2026/03/06
山代巴さんの生き方に視点
舞台「囚われの女たち」東京・両国で7、8日上演
「囚われの女たち」の1場面
治安維持法違反の罪で投獄され、戦後は「荷車の歌」などの作品を送り出した作家、山代巴(ともえ)さん(1912~2004)をモデルにした音楽劇「囚われの女たち」が7、8日、東京都墨田区の「シアターカイ」で上演される。国際女性デーにちなんだ演劇イベント「ミモザフェスティバル2026」(日仏女性の人権架け橋ミモザ委員会主催)の演目の一つで、作・演出・音楽は劇作家の嶽本あゆ美さんが手がけた。 原作となったのは、山代さんの獄中体験をもとにした「囚われの女たち」。全10巻の長編小説だ。広島で生まれた山代さんは、東京の女子美術専門学校(現女子美術大)で洋画を学んでいた時に社会問題に関心を持ち、同校を中退して労働者の解放運動に力を注いだ。炭鉱争議の指導者だった夫の山代吉宗さんは公私ともにパートナー。だが、太平洋戦争開戦前の1940年、2人は治安維持法違反容疑で検挙されて有罪に。刑務所で服役し、自身は1945年8月の敗戦の直前に釈放されたものの、別の刑務所にいた夫はその前に獄死した。
舞台では、戦時下の広島で、思想犯として女囚刑務所に入獄した主人公の光子が、「塀の中」で過酷な過去を背負う女たちと出会い、互いに共鳴し、連帯する姿を描いた。嶽本さんは「どんな境遇にあっても助け合って生きていく。そんなシスターフッドの精神を表現したかった」という。
戦後、山代さんは広島で農民の文化運動に取り組み、広島での第1回原水爆禁止世界大会(55年)に関する署名集めで各地を巡り、その際に知り合った女性の話をもとにつづった「荷車の歌」が話題を呼んだ。60年代後半からは、東京都日野市を拠点に創作活動を続けた。「治安維持法による抑圧の時代に平和と女性の権利を訴え続けた山代さんの存在を若い世代に知ってほしい」と嶽本さんは話す。
「ミモザウェイズ」のリーディングの様子
ミモザフェスティバルは8日まで。期間中は、翻訳家のリボアル堀井なみのさんと仏の劇作家、トリニダード・ガルシアさんらが創作した戯曲で、日本の女性史の一世紀にわたる流れを描いた「ミモザウェイズ」(2022年、京都で初演)のリーディング公演や、各演目の出演者らによるシンポジウムが行われる。
(M・M)