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2022/09/14
安倍元首相の「国葬」に反対する ――世界の人たちに向けてJCJアピール
 日本ジャーナリスト会議(JCJ)は、12日、安倍元首相の「国葬」について反対し、国葬が法的な根拠がなく、市民に弔意を強制する行事であり、思想信条の自由など民主主義のルールに反する」だけでなく、「平和路線を捨てて、憲法条文の勝手な解釈によって集団的自衛権の行使を法制化し、アジアや中東で米国と一緒に『戦争ができる国』へと変容させ」、「米国との『核共有』にも言及するような、危険な道を開いた政治家の遺志」を持ち上げ、継承しようとする」ものだとして、国葬反対を「世界の人々に知ってほしい」と訴えるアピールを発表しました。
 各国政府には、「民主主義のルールに反した『国葬』の実情を確認し、賢明な判断を」と呼びかけています。

安倍元首相の「国葬」に反対する
――世界の人たちに向けてJCJアピール

 私たち、日本ジャーナリスト会議(略称JCJ)は第2次世界大戦後、「再び戦争のためにメディアは協力してはならない」と決意して生まれた、ジャーナリストとそれを支持する市民の組織です。
私たちはいま、安倍晋三元首相の「国葬」を日本政府が実施することに反対しています。「国葬」に法的な根拠がなく、市民に弔意を強制する行事であり、思想信条の自由など民主主義のルールに反するからです。
 しかも安倍晋三元首相は、極右の反社会的団体である旧統一教会(世界平和統一家庭連合)と濃密な関係にある人物でした。霊感商法などで人々を苦しめた旧統一教会。それに関係した政治家を国が多額の公費で顕彰することに、違和感を抱く人たちは数多くいます。
 私たちは以下の4点を世界の人たち、ならびに世界のジャーナリストに知っていただきたく、声明をまとめました。この声明は日本外国特派員協会、国境なき記者団ならびに関係する各国在日大使館あてに送るほか、在京の日本メディアにも送付します。
  1. 「国葬」は、明治憲法下において天皇の勅令「国葬令」に基づき実施されてきました。敗戦後、日本国憲法成立に伴い、「国葬令」は1947年に失効しました。現在、国葬を実施することにも、その経費を全額国費から支出することにも法的な根拠はありません。「国葬」は立憲主義に反します。

  2. 「国葬」の最大の問題は、国民に対して特定の個人に対する弔意を事実上強制することにあります。国費でまかなうため、国民は税負担も強制されます。法的根拠があいまいなまま行われた吉田茂元首相の国葬(1967年)では、全国でサイレンが鳴らされ、娯楽番組の放送が中止されました。悪しき前例があります。

  3. 安倍元首相の政治は、日本国憲法を壊すことに力を注いだ約9年間でした。私たちの日本国憲法は、アジア太平洋地域で2000万人とも推計される犠牲者を出した日本の侵略戦争の反省から生まれました。同第9条は、国際紛争解決のための「戦争を放棄」し、「陸海空軍その他の戦力」の不保持と、「交戦権」の否定を定めています。この平和路線を捨てて、憲法条文の勝手な解釈によって集団的自衛権の行使を法制化し、アジアや中東で米国と一緒に「戦争ができる国」へと変容させたのが安倍元首相です。米国との「核共有」にも言及するような、危険な道を開いた政治家の遺志を「国葬」を通じて持ち上げ、継承しようとする岸田政権に反対します。

  4. 安倍元首相の「国葬」については、日本国民の世論も否定的です。共同通信の調査では、国葬に賛成45.1%に対し、反対は53.3%、毎日新聞調査でも賛成30%に対し反対53%。読売新聞調査では国葬実施を「評価しない」が56%を占め、「評価する」38%を上回り、NHK調査も「評価しない」が50%で、「評価する」が36%です。世論は国葬実施を支持していません。

 日本ジャーナリスト会議は、「国葬」が上記のような問題をはらんでいることを世界の人々に知ってほしいと願っています。各国政府には、民主主義のルールに反した「国葬」の実情を確認し、賢明な判断をされることを訴えます。

             2022年9月12日
               日本ジャーナリスト会議(JCJ)

We Oppose the State Funeral for Former Prime Minister
An Appeal by the JCJ to the World

The Japan Congress of Journalists (JCJ) opposes the Japanese government’s decision to hold a state funeral for former Prime Minister Shinzo Abe. The JCJ was established in 1955 as an organization of journalists and citizens determined that media must never cooperate with any war effort.

The former prime minister had strong ties with the Unification Church, one of the antisocial organizations, presently known as the Family Federation for World Peace and Unification. Many citizens in Japan are strongly opposed to the idea of honoring him through the use of public money.

Listed below are four points we would like to convey to the world.
  1. In Japan of the past a State Funeral had been held based on “the state funeral decree” issued by the emperor. In 1947, after the defeat in World War II the “state funeral decree” was declared null and void. Today no legal basis to conduct a state funeral exists.

  2. The biggest problem of a state funeral is to oblige people to hold a sense of mourning for a specific individual. The people are to be forced to shoulder the tax burden as well.

  3. The politics by former Prime Minister Abe for nine years had been to destroy the Japanese Constitution. He abandoned the road of peace diplomacy, legalized the right of collective self-defense through arbitrary legal interpretations, and altered Japan into “a nation which can fight a war” with America in Asia and the Middle East. We oppose the Kishida administration that praises and carries on such a dangerous desire through the holding of a state funeral.

  4. Public opinion in Japan has been negative about a state funeral for Mr. Abe. According to the survey by Kyodo News Service, while 45.1% supported a state funeral, 53.3% were against it. The survey by The Mainichi Shimbun showed that 30% favored the state funeral while 53% said they were against it. The survey by The Yomiuri Shimbun found 56% of the respondents said it is not appropriate, exceeding the 38% who said it is appropriate. According to the NHK survey, 50% of respondents said they "do not appreciate" and 36% said they "appreciate." Public opinion does not support the implementation of a state funeral.


We sincerely hope people of the world will understand that the planned state funeral for Abe has such problems. We call on the governments of other nations to understand that the funeral violates the rules of democracy and ask them to make a wise judgement.

Sept. 12, 2022
Japan Congress of Journalists (JCJ)

2022/08/22
安倍元首相の国葬問題訴訟・住民監査請求
 安倍元首相の国葬問題について、国に中止を求める訴訟と、その国葬に関して自治体の首長らが出席しないことを求める住民監査請求が始まっている。
 代表的な訴訟の訴状と、監査請求の請求書を掲載する。いずれも、日本国憲法下で「安倍国葬」がいかに問題なのか、が整理されてわかりやすく書かれており、問題を考える上で有益だ。原告や請求人らは、こうした声を全国に広げたいと訴えている。

 国葬問題では、9日、ジャーナリストや大学教授ら231人による「岸田政権による安倍元首相の国葬強行を許さない実行委員会」が東京地裁に訴えたほか、12日にも市民による「安倍『国葬』やめろ実行委員会」が、国葬実施の閣議決定取り消しと、予算執行の差し止めを求める訴訟を横浜、さいたま両地裁に起こした。東京地裁には7月21日にも、国葬差し止め仮処分請求が出され、却下されている。

 もう一方で始まったのは、首長が国葬に出席するなど、公費の支出をやめさせようとい
うもので、北海道、大阪、兵庫、京都で、安倍国葬差止の住民監査請求が行なわれた。いずれも、国葬は公権力が閣議決定だけで一方的に実施するのは、思想・良心の自由を保障する憲法19条に反しているなどと主張している。
 住民監査請求は、自治体の財務会計行為について、具体的な処分行為がなくとも、相当の確実さをもって予測される場合には、請求ができるため、2020年11月8日に行なわれた国事行為「立皇嗣の礼」などに準じて知事や議会議長に案内が来て出席する蓋然性が高いことから、請求が行われた。今回は、葬儀まで日数がなく、執行されてしまうと被害回復が困難なので、勧告手続が終わるまでの間、同法242条第3項に基づく暫定的停止を求めた。監査結果が出る前に、国葬出席が行なわれると、「差止」から「支出費用の返還に変更することになっている。特に、この請求の場合、請求書に、住民が自分の住所と名前を自署して提出すれば足り、住民票などの添付書類も不要で、負担なく取り組めるとして、「請求書汎用版」を作成した。

