点描
2024/06/30
明治神宮外苑再開発計画
樹木伐採に反対する市民らが集会
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 東京の明治神宮外苑の再開発に伴う樹木の伐採問題で、計画に異議を唱える市民らが29日、計画エリアにある絵画館前広場で集会を開き、約300人が参加した。
 タイトルは「SAVE神宮外苑ミーティング」。初めに呼びかけ人らによるリレースピーチがあり、俳優、タレントのラサール石井さんは、「空や緑は私たちの財産。植物にとって根は大事で、地面の下も大切」と発言した。アーティストのサエキけんぞうさんは「(計画の)回路を推し進めているのは少数の人間の利益。このことを(音楽家の)坂本龍一さんは命を削って切り分けた」。周辺住民からは「明治神宮外苑を子どもたちの未来につなぐ有志の会」の加藤なぎささんが、「子どもたちの未来を考えるにあたり、私たちはいま声を上げなければいけない責任世代」と呼びかけた。
 集会には杉並区の岸本聡子区長=写真=も加わり、「民主主義のありかたの根源を問うのがこの神宮外苑の再開発」と強調。また、参加者同士のグループディスカッションが行われた。
 再開発事業は、神宮球場と秩父宮ラグビー場の移転・建て替え、高層ビルの建設などが主な柱で、事業者側が昨年1月、都に環境影響評価(環境アセスメント)を提出し、翌2月に都が事業を認可した。これに対して、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関の国内組織「日本イコモス国内委員会」や市民らから批判の声が上がった。さらにパリに本部を置く「イコモス」が昨秋、「市民によってつくられた神宮外苑は世界の都市公園の歴史において、類を見ない卓越した文化遺産だ」とその価値を評価したうえで、遺産危機警告(ヘリテージアラート)を出した。とりあえず都は、高さ3メートル以上の中高木の伐採開始前に、樹木保全の具体案の報告を事業者側に要請したが、保全案の提出が遅れ、都の環境影響評価審議会の審議は進んでいない。
 神宮外苑の問題は、都知事選(7月7日投開票)の争点の一つ。候補者では蓮舫氏が「一度立ち止まるべきだ」と計画再考の考えを示している。
(M・M)
2024/06/19
東京で2番目の「9条の碑」が府中に
「憲法を生かそう」の弾みに
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 「建設ラッシュ」といえば不謹慎かもしれませんが、今年になってから全国で「憲法9条の碑」が6か所もできました。元朝日記者のジャーナリスト・伊藤千尋さんはいわば「9条の碑」のナビゲーター。伊藤さんの集計では1985年に沖縄にできて以来、いま全国39か所に。

 ここでは私の住んでいる東京・府中市の事例を紹介したいと思います。

 40年以上続いている「けやきコンサートの会」は「音楽は世界が平和であってこそ」の思いから、歌とともに憲法問題での学習も重ねてきました。22年には3回連続で伊藤さんと憲法の勉強会を開きました。おりしも岸田内閣は「自民総裁任期の24年9月までには改憲を」と各種の準備を進めていました。会員のなかに危機感が広がり、改憲に抗する国民の運動をより具体的な形でという声が高まりました。

 こうして、市内を中心に団体にも呼びかけを広めて22年秋に「三多摩初の『9条の碑』を府中につくる会」が発足しました。用地は幸いなことに、市内のあるファミリーが「先祖からの土地を平和憲法のために使ってもらえるのは光栄」と50平方メートル余の敷地を無償供与してくださいました。「条文碑だけでなく、憲法と平和を愛する願いをより具体的に」と構想が広がり、市内在住の憲法愛にあふれる彫刻家に作品をお願いすることにしました。キャッチコピー的に言えば「憲法を愛するココロをカタチに。アートでも」というわけです。

 取り組みの期間はある意味では改憲勢力と「競争」です。24年の夏までには完成を--。経費は整地と碑と像で約1000万円。市内はもとろん、東京、首都圏、遠くは四国の方も。個人だけでなく各種団体からも(音楽関係の団体がかなりの数に)。こうして「つくる会」スタートから1年8カ月、今年5月7日(会場の関係で憲法記念日の4日後になりましたが)に「除幕式」と「完成のつどい」を実施することができました。ブロンズ像は「アヒルを抱いた女性」です。

 府中での取りくみは★改憲の策動に抗して「憲法とくに9条を守り生かそう」という人びとの熱い思い★音楽・文化団体が取り組みの提唱・リード役に★土地提供者と彫刻家がすぐそばに★像も含め多額の経費の募金をストレートに訴え-などが特徴といえるでしょうか。24年夏、「9月までに改憲を」という勢力の野望を、まずは打ち砕きました。今後もこうした攻防が続くでしょう。「憲法壊すな、9条守れ」の運動に、各地の「9条の碑」の広がりは確かな力となっていくことでしょう。
(寺)
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