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2024/01/16
<1月のまんが> 集まって何を「刷新」する気やら
果てしなくつづくウクライナ侵略とガザ攻撃、これを停戦に導くよりもむしろ便乗して防衛費倍増と大増税すなわち経済の軍事化による利権を貪る岸田内閣。政治資金規正法と小選挙区制によっ
て、企業・団体献金を規制する代わりに多数の議席とそれに応じた莫大な政党助成金を手にしてき
た自民党が政治資金パーティー券なら企業・団体に売っても良いとする「法の抜け道」からも莫大
な「ウラ金」を手に入れ、これを継承する岸田内閣も金権・腐敗に浸ってきたが、これを見抜いた
世論が「内閣支持率16%」という審判を突き付けて昨年は暮れた。新しい年は能登半島と志賀原発
を大きな地震と津波が襲い、震災対策と志賀原発廃炉が緊迫した課題となっているのだが、これら
の課題には気もそぞろ。1月10日に「政治刷新本部」なるものを開設した。党の政治資金への厳し
い批判を反らすためだというが、裏金づくりの疑惑の渦中にある安倍派の議員10人を含め、38人の
メンバーを揃えている。岸田首相を本部長に、最高顧問に麻生・菅の元首相を据え、茂木幹事長が
本部長代行。派閥について無派閥の菅氏が「解消」をしゅちょうすると、麻生氏が「解消などとん
でもない」と返して、派閥をどうするかが争点のように見せるが、無派閥でも政治資金パーティー
と裏金作りは行われているのだから、これは争点反らしだ。政党助成金をたんまりせしめながら、
法の裏を行く「企業・団体献金」による「ウラ金」づくりが大手を振っていることにメスを入れな
い限り、「アリババと40人の盗賊」の話じゃないが、38人揃えてゴマカシたって「疑惑の門」は
開くものではない。今月はここを描いてみた。
2023/12/12
<12月のまんが> 共闘を阻むが「湯党」の生きる道?
自民党派閥の政治資金パーティー裏金疑惑をめぐって、岸田首相は12月7日に岸田派(宏池会)会長を退くことを決め、その後連日、「内閣の要」を担う松野博一官房長官、高木毅党国対委員長、西村康稔経済産業相、萩生田光一党政調会長、ついには15人におよぶ安倍派・清話会の裏金疑惑の中心人物の更迭表明に追い込まれている。これは、2年前の10月に第100代総理大臣に就任した岸田首相が、アベノミクスの継承と安倍派のご機嫌取りで政権固めをめざしてきた流れを、根元から脅かす事態といえよう。岸田首相は昨年末に「安保三文書・原発推進5法」を閣議決定し、ウクライナ侵略からガザ攻撃にいたる生臭い情勢も利用して「防衛費倍増」の財源確保と軍事産業育成、軍事経済を支えるマイナー保険証・インボイス・原発再稼働にのめり込んできたが、それは、賃金と年金・医療・介護・社会保障の連続破壊、消費税の連続引き上げと果てしない物価高をいっそう深刻化するものであり、国民の反発は「内閣支持率」の低下というかたちで岸田内閣を苦しめた。そこで岸田首相は反発をなだめようと「税収増の還元策」と称する国民1人当たり年4万円の定額減税(「給付」ではなく半年先1回限りの「減税」)を持ち出したが、その後に大増税が控えていることを見抜く「世論」は、内閣支持率21%、不支持率74%、所得税・住民税減税を評価しない66%、評価する22%(11月20日毎日新聞)という数字で厳しくこれを打ち据えた。政党助成金をごっそりいただいたうえでちゃっかりと裏金づくりに明け暮れ、国民には暮らしと福祉の破壊、大軍拡と大増税を押しつける「安倍流の岸田暴走政治」は、裏金疑惑とあいまって、いま「市民と野党が力を合わせれば倒せる」ところまで追い込まれているのは明らかだ。ところがである! さあ「政治を変えよう」と立ち上がる私たちがふと気づくと、何と野党の足並みが揃わない。