 訴状は、前田朗・東京造形大名誉教授のブログから、また住民監査請求は、佐藤博文弁護士の提供によるものです。
 訴状: 安倍晋三元首相国葬差止等請求事件訴状

2022.8.19 国葬 措置請求書(別紙代理人、請求人目録なし)【公表用】.pdf (664KB)

2022.8.19【提出版】国葬 暫定的な停止勧告の申立て【請求者代表者名 略】.pdf (81KB)

2022/08/08
メディアは明確に反対を 安倍国葬Ⅲ
 国葬問題について、新聞各社は、国葬が法的に根拠を持たないものであること、その決定の仕方が非民主的だったこと、安倍元首相が国葬にふさわしいのか、といった議論をしている。しかし、国葬に『反対』と明確に打ち出したのは、琉球新報だけではなかったかと思われる。JCJは、こうした問題を議論して、声明を発表した。


 ▼戦前の遺物「国葬」にメディアは明確に反対を

 安倍晋三元首相が銃撃を受け死去した。これに対し岸田文雄首相が「国葬」を実施すると閣議決定したことに、批判が強まっている。だが主要メディアの「国葬」に対する姿勢はあいまいだ。「国葬」は天皇主権の明治憲法体制の遺物であり、国民主権・民主主義とは相いれないという立場を、報道機関は明確にし、人々に伝えるべきではないか。「国葬」とは何か歴史を踏まえて検証し、国民の「知る権利」に応え、「国葬」を実施するなと主張することを強く望みたい。

 「国葬」は、明治憲法下において天皇の勅令「国葬令」に基づき実施されてきた。敗戦後、日本国憲法成立に伴い、「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第1条により1947年に失効した。日本国憲法の思想信条の自由、内心の自由、政教分離の原則と相いれないからだ。
現在、国葬を行うことにも、その経費を全額国費から支出することにも法的根拠はない。政府は内閣府設置法で内閣府の所掌事務とされている「国の儀式」として閣議決定すれば可能とするが、「国の儀式」に「国葬」が含まれるという法的根拠はない。

 1967年10月に吉田茂元首相の国葬が行われた。この時も当時の佐藤栄作首相が閣議決定だけで実施した。翌年の衆議院決算委員会で根拠法がないことについて質疑があった。その後議論が深まることはなく、「国葬」ではない合同葬や「国民葬」が行われてきた。それが今なぜ唐突に「国葬」なのか。

 今回の「国葬」に対する主要メディアの批判は、国会で説明していないこと、故人の業績への評価が分かれていることなどに重点を置いている。安倍元首相と旧統一協会との深いつながりが明らかにされてきた今、それらも重要な問題として追及しなければならないのは当然である。

 しかし何よりも、「国葬」の最大の問題は、国民に対して特定の個人に対する弔意を事実上強制することにある。国費で行うため、国民は税負担も強制されることになる。「弔意を強制することはない」と政府は言う。しかし、吉田元首相の国葬では、全国でサイレンが鳴らされ、娯楽番組の放送が中止された。
 近年でも「日の丸・君が代」を法制化した際、国民には強制しないと政府が説明したにもかかわらず、学校現場などで強制された例は数多い。教員らの処分が横行した。それと同様に、「国葬」への抗議行動が監視や取り締まりの対象になる恐れがないと言えるだろうか。また今後、「国葬」に類する政治的行事が乱発される危険はないだろうか。

 「国葬」強行は、戦前回帰、異論封殺、国民総動員につながりかねないという危機感を持って、報道機関は取材に当たってほしい。戦後ジャーナリズムの原点に立ち返って「国葬」にきっぱり反対の論陣を張ることを呼びかける。

                                               以上

       2022年8月8日
                                  日本ジャーナリスト会議(JCJ)

2022/08/04
安倍国葬に反対 Ⅱ
                                   WP7 No.154J  2022 年 8月3日

▼搾取・収奪常習を問われる集団に寄生する政治家の即退場を求める

世界平和アピール七人委員会
大石芳野 小沼通二 池内了 池辺晋一郎 髙村薫 島薗進

 去る7月8日、奈良市内で参院選の応援演説中だった安倍晋三元首相が旧統一教会に恨みをもつ暴漢に銃撃されて死亡した事件は、治安の良さを内外に誇ってきた日本国民に大きな衝撃を与えた。
しかしながら凶行以上に国民を困惑させたのは、80年代、90年代に悪名高い霊感商法で社会問題化した搾取・収奪常習の宗教集団、統一教会が、名称を変えて21世紀の日本で営々と生き延びていたこと、そして親の入信で苦難の人生を強いられた子どもたちの実態が事件によって浮かび上がったことである。

 逮捕された容疑者は子ども時代に母親の入信で実家が破産して以降、社会の底辺で逼塞しながら旧統一教会への恨みを募らせ続けたとされている。搾取・収奪常習の教団の信者とその家族は、その特異な価値観のせいで一般社会に受け入れられることはない。そのため二世・三世は精神的・経済的に追い詰められていることが多い。

 私たち世界平和アピール七人委員会はまず、旧統一教会(世界平和統一家庭連合)による欺瞞的な勧誘や高額の献金がかくも深刻な社会問題であったにもかかわらず、今日まで等閑にしてきたことに、日本国民として深く恥じ入る。そしてさらに、安倍元首相の祖父である岸信介元首相にまで遡る政治家と旧統一教会の深すぎる関係にあらためて思いをはせ、安倍元首相の国葬を含めて強烈な違和感を新たにするものである。

 少なからぬ国民を脅し、騙し、強制し、多額の財産を奪い、家族を崩壊させてきた宗教団体の存在は間違いなく社会の治安をゆるがす問題であり、これを信教の自由で語ることはできない。そのような宗教団体である旧統一教会に、いま現在、元首相や現職閣僚を含む約100人超の政治家が関わりをもち、選挙で多大な便宜を図ってもらっており、何が問題だと居直る者もいる。批判の的になっていた「統一協会」名を隠すことになった名称変更が長年認められなかったのに、文化庁によって認められた2015年当時の文部科学大臣は、深い関係がこのたび明らかになった一人だった。選挙で勝つためには国民の苦難を顧みない政治、国民への加害をいとわぬ宗教団体に寄生する政治と言っても過言ではない。

当然ながら、弱い立場に追い込まれる国民の幸せも、公共的な意思決定を目指す民主主義も彼らの目には入っていない。安倍元首相が晩節を汚した森友問題や桜を見る会の公私混同も、またあるいは困窮者の再起を阻む日本社会の冷たさも、公共の正義を等閑視する政治がもたらした帰結である。

 人間のあるべき道義として、旧統一教会に寄生する政治家の即退場を求める。

連絡先:http://worldpeace7.jp


 ▼政府による安倍元首相の国葬の決定は、日本国憲法 に反する ―憲法研究者による声明―

 2022年7月22日、政府は閣議決定をもって、9月27日(火)に東京都千代田区の日本武道館において、安倍元総理大臣の葬儀を国葬という形式で執り行うと発表し、遺族もそれを承諾した。岸田首相が葬儀委員⻑を務め、これに掛かる経費は全て本年度の予備費から支出するとしている。われわれは憲法学を専攻し研究する者として、この国葬が行われた場合には、それが単に法的根拠を持たないだけでなく、日本国憲法に手続的にも実体的にも違反することになると危惧し、この国葬の実行に反対する。

