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2022/11/13
政局打開に「岸田退陣」を
 昨年の自民総裁選で岸田氏ら4候補は「総裁任期3年のうちに改憲のめどをつける」と公約した。そのこともあって、「あと2年…」とあせる向きもあろうかと思う。しかし全くそうではない。改憲策動を打ち破る大激動がおこるかもしれない。「岸田退陣」である。

 8月の前倒し内閣改造から3カ月。国政選挙がない「黄金の3年」どころか「崩壊危機の3カ月」である。底なしといっていい統一協会問題の闇、なすすべがないようなコロナ対応、物価高騰・生活破壊、山際経済再生相に続いて葉梨法相の辞任(という名の更迭)。
何よりも問われるのは岸田首相その人の責任である。12日発売の「日刊ゲンダイ」の大見出しは「次に辞めるのは寺田総務相か岸田首相か」。

 「岸田退陣」なしとしないとの論調は週刊紙レベルでは出ていた。「アエラ」11月7日号でジャーナリスト星浩氏(朝日OB)がこう分析した。

 来年4月の統一地方選に向け、「『岸田首相の下で選挙が戦えるのか』という不満が高まったら、岸田氏はどうすのるか」⇒「一部野党との連立か衆院の解散・総選挙だろう」⇒「自民党が勝利すれば岸田政権は存続するが、敗れれば政界は大混乱だ」⇒「岸田首相が大胆な局面転換に踏み切れず、内閣支持率は低下し続け、新たな政策も進まないとなれば、退陣という選択しかなくなる」と。
 (週刊文春17日号は「岸田“逆ギレ解散”12・18総選挙」という見出しが躍った。「統一協会隠しだ」「物価高騰はどうする」という国民の声があふれるだろう。少々リアリズムに欠ける)

 冒頭の改憲策動の話に戻る。岸田退陣に追い込めば自民総裁選だ。各候補は言うだろう。「わが総裁任期のうちに改憲のめどを…」。タイムスケジュールはずれ込む。
 憲法問題のメカニズムは、基本的には改憲勢力とたたかい・押し引きだ。国民の意思と行動が自民や改憲勢力をじりじりと追いつめていく。改憲反対の運動もその大枠のなかにある。
 晩秋だ。「岸田政権の晩秋」をさらに追い込もう。

 葉梨(前)法相の更迭のもとになった9日の発言は、死刑問題もそうだが、「法務大臣はもうからない」という本音の吐露もいやひどい。自民の体質ここに極まれり。ただ翌日、一般紙の葉梨発言報道は社会面ネタだった(「東京」は10日朝刊に載せず、夕刊で)。

 山際更迭のあとだ。ちょっとのんきすぎないか。

2022/11/06
前川喜平さんをNHK会長に
「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」

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 来年1月に任期満了を迎えるNHKの前田晃伸会長の後任を、政府の勝手な人選に任せないで、市民の手で選ぼうという運動が広がり、後任に元文部次官の前川喜平氏を推薦する動きが始まった。11月4日、「市民とともに歩み自立したNHK会長を求める会」(共同代表・小林緑元NHK経営委員、国立音楽大学名誉教授ら)が記者会見して発表。全国的な署名集めに入った。同会は、これに先立ち、NHK経営委員会に対し、推薦書と前川さんの経歴書を提出した。

 同会は、紙による署名集めと共に、署名サイト「Change.org」で賛同署名を募る活動も始めており、改めて12月1日にNHK経営委員会に前川氏を会長に推す申し入れ書と賛同署名を提出する予定。

 サイトによる署名は6日15時現在で既に1万筆を超え、10746筆。増え続けている。7日午前0時には12000筆に達し,10日午後には、16400筆を超えた。
また、紙の署名簿による取り組みも進み、大阪では、NHKとメディアを語る会(兵庫)、放送を語る会・大阪が会場扇町公園で243筆、名古屋でNHKとメディアを考える会が、研究会・朗読会・平和のつどいなどで103筆、弘前で、放送を語る会会員が50筆などが事務局の報告されているという。