新党「教育無償化を実現する会」を立ち上げ、「非共産・非自民」で政権交代をと宣言する「Ⅿさん」は、来年の政党助成金をたっぷり受け取れるように5人のメンバーを揃えて年末に駆け込んだ。「内閣不信任は行いません(近日はそうも言ってられないようだが)と総理に擦り寄る「国・民党のTさん」は政権交代より現政権への参加を夢見ている。「身を切る改革」が売りの維新の「Bさん」は、周りには身を切れと言うが決して政党助成金は返上しない。要するに岸田与党を批判するフリをしながら、「癒(湯)党」として「政党助成金」とその裏金や利権に群がり、「時効」の来ている「自・公」与党を支える「翼賛勢力」として、手を変え品を変え、野党共闘を妨害している。今月はこの部分に目を向けて描いてみた。
2023/11/14
<11月のまんが> 「戦前」に戻る軌道をたどるだけ 鈴木 彰
11月3日に国会正門前で、九条の会主催の「11・3憲法大行動」が開催され4000人が参集した。長引くロシアのウクライナ侵略戦争に加えて10月7日のハマスによるイスラエルへの奇襲攻撃、これを契機に1か月で1万人近い市民と子どもの命を奪うパレスチナ攻撃が行われているさ中での行動となった。昨年末にロシア・中国・北朝鮮・台湾の動向を口実に「安保3文書」と「原発推進」を閣議決定し、防衛費倍増・軍事経済化・軍事大国日本復活への暴走を開始した岸田内閣が、パレスチナ情勢をも利用して軍拡財源の確保(そのための暮らし・福祉の蹂躙、マイナンバー制度の押し付け)、原発汚染水の海洋投棄、憲法改悪を具体化しようとする鼻先での行動でもあった。
岸田内閣は、軍拡への批判を反らそうと、所得税の定額減税や低所得者世帯への7万円給付などの「経済対策」を掲げたが、内閣支持率は下落を続け過去最低を更新している。世論が経済対策を評価しないのは「増税が予定されている」「経済対策より財政再建を優先すべき」「政権の人気取り」との批判があるからであり、東京都江東区長側の公選法違反事件を巡り法務副大臣を辞任した柿沢未途氏や、女性問題で文部科学政務官を辞任した山田太郎氏(13日には税金滞納が発覚して財務副大臣を辞任した神田憲次氏も加わった)への首相の任命責任は重大だとの意見が高まっているからだ。11月7・8日に東京で開いたG7外相会議を終えて上川外務大臣が「今回の会合はG7として初めて戦闘の人道的休止やその後の和平プロセスを含め、一致したメッセージをまとめ」たとして、「日本がG7議長国として、精力的に取り組んできた結果だ」と誇って見せたが、ロシアのウ国侵略には民間人や学校・病院への攻撃を「国際法違反」と厳しく非難してきたG7が、ハマスへの批判の一方でイスラエルの「自衛権を強調」してガザ侵攻そのものの停戦は求めないという「外相声明」は、世論にいっそう深刻な疑問を投げかけ、その後の内閣支持率はいっそう沈下している。
「11・3大行動」は、悪政と世論の緊迫したせめぎ合いの渦中で、十分な規模を果たしたとは言えないが、問答無用の暴走を押しとどめ、新たな方向に転じる決意とエネルギーを現した行動となった。それは、政府のその場限りの「説明」ではだまされない国民世論が、内閣支持率を低下させ続けているのと同じ軌道に立つものに他ならない。
今月は、イスラエルの「自衛権」擁護、日本の「防衛力倍増」の推進という、岸田政治の軌道の上で、内閣支持率浮上のために空しく走る「岸田外交のヴィーナス」の姿を描いてみた。
2023/10/15
<10月のまんが> 異次元の「八奸政治」ゆるすまじ 鈴木 彰