 1  明治憲法下では、「国葬令」(1926年公布)が存在し、皇族と「国家に偉功ある者」に対して国葬が行われてきた。国葬令の適用は、大正天皇の国葬に合わせることになった。天皇の思し召しによって、国葬が実施され、国⺠は喪に服することを義務付けられた。国葬という形式は、山本五十六の時のように、何よりも明治憲法の軍国化を促す効用をもたらしてきたが、この「国葬令」は戦後の日本国憲法の施行と同時に1947年に失効している。
 国葬令は、なによりも憲法14条の平等主義に反するものであり、憲法に規定された基本的人権の保障に反するからである。戦後は吉田茂元首相の国葬があったが、これは「戦後復興に尽くした」との理由による例外的なものであった。佐藤栄作元首相の時も、国葬が提案されたが、憲法の番人である内閣法制局が認めなかったことにより、国葬案は実施されなかった。大平正芳元首相の時より、政府と自⺠党による合同葬の形式が慣行的に続いてきた。

 2  ⻑い間封印されてきた国葬が、岸田内閣によって以下の理由をもって実行されようとしている。
 それは「一 憲政史上最⻑になる8年8か月にわたり、内閣総理大臣の重責を担った  二 東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開等の大きな実績を残した  三 外国首脳を含む関係社会からの高い評価 四 選挙中の蛮行による急逝」と説明されている。
 しかし、この一〜三に評されるように、安倍内閣はそれほどに評価すべきことを行ってきたのであろうか。1回目の任期(第90代内閣総理大臣)の時は、教育基本法の改悪と防衛庁の省への昇格を実行したが、内閣スキャンダルと自身の病気を理由にして退いた。さらに、⻑期に及ぶ2回目の任期(第96〜98代内閣総理大臣)は、憲法に違反する法改正(組織犯罪法における共謀罪、安全保障関連法等)を繰り返しながら、「モリ・カケ・サクラ」と言われたような金銭疑惑を残した。そして再度、病気を理由に職務を放り出し、多くの疑惑に正面から答えることなく、首相の座を明け渡した。とくに財務省の記録を改ざんし、自殺者を生み出すまでして事実を隠ぺいした安倍元首相の疑惑は大きいが、もはや闇の中にある。他方で、外交に多大な功績を残したとあるが、これまでの懸念材料であった「領土・基地・朝鮮半島問題」に大きな進展はない。
安倍内閣は憲法の改正を望んできたが、現実に憲法の核心部分は徐々に削られてきたことになる。

 3  岸田内閣は、この国葬を今度は内閣法制局の示唆を受けて、内閣府設置法の4条にある「所掌事務」として形式的に実施しようとしている。国葬の実施は政府が主体となる国事行為であるから明確な法的根拠を必要としている。ところが、法4条3項33号は、「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること」を内閣府が関わりうることを定めた限りであって、国葬という実体を定めているわけではない。
 国葬の実施はいかなる場合になされるかという要件を定めた法規があることを前提としてでなければ、この法4条3項33号の実施は不可能である。さらに、国の最高機関である国会が関わる余地は、内閣府設置法からはなんら見えてこない。ここに手続き上の明白な違反があり、これは法治主義に違反することになる。しかし、形式だけを整えても、国葬は実体的に憲法に反する問題をもっている。

 4  内閣官房⻑官の説明では、「国葬の当日公立学校は休日にはしない」とあるが、政府が実施しテレビ放映による映像が流れることによって、社会が受ける反応には大きな影響が起こりうる。国⺠に時間を指定して哀悼の気持ちを求め、公的機関での半旗の推奨もありうる。現時点で、文部科学大臣が国公立大学に求めている「国旗掲揚」の行政指導が、強く、広範囲で実施されるおそれがある。こうしたことは全て日本国憲法19条が保障する「思想・良心の自由」に抵触することになりかねない。この自由は「内心の自由」に当たり、個人の思考の核心部分を保障するものであり、これへの制約は厳しく審査されなければならない。とくに、学校行事として国葬への参加が強制されることのないように気を付けなければならない。場合によっては、憲法20条に保障された信教の自由や21条に保障された表現の自由を侵害することにもなりうる。
 こうした国葬は強制がなんらないと言われるが、自己の信念に反する国葬が実施されるという事実をもって、国⺠の各人がもつ人としての在り方、「個人としての尊重」(憲法13条)への侵害が生じるおそれがある。

 5  財政的には現在試算がされているが、これを財務大臣は予備費から支出するとしている。しかし、警備も徹底するとなればかなりな費用を必要とするであろう。金額の問題もあるが、問題は予備費の使われ方にある。
 本来は大災害、コロナ対応等の不測の事態にあてるべきであり、国会での審議を求めるのが筋であろう(憲法83条)。また、公費をすでに私人となってしまった個人の死に振り向けることには、その妥当性がないといえるのではないだろうか(憲法89条)。
 宗教性を払しょくして行うとしているが、個人の死に関係することであるから宗教儀式の一環と受け止める国⺠も多いはずである。これを国家が私人に代わって国費で実施することが異常なのであり、国が実施することに格別の政治的な効用があると推定されてしまう(憲法20条3項、89条の政教分離原則)。
 もしも、国葬をもって死者を必要以上に美化し、それを国⺠の記憶に残し、政治的効果を意図し、現政権の継続を願うものであれば、そのことこそ国家の行為を厳格に制約しようとする、日本国憲法の立憲主義の構造に反することになるおそれがあると考えられる。
                             以上

           賛同者  2022.8.3 15:00現在  84名


浅野宜之  関⻄大学教授      足立英郎  大阪電気通信大学名誉教授   飯島滋明  名古屋学院大学教授
井口秀作  愛媛大学教授      石川多加子  金沢大学教員        石村修  専修大学名誉教授
井田洋子  ⻑崎大学        稲正樹  元国際基督教大学教員      植野妙実子  中央大学名誉教授
植松健一  立命館大学教授     右崎正博  獨協大学名誉教授       浦田賢治  早稲田大学名誉教授
江原勝行  早稲田大学教授     大久保史郎  立命館大学名誉教授     大津浩  明治大学法学部教授
岡田健一郎  高知大学教員     奥野恒久  龍谷大学           小栗実  鹿児島大学名誉教授
小沢隆一  東京慈恵会医科大学教授 小野善康  岩手大学名誉教授       金子勝  立正大学名誉教授
上脇博之  神戶学院大学      河上暁弘  広島市立大学准教授      川畑博昭  愛知県立大学教員
木下智史  関⻄大学教授      君島東彦  立命館大学教授        清末愛砂  室蘭工業大学大学院教授
倉田原志  立命館大学教授     倉持孝司  南山大学教授         小竹聡  拓殖大学教授
後藤光男  早稲田大学名誉教授   小林武  沖縄大学客員教授        小林直樹  姫路獨協大学教員
小松浩  立命館大学教授      木幡洋子  愛知県立大学名誉教授     近藤真  岐阜大学名誉教授   
笹沼弘志  静岡大学教授      斎藤一久 名古屋大学教授         ⻫藤小百合  恵泉女学園大学教員
榊原秀訓  南山大学教授 澤野義一  大阪経済法科大学特任教授 清水雅彦  日本体育大学教授
菅原真  南山大学教授 鈴木真澄  龍谷大学名誉教授 高佐智美  ⻘山学院大学教授
高作正博  関⻄大学教授 高橋利安  広島修道大学名誉教授 高橋洋  愛知学院大学名誉教授
竹内俊子  広島修道大学名誉教授 竹森正孝  岐阜大学名誉教授 田島泰彦  元上智大学教授
多田一路  立命館大学 塚田哲之  神戶学院大学教授 常岡(乗本)せつ子  フェリス女学院大学名誉教授
内藤光博  専修大学教授 中川律  埼玉大学准教授 中里見博  大阪電気通信大学教授
中島茂樹 立命館大学名誉教授 中富公一  広島修道大学 永田秀樹  関⻄学院大学名誉教授
永山茂樹  東海大学教員 成澤孝人  信州大学教授 成嶋隆  新潟大学名誉教授
二瓶由美子 元桜の聖母短期大学教授 丹羽徹  龍谷大学教授 根森健  東亜大学大学院教授
波多江悟史 愛知学院大学法学部専任講師 畑尻剛 日本比較法研究所客員研究所員 藤野美都子 福島県立医科大学特任教授 福嶋敏明  神戶学院大学教授 古野豊秋  元・桐蔭横浜大学教授 前原清隆  元⻑崎総合科学大学教員
松井幸夫  関⻄学院大学名誉教授 松原幸恵  山口大学准教授 水島朝穂  早稲田大学教授
宮地基  明治学院大学教授 村田尚紀  関⻄大学教授 元山健  龍谷大学名誉教授
門田孝  広島大学教授 山内敏弘  一橋大学名誉教授 若尾典子  元佛教大学教授
脇田吉隆  神戶学院大学准教授 渡辺治  一橋大学名誉教授 和田進  神戶大学名誉教授