 NHKの会長は、放送法の規定で、政府が任命し国会が承認するNHK経営委員会によって選ばれることになっているが、97年~2005年の海老沢勝二氏、05~08年の橋本元一氏とNHK出身会長が続いたあと、08~年11年はアサヒビール出身の福地茂雄氏、11年~14年のJR東海出身の松本正之氏、14年~17年日本ユニシス出身の籾井勝人氏、17年~20年、三菱商事出身の上田良一氏、そして現在のみずほフィナンシャルグループ出身の前田晃伸氏と、財界出身が選ばれ、政府の意向を受けた財界の「たらい回し人事」とさえ言われてきた。

 このため、「放送を語る会」「NHKとメディアの今を考える会」などが、「官邸主導でNHK会長が決められてきた流れを断ち切り、今後のNHKの舵取りを、政権の息のかかった財界人でなく、ジャーナリズムの見識を備えた会長に委ねたい」と、「NHKとメディアの今を考える会」を結成。前川氏の会長就任を呼びかけた。

 11月4日、同会と共に記者会見した前川氏は、「NHKは、憲法、放送法を軸として、単に経済合理性を求めるものではない。政府の言いなりになる改革はやるべきではない」と「NHKはあくまで自律的な組織であるべき」だと主張、「NHKの会長に就任した暁には、憲法と放送法を遵守して、市民とともにあるNHK、そして不偏不党で、真実のみを重視するNHKのあり方を追求していきたい。そのためには番組の編集、報道にあたって、完全な自由が保障されないといけない」と訴えた。
 同会の小滝一志事務局長は「市民の受信料で支えられる公共放送NHKを、公共の精神が希薄な人物にかじ取りを任せるのではなく、公共の大切さを心の底から理解する人に託したい」としている。
2022/10/30
自民党席から失笑の文科大臣答弁
癒着の反省一言もない山際担当相辞任

 臨時国会は始まったばかりなのに、岸田内閣早くも「末期症状」だといっていいでしょう。
 たまたま見ていた参議院予算委員会。野党が(旧)統一教会の名称変更に関わる資料の提出を求めて3か月経っても(資料を)出さない理由について「宗務課の人数が少ない」という答弁をしたのは永岡桂子文科大臣でした。自民党席からも失笑がもれましたよ。
 この大臣、何を質問されても官僚が用意した答弁を読み上げるだけ。質問とかみ合わないこともありましたが、それは違う用紙を読んでいたらしいのです。自民党内からも「こんなに答弁能力がないとは思わなかった」と嘆く声が上がっているそうです。

▼ またまたビックリは、岸田首相の記者会見(10月28日)。宗教法人法に基づく調査の実務を担当する宗務課の人員を拡充する考えを示しました。「従来8人だった人員を来月(11月)には38人にする。法律や会計の専門家の協力を得つつ被害者や旧統一教会問題をよく知る弁護士による団体などからも情報提供を得て必要な協力を得る」といいます。問題は人員拡充でなく、(旧)統一教会問題を解決する「本気度」ではないですか。

▼ 山際経済再生担当相がやっと辞任しましたね。
 岸田首相は10月25日の衆院本会議で謝罪し、「旧統一教会問題への対応や経済対策、補正予算審議に集中することを最優先し、(辞任を)了承した」といいました。
 これに対し野党各党とも、辞任にあたり旧統一教会との癒着への反省がないことを批判し、首相の任命責任を厳しく問うとともに、政府・自民党と旧統一教会との癒着の徹底調査を求めましたね。

▼ 落語家・立川談四楼さんの一言
「山際の辞任は入り口に過ぎない。相撲で言えば平幕だからだ。この先に小結、関脇、大関、横綱が控えている。萩生田光一、下村博文、菅義偉、そして調査は故安倍晋三にまで及ぶだろう。そこまでいかないと被害者は救われないし、国民の怒りは収まらないのだ。もちろん岸田さんの任命責任も強く問われる」

 旧統一教会をめぐっての「国会解散」・・・予感はぼくだけではないでしょう。
(仲)

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