10月11日に藤井聡太名人・竜王が将棋界初の八冠独占を達成した。同じ日に時事通信が10月世論調査で岸田内閣支持率が3か月連続2割台26・3%となったと発表した。次元は違うが陰陽を分かつ2つの報道を受けて翌12日、岸田首相は藤井八冠に内閣総理大臣顕彰を行なうと発表した。内閣支持率の低迷は、切実な国民の願いには耳を貸さず、財界とアメリカの求めには素早く対応する岸田政治への怒りと怨嗟の表明だが、これを素早い「八冠顕彰」決定で反らそうとの思惑が漂う。思惑の有無はどうあれ私たちは、首相自らが「戦後安全保障政策の大転換」「次元の異なる少子化対策」と標ぼうする常軌を逸した岸田政治から目をそむけるわけにはいかない。いま世界では、ウ国侵略などの戦争と紛争に煽られて核軍拡・経済軍事化競争に傾斜し、各国のくらし・福祉・平和を棚上げして核兵器禁止・戦争回避・気候危機打開の国際的・歴史的な努力に逆行する動きが強まっている。日本でも、物価高騰、年金の連続切り下げ、後期高齢者医療への窓口2割負担導入(昨年10月~)・コロナ感染症の検査・治療への公費負担の縮小(この10月~)、後期高齢者保険料の段階的引き上げ(年1万円ていど来年度~)、介護保険利用者負担2割の対象拡大(計画)等が、国民のいのち・健康・くらし・福祉を空前の危機にさらしている。これら内外の緊迫した情勢に対して岸田政権は、福島原発の放射能汚染水の海洋投棄と原発推進、防衛費倍増・軍需産業支援・武器輸出三原則と専守防衛の放棄、軍拡財源確保のための医療・年金・介護財政の横流し、マイナンバー制度の推進と健康保険証の廃止など「異次元の政策」の推進に余念がない。まさに常軌を逸した無数の奸計(悪だくみ)を強行する岸田政治を、彼らが「顕彰」する藤井名人の「八冠」にからめれば「八奸(たくさんの悪だくみ)政治」と呼びたい。「平和・人権・福祉・自治をうたう日本国憲法」を持つ日本の私たちは、内閣支持率26%まで追い込んできた「八奸政治」をさらに追い詰め、憲法の軌道に戻さなくてはならない。今月はそんな思いを描いてみた。
2023/09/16
<9月のまんが> 処理水と呼び名変えても汚染水 鈴木 彰
岸田首相は、今月5日からASEAN=東南アジア諸国連合との首脳会議やG20サミットに出席するため、インドネシアとインドを訪問した。岸田首相は、これらの会議に「G7議長国」として、ロシアによる「ウクライナ侵攻」がもたらしている地球規模の食料危機に向けて国際社会の協調を促す立場で臨んだというが、首相の頭の中は、8月24日に強行した「福島第一原発の処理水放出」に対する国際的非難をどう避けるかということでいっぱいだったようだ。海洋投棄を開始した「放射能汚染水(アルプス処理水)」の「安全性」とやらを説明し、理解を求め、帰国直前の記者会見では「国際社会の理解は一層広まった」と鼻をふくらませた。会場で中国の李強首相との短時間の立ち話で日本産の水産物の全面的輸入停止措置を即時撤回するよう求めたとも語った。しかし、海水で薄めた「アルプス処理水」がどう「安全」なのか、それが海洋に放出されても、長い年月の内に生体濃縮や環境汚染・複合汚染をもたらすことはないのかなど、私たち国民にさえ得心の行く説明は行われていない。放射能の拡散を根元で止める対策や、汚染水の保管方法の改善など、他に求められている手だてを打つこともせずに、大急ぎで海洋投棄に踏み切ったのは、原発推進、防衛費倍増、マイナンバーによる暮らしと福祉の抑制などが狙いであることは見え見えだ。11日の朝に帰国し、13日には女性5人、新人11人、派閥均衡などを「目玉」として「内閣改造」を行なったが、つい「汚染水」と言ってしまった農相の首は挿げ替え、原発・マイナ保険証や大軍拡・大増税を推進する態勢は一歩も譲らない。直後の日経新聞が「内閣支持率横ばい、改造効果乏しく 『派閥均衡』評価せず」との世論調査結果を発表した。阪神の岡田監督の「アレ」は18年ぶりの達成をみたが、13年半にわたる事故原発のデブリ汚染水は「安全な処理水だ」と内外に宣伝しても簡単に「アレ」できるもんじゃない。今月は、いかがわしい「水売り」の姿を描いてみた。