▼安倍晋三元内閣総理大臣の「国葬」に反対し、撤回を求める会長声明
2022年08月02日

                                    東京弁護士会 会長 伊井 和彦

 1 2022年7月8日、安倍晋三元内閣総理大臣(以下「安倍元首相」という)が、参議院選挙の街頭応援演説の最中に銃撃され死亡した。当会は、このような選挙の応援演説中の政治家に対する銃器等を用いた襲撃は、加害者の動機等に関わらずその行為自体が民主主義に対する重大な脅威であると判断し、これを糾弾し抗議する会長声明を本年7月11日に発した。
 しかしながら、岸田内閣が、本年9月27日に安倍元首相の「国葬」を行うと決定したことについては、民主主義の観点からも、また国民の思想・信条の自由の観点からも、重大な懸念があり、これに反対するものである。
 1人の政治家の死を葬儀の場で悼むことは、主義主張に関わりなく行われて然るべきであるが、安倍元首相の葬儀は既に親族において執り行われている。それにもかかわらず、政府が敢えてそれとは別に、閣議決定により「国葬」という儀式を執り行う意味が、問われるべきである。

 2 そもそも「国葬」は、明治憲法下においては天皇の勅令である「国葬令」に基づき行われていたが、「国葬令」は憲法に不適合なものとして「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力等に関する法律」第1条に基づき1947年の終了をもって失効しており、「国葬」を行うことについても、その経費を全額国費から支出することについても、現在は法的根拠がない。
 1967年に吉田茂元首相の「国葬」が実施された際には、翌年の国会答弁で当時の大蔵大臣が「法的根拠はない」と答弁しており、1975年に佐藤榮作元首相が死亡した際に「国葬」の実施が検討されたときも、「法的根拠が明確でない」とする当時の内閣法制局の見解等によって見送られた経緯がある。
 政府は、今回「国葬」を行う法的根拠について、内閣府設置法(1999年制定)第4条3項33号で内閣府の所掌事務とされている「国の儀式」として閣議決定をすれば実施可能との見解を示しているが、そもそも内閣府設置法は内閣府の行う所掌事務を定めたものにすぎず、その「国の儀式」に「国葬」が含まれるという法的根拠もない。
したがって、政府が経費を国費から支出して「国葬」という形の儀式を行うことは、法的根拠がない以上、認められない。

 3 また、政府は、安倍元首相を「国葬」とする理由について、「歴代最長の期間、総理大臣の重責を担い、内政・外交で大きな実績を残した」などとしているが、政府が特定の政治家についてその業績を一方的に高く評価し、その評価を讃える儀式として「国葬」を国費によって行うことは、その政治家に対する政府の評価を国是として広く一般国民にも同調を求めるに等しい。その政治家への評価は、主権者たる国民の一人ひとりが自らの意思で判断すべきことである。

 政府は、今回の安倍元首相の「国葬」においては、国民に対し弔意の表明や黙祷等は求めないとしているようであるが、戦後唯一の「国葬」となった1967年の吉田茂元首相の「国葬」の際には、「歌舞音曲を伴う行事は差し控える」「会社、その他一般でも......哀悼の意を表するよう期待する」との閣議決定がなされ、テレビ・ラジオでは娯楽番組の放送が中止され、全国各地でサイレンが鳴らされ、学校や職場で黙祷が事実上強要された事案も発生した。

 今回も「国葬」が近くなれば、安倍元首相の「国葬」に対する忖度から、公的機関のみならず民間機関に対しても同様の有形無形の同調圧力がかかることは容易に予想され、弔意の表明の事実上の強制が行われかねない。現に、兵庫県や北海道の一部自治体の教育委員会が学校現場に「国葬」の際の半旗の掲揚を求めたという報道もあり、忖度と同調を求める動きは今後も拡がることが予想される。

 このように「国葬」の実施は、国民に対して特定の個人に対する弔意を事実上強制する契機をはらむものであり、国民の思想・良心の自由(憲法第19条)との関係で好ましくない状況がもたらされかねない。

 4 当会は、安倍元首相の在任中に行われた教育基本法改正、イラク特措法の延長、教育三法改正(以上第一次安倍内閣)、特定秘密保護法制定、労働者派遣法改正、集団的自衛権行使を容認する閣議決定、安全保障関連法の制定、共謀罪の制定、検察庁法の改正(以上第二次安倍内閣)等について、立憲主義及び憲法の基本理念に反するという立場から反対する旨の会長声明等を繰り返し発出してきた。
 特に集団的自衛権の容認と安全保障関連法の制定については、当会を含む全ての弁護士会が一致して明白に違憲として反対し、現在もその廃止を求めている。それにもかかわらず、これらの安倍内閣の各政策を国に対する功績と評価して安倍元首相の「国葬」を行うことは、立憲主義及び憲法の基本理念を揺るがすものであり是認できない。

 また、安倍元首相が在任中及び退任後も声高に主張し、今後の国会における争点となり得る「憲法9条への自衛隊の明記」「緊急事態条項の設置」等の改憲や敵基地攻撃能力保持等の議論においても、「国葬」によって安倍元首相の意見を国是のように扱うことが起りかねない危惧もある。

 5 当会は、安倍元首相の「国葬」にはこのような憲法理念上の問題点が多々あることから、これに反対し、政府に撤回を求めるものである。
            2022年08月02日

                                    東京弁護士会 会長 伊井 和彦




▼ <声明> 安倍元首相の賛美・礼賛、国民への弔意の強制に繋がる「国葬」に強く反対し、撤回を求める
                
                                       憲法会議

 安倍晋三元首相が無法な銃撃で殺害されたことについて、憲法会議は、政治活動や言論を暴力で封殺することは、民主主義を破壊する最も憎むべき行為であり、個人の尊厳を否定する憲法問題として断固糾弾します。憲法会議は、あらゆるテロ行為を許さない社会をつくるために、多くの国民の皆さんとともに全力をつくす決意です。

 岸田首相は7月14日、安倍元首相の「国葬」を行うと発表しました。これが戦前やられたような宗教行為としての国葬なら、憲法第20条第3項の「国の宗教活動の禁止」に反する行為です。岸田首相は、今回、国の儀式に関する事務を所掌として定めた内閣府設置法に基づき、「閣議決定を根拠として行政が国を代表して行える」と説明し、全額国費で負担する方針を明らかにしました。しかし、元首相の葬儀を行うことや、政府がその経費を支出する法的な根拠や基準はありません。

