点描
2024/11/01
吉田喜重監督の特集上映
東京・京橋の国立映画アーカイブで
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 人間の深層を探る前衛的な作風で知られ、2022年12月に89歳で亡くなった映画監督、吉田喜重さんの特集上映が東京・京橋の国立映画アーカイブ内「長瀬記念ホールOZU」で行われている。現在、都内で開催中の「第37回東京国際映画祭」との共催で、初日の10月29日には、公私ともに吉田さんのパートナーだった俳優の岡田茉莉子さん=写真=が上映後のトークに登場。「吉田は理念を持っていた。また、俳優の動きや表情を見て、『これはいい』と思ったときにアップにするなど俳優を大事にしていた」などと振り返った。
 福井出身の吉田さんは東京大学卒業後の1955年、松竹に入社。小津安二郎監督らの助監督を務め、60年「ろくでなし」で監督デビューした。当時、すでに銀幕のスターとして活躍していた岡田さんの100本目の映画で、岡田さん自らプロデュースした「秋津温泉」(62年)の監督に指名され、その2年後に二人は結婚した。吉田さんは退社後の66年に独立プロ「現代映画社」を設立し、独自性の強い作品を次々と発表した。
 今回の特集上映では、大正時代の無政府主義者、大杉栄と伊藤野枝の愛憎関係を描いた「エロス+虐殺」や、社会主義運動家の北一輝らの動向に視点を置いた「戒厳令」など13作品を集めた。巨人軍時代の王貞治さんが、ホームラン世界記録を更新するまでの軌跡をたどる「BIG1物語 王貞治」など普段、見る機会がないドキュメンタリー映画も含まれている。
 初日のトークに岡田さんとともに登壇した映画監督の舩橋淳さん(50)=同右=は「吉田監督は、過去の出来事を現代の問題に引き寄せて表現した」と話していた。
 11月3日まで。詳細は国立映画アーカイブのホームページで。
(M・M)
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