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2024/09/13
<9月のまんが> 美辞麗句で世論ごまかす総裁選     鈴木 彰

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 企業・団体献金による裏金づくりと脱税にまみれながら、大軍拡・大増税・社会保障破壊に向かって暴走し、8月7日には「緊急事態条項と自衛隊明記する9条改憲」を8月末までに論議せよと訴えていた岸田首相は、同月15日に政権を投げ出した。その金権腐敗と憲法蹂躙を許さない国民世論に追いつめられた結果だった。9月12日に自民党総裁選が告示され、これを最大限に持ち上げるメディアの波に乗った9人もの候補者が27日の投票日に向けて大騒ぎを演じている。彼らは、選択的夫婦別姓の導入、賃上げ「所得倍増」、防衛増税ゼロ、地方の活力アップなどの美辞麗句を臆面もなく掲げる一方で、政権投げ出しを招いた「政治とカネ」への反省を棚上げし、「国民が権力をしばる」「国の交戦権を認めない」などの「国民主権・立憲主義」に立つ日本国憲法を、「権力主権」の大日本帝国憲法に戻して、内閣支持率の低迷など気にせずに「軍拡と軍事支配」を欲しいままにする野望と渇望を隠そうとしない。今月は、9人が担ぐ美辞麗句のお神輿が、国民世論の批判との「相殺」を狙うものであることを描いてみた。
2024/08/10
<8月のまんが> 憲法を変えりゃ支持率怖くない?  鈴木 彰

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 8月の世論調査による岸田内閣の支持率は前月比3.9ポイント増の19.4%だった(時事通信)。3カ月ぶりに上昇に転じたとはいえ昨年12月から9カ月連続で1割台にとどまった。先月の都知事選での「小池百合子知事へのステルス支援」と「蓮舫野党統一候補への石丸刺客担ぎ出し」で、裏金と金権・腐敗を後押しする都政を実現して一息ついたのだろうが、内容が国民の切実な要求と噛み合っていないので、内閣支持率はとうてい回復しないのだ。そこで岸田文雄首相(自民党総裁)は党本部で開かれた憲法改正実現本部の全体会合(7日)で飛んでもないことを訴えた。「憲政史上初の国民投票にかけるとしたならば、緊急事態条項と合わせて自衛隊明記も含めて国民の判断をいただくことが重要だ」「8月末を目指して議論を加速してほしい」と主張。9月の総裁選に向けて「9条改憲」推進をアピールすることで、改憲派の支持を得ようというわけだ。同時に「緊急事態条項と自衛隊明記」等の改憲を急ぐことの本音は、「国民が権力をしばる」「国の交戦権を認めない」という「立憲主義」の憲法を、「権力主権」の憲法に変えてしまえば、どうしても浮揚しない内閣支持率など気にしないで「軍拡と軍事支配」を欲しいままにできるという野望と渇望が透けて見える。
2024/07/15
<7月のまんが> 百合三選 されど政権浮揚せず  鈴木 彰

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 7月7日投票の東京都知事選は、小池都知事に三選を許し、市民と野党の統一候補・蓮舫(れんほう)氏は及ばなかった。裏金・脱税、防衛費倍増、大増税によって内閣支持率が1割台に落ち込んでいて、とうてい候補者を立てることのできない自民党が、卑劣にも「二つの策動」を仕組んだのだ。第一の策動は小池知事への「ステルス(隠密)支援」だ。落ち目の自民党が公然と支援するのははばかられるので、こっそりと組織票を回す。先の国会で企業・団体献金禁止を回避して合法化した裏金もたっぷり添えられたに違いない。自・公票を保障された小池氏は、「公務」を口実に候補者間の公開討論を拒否し、「公務」内での選挙運動に明け暮れ、タヌキのように都民を化かした。第二の策動は、安芸高田市議会でのパワハラで名をあげた石丸氏を「蓮舫」斬りの刺客として担ぎ出したことだ。自民・財界の名士たちが選挙参謀となり、素性や新自由主義的なスタンスを隠した石丸氏が、政策抜きで蓮舫氏を叩き、その言動の「劇場受け」する部分を「切り取り動画」にして湯水のように拡散した。若者の支持が蓮舫氏に向かわぬように、キツネのように振る舞ったのだ。こうして小池氏と自民党が二人三脚で仕掛けた「争点そらし」のもとで蓮舫陣営は、無数の駅頭・街角・辻々で支持拡大の対話と「ひとり街宣」を繰り広げ、当初メディアが60%台に誘導しようとした「小池支持率」を43%まで追い込み、蓮舫氏の19%と石丸氏が野党陣営からもぎとった24%を合わせると小池氏と互角の43%という得票率に達したが、タヌキとキツネの化けの皮を剥がすには時間が足りなかった! この悔しさをバネに、都知事選後も浮揚しない岸田政権の姿を描いた。
2024/06/13
<6月のまんが> あと出しのジャンケンだけが頼りなの    鈴木 彰

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 北朝鮮のミサイル実験には「Jアラート」、中国の軍事演習には「台湾有事」、沖縄辺野古の基地建設には「代執行」、マイナカードに協力しない医療機関には「通報とペナルティ」、子ども・子育て不安には「健保増税」、--国民を脅迫し、敵基地攻撃能力の保有、大軍拡・経済軍事化・軍需拡大・原発推進、軍拡財源確保のための大増税と社会保障切り捨てが強行されている。これらが国民のくらしと安全、日本経済の発展、平和と民主主義を足元から破壊している。腹立たしいのはこれらが、政党助成金と企業・団体献金の二重取り、政治資金パーティーなど「裏金づくり」による大脱税と一体のものであることだ。だから国民の怒りは、自公政権に「時効」を突き付けている。4月の目黒区長選、3つの衆院補選で自民党を全廃させ、とりわけ東京15区補選では、自民を候補者擁立もできない不戦敗に、都民ファーストの候補に9回も応援に入った小池都知事を惨敗させた。5月の港区長選でも自・公両党が推薦した現職を破り、港区都議補選でも自民の公認・推薦候補を敗った。・・・かくて、金権腐敗・強圧政治に固執する自民党政治が終焉を迎えている中で、7月7日に東京都知事選挙が行われる。半年以上にわたって都民と野党の共闘が模索され、5月27日に統一候補の擁立に成功した。これに対して現職都知事は、ぎりぎりの6月12日に「出馬」を表明。「あと出しジャンケン」の効果?と「時効」を迎えた自・公の応援を頼りにしているだけの彼女にはもはや大義がない。今月は「首都決戦」の構造について描いてみた。
2024/05/15
<5月のまんが> 企業献金死守の思いがつい漏れた    鈴木 あきら

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 5月12日放送の『日曜討論』(NHK)で、自民党の政治資金規正法改正に向けた法整備を担当する作業部会座長の鈴木馨祐(けいすけ)衆院議員が「選挙目的、党目的で官房機密費を使うことはありません」と断言した。官房長官以外はだれも知らないことを、根拠もなく「断言」した稚拙さには笑いを誘われてしまった。さらに彼が「再発防止の話と、自民党の力をそぎたいという政局的な話がごっちゃになっている」と各党の発言を批判し。企業・団体献金や政治資金パーティーの廃止など、抜本的な改革をめざす野党各党案の狙いが「政局」にあると主張を展開したのには驚いた。この主張は、自民党内での論議を、つい公衆の前で漏らしてしまったものだ。だから自民党の「改革案」には、企業・団体献金や政治資金パーティーを禁止することが出てこないのだ。こんなに分かり易い話はないので、今月はこれを描くことにした。

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