点描
2024/03/31
「シングルファザーになりまして。」
東京・高円寺で3月31日まで
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「シングルファザーになりまして。」の1場面=石崎五義雄さん撮影
 劇作家、山谷典子さん(47)の新作「シングルファザーになりまして。」が東京都杉並区高円寺北2の「座・高円寺」で3月31日まで上演中だ。
 主人公は、32歳の年の差がある女性と再婚した中華料理店の経営者。還暦を迎えて娘が生まれたものの、妻が生後3カ月の娘を置いて出ていってしまった。途方に暮れる「60歳のパパ」に、夜間保育園の園長や保育士、同じ園に預けるシングルマザーら保護者たちが手を差し伸べた――。
 自身も6歳の長男を育てる山谷さん。米国から始まった「#MeToo」運動を受け、女性が声を上げることが批判されない世の中になってきたが、「依然として『母親はこうあるべきだ』という重圧は続いている」。同時に「子どもを産まない」と決めた女性に対しても冷たい視線が向けられることがあり、「評価をし合う人間関係や社会が、私たちを生きづらくさせている」。舞台では、家を出た妻が、夫と「対話」がなかったことを訴える場面があり、育児に奮闘する男性の姿を通して、女性たちが直面する問題を浮き彫りにしている。
 29日の公演のアフタートークに登場した劇作家の永井愛さんは、「山谷さんの実体験が盛り込まれていたと思う」と述べ、「シングルファザーになったからといってすぐさま女性たちが置かれた状況を理解し、人権を尊重するわけではない。どうすればそれぞれが自分らしく生きられる社会を築いていけるかが問われている」と語った。
 詳細は「演劇ユニットRing-Bong(リンボン)」のホームページ。
(M・M)
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