2024/08/24
人形遣い、俳優のネヴィル・トランターさん
東京で最終公演 「ユビュ王」上演
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東京がラストステージとなった ネヴィル・トランターさん =プーク人形劇場で |
何体もの人形を使い分けるなど卓越した技術で知られ、世界各国で公演を重ねてきた人形遣い、俳優のネヴィル・トランターさん(68)=オランダ在住=の公演が東京都渋谷区代々木2のプーク人形劇場で行なわれている。人形遣いとしては最後の公演。「人形たちが織りなす世界を存分に楽しんでほしい」といい、東京でのステージに臨んでいる。
オーストラリア・メルボルン出身。大学で演劇を学び、人形劇と出合った。有志と小さな人形劇団を設立し、オランダの演劇祭に参加した際、大人向けの人形劇に魅了されて1978年に同国に移住。脚本や演出、美術なども一人で手がけ、独自のスタイルを確立。人間の欲望や社会の不条理を人形に投影し、シリアスかつユーモラスな舞台を創作してきた。
今回、上演している「ユビュ王」は1896年に仏で初演された戯曲が原作で、「絶対的な権力」を求めるユビュとそれを取り巻く人々の物語。11体の人形を操りながらトランターさん自身はユビュの使用人役で登場する。「人が権力を握るといかに奇妙な生き物になるか。現代の独裁的な政治家に通じる」とトランターさんは話す。仏で2020年に初演し、オランダなどを経て日本へ。長野県飯田市や札幌市などをめぐり東京が最終の地だ。
「大人が楽しむ人形劇があることを日本の人々に知ってほしい」と語り、今後は演出や後進の指導に力を入れるという。25日まで。問い合わせは
プーク人形劇場(03・3379・0234)。
(M・M)