 また、岸田首相が「国葬」とする理由に様々な「実績」をあげ、「そのご功績は真にすばらしいものがある」と述べたことを、憲法会議は厳しく糾弾するものです。安倍元首相が行った改憲策動、集団的自衛権の容認・南スーダン等への自衛隊派兵、桜を見る会等に象徴される政治の私物化、118回のうそ答弁に象徴される国会軽視、大軍拡・敵地攻撃能力保有など米国と一体の戦争する国づくり推進などの安倍政治は厳しく批判しなければなりません。

 「国葬」は、国民のなかで評価が分かれている安倍氏の政治的立場や政治姿勢を全面的に公認し、国家として安倍政治を賛美・礼賛することになります。また、安倍元首相に対する弔意を、国民に対して事実上強制することにつながる憲法問題です。弔意は、示すかどうかも含めて、すべて内心の自由の問題であり、憲法第19条「思想及び良心の自由」違反です。

 これまで、国民の税金を投入し、戦後に国葬が行われたのは1967年の吉田茂氏のみで、法的根拠となる「国葬令」は1947年に失効したものの、吉田氏の国葬は例外的に行われました。それ以降、首相経験者の国葬は一度もありません。今回の国葬は、失効した「国葬令」を実質的に復活させ、「戦争する国」づくりに組み込むものといえます。

 死を悼む民心に漬け込み、戦争を賛美した戦前のように、国民の精神を安倍元首相が推進し、岸田首相が継承する「戦争する国づくり」に動員することは断じて許されません。

 憲法会議は、安倍元首相の「国葬」に強く反対し、その撤回を求めます。

                          2022年7月20日 憲法会議(憲法改悪阻止各界連絡会議




▼【声明】 安倍元首相の「国葬」に反対する
                              2022年7月21日
                          許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局長 菱山南帆子


 2022年7月22日の閣議決定により9月27日に安倍元首相の国葬が行われると言われています。

 安倍政権下で一部の大企業が儲かることによって格差が広がり、「雇用を増やした」と言っていますが実は非正規雇用が増え、経済優先のコロナ対策を進めた結果、非正規労働者の雇止めが増加し、自死や孤独死、路上生活者が後を絶ちません。

 さらに、教育基本法改悪、秘密保護法、安保法制、働き方改革、カジノ法、TPP 法共謀罪法と様々な悪法を強行してきました。

 森友学園、加計学園、桜を見る会などの政治の私物化、疑惑隠蔽、国会での118回にも及ぶ虚偽答弁。伊藤詩織さんへの性暴力を行った山口氏の逮捕状もみ消しなど実に許されない事件が沢山ありました。

 この間報道されているように「旧統一協会」と安倍元首相らの癒着が明らかになってきています。
悪質で違法な商法を隠ぺい擁護し、主張を政策に反映させた見返りに、人やモノや金を得るような政治を行ってきたことが、今回の山上容疑者の行動に繋がってしまったのではないでしょうか。

 このような金と利権の疑惑が次々と出てくる中で「国葬」の強行により「なかったことにする」わけにはいきません。

 またこのような「国葬キャンペーン」の中で「安倍元首相の悲願であった改憲を実現しよう」というような流れにさせてはなりません。

 岸田首相による安倍元首相の政治利用、改憲のための利用は許されません。
莫大な税金を投入し、1 人の人間を「国葬」という形で特別扱いし、全市民に「哀悼」を強制する「国葬」に反対します。
志を同じくする全国のひとりひとりの市民の皆さんがそれぞれの可能なやり方で安倍元首相の「国葬」に反対する行動に立ち上がるよう呼び掛けます。

        2022年7月21日
                          許すな!憲法改悪・市民連絡会事務局長 菱山南帆子
2022/07/26
安倍国葬に反対 各界が声明
 安倍晋三元首相の銃撃死を受けて、政府は7月22日、安倍氏について「国葬儀」を実施することを閣議決定した。
決定前から、多くの団体が、それぞれの立場で、これに反対する声明を出している。順次紹介する。

 ▼故安倍元首相の「国葬」に反対する
                     2022 年 7 月 15 日 日本平和委員会

 昨日の記者会見で岸田首相は、銃撃による殺害という蛮行によって命を奪われた安倍晋
三元首相について、この秋に「国葬儀」の形式で葬儀を行うことを表明した。その理由とし
て、安倍氏の「東日本大震災からの復興、日本経済の再生、日米関係を基軸にした外交の展
開などの大きな実績」を称えるためとしている。

 私たちは、参議院選挙の最中に行われた安倍氏の銃撃殺害事件に対し、自由と民主主義を
根本から破壊する蛮行と糾弾し、満身の怒りを込めて抗議した。また、その非業の死に対し
ては、心からの哀悼の意を表するものである。
 しかし、「国葬」とは、国民の税金、貴重な国費を使って亡くなった人の「功績」を称賛
し、そうした特定の評価を国民に押し付けることに他ならない。これは、日本国憲法の定め
る国民主権、思想・良心の自由と民主主義の原則とは全く相容れないものである。私たちは
「国葬」の実施に強く反対するものである。

 私たちは特に、安倍首相の「日米関係を基軸にした外交の展開」を評価することには絶対
に同意できない。安倍首相は、自らの「血を流す同盟」づくりの信念の下に、閣議決定で、
憲法解釈を集団的自衛権行使可能なものに変更し、国民の強い反対を押し切って安保法制
(戦争法)を強行し、立憲主義を根本から破壊した。さらに、首相在任中に勝手に「敵基地
攻撃能力」保有に向けた新たな安保政策策定を指示し、それが今日の「敵基地攻撃」大軍拡
推進、軍事費倍増の動きにつながっている。私たちは日本国憲法を破壊するこのような「実
績」を評価することは到底できない。

 国民の中には、様々な意見があり得るにもかかわらず、政府の一方的な評価のみによって
「国葬」の実施を国民に押し付け、その儀式を国民の血税を使って行うようなことは、決し
て許されない。日本国憲法の原則に立って、私たちは強く表明するものである。


 ▼安倍晋三元首相の「国葬」に反対する
                          2022年7月21日 日本民主法律家協会
1 安倍氏の銃撃と死去

 今月8日、安倍晋三元首相が遊説先の奈良市内で街頭演説中に銃撃され死亡する事件が生じた。同日、犯行の動機や背景は一切明らかになっていない段階で、当協会は、「言論を封殺する暴力行為は断じて許されない」とする立場から、この蛮行を糾弾する声明を発し、併せて「安倍氏のご冥福を心よりお祈りする」旨の弔意を表明した。
 その後、銃撃犯の供述とされる報道からは、犯行の動機については思いがけない展開を見せてはいるが、当協会の今月8日付声明の立場にはいささかの変更もないことを確認しておきたい。

2 安倍氏への疑惑追及の手を緩めてはならない

 しかし、死者への弔意を表明することは、けっして当該人物の生前の業績を称賛するものでも美化するものでもない。当協会は、憲法「改正」を主とする数多くの政治課題において安倍氏を厳しく批判し対決する立場を貫いてきた。また、その政治家としての廉潔性を欠いた姿勢や目に余る国会での虚偽答弁を批判し、安倍氏にまつわる「モリ・カケ・桜」など数々の疑惑の解明に努力を重ねてもきた。安倍氏が亡くなったことで、安倍氏に対する批判や疑惑追及の姿勢を緩めるようなことはない。さらに、本件犯行の動機とされている旧統一教会と安倍氏の関係の徹底解明も、新たな課題として疎かにしない。
 このことは、当協会のみならず多くの人々の共通の思いであろう。

