/ 

2022/09/03
「非戦のための改憲」への転向?
引き返せ 田原先輩!
 ジャーナリストの大先輩、田原総一朗氏が「サンデー毎日」に登場した。どうやら昔の田原さんとは違う…。先輩、あなたは「転向」したのか?
 田原総一朗氏。簡単な形容詞としてはフリージャーナリスト、歴代首相にもれなくインタビュー(うち3人をやめさせたというのが売り)。以前は「サンデープロジェクト」、いまは月イチの「朝まで生テレビ」の司会については、時として強引な割り込みなどでなんだか困ったおじさんという印象が強い。
 政治的立ち位置は複雑微妙なところがある。自民党の勉強会にもよく出ていてご意見番的である。
▼ かつて鋭かった「ご意見番」
 2012年、野党だった自民党が憲法9条に自衛隊を書き込むなどの改憲案を発表、その年の総選挙で政権を取り戻し、2度目の安倍内閣となった。
 13年、この年の田原氏の言論は鋭かった。『週刊朝日』4月5日号、氏の連載の見出しは「憲法9条は変えるべきでない」。内容は以下。
「太平洋戦争を体験している私としては、憲法9条の1項は変えるべきではないと確信している。当時の軍の幹部、そして政府首脳の誰一人、太平洋戦争に勝てると予測していなかった」
「それにもかかわらず、負けることが必至の戦争を始めてしまった」
「少なくとも憲法9条は変えるべきではない。そこで、3月9日にBS朝日の『激論!クロスファイア』に出演した安倍晋三首相にそのことを強く言い、安倍首相は同調した。私は安倍首相を見直した。」
▼ 「見直した」は甘かった
 この「見直した」がいかに甘かったか。ただこの年、田原氏は安倍政権の「秘密保護法」については敢然と立った。11月、田原氏は鳥越俊太郎、金平茂紀、大谷昭宏、岸井成格、青木理氏らとともに秘密保護法反対の横断幕を掲げて記者会見した。「言論表現の自由を守れ」が氏の譲れない一線であったことは理解できる。
 ただ、上記一文で「9条の1項は変えるべきでない」と限定的にいっているのは気になった。その延長だろうか、19年になると氏の憲法論は変化をみせる。伊勢崎賢治、井上達夫両氏と『脱属国諭』を出す。早い話が9条2項を削除して「文民である首相が軍隊の最高指導権を持つ」と定めよとか、とにかく「戦争手順」なのだ。田原氏は「説得力のある主張」と持ち上げる。(週刊朝日5月31日号)
▼ 岸田首相への提言
 田原氏は7月の参院選後、上記本の論建てをもとに『サンデー毎日』9月4日号に登場した。岸田首相と4回話したとか、田中角栄以来30人近くの首相は「皆僕と会ってくれた」とか、お得意のフレーズのあとに「1年かけて方向性を出し、憲法改正にチャレンジしてもらう」「自衛隊を明記し、非戦条項を強化する」「再来年には実現すべきだ」とまでいう。
▼ どうしたのだ? 田原大先輩
 田原大先輩どうしたのだ。
 滋賀で終戦を迎えた10歳のとき、それまで聖戦と教えられてきたのが侵略戦争とわかった時の「価値転換」、これがジャーナリストの原点(「週刊朝日」14年8月29日号)ではなかったのか。15年、「集団的自衛権と改憲へと進む(安倍)首相」に右傾化反対を突き付けたのではなかったか(『安倍政権への遺言』朝日選書)。
 「サンデー毎日」の見出しは「非戦のための改憲」。2項の「戦力不保持」「交戦権否定」を削除し自衛隊を書き込んで、どうして「非戦」といえるのか。
 非戦を掲げるなら、まだルビコンは渡ってない。大先輩、引き返せ。安倍首相を「同調」させたというそのパッションを思い起こせ。
(了)
2022/08/29
関東大震災発生から99年
次の100年に向け、加害の歴史を直視
東京都立横網町公園にある関東大震災朝鮮人犠牲者追悼碑
85-s-1.jpg
 関東大震災(1923年)の発生から今秋で99年。その際に発生した朝鮮人虐殺事件の犠牲者らの追悼式が9月3日、東京都墨田区八広の荒川河川敷で開かれる。「加害の歴史を風化させてはいけない」と主催団体の一つ、一般社団法人「ほうせんか」理事の西崎雅夫さん(62)は言う。
 震災当時、関東一円に「朝鮮人が暴動を起こす」などのデマが広がり、軍隊が出動するなどして多くの犠牲者が出た。その中には中国人も含まれていた。
 「過去を知るための視点の一つを提供したい」と西崎さんが2016年秋に刊行した「関東大震災朝鮮人虐殺の記録」(現代書館)は、東京の地区別にまとめた3冊の手づくり証言集が基になっている。証言集は、郷土資料や日記などから当時の様子がつづられた部分を収集したもので、「虐殺の実態が皮膚感覚で伝わってきた」という。
 史実の掘り起こしは、小学校教師だった故絹田幸恵(ゆきえ)さんが、下町のお年寄りらを訪ねて地道に行っていた。西崎さんは、学生時代に絹田さんと出会い、調査活動に加わった。毎年9月に荒川河川敷で有志と犠牲者の追悼式を行い、募金を呼びかけ2009年には念願の追悼碑を建立した。
 追悼式では、在日コリアンのアーティストらも、歌や伝統楽器の演奏、舞踊などで犠牲者に哀悼の意をささげる。今年は歌手の李政美(イ・ヂョンミ)さんらが、「ほうせんかの夕べ」と題するミニコンサートを開く。
 一方、地震発生日の9月1日は、墨田区の都立横網町公園にある都慰霊堂で恒例の大法要が営まれる。公園内にある朝鮮人の追悼碑の前で追悼式典もあるが、小池百合子都知事は、歴代知事が送っていた追悼文を5年前から送付していない。
 来年は震災から100年の節目の年。加害の歴史を直視する。過去から学んだことを、次の世代に引き継ぐ。いまを生きる私たちの大きな課題だ。
2022/08/21
「安倍国葬」強行は民主主義の汚点!
~メディアはさらに明らかにせよ!
自民党・「旧統一教会」癒着の全貌~

