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2021/08/27
混乱するアフガニスタン
日本は平和構築の努力を
アフガニスタンでの惨禍を報じる各紙
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 米軍の撤退期限が8月末に迫るアフガニスタンが、惨禍に見舞われている。首都カブールの国際空港近くで26日に爆発が2回起こり、米兵や空港周辺にいたアフガニスタン人らが死傷。米メディアは「死者が70人を超えた」と報じた。過激派組織「イスラム国」(IS)の支部組織が犯行声明を出し、バイデン米大統領は報復攻撃の意向を示した。紛争が再燃する恐れがある。日本政府は、米国追随ではなく、紛争予防、平和構築に最大限の外交努力をするべきだ。
 「平和構築」という言葉で思い出すのは、医師の故中村哲さんだ。国際NGO「ペシャワール会」を1983年に創設し、「アフガニスタンで農地を」と井戸を掘って水路をつくり、隣国パキスタンでも医療活動をした。中村さんは、テロを抑えるための自衛隊派遣は「有害無益」と明言した。「このやろう、とたたかれても報復しようという気持ちが強まるばかり」とも。アフガニスタンを軍事攻撃した米国は「正義」であり、当時の「タリバン」(イスラム主義組織)は「悪」と一方的に断じられることに疑問を抱いていた。
 貧困や飢え、教育や医療の不足など、その国が荒廃するには、理由がある。中村さんは、そうした状態を人道支援で改善して対話の道を開くことに力を注いだ。その道半ば、銃撃されて命を落とした。2年前のことだ。
 アフガニスタンの貧困、飢餓の状態は悪化している。干ばつや紛争で避難民が増加した。COVID-19の感染拡大による影響で、食糧危機は一層深刻になっている。
 加藤勝信官房長官は27日午前の閣議後の会見で、自衛隊の輸送機派遣の根拠(自衛隊法84条の4「輸送を安全に実施することができると認めるとき」)は維持されているとの見解を示し、自衛隊機による現地の日本人、大使館のスタッフらの退避活動は続行される。
 アフガニスタンの市民が日本を含む国際社会に期待するのは、米国の報復攻撃への加担ではなく、両者の仲介役となって和平に導くことだろう。日本が「平和国家」と自任するならば、その手腕を発揮しなければならない。
2021/08/23
横浜市長に共同候補 山中竹春さん圧勝!
これが衆院選に影響しないわけがない
 任期満了に伴う横浜市長選が22日投開票され、市民と野党の共同候補で元横浜市大医学部教授の山中竹春さん(48)無・新、立憲民主党推薦、日本共産党、社民党、緑の党、新社会党支援=が、スガ首相直結候補に圧勝しました。
 市民連絡会の鶴見大学名誉教授。後藤仁敏さんから結果の報告が届きましたので紹介します。


 皆様へ
 8月22日に投開票された横浜市長選の結果について報告します。
投票率は49.05%で、前回の37.21%より11.84%も増えました。
 コロナ禍にもかかわらず、投票率が上がったことが山中勝利の一因となりました。

 テレビ神奈川(TVK)の出口調査では、山中=35.2%、小此木22.2%、田中12.7%、林11.7%、松沢8.4%、福田4.8%、太田3.2%、坪倉1.8%でした。それで、22日20時丁度に山中当確が報道されました。

開票結果は、
  山中竹春  506,392票(33.6%)
  小此木八郎 325,947票(21.6%)
  林 文子  196,926票(13.1%)
  田中康夫  194,713票(12.9%)
  松沢成文  162,206票(10.8%)
  福田峰之   62,455票( 4.1%)
  太田正孝   39,802票( 2.6%)
  坪倉良和   19,113票( 1.3%)
                  でした。
 一部で心配された(トップが25%以下)再選挙はまったくの杞憂でした。

 6月まで横浜市大教授であったほとんど無名の新人が、衆院議員を25年間、大臣を何度も歴任した自民党候補、過去3回当選の現職市長、元県知事2人を抑えて勝利するという奇跡としか思えないことが起りました。敵が分裂したのに対し、私たちは多くの市民と多くの野党が共同してたたかった結果です。

 昨夜はワークピアの2階に設けられた開票センターで多くの報道陣が見つめる中、当確の報道とともに祝勝会となり、山中さんが「市民一人ひとりと向き合う」との決意を述べられました。また江田憲司さん、藤木幸夫さん、岡田尚さん、花上喜代志さんらが当選祝いの言葉を述べられました。
 「カジノ反対の市長を誕生させる横浜市民の会」では、市長選の結果についての声明を準備しています。確定したらお知らせしたいと思います。私としては、2014年以来8年間にわたる長く苦しいカジノ誘致反対運動の決着をつけることができ、非常にうれしく思っています。

 林市長が「2年前のIR誘致表明以来、反対の嵐の中を生きてきた」と言いました。反対の嵐を起こした皆様のご奮闘に、こころよりお礼を申し上げます。

              2021年8月23日 後藤仁敏
政治が変わり始めそうです。
2021/08/14
医者にかかれない、ということ
 病気になって、医者にかかる、というのは、およそ人類が誕生してから、どの社会でも行われてきたことではなかったか。むかし支配者が巫女だったり、支配者の周辺には必ず医者がいた。近代になって、医療制度ができると、医者にかかって治療を受けられる人と受けられない人が次第に分化し、それではいけないと社会保障制度が生まれてきた。医療保険ができ、日本の「国民皆保険」は、「世界的にも高く評価」(厚生労働省HP)されるまでになった。
 日本の医療は、国民すべてが公的医療保険に加入することで、誰もが全国の医療機関で公的保険によって医療を受けられる(フリーアクセス)ことが、最大の意義だとされている。どんなに、大富豪でも一人暮らしの貧しい老人でも、皇族でも元華族でも、田舎の市民でも外国からの移住者でも、およそ人である限り、病気になったら同じ医療が受けられる、ということは、日本の「誇り」でもあったはずだ。

 「入院患者以外は原則自宅 政府、宿泊療養を限定」(毎日)、「『入院重症者ら限定』に転換」(読売)と報じられた、コロナ感染者への入院制限は、その後、若干修正されたにしても、実際に、逼迫した医療体制のなかで、病床もスタッフも足りず、適切な治療が受けられない状況は続いているようだ。
 何とかしなくてはいけない。五輪で使った選手村の施設や用意したホテルは、早速、臨時の療養場所に転用できるはずだし、中国のようにバラックの臨時診療所を建てても、そんなに時間はかからないはずだ。

 憲法13条は「人間の尊厳」をうたい、国には「生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利」への「最大の尊重」を求めている。そして、25条は「健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」とし「すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない」と規定している。まさに、「健康な生活」のために、生かされ具体化されていかなければならない。

 ウィシュマさんの事件については,二人の妹たちの活動で,事態が明らかになりつつある。彼女も医者に診せてくれ、と頼んでも見せてはもらえなかった。ひどい話だが、問題は、こうしたことが当たり前に行われる状況であり、それを許している入管法だ。裁判もなく、刑事事件でもないのに、事実上,長期間「拘束」を認める法律は、憲法違反ではないのか?
 生活保護は「朝日訴訟」で基準が変わり、憲法25条の意義を明らかにした。裁判でなければ変わらない、とすれば、政治の怠慢である。「憲法に基づく政治」に立ち戻って、直ちにやるべきことを一つでも二つでも進めていくことではないか。
 ことは「いのち」の問題である。
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