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2021/06/27
旭川医大学長の不祥事 取材記者を逮捕
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北海道新聞記者の逮捕を全国版で伝える朝日、毎日の各紙
 新型コロナウイルス禍の下、財務省の文書改ざんを裏付ける「赤木ファイル」の開示や最高裁が「夫婦別姓を認めない民法の規定は合憲」との判断を下すなど大きなニュースが次々に流れたが、それらを報じる記者たちにとって看過できない問題が起きた。北海道の旭川医科大学の学長解任を審査する学長選考会議を取材しようとしていた北海道新聞の記者(22)が6月22日、大学職員によって「常人逮捕」され、北海道警旭川東署が拘束した。取材・報道の自由の侵害に及ぶだけでなく、今後の取材活動に影響を与えかねない深刻な事態だ。
 旭川医大は22日午後3時50分ごろ、新型コロナウイルスの感染防止措置として、記者団の取材に応じる午後6時ごろまでの間、記者を含めた学外者の立ち入りを原則禁止する趣旨の通達をファクスで報道各社に送りつけた。女性記者は、立ち入り禁止通告の40分後の午後4時半、建造物侵入容疑で現行犯逮捕されたという。
 大学側は、この記者が、学長の解任要求について話し合う会議の内容を廊下で「録音していた」と主張。所属や目的を尋ねたが「明確な返答がなく逃げ去ろうとしたため、学外者が無許可で建物内に侵入していると判断し、警察に連絡した」と説明している。
 この問題を巡ってはここ数日、複数の記者が学内での取材を試みており、不審者とみられることは考えられない。「常人逮捕」とはいえ、警察に引き渡されたとき、記者は名乗っている。また、取材中はマスクをしていたはずだし、生命、財産に危害を加える恐れはない。警察権の行使を行き過ぎないようにする「警察比例の原則」の観点からも、身柄を拘束されるような事件性はない。
 この学長は、新型コロナウイルスの集団感染が発生した病院を「コロナをまき散らした」と発言し、同大付属病院への患者受け入れを拒否。受け入れを進言した病院長に「受け入れならお前が辞めろ」など、暴言やパワーハラスメントが相次いでいた。そのほか、執務中の飲酒や、 公立病院と「アドバイザー」契約を14年以上結び、約7000万円を受け取ったことが発覚した。これらは、昨年末以降、記者たちの取材活動で分かったことだ。
 同大は国立大学法人で、運営費の多くは国から支出される交付金でまかなわれている。記者たちが不祥事を追及するのは当然だ。今回の「学外者の立ち入りを原則禁止」はコロナ対策を理由にしているが、事実上の取材制限ではないか。それでなくとも、近年、公的な施設で記者やジャーナリストが立ち入りを拒まれることがある。
 一方、新聞社側の姿勢はどうか。「記者が逮捕されたことは遺憾です」 と道新はコメントしたものの、報道の自由のために闘う、あるいは記者を守るという姿勢は見えない。この新人記者は25日に釈放された。現在、どのような状況にあるのか、心身の様子が案じられる。
 ジャーナリストらによる国際組織「国境なき記者団」(本拠地・パリ)が4月に発表した「世界各国の報道自由度ランキング」では、180の国・地域のうち、日本は67位。慣習や経済的利益に阻まれて「記者が権力監視機関としての役割を十分に果たせていない」などの指摘を受けている。
2021/06/23
オリ・パラは中止 コロナに全力を それが民意!
 新聞OB「九条の会」会報が届きました。都議会議員選挙(6月25日告 示、7月4日投開票)目前の特別号。「語ろう都議選。都政が変われば日本も変わる 平和で安心 希望に満ちた東京を!」。毎日新聞OBの小川忠男さんの投稿を転載させていただきます。
商業主義に毒されたIOC幹部の暴言
 このコロナ禍「緊急事態宣言が出されていても開く」「だれもが、いくらかの犠牲をはらわなければならない」「アルマゲドン(世界最終戦争)でもない限り開催する」。これらの暴言は商業主義に毒されたIOC幹部たちのもの。莫大な放映権料を得るためには、日本人の命よりも、まず五輪開催ということか。
抗議すらしないで
突き進む菅首相たち
 そして、さらに腹立たしいのは、これらの暴言に抗議することもなく、ひたすら五輪開催へと突き進む菅首相たちの姿だ。世界ではすでに380万人近い死者を出しているコロナ。変異を繰り返しながらその猛威は衰える兆しさえ見せない。
 そんな中、世界中から10万人近い人たちが東京へやってくる。全国医師ユニオンは「世界からあらゆる変異株が集まる危険があり、変異株の集中と拡散、さらに新たな変異株を作り出す」と五輪開催に警鐘を鳴らし、政府のコロナ分科会の尾身会長も「今の状況で(五輪を)やるというのは普通ない」と言い切っている。
民意は「オリ・パラは中止。コロナに全力を」
 先日開かれた党首討論で、命をリスクにさらしてまでオリンピックを開く理由を問われた菅首相。相変わらず「安全・安心」と抽象論を繰り返すばかりで、明確な理由を語らなかった。もっとも、巷間ささやかれている「菅政権延命のため」というのがその理由だとしたら、公言などできるはずもない。いずれにしても、このような状況で国民の命をリスクにさらすことなど容認できない。
「今夏のオリンピック、パラリンピックは中止。コロナに全力を」。これが首都都市東京の民意。このことを7月の都議選で菅首相と小池知事、そしてIOCに。
「九条の会」会員として一言
 九条の会として、やはり基地問題についても一言。
 最近気になるのは米軍の無法ぶり。2018年、横田に配備されたオスプレイは、夜間の奇襲攻撃などを任務とする特殊部隊。そのため夜間飛行やパラシュート降下訓練などが急増。時にはむき出しの機関銃を住宅へ向けた飛行まで。
 また、都心での米軍ヘリの超低空飛行も常態化。いま、日本の首都東京の空は無法状態。いったい誰がこんな日本に。その責任が「日米地位協定」見直しに背を向け、米軍特権を容認し続けてきた歴代自公政権にあることは間違いない。もちろん現菅政権にも。
 「地位協定」見直しへまず一歩。来る総選挙で菅政権にレッドカードを。
 そして、その前哨戦となる重要な闘いが今回の都議選だ。
 憲法を守り、平和な暮らしを願う都民の力を結集。基地問題や「地位協定」見直しにも取り組む。平和のために闘う議員団を都議会多数派に。
 都政が変われば日本も変わる。