3 国論を二分させた政治家への国葬は国民的同意を得られない

 ところが、7月14日、岸田文雄首相は記者会見において、まことに唐突に「今秋、安倍氏の葬儀を国葬儀として行う」と発表した。その理由については、「(安倍氏の)ご功績は誠に素晴らしいもの」とした上で、「国葬儀を執り行うことで、我が国は暴力に屈せず、民主主義を断固として守り抜くという決意を示していく」と述べている。さらに、同月20日、政府は9月27日に安倍氏の国葬を行う予定であると発表し、明日にも閣議決定すると言われている。
 こうした国葬は、安倍氏とその政治路線を賛美するものとなり、その批判を封じる効果をもたらすことになる。とうてい納得し得ない。
 安倍氏ほど毀誉褒貶激しい人物は他にないであろう。安倍氏について、特定の政治的立場からは「ご功績は誠に素晴らしいもの」とされることはあっても、けっしてこうした評価が全国的な国民的同意を得ることはない。むしろ、安倍氏は国民の政治的意見分断を象徴する政治家として記憶される人物である。
 また、本件犯行の動機が特定の政治的主張に基づくものでないことが、ほぼ判明した今、国葬の実行が「民主主義を断固として守り抜く」ことになるという論理にはなんの説得力もない。安倍氏の死を政治的に利用しようとの意図が色濃く浮かび上がる。

4 国葬の法的根拠は欠如している

 戦前、勅令として制定された「国葬令」は日本国憲法施行の際に失効しており、その後立法の気運はない。従って、国葬を行うべき法的根拠に欠ける。
 岸田首相は、内閣府設置法上の「国の儀式」に当たることを法的根拠としているようだが牽強付会というほかない。組織法である内閣府設置法第4条(所掌事務)第3項は、「内閣府は、…次に掲げる事務をつかさどる」として、第三十三号に「国の儀式並びに内閣の行う儀式及び行事に関する事務に関すること(他省の所掌に属するものを除く。)」としている。これは、内閣府が「(他省の所掌に属しない)儀式」についての分掌の規定に過ぎず、この条文を根拠として、政府が「国葬」を行うことはできない。
 なお、政府が、国葬ないしはそれに準ずる儀式を行うとすれば、まず「全国民を代表する選挙された議員」(憲法43条1項)で組織された国会に諮って、国民の目の前で賛否両論の議論をつくすのが当然であり、この議論こそが「民主主義を断固として守り抜く」にふさわしい。この手続きを欠いた「国葬」は、一党一派に国の権威を付与し、国費を掠めとろうとするものとの批判を免れない。

5 国葬への国費支出は国民の思想信条の自由を侵害する

 また、国葬は全国民に安倍氏に対する弔意を求めるものとならざるを得ない。その費用を国費から支出する点においては、全国民に対して弔意に伴う経済的な負担を強制することにもなる。いうまでもなく、安倍氏とは自由民主党という保守派の特定政党の党首であった人物であり、日本国憲法の「改正」を最も強く主張してきた政治家でもある。
 その政治家の国葬を行うことは、全国民に対して、特定の政治的立場をもった人物への弔意を求めることであり、費用の負担を通じて弔意を強制することでもある。これは、憲法が全国民に保障する思想良心の自由(憲法第19条)を、政府(行政権)自らが侵害することにほかならない。
 政府には、特定政党への政治献金のための特別会費強制徴収決議を無効とした、南九州税理士会事件における1996年3月19日最高裁判決の次の説示(要約)に、真摯に耳を傾けていただきたい。
 「強制加入の税理士会の会員には、様々の思想・信条及び主義・主張を有する者が存在することが当然に予定されている。したがって、税理士会の活動にも、会員に要請される協力義務にも、おのずから限界がある」
 もとより、国民には思想良心の自由が保障されている。日本国憲法の理念を普遍的な価値とする信条を持つ者、とりわけ憲法的理念を自らの人格の中枢に位置すると自覚する者にとっては、憲法をないがしろにし、憲法「改正」を先頭に立って主張してきた安倍氏に対して、礼賛の儀式を国が行うことに耐えがたい苦痛を禁じえない。政府による国葬の強行は違憲・違法のおそれ濃厚と言わねばならない。

6 国葬の実施により、人権は制約され、安倍氏への追及も抑制されかねない

 国葬が実施されれば、歌舞音曲の「自粛」が強制され、交通規制や立入規制が行われ、表現の自由や集会・行動の自由(憲法第21条)が抑圧されることになりかねない。そして、このような憲法上大いに問題である「国葬」が「適法な公務」として執行されることになるので、これに抵抗することや反対することが「公務執行妨害」として犯罪とされるおそれも否めない。
 さらに、国葬を通じて安倍氏の礼賛がなされることによって、安倍氏に対する批判や疑惑追及が規制されるおそれがあり、この点からも表現の自由・集会の自由が正当な理由なく抑制され、萎縮させられるおそれがある。

7 安倍氏の国葬に反対する

 当協会は、以上の理由で安倍氏の国葬に強く反対する。
 これから犯行の背景が解明され、事実関係が明らかになるにつれて様々な意見が活発になることが想定される状況において、国葬を強行することは、これらの多様な意見の表出を抑圧することになる。したがって国葬の強行は、国民世論を分裂させ、大きな混乱をもたらすおそれは否めない。
 私たち日本民主法律家協会は、政府に対して、すみやかに国葬の予定を撤回し、また閣議決定をしないよう強く求めるものである。

  2022年7月21日

               日本民主法律家協会 理事長 新倉  修
                        事務局長 大山 勇一


 ▼安倍晋三元内閣総理大臣の「国葬」に反対する議長声明
                                   2022年7月21日
                                   青年法律家協会弁護士学者合同部会


 一 2022年7月8日、安倍晋三元内閣総理大臣(以下、「安倍元首相」という。)が、奈良県において選挙運動で演説中に狙撃され、死亡する事件が発生した。
 2022年7月14日、岸田文雄内閣総理大臣(以下、「岸田首相」という。)は、安倍元首相について「憲政史上最長の8年8か月にわたり、卓越したリーダーシップと実行力をもって総理大臣の重責を担い、東日本大震災からの復興や日本経済の再生、日米関係を基軸とした外交の展開などさまざまな分野で実績を残すなど、その功績はすばらしいものがある」などとしたうえで、「この秋に『国葬儀』の形式で、安倍元総理大臣の葬儀を行うこととする」と表明した。その際の費用は全額国庫が負担するものとされている。

 二 安倍元首相が総理大臣として行った数々の「実績」は、岸田首相が言明したものとはむしろ全く逆のものであった。
 安倍元首相は、森友・加計問題、桜を見る会問題で政治の私物化を行った疑惑の渦中にある中心人物であり、これらの疑惑は未だその真相は解明されていない。我が国を戦争のできる国家にするための布石である集団的自衛権の政府解釈変更、特定秘密保護法や安保法制などでの強行採決も行った。安倍元首相は、その推進する政策や疑惑に対する答弁において、丁寧な説明と評価できる国会答弁や記者会見での言明を行わず、国民に対し正しい情報提供をしなかった。加計学園問題をめぐって憲法53条に基づいて野党側が臨時国会の召集を求めた際に、これに応じることもしなかった。
 このように、安倍元首相は、その在任中、我が国の民主主義を踏みにじる行動を続け、そのことに無反省な態度を取り続けた。
 当部会も、こうした観点から何度も安倍元首相の言動、あるいは安倍元首相の主導する政府の行動を批判してきたものであり、岸田首相の安倍元首相の「実績」にかかる上記言明は誤りである。

 三 安倍元首相について「国葬」を行うことは、安倍元首相が行ってきた上記行為を国として正当なものと評価し、国と国民をあげて安倍元首相を追悼することが正しいということを国が国民に押し付けることになる。死者をどう弔うかは個人の意思に委ねるべきことであり、「国葬」による押し付けは、思想良心の自由に反する。「国葬」に伴って学校や行政機関で半旗の掲揚や、黙祷などが強制される事態になれば、強制される者の内心の自由に対する侵害となることは明らかである。
 そもそも、国民主権の理念に基づく日本国憲法下においては、安倍元首相の行動は国民の代表者としてのそれであり、王権社会における国王のごとき特別な地位に基づくものではないから、「国葬」によって安倍元首相を弔う行為は、民主主義の理念や、平等原則にも反するものである。

