点描
2023/09/14
韓国の詩人、尹東柱を描く
青年劇場の舞台「星をかすめる風」
17日まで東京で
98-s-1.jpg
▲クリックで拡大
 戦時中、治安維持法違反容疑で逮捕され、獄死した韓国の国民的詩人、尹東柱(ユン・ドンジュ)(1917~45年)に光を当てた「青年劇場」の舞台「星をかすめる風」が東京のJR新宿駅新南口そばの「紀伊国屋サザンシアターTAKASHIMAYA」(渋谷区千駄ヶ谷)で再演されている=写真・村井夕さん撮影。
 旧満州(現中国東北部)の朝鮮族自治州で生まれた尹東柱は、ソウルの専門学校を経て24歳のときに日本に留学。京都の同志社大に在籍中、朝鮮語で創作した詩が「民族運動の扇動だ」と疑われ、特別高等警察(特高)に目を付けられたという。
 福岡刑務所に収監された尹が獄死したのは逮捕から2年後の1945年2月16日。死因は謎のまま27歳の生涯を閉じた。特高の押収を免れた2冊の詩作ノートに残された詩は、清らかで叙情性にあふれ、それらをもとに家族や友人らが編んだ詩集「空と風と星と詩」は韓国の人々の心をとらえた。英語や日本語などにも翻訳されている。
 今回の舞台は、韓国の作家、イ・ジョンミョンさんの同名の小説が原作で、尹の刑務所での日々を題材にした物語。劇団「温泉ドラゴン」代表のシライケイタさんが脚本と演出を手がけ、2020年に初演された。植民地支配下での抑圧を描くとともに、尹の感性とその詩作に引かれた刑務所の看守が地下の取調室を図書室にして囚人たちが本を読めるように努めるなど、文学や芸術の力に視点を置いている。
 9月17日まで。16、17日は上演後、イ・ジョンミョンさんの舞台あいさつがある予定。青年劇場(03-3352-7200)。
管理  
- Topics Board -