まずは「お知らせ」と ちょっとおどろいたこと
▼ NHKとメディアの今を考える会主催の表記のオンライン・シンポジウムが9月5日におこなわれます(記事本分の下にPDFファイルのリンクが張ってあります)。
84-s-1.png
 決定したパネラーは金平茂紀さん(ジャーナリスト・早稲田大学大学院客員教授)、有田芳生さん(ジャーナリスト。前参議院議員)、山口 広さん(弁護士・全国霊感商法対策弁護士連絡会代表世話人)です。ぼくが出演交渉を依頼されたのは(当初)有田芳生さんと弁護士の紀藤正樹さん。有田、紀藤両氏とは(1990年代でしたかね)ワイドショーのプロデューサー時代の付き合いです。当時はソウルのスタジアムで行われた「合同結婚式」に桜田淳子が参加するというので各局ともワイドショーは大騒ぎ。取材を統一教会の広報部と交渉するのはプロデューサーの役目。霊感商法問題もとりあげて「注意喚起」をしたものです。

▼ 安倍元首相銃撃事件で「パンドラの箱」が開きました。自民党と旧統一教会の癒着ぶりはまだまだ明らかになっていくでしょうね。
 出演交渉ですが、ヨーロッパ旅行中の有田さんとはメールでやりとり。快く引き受けてくれました。さあ次は紀藤弁護士。出演「予定」ということでチラシづくりがはじまりましたが、そのタイトルを紹介した途端に紀藤さんからメールあり。「申し訳ありませんが国葬反対だと出れません。申し訳ない。統一教会の話ではなくなりますので。知らなかったとはいえ申し訳ありません」と。あえて「なぜ?」ということはお訊きしませんでした。実行委員会のメンバーは直ちに反応。運よく山口 広弁護士が出演していただけることになりました。有田さんにそのことを報告したら「(その人選)ベストです」と。いろいろあった8月です。

8月という月
▼ 8月6日広島、9日長崎、12日日航機墜落、そして15日。8月という月は思いめぐらすことの多い月です。
 以前、どこかの新聞のコラムで小川真理子という人の短歌を歌人の栗木京子さんが紹介していたことを思い出しています。<「イロシマハ、ナツノキゴ(季語)カ」と問ふサラに冬には詠まぬ我を恥じたり>。サラは日本のことを勉強しているフランス人。彼(か)の国の言葉ではHは発音されないから。Iroshimaとなるのです。フランス語の講師でもある歌人が、そう問われ、はっとなった体験を詠んだものだという。

▼ 耳が痛いのはこちらも同様。マスコミがこの月にだけせっせと戦争のことをとり上げる風潮を皮肉る「八月のジャーナリズム」という言葉もあります。ロシアのウクライナ侵攻からはやくも半年。広島の慰霊碑に刻まれた「過ちは繰り返しませんから」をあらためてかみしめているぼくの8月です。
「安倍国葬」強行は民主主義の汚点! 9月5日チラシ.pdf
管理  
- Topics Board -