 四 岸田首相は、国葬の法的根拠について、内閣府設置法に内閣府の所掌事務として定められている「国の儀式」として閣議決定をすれば実施可能との見解を示している。
 しかし、明治憲法下では「国葬令」が定められ、これに基づき「国葬」が行われていたが、「国葬令」は1947年に廃止された経緯がある。これに照らせば、「国葬」が内閣府設置法にいう「国の儀式」に当然に含まれると解することはできず、内閣の判断のみで議論もなく「国葬」に国費を支出することは、財政支出に国会の議決を要するとしている憲法83条に反する。

 五 このように、岸田首相が表明している安倍元首相について「国葬」を行うことは、憲法違反を含むものであって、かつ、憲法上の人権侵害をもたらすものである。
 以上により、当部会は安倍元首相について「国葬」を執り行うことに反対し、政府に対し、「国葬」の方針を撤回することを求める。

           2022年7月21日

                  青年法律家協会弁護士学者合同部会 議長  笹山 尚人


 ▼戦後最悪の政治をすすめた安倍元首相の国葬に反対する
                                       東京革新懇声明
                               2022年7月22日  東京革新懇代表世話人会

 岸田首相は、7月14日、参議院選挙期間中に銃撃を受け死亡した安倍元首相の国葬を秋に行うと唐突に発表した。国葬令は、政教分離や思想信条の自由等を定めた日本国憲法の制定により失効し、国葬の法的根拠は一切無くなっており、全額国費により国民に追悼を強いることが出来る国葬は、行うことはできない。
  岸田首相が、「安倍元首相の思いを受け継ぎ」難題に取り組むとして、改憲の推進と路線の継承を表明しているように、改憲、大軍拡、専守防衛を放棄する敵基地攻撃能力の保有、アベノミクス、社会保障改悪を継承し推進しようとしている。国葬の実施はその路線を美化し、推進を図ろうとするよこしまなねらいが込められていると断じざるを得ない。
  そして、安倍元首相の8年8ヶ月に及ぶ戦後最悪の悪政とたたかい続けてきた我々は、その政治を美化し、継承し推進を図ろうとする国葬を認めることはできない。 では、安倍悪政とはなんであったか。
 その最大のものは、日本国憲法のもとで、政府が憲法上許されないと一貫して否定してきた集団的自衛権を、閣議決定で容認に解釈を変え、さらにその解釈を法制化する安全保障関連法を多数で押しきったことであり、フルスペックの集団的自衛権をめざし改憲の旗を振り続けたことである。それは、アメリカ軍の第二軍として自衛隊を海外の戦争に動員する道であった。沖縄の民意を踏みにじって、辺野古新基地建設をゴリ押ししたことも指摘せざるを得ない。
  第二に、日本の民主主義を破壊する特定秘密保護法、共謀罪を強行し、マスコミへの統制の強化、教育への介入を強めたことである。
  第三に、アベノミクスと称して、新自由主義に基づく経済政策を進め、2度にわたり消費税増税と法人税減税を繰り返し、大企業の内部留保が133兆円増えて466兆円に達し、富裕層の資産が急増した一方で、働く人の実質賃金が年22万円減少した。このことに象徴されるように、大企業、金持ち優遇の政治であり、格差と貧困を広げ、成長出来ない国にした。
  第四に、「全世代型社会保障」を掲げ、世代間対立を煽りながら、年金、医療、介護、生活保護など社会保障の切り捨てをすすめた。
  第五に、森友・加計学園、桜を見る会など、露骨な国政の私物化、公文書の改ざん・隠ぺいを引き起こし、内閣人事局を通じた官僚統制を強め、かつてない国政の劣化をすすめた。 このような安倍政治を、国葬で美化することは、悪政の本質を覆い隠し、国民の中に分断を持ち込むものである。
  東京革新懇は、テロは許しがたいものであることを表明するとともに、安倍元首相の国葬に強く反対し、その撤回を要求するものである。                                  以上


 ▼岸田内閣による安倍晋三元首相の国葬に反対する声明            自由法曹団 
                                     2022年7月21日
 


 岸田首相は、本年7月14日、今秋に安倍晋三元首相の国葬を執り行うことを表明し、報道によれば明日にも閣議決定がされる見通しとのことである。
 国葬は、国が個人の葬儀を主宰し、その費用に国費をもって充てるものであり、戦後は一例を除いて実施されることはなかった。こうしたことから安倍元首相の国葬をおこなうことについて、賛否は大きく分かれており、これを強行することは以下に述べる通り、法的にも社会的・政治的にも重大な問題をはらんでいることから、自由法曹団は強く反対する。

【法令上の根拠がなく財政立憲主義に反するおそれ】
 現在、国葬について定めた法令は存在しない。もともと戦前においては、1926年に制定された勅令(国葬令)に国葬に関する定めがあったが、この勅令は、憲法に不適合なものとして「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力に関する法律」1条に基づき失効している。
 戦後唯一の例外として挙行された吉田茂元首相の国葬に関しても、塚原敏郎総務長官(当時)は「根拠になる法律もなく苦労した」と述べている。また佐藤栄作元首相に関し、国葬の実施が検討された際も、「法的根拠が明確でない」とする内閣法制局の見解等によって見送られた経緯がある。このように国葬に法的根拠のないことは明らかであり、岸田首相が内閣設置法の内閣の所掌事務として「国の儀式」にあたるとして、閣議決定があれば実施可能とした解釈は到底認められない。
 このように法令上の根拠のないまま内閣の独断でこれを行うことは、政治的思惑に基づく国費の恣意的支出との批判を免れず、「国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、これを行使しなければならない。」(憲法83条)とする財政立憲主義の観点から許されない。

【国民の思想・良心の自由に反するおそれ】
 安倍元首相は一政党に属する国会議員であるが、その葬儀を国が主催し、国費を支出することは、個々人が故人を悼むこととは異なり国家として当該個人への弔意を表すものである。したがって、すべての国民が当該国会議員への弔意を事実上強要されることになりかねず、さらには当該政党への献金を強制されたに等しい効果を及ぼす。実際に、吉田茂元首相の国葬の際には、「国民をあげて冥福を祈る」の大号令の下、競馬や競輪などの公営競技が中止となり、娯楽番組の放送が中止され、全国各地でサイレンが鳴り響かされて職場や街頭で黙とうがささげられる、という事態が生じている。
 すでに、安倍元首相の葬儀にあたり、弔旗を掲げたり、記帳台や献花台を設置したりした自治体もあり、兵庫県三田市の教育委員会のように学校現場において半旗の掲揚を求めた事例も生じている。政府が国葬を実施すれば、こうした傾向がさらに助長されることが懸念され、こうした弔意の強制は、思想・良心の自由(憲法19条)に反するものであり許されない。

