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2024/05/12
「予測不能」の岸田を倒すときだ
 前回稿で「自民の今年度方針は(9月の岸田総裁任期まででなく)今年中の改憲」と書いた。少し引いたのかと思ったら、岸田は4月の国会答弁で「9月まで改憲という方針は変わりない」と答弁した。どこまで不真面目な党なのか。

 今年の憲法記念日にあたっての各紙世論調査で国民の憲法への「大きな流れ」は出ていたといっていい。朝日「憲法9条を変えないほうがよい」76%、「今の憲法9条があることで日本は戦争をしないですんできた」に「共感する」76%。共同通信「国会で憲法改正をめぐる議論」は「急ぐ必要はない」65%などである。

 これを気に入らない読売は、憲法改正「賛成63%」を1面見出しにもってきた。が、設問を見て首をひねった。今日の政治の「軍拡かどうか」「経済状態はどうか」「裏金など政治腐敗は」などに一切目をつぶり、超一般的に「憲法は変えた方がいいか」を聞いているだけなのだ。

 しかしこの読売調査でも「改憲に前向きな政党で条文作成を進める」は44%、「進めるべきでない」が51%。また改憲派が「9条の前にまず」と1点突破を狙う「大災害などで衆院議員が不在のときは」に対しても「改憲せず参院緊急集会で」58%と、国民はおおむね冷静だ。

 そもそも、今の裏金腐敗の自民党に改憲をいう資格、大義があるのか。多くに人の胸に落ちる一種のキャッチコピーは「汚れた手で憲法触るな」だろう。「裏金触った手で憲法いじるな」という発展形もある。

 さて改憲ノーのわれわれにとっては、今の自公政権をやめさせるのが大目標だ。そのために「解散・総選挙を」というのはそうなのだが、これを「岸田の手で解散」とだけ考える必要はないと言いたい。そうまず悪政の権化・岸田をやめさせればいいのだ。

 実は自民の一部にも(逆の立場からだが)そう考える向きはある。自民党の元宿仁事務総長は岸田訪米前に一つの選択肢として「9月の任期満了前の退陣、総裁選前倒し⇒総選挙」があると提言したという(情報誌『選択』5月号)。同記事はなかば岸田を見放しているとさえいえる。「思いつきで動き、先々を考えない岸田の予測不能性は国内だけでなく、国際情勢にも混乱をもたらす恐れをはらんでいる」。

