点描
2024/12/22
東日本大震災と原発事故後の「空気感」
劇作家、永井愛さんの戯曲「こんばんは、父さん」
東京・六本木の俳優座劇場で 26日まで
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 東日本大震災と原発事故後の日本に視点を置いた、劇作家、永井愛さん作の戯曲「こんばんは、父さん」が東京・六本木の俳優座劇場で上演中だ。町工場の経営者だった父と、一流企業で出世街道を走っていた息子。そして、この父子に絡む闇金業の若者の物語。俳優の風間杜夫さん、萩原聖人さん、竪山隼太さんによる男性3人芝居だ。
 廃れた工場に、よれよれの服を着た父が姿を現した。かつては熟練の職人として腕を鳴らしたものの、工場はつぶれてしまった。その後を、闇金融業者に雇われて借金の返済を迫る若者が追ってきた。「払えないなら息子に肩代わりをさせよう」と携帯電話で連絡を取ろうとしたら、一流企業の出世頭だったはずの息子もこの廃れた工場に転がり込んでいた――。
 東日本大震災と原発事故が起きた2011年の翌年に初演された。「当時、日本に漂っていた空気感を芝居で表現しようと思った」と永井さん。「あれから12年。いまの日本は、当時と変わったか、あるいは何も変わっていないのか。そんな思いでこの芝居を再演することにした」という。初演時は平幹二朗さんが父役だった。今回は風間さんが演じ、息子は萩原さん、闇金の若者は竪山さんがふんしている。26日まで。詳細は二兎社のホームページ。
(M・M)
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