【安倍元首相への批判を封じ、市民の中に分断をもたらすおそれ】
 岸田首相は、安倍元首相につき「東日本大震災からの復興や日本経済の再生、日米同盟を基軸とした外交の展開など様々な分野で実績を残すなど、その功績は素晴らしいものがある」と持ち上げ、それを国葬の理由としているが、それこそ賛否が大きく分かれるものである。
 安倍元首相はその在任中の2014年7月、政府が長らく専守防衛の範囲を超える集団的自衛権の行使は憲法違反となるとしてきた立場を変更する閣議決定を強行し、2015年には集団的自衛権行使を容認した安保法制を、多くの国民の反対の声を押し切って成立させた。また民主主義の基盤を根底から揺るがす特定秘密保護法の成立を強行し、「世界で一番企業が活動しやすい国にする」として掲げたアベノミクスにより、国民の中の貧富の格差を著しく拡大させた。さらに、森友・加計学園問題、「桜を見る会」等にみられる政治の私物化にかかわる疑惑等を首相自らが引き起こした上、国会で虚偽答弁を繰り返した結果、未だその真相は明らかとなっていない。さらに自殺者まで出した行政文書の改ざん問題についても、未解決なままである。こうした安倍元首相の「業績」については我々も都度批判してきたところであり、死亡によって「なかったこと」にすることは到底できない。未解決の問題については引き続き真相究明や検証が行われなければならず、安倍元首相への正当な批判が封じられることになっては決してならない。
 しかし、実際には安倍元首相への批判に対する攻撃は起きており、安倍政権の後継である岸田政権を批判する街頭宣伝をしている人々に対する妨害も発生している。また北海道警が安倍元首相の演説中にヤジを飛ばした聴衆をいきなり排除した事件で、裁判所が道警の措置を違法と判断したことが警護をやりづらくさせたとする言説や、銃撃犯が在日朝鮮人である等の事実無根のデマまでが流布されるなど根拠のない非難も起きている。
 こうした中で国葬を実施すれば、安倍元首相を礼讃するという実際上の効果をもたらすこととならざるを得ない。その結果、安倍元首相の批判への攻撃に拍車がかかり、市民間の分断を一層助長するおそれが強い。そうなれば自由な言論は保障されず、民主主義が危機に瀕することも懸念される。
 安倍元首相の国葬を行うことに反対する意見は、すでに各界各層から表明されており、拙速に閣議決定すべき問題でないことは明らかである。よって自由法曹団は、安倍元首相の国葬の実施に強く反対し、直ちに計画の撤回を求めるものである。

以上
            2022年7月21日          自由法曹団団長 吉田健一

 

Statement
opposing the state funeral of former Prime Minister Shinzo Abe by the Kishida Cabinet
                   

 July 21, 2022

Japan Lawyers Association for Freedom (JLAF)
President Kenichi Yoshida


 On July 14, Prime Minister Kishida announced that he would conduct a state funeral for former Prime Minister Shinzo Abe this fall, and according to media reports, a cabinet decision is expected tomorrow.
 State funerals, in which the state presides over a funeral of an individual, and the cost is paid for with state funds, were not practiced after the war, except in one instance. There is a wide divergence of opinion on whether or not to hold a state funeral for former Prime Minister Abe. JLAF strongly opposes it because of the serious legal, social, and political problems that would result from forcing such an action, as described below.

【Lack of legal basis and possible violation of fiscal constitutionalism】
 Currently, there are no laws or regulations governing state funerals. Originally, before the end of World War II, there was a provision on state funerals in the Imperial Ordinance (State Funeral Ordinance) enacted in 1926. However, this imperial decree has been revoked in accordance with Article 1 of the “Law Concerning the Validity of Provisions of Orders Currently in Force at the Time of the Enactment of the Constitution of Japan” 「日本国憲法施行の際現に効力を有する命令の規定の効力に関する法律」as being incompatible with the Constitution.
 As for the state funeral of former Prime Minister Shigeru Yoshida, which was the only exception in the postwar period, Toshiro Tsukahara, then Director-General of the General Affairs Bureau, stated, “We had a hard time because there was no law on which to base the ceremony.” When the government considered holding a state funeral for former Prime Minister Eisaku Sato, the Cabinet Legislation Bureau’s opinion that “the legal basis was not clear” led to the decision not to do so. Thus, it is clear that there is no legal basis for state funerals, and Prime Minister Kishida’s interpretation that states funerals are “state ceremonies” under the jurisdiction of the Cabinet under the Law for Establishment of the Cabinet, and can be held if a Cabinet decision is made, is absolutely unacceptable.
 Such an arbitrary decision by the Cabinet, without legal basis, cannot escape criticism as an arbitrary expenditure of government funds based on political motives, and is impermissible by fiscal constitutionalism, which states that “the power to administer national finances shall be exercised as the Diet shall determine” (Article 83 of the Constitution). 

【May violate people’s freedom of thought and conscience】
 The fact that the government sponsors the funeral of former Prime Minister Abe, a member of the Diet who belongs to a particular political party, and pays for the funeral with government funds is an expression of the nation’s condolences to a particular person, as opposed to an individual’s mourning for a deceased person. Therefore, all citizens could be effectively forced to offer their condolences to a particular Diet member, and this would have the same effect as forcing them to donate money to a particular political party. In fact, at the time of the state funeral of former Prime Minister Shigeru Yoshida, under the grand order “the whole nation prays for the repose of his soul,” horse races, bicycle races, and other public sports were cancelled, entertainment programs were stopped, sirens were sounded throughout the country, and silent prayers were offered at work and on the streets.
 Some local governments already raised flags of condolence and set up a memorial table and flower offering stand at the time of former Prime Minister Abe’s private funeral, and there have been cases, such as the Board of Education of Sanda City, Hyogo Prefecture, which requested that flags be flown at half-staff at school sites. If the government implements the state funeral, there is concern that this trend will be furthered, and such forced condolences are in violation of the freedom of thought and conscience (Article 19 of the Constitution) and are not permissible.

【May block criticism of former Prime Minister Abe and create divisions among citizens】
 Prime Minister Kishida praises former Prime Minister Abe, saying that his achievements in various fields, such as recovery from the Great East Japan Earthquake, revitalization of the Japanese economy, and development of diplomacy based on the Japan-U.S. alliance, are outstanding, and that is the reason for his state funeral. However, that is exactly what the pros and cons are so widely divided on.
 In July 2014, during his tenure, former Prime Minister Abe forced through a cabinet decision to change the government’s long-held position that the exercise of the state’s right of collective self-defense which is beyond the scope of exclusive defense would be a violation of the Constitution, and in 2015 he passed the Security Law, which authorized the exercise of collective self-defense, over the objections of many citizens. He also forced the passage of the Act on the Protection of Specially Designated Secrets, which shook the foundations of democracy, and Abenomics, which was designed to “make Japan the easiest country in the world for corporations to operate,” has significantly widened the gap between the rich and the poor among the people. In addition, former Prime Minister Abe has brought about the Moritomo/Kake Gakuen issue, the “Cherry Blossom Viewing Party,” and other allegations of privatization of politics, and has repeatedly given false answers in the Diet, the truth of which has yet to be revealed. Furthermore, the issue of falsification of administrative documents, which even resulted in a suicide, remains unresolved. We have criticized former Prime Minister Abe’s “achievements” on numerous occasions, it is impossible to “pretend that they did not happen” due to his death. The unresolved issues must continue to be investigated and verified, and legitimate criticism of former Prime Minister Abe must never be allowed to be blocked.
 In reality, however, attacks on criticism of former Prime Minister Abe have occurred, as well as obstructions against those who are carrying out street demonstrations criticizing the Kishida administration, the successor to the Abe administration. There have been unfounded accusations that the court ruling that the Hokkaido police’s action was illegal in the case where the Hokkaido police suddenly removed an audience who yelled during a speech by former Prime Minister Abe made it difficult for the police to provide security for him. There have even been unfounded accusations, such as the spread of false rumors that the shooter was a Korean living in Japan.
 Holding a state funeral in this atmosphere would have to have an actual effect of glorifying former Prime Minister Abe. As a result, there is a strong risk that this will spur attacks on former Prime Minister Abe’s criticisms, further contributing to divisions among citizens. If this happens, free speech will not be guaranteed, and there is concern that democracy will be endangered.
 Opinions opposing the holding of a state funeral for former Prime Minister Abe have already been expressed from all walks of life, and it is clear that this is not an issue that should be decided by the Cabinet in a hasty manner. Therefore, JLAF strongly opposes the implementation of the state funeral for former Prime Minister Abe and calls for the immediate withdrawal of the plan.




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