2021/06/14
明らかな違憲! 重要土地調査規制法案

 16日までの国会会期を控え、米軍、自衛隊の基地、原発、など安全保障上重要だとする土地の周囲約1キロメートル、また国境離島を「注視区域」「特別注視区域」に指定し、区域内の土地・建物の所有や利用に関する調査、利用の制限や、「特別注視区域」内の不動産取引の事前届け出の義務付けなどを行う「重要土地調査規制法案」の審議が大詰めを迎えている。

 自由に居住地を選択し、土地や建物を所有する権利を保障した日本国憲法に違反する違憲立法だが、この基本的な権利を、国家が「安全保障」の名のもとに直接制限する法案。6月1日衆議院を通過し、参議院に回されたが、政府は規制対象にする地域や行為、調査内容や体制の詳細は明らかにされず、実際に何が調査されるのか、規制されるのかわからないまま、政府に白紙委任を求めるのだから、明確な憲法違反だ。

 調査のために、内閣総理大臣が自治体や国の行政機関に情報提供を要請すると、自治体などが、氏名、住所を「提供する」としているし、調査にもとづき、利用をやめるよう勧告、命令することができるし、特別注視区域内では、土地・建物の売買等の契約について、当事者は首相に、氏名、住所、売買物件の所在地・面積、利用目的などを、あらかじめ届け出ることを義務付けし、怠ると懲役刑など刑事罰まで科す、という。
 
 もともと右翼団体が、沖縄や対馬、北海道や離島の土地について、「韓国人や中国人が買っている」などと騒ぎ、問題にしたことで自民党が動いて始まったもので、どこにも法制化の必要はない。

 そればかりか、自衛隊の情報保全隊は、イラク派兵に反対する市民について監視していたことが、2007年、共産党によって暴露され、仙台高裁は16年にプライバシー権を侵害した違法行為と認め、国に賠償を命じた事件も起きている。いまこっそりやっている違法行為を合法化し、さらに締め付けようという意図も見え見えだ。

 戦前戦中、要塞(ようさい)地帯法や軍機保護法などにより、軍事施設や軍需工場などの周辺で写真撮影やスケッチをしただけで、国民はスパイ扱いされ罰せられた。こんな国民監視法を認めるわけにはいかない。
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