日の番組でも同趣旨のことを言った。
 「何より大事なことは国民の命を守ること」―。侵略側の為政者に言うのならそれでいい。しかし侵略されている側に「降伏すれば国民の命は守れる」と言うか?言えるか?
 玉川発言に対しては「道義的に問題だ」「降伏した方が犠牲者が増える」などの批判・反論が寄せられている。ロシアへの怒りをたぎらせつつ、このテーマでも突っ込んだ討論がなされればいいと思うがどうか。
2022/03/11
ロシアのウクライナ軍事進攻 いますぐ やめろ!
▼ 「侵略」か「侵攻」か、使い方に迷ったものだ。国語辞典には「侵略」は“奪いとることを目的としている攻撃のこと”。「侵攻」は“他国や他の領地に侵入して、軍事的な手段をもって攻め込むこと”としている。みなさんいろいろ使い分けている。ぼくは「侵略」といってきたが、どうやら「軍事侵攻」という表現が一般的になっているようだ。
 法政大学の前総長・田中優子氏が東京新聞のコラムで“ロシアの国連大使は「われわれはウクライナやウクライナの国民と戦争を行っているのではなく、東部の国民を守るために特別な作戦を行っている」と言った。もしこれが本当なら、戦争の前にやるべきことがあった。中立的な調査団をつくって徹底的に調査し、そのような事実があれば国際的な問題にしていくことだ。なぜそうしなかったのか?戦争を仕掛ける側は常に「防衛」を言う”と。プーチンは「もともとウクライナはロシアのものだった」と言っているようだが、いまどき、そんな理屈が通るとでも思っているのか。

ロシア非難のうねりは高まる一方
▼ 3月2日、国連総会緊急特別会合。ロシアによるウクライナ侵略を国連憲章違反だと断定し、ウクライナでの武力行使停止、軍の「即時、完全、無条件撤退」をロシアに求める非難決議を圧倒的多数で採決した。
▼ ロシアの69の都市で「ウクライナ侵攻反対」のデモ行進がおこなわれている。まだまだ増えそう。
▼ 日本でも各地で集会、デモ行進が増えている。
▼ 3月10日は東京大空襲から77年目。空襲被害者連絡協議会のKさん(82歳),避難するウクライナの子どもの「死にたくない」という映像をみて「あれは(77年前の)私」と。全国空襲被害者のみなさんの思いも同じだろう。
▼ ウクライナのゼレンスキー大統領からロシア市民への言葉。「あらゆる挑発行為や火花がすべてを焼き尽くすかもしれない。あなたたちはこの炎がウクライナ市民を開放すると(プーチン氏から)言われている。だが、ウクライナ市民は元々自由だ」。そのゼレンスキー大統領の国内支持率急上昇という。
▼ プーチン大統領、国内の情報統制を強化した。

ロシアでさえ多くの国民が反戦デモを行っているのに・・
日本は「核共有」まで言い始めた
▼ 3月11日、東日本大震災から11年目。
 原発再稼働派が虎視眈々。原発フル稼働に舵をきろうとしている。原発事故で国民が核の脅威にさらされたことを、もう忘れたのか。
▼ 自民党を中心に「自衛のために軍拡が必要」「軍事には軍事で対抗」などと平和に逆行する議論がおこなわれている。アベ元首相にいたっては、ウクライナ危機に乗じて、日本国内に米国の核兵器を配備する「核共有」まで言い出した。
 これに、自民党内では「議論を封じ込めるべきではない」と高市政調会長らが賛同。日本維新の会なども同調している。
日刊ゲンダイの一文を借りれば「人類の危機に便乗する輩(やから)達は度し難い。自民党に任せていたら、国民は生命のリスクを負わされるだけだ。バイデンの演説ではないが、国民も政治家も歴史から学ぶ必要がある」。まったくそのとおりだ。

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