点描
2024/07/27
独の戯曲「神[GOTT]」が東京・下北沢で上演
死の自己決定権を考える
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「神[GOTT]」の1場面=黒木朋子さん撮影
 ドイツの作家で弁護士のフェルディナント・フォン・シーラッハさんの戯曲を舞台化した、劇団「ワンツーワークス」の新作「神[GOTT]」が東京都世田谷区北沢2の駅前劇場(下北沢駅そば)で7月28日まで上演されている。「医師による自殺ほう助」を題材にした物語。芝居を見に来た人々を倫理委員会の委員に設定した、観客参加型の舞台となっている。
 最愛の妻に先立たれ、生きる気力をなくした男性が、かかりつけの医師に自殺のほう助を願い出た。だが、関連団体に致死量の薬物の処方を申請したところ、却下された。
 この問題をめぐり、ドイツ倫理委員会では公開討論会を実施。「医師による自殺ほう助」のぜひをめぐり、男性の代理人やかかりつけ医、法学、医学、神学の専門家らが白熱した議論を展開する。討論終了後は、委員による投票が行われ、実際に観客が一票を投じる。果たして「賛成」、「反対」のどちらが多数を占めるのか。結果は上演中に発表される
 戯曲を翻訳したドイツ文学者の酒寄進一・和光大教授によると、ドイツでは安楽死の代わりに「臨死介助」という用語が使われる。「私たちの命はだれのものかという問いかけをすることがシーラッハの意図だと思う」と酒寄さんは言う。
 同劇団を主宰する古城十忍(としのぶ)さんは「日本では安楽死について議論が十分になされていない。超高齢化社会を生きる私たちにとって死の自己決定権の問題は避けては通れない」と語る。問い合わせは同劇団(03・5929・9130)。
(M・M)
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