点描
2024/10/18
アートで感じる「日本国憲法」
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「ベジタブル・ウェポン」を持つ女性のポートレートを出品した小沢剛さん(左)と展示ディレクターを務めた角奈緒子さん。手前の立体作品は真島直子さんが創作=ミサシンギャラリーで
 「憲法と美術」をテーマにした「日本国憲法展2024」が東京都港区南麻布3の「ミサシンギャラリー」で開かれている。現代美術の作品と憲法の条文を組み合わせた展示で、「新たな角度から憲法を見つめ直す試み」という。
 銃を片手にこちらを見つめる女性のポートレート。よくみると、手にしているのはニンジンやナスなどの野菜でつくった「ベジタブル・ウェポン」。現代美術家の小沢剛さん(59)の作品で、「被写体はウガンダの女性」という。その横には、戦争の放棄と軍備及び交戦権の否認を定めた憲法9条の条文が書かれた紙が貼ってある。
 鳥の羽やふとんの綿、古布や糸くずなど、多様な素材を用いた美術作家、真島直子さん(80)の立体作品は、「思想及び良心の自由は、これを侵してはならない」と規定する19条と“ペアリング”。これらの組み合わせは、広島市現代美術館学芸員の角奈緒子さんが考えた。
 「日本国憲法展」はTAC出版から2019年に刊行された「日本国憲法」に着想を得て、昨年に続いて2回目。同書はグラフィックデザイナーの松本弦人さんが編集とデザインを手がけ、憲法の条文に照らして選んだ美術作品を収録する。ちなみにこの本のヒントになったのは、小学館の元編集者、故島本脩二さんが担当した「日本国憲法」(1982年刊)で、憲法全文に写真を添えたスタイルでミリオンセラーになった。
 9月下旬に始まったこの展覧会は都内3会場で計30以上の作品を紹介。パート1は墨田区の「無人島プロダクション」で実施(すでに終了)。ミサシンギャラリーでのパート2は10月19日まで。 パート3は、10月26日から11月17日まで目黒区上目黒2のギャラリー「青山|目黒」で開催。いずれも無料。
(M・M)
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