 同じ言い方を前にもしたが、憲法でも、岸田政治でも、われわれはいま「押せ押せ」だ。解散・総選挙の前に岸田退陣もありうるのだ。
(寺)
2024/04/19
韓国・済州島「4・3事件」から76年
南北分断は日本の植民地支配が起因
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4・3事件を体験した金時鐘さん
 米軍政下の1948年、韓国・済州島で発生した「4・3事件」から今年で76年が経過した。日本の敗戦後、朝鮮半島は北緯38度線を境に、米軍と旧ソ連軍が南北に分割して占領した。南北分断などに抗議した島民らによる民衆蜂起が四・三事件。武力による弾圧で3万人が犠牲になったといわれるが、この惨禍のおおもとをたどれば、日本が領土拡大のために近隣諸国に行った戦争、すなわち帝国主義と植民地支配にたどり着く。
 米軍占領下の南朝鮮では、日本の統治に協力した官憲の生き残りが再び勢力を増していた。済州島では47年3月、抗日記念日のデモの参加者に向けて警官が発砲し、6人が命を奪われた。島民らは抗議のストライキを起こすなど島に不穏の空気が広がった。そして迎えた48年4月3日。間近に迫った南朝鮮単独選挙に反対した若者たちが未明に警官を襲撃した。これが事件の発端だった。
 在日コリアンの詩人、金時鐘(キム・シジョン)さん(95)=奈良県生駒市=は、この事件に加わった一人だ。当時19歳。自身も追われる身となり、潜伏生活を経て49年、父が準備した船で島を脱出し、日本に上陸。大阪の旧・猪飼野地区の町工場で働き始めた。
 祖国は朝鮮戦争(50~53年)で南北分断が決定的となり、韓国は軍事独裁政権の時代に入る。「逃げた」という負い目を背負う金さんは、在日同胞のための活動に身を投じ、朝鮮小学校の再建などに尽力した。一方で、日本語での詩の創作に打ち込み、猪飼野に暮らす人々に視点を置いた代表作「猪飼野詩集」をはじめ、次々に作品を発表して在日文学を追求していった。
 「4・3事件は同族全般に及ぶ悲劇の一つだ」と金さんは言う。南北分断に抵抗した大勢の民衆の命が奪われた。日本は、その後の朝鮮戦争による「特需」で敗戦からの復興に弾みをつけたが、このとき、「日本の植民地支配がなかったら、朝鮮半島の南北分断には至らなかった」ということを、どれだけの人が意識していたのだろうか。
 今夏で戦後79年。いま、日本は再び、戦争へと近づいている。その一例が、武器輸出の問題だ。政府は昨年12月、防衛装備移転三原則とその運用指針を改定した。外国企業が開発し、日本の企業が許可を得て製造する「ライセンス生産品」について、部品だけでなく完成品もライセンス元の国に輸出できるようになるのだ。日本で生産された武器が米国を経由してウクライナでの戦争に使われる可能性がある。
 4月20日、東京都荒川区の日暮里サニーホールで4・3事件の犠牲者の追悼集会が開かれ、金時鐘さんが登壇する。植民地支配下を生き、戦後は「在日」として日本の社会を生き抜いてきた自身の体験と心境を語る。金さんに聞いてみたい。いまの日本の状況をどうみるか。そしてこの国に未来はあるのか、と。
(M・M)
2024/04/09
これ以上の従属はやめさせたい  岸田訪米に
 ▼岸田首相は米国で何をするのか 
 岸田首相が「国賓待遇」で訪米…。「何をしに行くんだ?」という疑問から「息抜きか、ご苦労さん会か…」まで、あまり議論もされないままの出発だが、昨年来、米国に仕掛けられた、「新しい従属体制の確認」イベント。ごまかされないで見つめたい。
 岸田首相は、22年1月のテレビ会談、22年5月バイデン来日、23年1月岸田訪米、そして、広島サミットなどを通じて、米国との緊密化を図ってきたが、今回の訪米はいよいよ岸田第二次政権の「総仕上げ」の性格を持っている。
 「3回にわたって防衛費増を説得した」と自ら語り(昨年6月)、わざわざ「この男が立ち上がり、ウクライナを支援するとは誰も思わなかった」と岸田首相を称賛(同7月)したバイデン大統領に、その「成果」を報告する「旅」は、一層、日本の軍事化を進める危険なエポックになりかねない。

 ▼「強固な日米同盟」
 今回の訪米で、岸田首相は上下両院合同会議で演説、「日本は世界最大の対米投資国」だと強調しながら、日米両国が「自由で開かれた国際秩序」の構築に向けて、「グローバルパートナー」として活動していくことを表明するといわれ、首脳会談では、日米の防衛力強化に向けた取り組みを共有、「防衛装備品に関する新たな協議体の創設で合意する見通し」(毎日新聞)だという。
 「防衛整備品」とは言うまでもなく「兵器」。宇宙、半導体、人工知能(AI)、量子、通信規格などの開発でも協力を確認、「浮体式洋上風力発電」の技術でも協力を確認すると報じられている。
また、昨年8月、岸田訪米に合わせて日・米・韓の首脳会談が行われたのと同様、今回は、フィリピンのマルコス大統領も訪米、史上初の「日米比首脳会談」が開かれ、対中国で連携を強めることを確認する、という。

 ▼ますます強まる対米癒着関係
 岸田首相は、一昨年(22年)2月、ロシアのウクライナ侵攻を受けて、同年暮れ、「安保3文書」の改訂を実施、「戦後安保政策の大転換」を図った。
 つまり、①防衛費のGDP比2%を目指した防衛費の継続的増額」②防衛産業へのてこ入れ③「敵基地攻撃」「専守防衛」「武器輸出三原則」など、中身を勝手に変更した「解釈改憲」④港湾・空港などインフラの軍事化、南西諸島などの軍事基地強化―など。

 この間、「政治資金パーティの裏金問題」という大事件が勃発したが、むしろそれを隠蔽材料に使って、国民が知らない間の「軍事国家造り」、日本の「軍事国家化」が進んできた。

 今回の訪米では、米軍と自衛隊の指揮の統合をめざす「統合司令部」の設置が既に決まっており、これを確認することも決まっている。
 国会では,防衛、外交などについての秘密を保護する体制を決めた「特別秘密保護法」の対象や、秘密内容を拡大する「経済安保秘密保護法」について、「国会報告」という形ばかりの「修正」をさせて立憲民主党を抱き込み,衆院内閣委員会を通過させた。
 憲法を無視し、「米国とともに戦争する国家」への「ステップ」を阻止する声を広げなくてはならない。
(S.M)
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