点描
2025/08/02
劇団トラッシュマスターズ
戦後民主主義のあり方を問う
「そぞろの民」など2作品を上演
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「そぞろの民」の1場面
=東京都世田谷区で、ノザワトシアキさん撮影

 「戦後民主主義」をテーマにした、劇団TRASHMASTERS(トラッシュマスターズ)の舞台「そぞろの民」が東京都世田谷区の「下北沢駅前劇場」で3日まで上演中だ。「戦後80年」にちなんだ企画で、沖縄戦を体験した歴史学者とその家族の葛藤から、戦後のこの国のありようを浮かび上がらせる。
 舞台は東京。2015年7月、安全保障関連法案が衆院本会議で可決された。解釈変更で集団的自衛権の行使が容認されうる事態に、国会周辺では大勢の人が抗議の声を上げていた。その夜、沖縄出身の歴史学者が、自ら命を絶った。「沖縄戦を生き抜いた父を追い込んだのは何か」。通夜に集まった3人の息子や父の教え子で週刊誌の記者らが、互いの意見をぶつけ合い、やがて議論は戦後民主主義のあり方に及んでいく――。
 「そぞろの民」は、安全保障関連法で日本が揺れ動いた10年前、すなわち戦後70年に初演された。劇団を主宰する中津留章仁さん(52)は、「戦後70年の年に何が起きたかをもう一度、考えるきっかけになれば」と言う。「あれから10年が過ぎたが、貧困の問題が深刻化するなかで、国は軍事費を倍増する計画を打ち出した。『他国並みに』というが他国には憲法9条はない」
 トラッシュマスターズは今年で創立25年。これまでの作品はすべて中津留さん作の戯曲だったが、今回は、やはり戦後民主主義や戦争責任に視点を置いた、劇作家の三好十郎さん作の「廃墟」と交互に上演。詳細は同劇団のホームページ
(M・M)
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